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2005.09.29

音楽(業界)が「伝える」力を失ったのは いつからだったんだろう

 え〜、パブコメ書きに いそしむ今日この頃、皆さま いかがお過ごしでしょうか(なんか変な日本語だけど気にしないで‥‥)。
 今回はパブコメからちょっと離れて番外編。と言っても、話題はやっぱ私的録音録画補償金なんですが。

http://tontonsblog.seesaa.net/article/7387300.html
「"iPodに課金!?"の『私的録音録画補償金』って知ってた?の投票実施中」
(Where is a limit?)

http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050927/1127759116
「JASRACの私的録音録画補償金制度のCM(2)」
(言いたい放題)

 前者では Hotwired でやってるユーザーアンケート(同じネタで 「Watchers」 のコメントも読める)を紹介。後者は JASRAC が最近始めたという私的録音録画補償金制度のPRCM(もともと制作していた JASRAC のCMシリーズの一環らしい)について。
 まぁ、いずれも読めば分かる内容であります。 Hotwired の方は、あれだけのユーザーの生の声が集まっているのが壮観というか、あれだけ集められるのがネットメディアならではというか。言ってみれば JASRAC が呼称するところの「誤った議論」がどこまで「蔓延」しているのかという証拠ではありますかな。さらに はっきり言えば、 JASRAC ら「悪の7団体」が少なくない予算かけてやってる“説明”が全く効果なしだという証拠ですらあります(ここまで効果ないんじゃ責任者は更迭だろフツー)。
 ──そりゃ「理解」してもらえる筈もない内容ですから、当然ですがね。

 で、件の JASRAC ですが、最近はCMでも私的録音録画補償金を採り上げてるんだとか。必死ですな。その割には この内容がまた‥‥時間と金の無駄遣い。何を考えているのか全く見えてきません。ただ予算を消化する目的で作ってるのか? それくらい無意味。
 上記にリンクを張ったブログ『言いたい放題』で問題点はくまなく指摘されております。私が何か付け加える必要もありません。当該記事ではCMの内容も引用されておりますので、ぜひ目を通していただきたいところ。

 それでも何か言いたくて仕方ないのが私の性格。そんな調子で、以下、いつもの口調に戻して行きますけれども。




 JASRAC は、こうした繰り言で何を伝えようとしているのか? 本当に相手に理解してもらおうと努力しているのか?
 もっと俗な言い方をすれば、伝えたいことを広めるのに きちんと効果的に資本投下できているのか? 広報活動にアドバイザーはいないのか? もし件のCMが代理店主導の制作だったら目も当てられないが。広報をきちんとやれる人間がいない上に、 JASRAC で内容チェックが全くできないということになる。
 イメージ戦略で押すにしても、理詰めで理解を得るにしても、ここまで意味のないCMを平気で流すのは害にこそなれ何の得にもならない──とは JASRAC の人間で誰も思わないのか!?
 CMの核心部分を『言いたい放題』から引用してみる(これは引用なので JASRAC に使用料を払う気は毛頭ない。悪しからず)。

なぜ補償金を払うのでしょうか?
デジタルコピーはオリジナルと同じです。
コピーが大量に作られれば、作家やアーティストには何も還元されず、新たな作品が生み出せなくなります。
私的録音録画補償金制度は、そこを少しでも救済しようとするもの。
皆様のご理解とご協力をお願いします。
JASRAC 日本音楽著作権協会

 ──アホか!
 これで説明したつもりなのか。

 「作家やアーティストには何も還元されず」ということが問題ならば、単純に「還元」の発生しない私的複製に限って補償を求めればよかろう。しかし今問題になっているのは、自分で買ったCDや配信楽曲、そしてレンタルである。いずれも「還元」済みの利用である(すなわち「新たな作品が生み出」されるための前提は既にクリアされている)。
 そうした「還元」済みの著作物を私的複製することに対し、「作家やアーティスト」が「救済」を要求することが妥当なのか──それが私的録音録画補償金制度への疑問として持ち上がっているのである。そこには触れず、 JASRAC はまたしても繰り言。
 「皆様のご理解とご協力をお願いします」が聞いて呆れる、高圧的な物乞い。

 ──私が指摘するような私的録音で、著作権者(隣接権者含む)に対して如何なる不利益が発生しているのか言ってみろ! おまえらそれでも表現者の団体か!?

 音楽というのは表現である。コミュニケーション、すなわち「伝える」手段の一形態である。ならば、そうした能力を伸ばした者たちが集まっているのが音楽業界ではないのか(ビジネスの側面もあるから必ずしも一致はしないわけだが)。
 まして、 JASRAC は著作者の集まりである。まがりなりにも第一線で表現に携わってきた者たちの集まりの筈である(まぁ某庁から“天下”ってきた奴らは別だろうが)。それがこの体たらく。
 音楽業界が伝える力を失ったのは いつからなのか。 JASRAC だけでない、音楽業界に深く関わっているレコ協や芸団協も同じだ。彼らだって未だに有効な説明の手だてを選べずにいる。「誤解」だの「意識が低い」だの、相手にレッテルを貼ることしか能がない。きちんと「理解」できるように理詰めで説明すれば一発でカタが付くというのに。これが音楽業界の「伝える」力の限界。

 一般論として、顧客と理解しあえない商売に未来はあるものなのか?
 他の業界で考えられるか、こういうヤクザな商売。
 客を泥棒呼ばわりし、ことあるごとに金を要求する。今の連中がやっているのは、おなじ手持ちCDでも、ラジカセで聴くとき、CDウォークマンで聴くとき、コンポで聴くとき、パソコンで聴くとき、車で聴くとき、それぞれについて対価を要求するのと同質の愚行である。そうまでされて、世界一高価なCDを買う奴がどこにいるのか、想像したことがあるのか?

投稿:by 谷分 章優 01:00 午後 [音楽業界の愚行] | 固定リンク

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