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2005.12.02
法制小委 #10 ──ひとまずは報告書あがり、しかし分科会がな‥‥。
12月1日、 文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会 (第10回) が開催された。
http://nirvana.blog1.fc2.com/blog-entry-53.html
「著作権分科会 法制問題小委員会(第10回)」
(zfyl)
http://tontonsblog.seesaa.net/article/10049535.html
「著作権分科会 法制問題小委員会(第10回)」
(Where is a limit?)
公式議事録は(いつものように)まだ掲載されず。 『zfyl』 にて、配付資料とともに「議事概要(メモ)」が掲載されているので、今回もこれを使わせていただこう(毎度ながら感謝申し上げます)。なお、メディアの報道については 『Where is a limit?』 にてまとめられているので こちらも参照のこと。
まず、「議事概要」と「報告書(案)」に目を通して最初にツッコんでおきたいところがある。それは、第9回において甲野課長が独断(「思いこみ」か?)で却下してしまった図書館関連の要望についてである(詳細は議事録参照。 PDF なので注意されたし)。
事務局は「正式に図書館の関係者がそういうふうに意思決定したということでもございませんし、内々に何かそんなような感じだなということを、私どもの方で認識をしているということでございます」などという“説明”をしつつ「報告書(案)」で図書館関連の要望をすべて見送ったのである。これに対して事実関係を問う委員の質問が相次いでいたのだが、 第10回 での「報告書(案)」には全く反映されていなかった。すべて却下のままである。図書館関係者はこれに対処していたんだろうか?
こうした結論に対して憤りを表明されていたブログもあり、私もまったくもって同感だった。いや図書館関連だけでなく、教育関連や障碍者関連においても同様の見送り決定がある。何だかんだ文句をつけて(「明確化」を待つなどと)突っぱねるやり方。要するに、検討課題を多く抱えすぎてしまったがために突っ込んだ議論ができないまま時間を費やしてしまっただけの話であろう。要望の「明確化」などというものは、要望者とまめに情報交換していけば小委員会の場で充分可能だった。
図書館関連(他館の所蔵資料を複写するための権利制限)を却下するという事件は、事務局側の思いこみで結論をねじ曲げたという点でより悪質だった。委員会内の意見にしても容認の流れだったのである。事務局の思いこみを放置するのではなく、再度 要望者(図書館協会側など)に意見を聞き確認すべきだったのは明らかだ。「報告書(案)」をめぐる事務局の対応には疑問を抱かざるを得ない。今日「図書館総合展」で甲野課長が講演をするとの話だから、ここで吊し上げを食うことを期待しよう。どのような言い訳をするのやら。
あとは、今回の「報告書」に対して図書館協会側の見解を表明していただきたいところだ。この不透明な経緯での決定に対して抗議するのが一番いい(もっとも本当に図書館側で取下げたということなら、尚のこと見解を公表すべきだろう)。
さて、 『zfyl』 での「議事概要(メモ)」をもとに 第10回 での議事を見てみる。
──と言っても、基本的には「報告書(案)」(これも 『zfyl』 に掲載された資料を参照のこと)の文言を調整するのみであり、しかも第9回において意見が言い尽くされたせいか異論は殆ど出なかったようだ。
第9回での「報告書(案)」から変更された点としては(事務局の説明)、 14ページで 薬事行政関連で検討を「引き続き」行うことを強調、 52ページで 二重徴収の指摘が音楽配信について為されたことを明確化(なお余談ながら、同ページにて所有CDとの二重徴収も指摘された旨が書かれている)、 55ページで 私的録音録画補償金制度自体の見直しについて「廃止」の文言が追加、 同ページで前回の「報告書(案)」にあった「本小委員会とは別の検討の場を設けることが適切」云々の段落をそっくり削除、 56ページで 留意を払う先に「国際的な動向」を追加、 同ページで DRM に関してプライバシーへ「留意しなければならない」と表現を変更──となっている。
以上の変更点は 第10回 時点で変更済みの点であり、また今回あらたに 53ページの 「徴収した上で補償金を徴収する」の部分が指摘されている(おそらく著作権分科会へ出される「報告書」では ここも変更されていることだろう)。ともあれ、今回配布された「報告書(案)」で大筋了承されたということである。
私的録音録画補償金関連について言えば、今回の「報告書(案)」は“まぁこんなものか”といった程度のものである。無難と言えば無難。問題は、ここからどう議論に結びつけていくのかという点であり、また直近の著作権分科会でどのような扱いを受けるのかということである。
ITmedia でお馴染みの小寺信良氏がブログで次のように指摘している。
http://plusdblog.itmedia.co.jp/koderanoblog/
2005/12/post_14b6.html
「終わってないんだよ」
(コデラ ノブログ)
それよりも次の注目ポイントは、2006年1月に行われる著作権分科会での審議である。ここで舞台は1ランクアップするわけだ。2回にわたる小委員会の見送り案をひっくり返すことはさすがにできないとは思うが、場合によったら少し後退する形で結論が出されるかもしれない。
なぜならば分科会の場には、消費者の代表は一人もおらず、権利者と有識者だけで審議されるからである。権利者側が補償金廃止に向かう方向に進むとは思えず、この場の有識者がどれだけ消費者の意向を汲むか、というところがポイントになることは想像に難くない。
──同感である。
「本小委員会とは別の検討の場」については、「報告書(案)」から削られたものの「そのような検討の場を設けないというわけではなく、事務局の説明によれば、どのようなやり方で開催するかを今後、親委員会にあたる著作権分科会などとともに文化庁が詰めていくとしている」 (INTERNET Watch の記事より)とのことである。「議事概要(メモ)」でも、「これについては役所からどうお願いするか、また、小委員会というより、分科会レベルの話であるので、野村分科会長、中山教授と相談しながら適切な形でやった方がよいということで」とのくだりがある。しかしながら分科会が仮に「検討の場」の設定を考えるとして、どこまでエンドユーザーの声を反映させようとするのかは疑問ではある。
仮に検討の場を設けるにしても、その方法には幾つか選択肢がある。完全に新しい場を設けようとするのなら、権利者・メーカー・エンドユーザー・学識経験者らが同数ずつ参加させてバランスを取る必要があるだろう(さらに言えばエンドユーザーについては消費者団体に偏ることのないよう留意すべきである)。そこでの議論をオープンにするのは勿論、出来ることなら現法制小委以上にオープンかつ素早い情報公開が望ましいところだ(議事録掲載に1ヶ月など時間かけすぎである)。これらが実現できないのなら、わざわざ「別の検討の場」を設ける意義は(エンドユーザーにとって)非常に薄いと言わざるを得ない。場合によっては害悪にすらなり得る。
次善の策としては、法制小委で再度 関係者の意見を聞くということが考えられる。もちろん権利者・メーカー・エンドユーザーにそれぞれ平等に機会を与えることが必要である。特にエンドユーザーについては今まで年1回の「意見募集」でしか意見を表明できなかっただけに、法制小委で直に意見を述べる機会を得る意義は大きい。もっと贅沢を言えば、エンドユーザーの思いに共感されている委員とエンドユーザーとの間で情報交換が出来るようになれば面白いかと思うのだが。今までの議論よりも多くの視点を持ち込むことができるだろう。‥‥もっとも検討課題を多く抱えながら 月1回しか開催できないような現状では、このような発想にどこまで現実味があるのかは微妙である。
「検討の場」云々はさて置いても、私が考えるのは、権利者・メーカー・エンドユーザーが集まって“理解しあう場”ないし“勉強会”みたいなのが実現できないかということである。権利者の側からすれば、どうして補償金制度に正当性があるのかを説明する機会が必要なのではないか(もっとも現状より突っ込んだ説明が必要になるが。それが出来なければ やることは得策ではないだろう)。エンドユーザーにしてみれば、私的録音・録画によって権利者への「不利益」がどう発生するのかという疑問がある。ただ互いの意見を言い合うだけではなく、私的録音・録画問題における共通認識を広げるための、最低でもその検討に生じる問題点の洗い出しくらいはしておかないと この議論が進展していくことは無い。
残念ながら、権利者の側に、落ち着いて「説明」のできる方がいらっしゃるのか全く見えてこないのが現状である。こうした機会に出てきていただければ幸い。それが無理であれば、法学者の先生方に「説明」していただきたい。これまで私的録音録画補償金制度を是としてきた人たちの見解をお聴きしたいのである。
そういえば、この議論にまつわる中山主査の発言は微妙なものだった。
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0512/01/news071.html
「iPod課金、見送り方針を維持」
(ITmedia +D LifeStyle)
同委員会の主査を務める東京大学教授の中山信弘氏も「補償金問題はどのような判断が下されたとしても、大きな影響が出てしまう。(最終的に)現状を維持する形として結論が下されるか、それとも廃止が行われるのかは分からない」と慎重な判断が求められると述べる。
「現在は技術/市場/国際、いずれの動向も踊り場といえる状況。しかし、権利者(創作者)が第一に保護されるべきであるという方針に変わりはない」(中山氏)
「権利者が第一に保護されるべき」──それを言うなら、消費者の権利にも留意して欲しい。そんな愚痴もちょっと言ってみたくなる。
おそらくは、委員の中で補償金見直し派の勢いが強いために中山主査がバランスを取らざるを得ないという部分もあるのだろう。しかし、むしろここで突っ込んで制度の意味を「説明」いただけたらとも思う。中山先生だけではなく、著作権法を研究されている方々の「説明」が欲しい。そういう機会は無いのだろうか?
エンドユーザーが疑問をぶつけ、それに明解に答える。そうした場が存在するだけでも制度に対する理解を得る助けになるのではないか(もちろん本来は権利者側がそれをするのが本筋であろう。しかし現状では不十分であり、全く理解を得られていないのである。得られる筈のない「説明」モドキでは何の助けにもならない)。
中山主査は法制小委#9で注目すべき発言をしている。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/
013/05111401.htm
「文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会(第9回)議事録」
(文部科学省)
▲ 現時点では、リンク先の PDF を参照のこと。 35ページより 引用。
(中山主査) 私が発言していいのかどうかあれですけれども、知的財産法の場合、権利者に損害を与えるというのはどういう意味かというのは、これは普通の有体物とだいぶ違います。例えば典型的な例は放送局、現在放送局は包括契約を結んでいるから違法にならないのですけれども、仮に放送局が違法に音楽を流したとした場合は、確実にレコード売り上げは伸びるわけですね。それでも侵害は侵害です。
ですから、売り上げが減れば侵害になって、売上げが伸びれば侵害ではないという理屈にはならない。つまり、新しい利用方法について、その分け前を、そこから出てくる利益の分け前をどのくらい権利者に還元するかという問題が1つある。
(中略)新しい利用方法が出現した場合の多くは売り上げが減らず、その利用は自由となるというのもおかしいでしょう。知的財産法の場合、何を違法とし、何を違法としないかという難しい問題があると思います。
確かに売り上げが減るかどうかというのは極めてシリアスな問題で、貸しレコードの時も問題になりましたので、一応大いに勘案しなければいけないと思います。
仰る内容自体は、かつて山本委員も同様の発言をしていたような、権利者の側に立った一般的な話ではある。しかしながら、こうした説明では納得しがたいのが私的録音・録画問題なのである。
例えば、私的領域における著作物利用に対し「分け前」を得られるべきとすべきなのか、そうした「利益」まで著作権法で保護すべきなのかという疑問が先に立つ。「例えば」ということで放送局の話を持ち出した上の説明では理解を得られないのである。営利目的による著作物利用で権利者に「分け前」を与えるべきということは、社会的にコンセンサスがとれたものだからだ。問題となるのは、そのコンセンサス外で起こる、そのコンセンサスの適否すら疑われる「利用」である。
エンドユーザーの側からすれば iPod 等によって得られた「利益」というのは、自己所有のCDを何十枚も持ち歩かなくて済むようになった、聴く時にいちいちCD盤を探したり入れ替えたりしなくて済むようになっただけである。音楽を聴くための対価はすでに権利者に支払い済みであり、そうした聴くことだけを目的とした複製による「利益」から新たな「分け前」を支払う義務を負わせるべきか──その説明に上の発言が役立つのか非常に疑問である。
おそらくエンドユーザーとしても、自分の行為と権利者の「不利益」との因果関係が明解に示されれば「補償金」の支払いを納得するのである。レンタルCDを借りてきて録音すればCDが売れなくなる。こういう明解さであれば(レンタルされたCDがすべて本来パッケージCDとして売れるべきものだったかは議論の余地があるとして)多少の「分け前」を支払うことに異論はあるまい。私的録音・録画の問題の難しさは、こうした明解な論がいまだ構築されていない点にある(これまでの議論に参加してきた御仁は何をやってきたのだろうか?)。
そうした根本的な部分まで論じていかない限り、この補償金問題には片が付かない。まぁ別の言い方をすれば、そこまで根本的に論じなければ私自身が納得できはすまい。
私的録音録画補償金制度を創設した当時は、そこまでうるさく言うエンドユーザーは少なかったのだろう。だからあのような ぞんざいな論理で粗雑な制度を生み出してしまった。そして大多数の人々の関心を惹くことなく ここまで来た。しかし今は環境が全く違うのである。きちんとした論理構築の上に制度を考えねば、反論が湧き起こる時代になってしまったのである(寝た子を起こしたのは誰だろうね?)。
多数の目が向けられていることを意識して、次の段階の検討に入っていただきたいものだ。
投稿:by 谷分 章優 10:00 午前 [著作権行政 watch, 音楽業界の愚行] | 固定リンク
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» 著作権分科会 法制問題小委員会(第10回) [Where is a limit? から]
zfylさん経由著作権分科会 法制問題小委員会(第10回)の記事が2005/12/01(木) 11:44:06のタイムスタンプで既にエントリーされています。>いつもながらお疲れ様です。既に議事概要(メモ)も公開されています。 げっっ、文化庁加茂川次長出席していたんですか。ちなみに..... 続きを読む
受信 2005/12/02 16:01:48
» 法制問題小委員会(第9回)の中山主査の発言について [音楽リスナーとPCユーザのための著作権パブコメ準備号 から]
試される。(ココログ mix):法制小委 #10 ──ひとまずは報告書あがり、しかし分科会がな‥‥。
http://himagine9.cocolog-nifty.com/kitaguni/2005/12/_10__1921.html
で取り上げられている法制問題小委員会(第9回)の中山主査の発言について。
????? ▽
http://www.me... 続きを読む
受信 2005/12/03 0:52:17


