« 「権利者」の了見 | トップページ | 詐欺行為にご注意ください »

2005.09.15

一夜漬けでもいいから理論武装したい人のための参考文献 ──iPod 課金パブコメに向けて

(書きかけです)

 ──あくまでも私が入手している範囲でしかないので、完全でないことに御注意あれ。他にもオススメの資料があったら、教えて下さいね →Watchdog 諸氏。


■【私的録音録画補償金制度の概要を知りたい人は】

http://www.sarah.or.jp/shiteki/main.html
「私的な話。
 音楽を聴く前に、聞いてほしいことがあります。
 知ってましたか? 私的録音補償金制度のこと。」
(sarah :私的録音補償金管理協会)

http://www.sarvh.or.jp/dis/siteki.html
「私的録画補償金制度について」
(SARVH :私的録画補償金管理協会)

▲ まず、制度の基本を抑えるにはこれが最適だろう。上から順に、 sarah による説明、 SARVH による説明だ(後者は PDF で用意されているので注意)。
 あまり制度の趣旨などには突っ込んで語られず実務面からのみという制限はあるが、解りやすくコンパクトにまとめられている。特に SARVH については制度創設の経緯にも一項目用意しており、より理解の助けになる内容であると思う。なお制度説明は sarah や SARVH の見解という訳ではなく、文化庁による説明の引き写しである。余計なことを追加していないという点では、これらを先に読んだ方が変な先入観を植え付けられずに済むかもしれない。 JASRAC の主張なんかを先に読むと偏っちまうな、たぶん。
 ただ‥‥ sarah や SARVH による突っ込んだ見解表明も私個人としては欲しかったな。文化庁の公式発表には出てこないような、創設時の議論の経過を垣間見せる突っ込んだ説明が、ね。

『ジュリスト』 1993年6月1日号 (No.1023) 55頁から 59頁
 「著作権法の一部改正(私的録音・録画関係)について」
 (文化庁文化部著作権課)

▲ 『ジュリスト』は我々一般人には馴染みのない雑誌だが、これで当時の文化庁著作権課による趣旨説明が読める。この起草者側による一次資料はネットで検索しても出てこなかった(私だけ?)ので、『ジュリスト』掲載の本記事は重宝する。とりたてて珍しいことが書いてあるわけでなく、内容自体は多くの法学者が論ずるところと同じ。ただ、そうした論文の裏打ちとしての価値がこの記事にはある。
 ちなみに、著作権課の当時の課長補佐・関氏が『ジュリスト』同号の座談会にも出席し、そちらでも趣旨を説明したりしているので併せてお読みいただきたい。はっきり言えば、こちらの座談会の方が非常に面白い内容(笑)。

半田正夫・著『著作権法概説 〈第12版〉』
(法学書院)
150頁から 153頁、 271頁から 277頁。

▲ いわゆる「半田・概説」。権利制限の解説の中で私的複製に触れた部分が前者、私的録音録画補償金制度について1章設けて解説しているのが後者である。ここでは制度の概要を過不足なく記してある。
 実のところ半田正夫氏(青山学院大学名誉教授)は この私的録音録画補償金制度には確固とした意見をお持ちなのだが、それについては以下の文献を参考にして戴きたい。

《参考》
半田正夫・著『転機にさしかかった著作権制度』所収
(一粒社)
「私的録音と補償金請求権
 ──新制度の誕生と法的問題点──」
18頁から 42頁。

『法曹時報』 1993年10月号 45(10)  1頁から 20頁
「私的録音と補償金請求権
 ──新制度の誕生と法的問題点──」
(半田正夫)

▲ 上に掲げた二論文は、同じものである。入手しやすい方で読んでいただければ幸い(残念ながら前者は絶版なので、いずれも図書館を利用するしかあるまい)。いま法制小委で取沙汰されている補償金の問題点は この制度が創設された時から既に指摘されていたものだということが判る。
 もっとも氏は補償金制度に反対する立場で論文を書かれているわけではないのでお間違いなきよう。あくまでも補償金制度を妥当性のあるものとして改善したいという問題点の指摘である。従って、ここで指摘された内容をもって廃止すべきという論を展開するのではなく、どうすればこの問題点を解消できるかということを まず考えるべきではないかと思われる(それは我々読者に課せられた責務であろう)。




■【とりあえず他の人の意見をのぞいてみたい人は】

 もし他の人の意見を読みたい場合は、まず制度の概要を掴んでからにしてくださいね。これをやっておかないと、いらぬ先入観を持たされることになりかねません。
 ただ、こうした意見は複雑な著作権問題を発言者というフィルターを通して表現されているだけに、その分 わかりやすくて一面の真実を捉えているという可能性はあります。だから、こうした意見を相対化して読んでいけるのなら、きっと問題を考察するのに役立つでしょう。

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/
2005/08/25/8896.html

「どうなる『私的録音補償金制度』
 〜『新しい制度に見直しを」JEITAの主張」
(INTERNET Watch)

http://www.jeita.or.jp/japanese/hot/2005/0819/0819.pdf
「私的録音録画補償金制度の問題と JEITA の見解」
(JEITA ・ PDF)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/
013/05050301/007.pdf

「私的録音録画補償金の見直しについて」
(文部科学省サイト・ PDF)

▲ 電子情報技術産業協会 (JEITA) による意見。解りやすいのは INTERNET Watch の記事だ。また正式に発表された「見解」も、彼らの立ち位置を理解する上で格好の資料である。法制問題小委員会に提出された意見書もまた興味深い。
 ひとつ忘れてならないのは、 JEITA は消費者団体ではないので決して消費者の側に立った主張をしている訳でないところだ。すなわち「私的録音は有償であるべき」との立場を取り、それは個別課金で行なうべきであって補償金制度は不適切としているのである。ま、これは彼らの立場として当然の主張であろう(別段 消費者の肩を持って話をこじらせる必要なんて無い)。
 ただ、現状で個別課金を(一応)実現しているのはレンタルCDと音楽配信だけである。購入CDからのコピーについては個別課金が実現していないのに補償金制度の廃止を唱えているというツッコミどころはある。しかし、私が主張しているのと同様に、陰では「購入CDからのコピーについては補償金が必要ない」なんて考えてたとしたら、たいした狸だな。ここでも有償にすべきだってんなら、どうやって実現させる気なのやら。その辺りを冷静に読んでいただければ幸い。

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/
2005/08/24/8874.html

「どうなる『私的録音補償金制度』
 〜『iPodも対象に』JASRACの考え」
(INTERNET Watch)

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/
2005/07/28/8605.html

「『iPodなどを私的録音補償金制度の対象に』
 JASRACなどの7団体が声明」
(INTERNET Watch)

▲ こちらは、 iPod に補償金を掛けろと主張する JASRAC ら「悪の7団体」。
 もう ツッコミどころ満載の意見ではあるんだが、とりあえずは 彼らは一貫してこういう主張をしている(私自身がツッコんだ記事があるんで、それは後掲します)。
 ちなみに「補償金制度が形骸化したらベルヌ条約に違反」云々の主張は、直後の衆議院・文部科学委員会での質疑で否定されている(川内議員が質問)。

《参考》 http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/
kaigiroku/009616220050803016.htm

「第162回国会 文部科学委員会
 第16号(平成17年8月3日(水曜日))」
(衆議院サイト)

▲ 川内議員が登場するのは、この回の会議録でもかなり後の方。文化庁次長ののらりくらりとした答弁(にならない答弁)にイライラさせられるところ。

http://chizai.nikkeibp.co.jp/chizai/gov/meti20050425.html
「ほとんどの消費者が知らずに払っている『私的録音録画補償金』
 —経済産業省・政策企画官の藤原 豊氏に聞く(上)」
(日経BP:知財 Awareness)

http://chizai.nikkeibp.co.jp/chizai/gov/meti20050427.html
「私的録音録画補償金制度は“縮小・廃止”で検討する
 — 経済産業省・政策企画官の藤原 豊氏に聞く(下)」
(日経BP:知財 Awareness)

http://www.meti.go.jp/press/20050427007/20050427007.html
「産業構造審議会 情報経済分科会報告書
 『情報経済・産業ビジョン』の発表について」
(報道発表(METI/経済産業省))

▲ 経済産業省の方針として私的録音録画補償金制度の「縮小・廃止」が表明されたという画期的記事。 『Copy & Copyright Diary』 で紹介されていたことだが、この記事の後に経産省から『情報経済・産業ビジョン』が発表されている。
 リンク先に PDF (これがかなりのページ数)があり、そのうちの概論では 58ページに、本文では 4-21 ページに「デジタル時代における新たな概念・制度の構築」と題し私的録音録画補償金制度について言及されている。

http://himagine9.cocolog-nifty.com/kitaguni/2005/08/internet_watch__d0c8.html
「INTERNET Watch の落とした爆弾
 ──我々が従うべきは JASRAC 規程ではない、著作権法だ」
(試される。(ココログ mix))

http://himagine9.cocolog-nifty.com/kitaguni/2005/08/pc_pilotversion_0b59.html
「これはパブリックコメントのプロトタイプだ!
 ──JEITA、 満を持しての反論」
(試される。(ココログ mix))

http://himagine9.cocolog-nifty.com/kitaguni/2005/09/uretenaino_md__e0f9.html
「本当に私的録音録画補償金は形骸化しているのか?」
(試される。(ココログ mix))

http://himagine9.cocolog-nifty.com/kitaguni/2005/09/trio__f104.html
「法制小委『審議の経過』パブコメ開始」
(試される。(ココログ mix))

http://himagine9.cocolog-nifty.com/kitaguni/2005/09/authorswrite__43ba.html
「『権利者』の了見」
(試される。(ココログ mix))

▲ 実に手前味噌で恐縮するところだが、私がこの iPod 課金問題について持っている意見は、上に挙げた記事で表明している。上から順に、 JASRAC へのツッコミ、 JEITA の主張への反応、「MDが売れなくなるから補償金は形骸化する」との主張への反論、パブコメ提出の方法(どさくさまぎれに私の意見プロトタイプ付き)、「権利者」の奇妙な“論理”に対する考察──である。
 なお、パブコメ提出にあたっては、別に著作権を気にする必要はないように思う。私の文章が使えるとお思いの方は、コピペでも何でもやって 意見に仕立てて下さい。他の人の文章なら問題になるかも知れないけど、私のだったら いくら使ってもらっても構いません(パブコメでは著作権を問題にする気はありません)。もちろんプラスαで何か御意見を戴けるのなら なお嬉しいところ。私の側でも取り入れたりしたいですね。




■【私的録音録画補償金制度創設への経緯を知りたい人には】

『コピライト』 1998年6月号  2頁から 18頁
「〈講演録〉私的録音録画補償金制度における
 製造業者等の役割」
(岡山商科大学教授 阿部浩二)

▲ わかりやすく経緯を説明。

http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?
SESSION=25257&SAVED_RID=2&PAGE=0
&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=7&DOC_ID=1320
&DPAGE=1&DTOTAL=7&DPOS=7&SORT_DIR=1
&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=25729

「第百二十五回国会
 衆議院 文教委員会議録
 平成4年11月26日」
(国立国会図書館・国会会議録検索システム)

http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?
SESSION=25257&SAVED_RID=2&PAGE=0&POS=0
&TOTAL=0&SRV_ID=7&DOC_ID=1236&DPAGE=1
&DTOTAL=7&DPOS=6&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0
&MODE=1&DMY=25729

「第百二十五回国会
 参議院 文教委員会議録
 平成4年12月7日」
(国立国会図書館・国会会議録検索システム)
http://www.cric.or.jp/houkoku/h3_12/h3_12.html
「著作権審議会第10小委員会(私的録音・録画関係)報告書
 平成3年12月 文化庁」
(著作権情報センター:著作権審議会報告書)
《参考》
http://www.cric.or.jp/houkoku/s56_6/s56_6.html
「第5小委員会(録音・録画関係)報告書
 昭和56年6月 文化庁」
(著作権情報センター:著作権審議会報告書)

http://www.cric.or.jp/houkoku/s51_9/s51_9.html
「第4小委員会(複写複製関係)報告書
 昭和51年9月 文化庁」
(著作権情報センター:著作権審議会報告書)
『ジュリスト』 1993年6月1日号 (No.1023) 34頁〜54頁
 「〔座談会〕私的録音・録画と報酬請求権」

▲ JASRAC 理事長 石本美由紀氏・文化庁文化部著作権課課長補佐 関裕行氏・日本芸術文化振興会理事長 加戸守行氏・全国地域婦人団体連絡協議会事務局長 松下直子氏・〈司会〉筑波大学教授 斉藤博氏(肩書きはいずれも当時のもの)による座談会。私的録音録画補償金制度創設当時の、それぞれの立場での考えを知る絶好の資料。
 特に読みどころなのは、現行著作権法の起草に関わった加戸氏と、私的録音録画補償金制度創設に尽力した斉藤博氏(国会審議にも参考人として参加)とのやりとり。現行著作権法の「起草者の想定」というのは権利制限規定の議論ではよく出てくるため、ここでも そのものズバリの発言は大変参考になる(と同時に、「不利益」の正体を探し続ける私としては物足りなさもあるわけだが‥‥)。
 なお『ジュリスト』同号では文化庁著作権課による趣旨説明も掲載されているので(ページとしては この座談会に続く形)併せて読まれることをオススメする。




■【著作権はよくわからないけど
  この際だから著作権の入門書でも読んでみようという人には】

中山信弘・著『マルチメディアと著作権』
(岩波新書)
福井健策・著『著作権とは何か ──文化と創造のゆくえ』
(集英社新書)
プロジェクトタイムマシン・著
『萌える法律読本 ディジタル時代の法律篇』
(毎日コミュニケーションズ)
http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/pdf/chosaku_text_17.pdf
「平成17年度 著作権テキスト」
(文化庁・ PDF)

文化庁・編著『著作権法入門 (平成16年版)』
(著作権情報センター)
《参考》
http://benli.cocolog-nifty.com/benli/2005/04/post_e9fd.html
「著作権法の勉強法・・・(1)」
(benli)

http://benli.cocolog-nifty.com/benli/2005/04/post_a2b6.html
「著作権法の勉強法----(2)」
(benli)

http://members.at.infoseek.co.jp/copy_and_copyright/
books/nyuumonsho.html

「著作権入門書」
(Copy & Copyright 複写と著作権:著作権 BOOKS)

 仮に著作権が解らないとしても、「どうして補償金を払わないといけないのか、その理由がきちんと説明されていない」とか「私的複製で権利者にどれだけの経済的不利益を与えているのか、きちんと説明してほしい」という切り口で意見を作る方向性もあります。ただ、払うべきもの(つまりお金)を全く払わないで著作物を入手してしまうのは(一部の例外を除き)権利者に不利益を与えかねないという所だけは留意してください。何でもかんでも「払いたくない」というのは説得力に欠けますので(「正当な根拠が無いものは払いたくない」という辺りまで具体的に論じないといけないんですね)。




■【資料を検索するところ】

http://www.cric.or.jp/reference_db/main/index.html
「著作権文献・資料:検索」
(著作権情報センター)
http://www.ndl.go.jp/
「国立国会図書館-National Diet Library」

 リストは今後更新されるかも知れませんし、されないかも知れません。

投稿:by 谷分 章優 05:37 午後 [著作権行政 watch, 音楽業界の愚行] | 固定リンク

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/42184/5956988

この記事へのトラックバック一覧です: 一夜漬けでもいいから理論武装したい人のための参考文献 ──iPod 課金パブコメに向けて:

» 私的録音補償金擁護派の言い分 [若旦那の独り言2005 Ver.3 から]
TBをもらった趣味の問題2さん(いつもお世話になります)の記事にある、「エンターテイメントの神髄」ってなんだろう? と、試される。 続きを読む

受信 2005/09/16 11:45:06

» iPod課金の是非に対するパブリックコメント募集開始!! [Where is a limit? から]
 文化庁経由「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 審議の経過」に対する意見募集についてが掲載されています。気になる部分を引用させて戴くと【御意見の提出方法】 (1) 提出方法:郵便、FAX又は電子メール ※ 電子メールによる場合、テキストファイルにてお..... 続きを読む

受信 2005/09/16 13:37:44

コメント

コメントを書く