« パブコメ叩き台(3) ──政令指定方式について | トップページ | これで怒らなかったら嘘だぜ! »

2005.09.30

パブコメ叩き台(4) ──補償金制度の見直しについて

2.私的録音録画補償金の見直しについて
(5)その他(私的録音録画補償金制度の課題について)  40頁

【意見】
 私的録音録画補償金制度を全廃することは難しいと思われるが、少なくとも縮小の方向で検討を始めるべきである。また、「当面の運用」における「改善」は速やかに行なわねばならない。

【理由】
●本来 補償金を課すべき私的複製につき個別に課金(コピーされた著作物の権利者を特定することも含む)する制度を確立することが理想である。もっとも、一度 対価が支払われた著作物については(私的利用の範囲において)自由かつ無償で利用できるとすべきである。
●ただし、そうした理想的な個別徴収が実現する見通しが立つまで、補償金制度自体を存続するのはやむを得ない。とは言え、現行制度の問題点は放置できず、改善していくべきなのは言うまでもない。また、消費者とのコンセンサスの形成(補償金を課すべき私的複製の特定と、その根拠の論理的・実証的説明が必須である。現状では全くそれが為されていないと言っても良い)に努力しなければ、この制度は存続不可能である。

●補償金配分の比率の見直しに関連し、各権利者団体は配分の方法等 情報公開をより詳細に進めていくべきである。たとえばレンタルなどを基準とした配分に関し、その具体的な数値(表)や計算式を公開しなければ消費者の理解を得られることなどない。消費者の間では、各権利者団体の配分方法は「不透明」だという印象が一般的である。現状の情報公開では全く足りていないということだ。
●補償金制度の周知については、制度の論理的検討も並行して行なわれることが望まれる。いままで どこまで真剣に論理的検討を受けたのかが定かでないが、「不利益」などというマジックワードに頼った観念論に陥ることなく、具体的・論理的・実証的に検討されねば消費者の理解など到底得られない。ここで著作権・著作隣接権で保護されるべき権利者の経済的利益の範囲を明確にせねば、今後も権利制限のバランスを崩すような権利者側の要求が続くと考えられる。その際の検討に資する論理的検討の蓄積が必要であろう。
●返還制度の簡略化は絶対に行なうべきである。私的録音録画補償金を一部でも存続させるのであれば、返還制度を実効性あるものに改善しなければならない。制度の周知徹底はもちろん、管理協会側の迅速な対応が可能となるように文化庁が監督していくことが求められよう(返還制度に目立った改善が見られないときは、補償金制度を廃止すべきである)。なお、既に対価を支払い済みの著作物(自ら買い求めたCD・レンタルCD・ネット配信楽曲など)の私的複製に使った指定機器・記録媒体についても補償金返還への道を開くべきである。
●共通目的事業を国の予算で行なうようにすることについては、それが実現可能であれば望ましいことではある(どのように国民全体のコンセンサスを得るかという問題が残っているが)。しかし、共通目的事業への支出を減らしていくためには、補償金の分配が利用実態へ近づけていく努力が必要である。もともとは分配の粗さを吸収するために共通目的事業(権利者全体への間接的分配)が設けられたのであって、これと同じ事業が国の予算で行なわれるようになったからと言って、補償金分配からこぼれた権利者への「間接的分配」をストップしても良いという根拠にはならない。

●権利者の経済的不利益の具体的検討なくして消費者の理解を得ることはできない。このまま私的録音録画補償金制度が続けば、著作権制度自体への不信感を強めることにもなりかねない。
●特に、既に対価が支払われている著作物(正規に購入されたもの・レンタルされたもの・配信楽曲など)の私的複製や、一時的な録音・録画(主にハードディスク・フラッシュメモリ等に記録するようなもの)、アーカイブとして保存されている私的複製物との明確な区別が必要である。
●なぜ著作権者(および著作隣接権者)の権利を保護しなければならないのか きちんと説明すべきである。権利者が正規商品を売ることで得る利益が保護されるべきとの考えには、国民の理解が広く得られているものと考えられる。しかし私的録音録画補償金制度については、これで「補償」される「利益」と権利者の本来の「利益」との因果関係が曖昧なまま議論されていると言わざるを得ない。ここで改めて再検討し、消費者の理解を得られるような明解な根拠を示す必要がある。

【追記】
暇人#9の独断と偏見(ちょっとした注釈)
──以下は そのままパブコメにコピペしないように。

●私的録音録画補償金制度自体の見直しについては、 iPod 課金の部分と並んで、音楽ファンが ひとこと言いたい所であろう。もう、「補償金制度は廃止すべき」だの何だの思いっきりぶつけてくださいまし。
●ただし、いきなり補償金制度を無くすのは無理だという所まで思いを至らせてもらえれば幸い。私的録音・録画について、権利者の正当な利益を不当に害する事態が無いと判断できて初めて補償金制度全廃が可能となる。ここの検討なく「廃止すべき」と叫ぶのは ちょっと勝手な主張かも知れない(もちろんそれを承知で強弁するのも方法のひとつではある)。
●基本線は、権利者の利益を「不当に害する」場合の根拠を示すよう求めること、「当面の運用」における「改善」をきちんと実行するよう求めるので充分だろう。私が掲載した「叩き台」は結構長くなっているが、シンプルに行くなら実のところ4分の1くらいで済むかも知れない。その辺りは加減してください。

 さて。法制小委#8において、文化庁著作権課(法制小委事務局)はパブコメの「中間発表」を行ないました。これは極めて異例な事態であり、また「集計はしない」としていたにも拘わらずの発表でした。この発表を機に、 iPod 課金賛成派による組織票が画策されるおそれがあります。
 だから、この私的録音録画補償金制度に疑問を感じている方はパブコメを出しましょう。何でも構いません、文化庁が要求しているフォーマットを満たしさえすれば。私の「叩き台」その他をコピペするのも方法のひとつ。それをアレンジできればなお良し(「暇人#9の独断と偏見」は単なる希望でしかありませんから)。
 ──締切りまで1週間を切りました。駆け込み意見、大歓迎です。

http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2005/05090803.htm
「『文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 審議の経過』
 に対する意見募集について」
(文部科学省)

投稿:by 谷分 章優 12:18 午後 [著作権行政 watch, 音楽業界の愚行] | 固定リンク

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42184/6182916

この記事へのトラックバック一覧です: パブコメ叩き台(4) ──補償金制度の見直しについて:

» iPod課金の是非に対するパブリックコメント募集開始!! [Where is a limit? から]
 文化庁経由「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 審議の経過」に対する意見募集についてが掲載されています。気になる部分を引用させて戴くと【御意見の提出方法】 (1) 提出方法:郵便、FAX又は電子メール ※ 電子メールによる場合、テキストファイルにてお..... 続きを読む

受信 2005/09/30 15:50:10

» 試される。(ココログ mix)さん作成パブコメ用テンプレート。 [ふっかつ!れしのお探しモノげっき から]
■試される。(ココログ mix)さんがパブコメ用テンプレートをあげてくださってます。 ありがとうございます&おつかれさまです~m(__)m;; アタシも使わせてもらいます。これをご自分の意見を交えて、ぜひパブコメだそうね。 ■試される。(ココログ mix) "私的録...... 続きを読む

受信 2005/09/30 19:57:16

» 補償金制度の見直しについて :反対理由リスト [音楽リスナーとPCユーザのための著作権パブコメ準備号 から]
試される。(ココログ mix) パブコメ叩き台(4) ──補償金制度の見直しについて http://himagine9.cocolog-nifty.com/kitaguni/2005/09/__82cf.html に、おいらなりに加筆修正したものを。 なお、試される。の暇人#9さんは、 叩き台にでも、あるいはコピペのソー... 続きを読む

受信 2005/10/01 1:59:44

» いよいよあと一日 [Non-Fiction から]
というわけで、二通目のパブコメ提出済み 今回はこんな感じ (3)意見 2.私的録音補償金の見直しについて (5)その他(私的録音録画補償金制度の課題について)  40頁 補償金制度については、現状ではやむおえない点もあり、全廃するのは難しいと思われる。しかし、今後の技術の発達により、より正確な利用状況の把握が出来るようになることを考えると、将来縮小に向けて検討を進めるべきであると考える。 また、以下の問題点については早急な改善が必要と考える。 1.正規に購入したCDや音楽配信で... 続きを読む

受信 2005/10/06 22:12:13

コメント

コメントを書く