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2006.04.30
玉置浩二 『PRESENT』 :総評
※この記事は、私が運営するウェブサイト『スターレス 〜たそがれ玉置浩二〜』用に書いたもの(草稿)です。思いのほか長くなってしまったので、おそらく当該ページには短縮して載せることになるかと思います。
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『PRESENT / 玉置浩二』 2006年4月5日発売 ★★★★★
前作の『今日というこの日を生きていこう』は快作だった。松井五郎と再び組むことで詞作の幅を得、「安全地帯」という自ら囚われた枠から解放され、全てをコントロールできた結果 統一感のある作品に仕上がっていた。玉置浩二がソロ作品として発表するに相応しい内容だったと言える。
その反面、音作りの引き出しが少なくなりつつあり“似た曲”が同じアルバムに並存するなどの行き詰まり感も漂っていた。選曲や配置に甘さが残るのも相変わらず。
──で、今回のアルバム 『PRESENT』 である。
私の感想を一言で表せば「傑作」。
最大の特徴は、前作発表後のコンサートツアーで結成されたバンド(玉置浩二+安藤さと子+矢萩渉+カルロス菅野+ギター・土方隆行+ベース・コモブチキイチロウ+ドラムス・渡嘉敷祐一)が中心となってレコーディングに望んでいるところである。従来の玉置ソロでは一人多重録音が基本であり、安藤さと子や矢萩渉らがサポートに入ることはあっても、殆どが玉置浩二ひとりの生理的リズムを基調として正確に嵌め込まれた“寄木細工”の如き音作りであった。それが、今回はアルバム制作中にドラマ『あいのうた』への出演が重なったためか、本作での録音はバンドメンバーのアイディアに“おまかせ”した部分が多かったという。
その結果、従来の玉置ソロでは聴けなかった新たなリズム感が得られた(一人多重録音の極致である痛快作『スペード』と比較すればよく判る)。ここまでうねるリズムは安全地帯ですら使われなかったのではないか。更には、玉置浩二が専念することになったであろう歌メロについても捻りあるものに仕上がった。玉置浩二が音作りのコントロールを緩め、バンドの面々が貢献を積み上げていくことで、あのメンバーならではの音が出てきた印象である。
言ってみれば、“玉置浩二バンドのファーストアルバム”か。
「いつもどこかで」 「Lion」 「夜想」「発散だー !!」 「プレゼント」「おいでよ 僕の国へ」──と近作シングル曲がカップリング曲ともども多く収録されているのだが、これは一定のレベルを要求された既発曲であるだけにアルバム収録曲のレベル底上げに貢献しこそすれ、ネガティブに考えるべきことではなかろう。現に本アルバムの中でも、各曲が分というものを弁えた位置におり嫌らしさを感じさせない(実は私がこれらシングル曲を評価しているとは必ずしも限らないところから言っても、分相応の配置は評価に値する)。一般的アルバムにありがちな“シングル曲だのみ”の雰囲気を避けるため、シングル曲を減らして新曲を増やすという選択肢も当然考えられる。しかし本アルバムについて言えば、それは唯一の解ではなかったということだ。
尤もバンドとして特徴ある音を刻み込んでいるのは むしろ新曲の方だったりする。 「Melon Water」 「シェルター」「延長戦」といったアルバムトップの3曲は初聴時に私がノックアウトされたほどの出来だし、「虹のラララ」「ヒトリゴト」 「Help」 もそれぞれの曲の持ち味を引き立たせる演奏である(別の言い方をすれば、曲を一律に染める“玉置浩二臭”が薄まっている感じではある。この辺り好き嫌いが分かれそうだ。なおシングル曲では「発散だー !!」 の演奏も楽しく、これのインスト版を聴くためだけにシングル盤を買う価値があるかも知れない)。
そしてアルバム最高潮はラストの2曲、「おいでよ 僕の国へ」「やせっぽちの星」にある。 『PRESENT』 というアルバムタイトルからすれば「プレゼント」(ドラマの主題歌としてそれなりにヒット)が中心になりそうなものだが、制作当初から玉置浩二の亡き飼い猫・ドーキュウに捧げる作品として位置づけられていたために この2曲が重要な役割を与えられたのである。前者は猫から人間への視点で描かれた詞を持ち、後者は玉置夫妻からドーキュウへの追悼が表現されている(この曲のみ玉置・安藤だけで作詞・作曲・録音)。そしてアルバムは感動のうちに終わるのである。
ここまでで全収録曲のタイトルを挙げてもなお言い足りない。それだけ魅力ある曲ばかりなのだ。
いつもの私の調子だと、ここらでアルバムに感じた欠点を列挙するところだ。しかしここまでの「傑作」に文句をつけるほど私も鬼ではない。まぁあえて指摘するとすれば、“もっと新曲が聴きたかった!”といったところか。
とは言え、シングル曲が多く収録されているのなら新曲が少ないのは仕方ない。前述のとおり、今回のシングル曲収録はアルバムの出来にネガティブな影響を与えるものではない。もし新曲を無理に増やしたところで、『安全地帯 IX』 の時のように「曲の絞り込みが足りない!」と指摘する羽目になるのがオチであろう。おそらくは今回のような“腹八分目”が丁度いいのだ。
本アルバムは、玉置浩二による全アルバムを通して見ても、その現役性を知るのに重要な作品と言える。まだまだ枯れちゃいない。久々に、掛け値なしでオススメできるアルバムが出てきたのだ。
そしてこの「傑作」をものにした玉置浩二バンドの面々は、本アルバムと同じ名 『PRESENT』 を冠してコンサートツアーを行なっている真っ最中である。バンドの良さを生で体験できるところであるし、更には最終公演を WOWOW で放送するという発表もあった。この流れで行けばライヴアルバムや DVD の発売も期待できる。まだまだバンドの活躍は続く。
【追記──というかヒトリゴト】
以上のような成果を収めた玉置浩二バンド。彼らには次のアルバムがあるだろうか? いや、厳しいことを言えば、次も「傑作」をものにすることができるだろうか?
これは“やってみなければわからない”。今回は第一発目ということで、玉置ソロとして新機軸に見えたということが高評価に繋がっている。しかし、次も同じだとしたら同様の評価とはなりづらいだろう。もちろん個人的には次が聴きたくて仕方ない(新曲が聴きたい! ──と書くくらいだから)。
要は、玉置浩二の引き出しとバンドメンバーの引き出しとの掛け合いがどこまで続けられるかだろう。惰性で続けるのではなく、玉置浩二という一つの音楽を世界を引っかき回して行って欲しいなぁと思うところである(やり尽くしてからの“解散”ということも含めて。そのあとで玉置浩二単独の多重録音がどう変わるのか興味がある)。
※まだまだ私が書くべき事も残っています。でも別ブログでやらなきゃいけないことも沢山あって‥‥。
いつもの曲順分析もやってません(ついでに各曲の感想も書いてない)。ライヴの感想も書いてません。志田歩氏の本についても書いてません(もちろん読了済み)。ウェブサイトも全面的に書き直ししなければなりません(マジ)。
読者の皆様、期待せずにお待ちください(涙)。
投稿:by 暇人#9 06:13 午前 [安全地帯・玉置浩二] | 固定リンク | コメント(1) | トラックバック
2006.04.06
今まで全然気づかなかった ──The Beatles / The Capitol Albums, Vol. 2
玉置浩二がニューアルバムを出したもんで、いろいろ音楽関係の話題を漁ってたりなんかしてたら、こんな“新譜”の発売を知った。
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うわぁい。今の今まで知らなかったよ。
前の 『The Capitol Albums, Vol. 1』 が思いのほか不調だったとかで、続編発売が危ぶまれていたところだったのだが、ここに発売の運びとなっていたのだね。めでたい(アマゾンでは未発売要予約になってるけど、東芝経由では既に店頭に並んでるのかい?マジ?)。
ちなみに曲目を見てみると(アマゾンの「曲目リスト」より)──
ディスク: 1
1.Love Me Do (stereo)
2.Twist And Shout (stereo)
3.Anna (stereo)
4.Chains (stereo)
5.Boys (stereo)
6.Ask Me Why (stereo)
7.Please Please Me (stereo)
8.P.S. I Love You (stereo)
9.Baby It's You (stereo)
10.A Taste Of Honey (stereo)
11.Do You Want To Know A Secret (stereo)
12.Love Me Do (mono)
13.Twist And Shout (mono)
14.Anna (mono)
15.Chains (mono)
16.Boys (mono)
17.Ask Me Why (mono)
18.Please Please Me (mono)
19.P.S. I Love You (mono)
20.Baby It's You (mono)
21.A Taste Of Honey (mono)
22.Do You Want To Know A Secret (mono)
ディスク: 2
1.Kansas City / Hey Hey Hey Hey (stereo)
2.Eight Days A Week (stereo)
3.You Like Me Too Much (stereo)
4.Bad Boy (stereo)
5.I Don't Want To Spoil The Party (stereo)
6.Words Of Love (stereo)
7.What You're Doing (stereo)
8.Yes It Is (stereo)
9.Dizzy Miss Lizzie (stereo)
10.Tell Me What You See (stereo)
11.Every Little Thing (stereo)
12.Kansas City / Hey Hey Hey Hey (mono)
13.Eight Days A Week (mono)
14.You Like Me Too Much (mono)
15.Bad Boy (mono)
16.I Don't Want To Spoil The Party (mono)
17.Words Of Love (mono)
18.What You're Doing (mono)
19.Yes It Is (mono)
20.Dizzy Miss Lizzie (mono)
21.Tell Me What You See (mono)
22.Every Little Thing (mono)
ディスク: 3
1.Help! (stereo)
2.The Night Before (stereo)
3.From Me To You Fantasy (Instrumental - stereo)
4.You've Got To Hide Your Love Away (stereo)
5.I Need You (stereo)
6.In The Tyrol (Instrumental- stereo)
7.Another Girl (stereo)
8.Another Hard Day's Night (Instrumental - stereo)
9.Ticket To Ride (stereo)
10.The Bitter End / You Can't Do That (Instrumental - stereo)
11.You're Gonna Lose That Girl (stereo)
12.The Chase (Instrumental - stereo)
13.Help! (mono)
14.The Night Before (mono)
15.From Me To You Fantasy (Instrumental - mono)
16.You've Got To Hide Your Love Away (mono)
17.I Need You (mono)
18.In The Tyrol (Instrumental- mono)
19.Another Girl (mono)
20.Another Hard Day's Night (Instrumental - mono)
21.Ticket To Ride (mono)
22.The Bitter End / You Can't Do That (Instrumental - mono)
23.You're Gonna Lose That Girl (mono)
24.The Chase (Instrumental - mono)
ディスク: 4
1.I've Just Seen A Face (stereo)
2.Norwegian Wood (This Bird Has Flown - stereo)
3.You Won't See Me (stereo)
4.Think For Yourself (stereo)
5.The Word (stereo)
6.Michelle (stereo)
7.It's Only Love (stereo)
8.Girl (stereo)
9.I'm Looking Through You (stereo)
10.In My Life (stereo)
11.Wait (stereo)
12.Run For Your Life (stereo)
13.I've Just Seen A Face (mono)
14.Norwegian Wood (This Bird Has Flown - mono)
15.You Won't See Me (mono)
16.Think For Yourself (mono)
17.The Word (mono)
18.Michelle (mono)
19.It's Only Love (mono)
20.Girl (mono)
21.I'm Looking Through You (mono)
22.In My Life (mono)
23.Wait (mono)
24.Run For Your Life (mono)
曲目から察するに、 『The Early Beatles』 『The Beatles VI』 『Help!』 『Rubber Soul』 のようである。いずれも米キャピトル独自の選曲であり、特に 『Help!』 は映画使用曲+サウンドトラック(ビートルズの演奏ではない)、 『Rubber Soul』 も英オリジナル盤と収録曲が一部異なる (曲数が少ない上に、英 『Help!』 収録曲がこちらに混ぜられていたりする)。
残念ながら、 United Artists から発売されていた 『A Hard Day's Night』 のサントラは今回収録されていない。この音源が日の目を見ることは今後あるのだろうか‥‥。仮に次回があるとすれば、 『Yesterday And Today』 『Revolver』 と中途半端な内容になるだけに、ぜひ 『A Hard 〜』の収録を願いたいところではある(まさか 『Hey Jude』 とか 『The Beatles Rarities』 とかをやるんじゃあるまいな?)。
今回も 『The Capitol Albums, Vol. 1』 と同じようにモノラル・ステレオの両音源が収録されるようである。これは嬉しい。この2つのボックスセットのお陰で、英オリジナルアルバムCDでは入手できない初期作品のステレオ版がほぼ網羅可能となる。
ビートルズ関連のミックス違いに興味をお持ちの方にとっては、今回のボックスセットは垂涎のものとなるかもしれない。何故なら、英オリジナル盤でいう 『Help!』 と 『Rubber Soul』 の収録曲が聴けるからだ。これらのモノラル版はシングル曲を除いて未CD化である。しかもステレオ版も未CD化なのである! ──それは何故か。この2枚のアルバムはCD化される際にリミックスされているからだ。もともとは左右に“生き別れた”ミキシングをされていたのが、若干中央に寄せるなど「自然に聞こえる」ように手を加えられたのである。従って、今回のボックスに収録されるのはレコードでは一般に流通していたオリジナルのステレオ音源ということになる。
──そんなわけで、ビートルズ狂いの私としては「買わねばならぬ」ボックスセットだったりする。困ったな‥‥金が続かねぇよぉ。
前にもやったが、収録曲に関する(ミックス違いの観点からの)メモを掲載しておく。例によって参考文献はレココレ増刊の『ザ・ビートルズ コンプリート・ワークス』(森山直明氏の労作であるテイク/ヴァージョン違いのデータから)。最近はビートルズ関係の文献をチェックしたりしてないので、データが古いかも知れないが御容赦のほどを(しかも私の凡ミスがあるかも知れないので、もしあれば指摘されたい)。
『The Early Beatles』
Love Me Do
【モノラル】既発と同じ(アンディ・ホワイト版)
【ステレオ】疑似ステレオ・初CD化
Twist And Shout
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
Anna
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
Chains
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
Boys
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
Ask Me Why
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
Please Please Me
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化(必聴の歌詞間違い版)
P.S. I Love You
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
Baby It's You
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
A Taste Of Honey
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
Do You Want To Know A Secret
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
『The Beatles VI』
Kansas City/Hey Hey Hey Hey
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
Eight Days A Week
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】既発と同じ(?)
You Like Me Too Much
【モノラル】既発と同じ(EPボックス)
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス版)
Bad Boy
【モノラル】初CD化
【ステレオ】既発と同じ
I Don't Want To Spoil The Party
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
Words Of Love
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
What You're Doing
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
Yes It Is
【モノラル】既発と同じ(シングルボックス)
【ステレオ】既発と同じ
Dizzy Miss Lizzy
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス版)
Tell Me What You See
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス版)
Every Little Thing
【モノラル】既発と同じ
【ステレオ】初CD化
『Help!』
Help!
【モノラル】偽モノ(ステレオから変換)・初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
The Night Before
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
You've Got To Hide Your Love Away
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
I Need You
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
Another Girl
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
Ticket To Ride
【モノラル】既発と同じ(シングルボックス)
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
You're Gonna Lose That Girl
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
※インスト曲は省略(いずれも初CD化)
『Rubber Soul』
I've Just Seen A Face
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
Norwegian Wood
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
You Won't See Me
【モノラル】既発と同じ(EPボックス)
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
Think For Yourself
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(キャピトル独自のミックス?)
The Word
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(キャピトル独自のミックス)
Michelle
【モノラル】既発と同じ(EPボックス)
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
It's Only Love
【モノラル】既発と同じ(EPボックス)
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
Girl
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
I'm Looking Through You
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(イントロ失敗版)
In My Life
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
Wait
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
Run For Your Life
【モノラル】初CD化
【ステレオ】初CD化(現行CDの方がリミックス)
投稿:by 暇人#9 12:38 午前 [The Beatles] | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック
2006.04.04
玉置浩二 『PRESENT』
──買った。
一通り聴いてみた。もうね、言わせてほしいのよ、逆説的に。
玉置浩二はバカだ。
もう、バカバカバカッ。
──こんなに待たせやがってッ。
私個人としては、玉置浩二作品は 『Junk Land』 が頂点だと思ってきた。それ以後も、出してくる楽曲のクオリティは高い水準をキープしていたのだが、いかんせんアルバム全体の構成で躓いていたりした(『安全地帯 IX』 などは楽曲としては最高水準なのに曲の絞り込みと並べ方で大失敗を犯して台無しに)。逆に、『スペード』や『安全地帯X』のようにアルバムとしての体裁はかなり整っていても、いかんせん楽曲が最高水準と言えないものもあった(まぁ『X』の方は かなり評価してるけどね)。だから新しいアルバムが出るたびに、あーでもない、こーでもない、と期待に期待を重ねてきて来たのが私なのである。
| PRESENT | |
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で、今回の 『PRESENT』。
待ちに待って ようやく出てきた“傑作”。少なくとも、初聴時に不満は感じなかった(これまで私の文章を読んでくださっていた方ならお判りかと思うが、極めて珍しい)。
全体を通して見ると、玉置浩二バンドのファーストアルバムって感じの内容だ。ベース以外は固定されたメンバーでの演奏となっている(最終曲を除く。これについては後述する)。バンドでの演奏だから、これまで一人多重録音だった玉置ソロとは決定的に音が違う。グルーヴが違う。うねるうねる(注:一発録りか重ね録りかは知らない。そういう話ではなくて、それぞれの担当でアイディアを出し合い従来の玉置ソロとは違うグルーヴを生み出しているという意味。従来のも結構気持ちいいリズムを生み出していたのだけど、バンド的な瞬発力や多様性には欠けていた)。去年のライヴが気に入った人なら、このアルバムではその音だけでも満足できるんじゃないだろうか。ライヴ盤では残念ながらライヴ本番での音が再現されていなかったけど(どうもギターとパーカッションを削っていたっぽい。誤解のないように言っておくと、私が当該ライヴ盤CDに不満を持っているのはその一点だけだ。ライヴフル収録だし、選曲自体は文句の付けようがないと思っている)、ここで雪辱が晴らされた気分だ。
作詞を見ると更に驚いた。殆どの曲で松井五郎が書いている(なお1曲は玉置・安藤・松井の共作、1曲は MISIA の作詞。もう1曲については後述)。前作『今日というこの日を生きていこう』では玉置浩二と半々だったので今回もそうかと思ってたのだが‥‥ひょっとしてドラマでスケジュールが詰まったせいかしらん? もっとも最終曲は玉置浩二・安藤さと子による作詞。これはアルバム全体も捧げているドーキュウ(今は亡き飼い猫)への哀悼歌なのだろう、演奏も二人だけによるものである。どうしても二人だけで作らねばならなかった曲ということか。
この最後の曲「やせっぽちの星」に着目すると、アルバム全体としては 12 +1曲という見方ができなくもない。そしてこの最終曲が絶品なのである。泣いたよ(あ、これ俺自身が可愛がってた猫を亡くしたからかも知れん)。詞で一度泣いて、玉置浩二の声でまた泣いた。気分的には、それまでの 12曲 はこの最終曲のための前奏だ(もちろんアルバム全体が“愛おしい想い”に包まれている。そうした一貫性がある)。
今回はシングルで発売された曲が多いから、その分 とっつきやすいという一面はある(聴きまくってたからなぁ →俺)。ただそれは置いても、曲の並びはかなりイケる感じである。丁寧に配置された印象だ(そのうちそれについても論じてみたいところ)。
曲についてはもう少し聴き込んでから判断したいとは思う。でも、バンドサウンドとしての音にノックアウトされてるところだったりする。結構アマい点になっちまうなぁ。
ここのところ玉置浩二ネタはやってなかったので、書くべき事が溜まりに溜まっている。そこで、今回はちょいとヒネくれて先行して出されていたシングルについて書こうと思う。それも、最近のやつから遡るという方向で。
| Lion | |
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【Lion / 夜想】
「Lion」 は、なんだかアニメの主題歌らしいが それはどうでもいい(そもそもあのアニメのつまらなさと言ったら‥‥ちなみに私は北条司の原作の方は好きである)。結構前向きな雰囲気の曲で、アルバムのオープニングに使えそうに思った(結局は6曲目に配置されている)。逆に言えば、あまり華が無いという印象だったりしたのだけど。
「夜想」 は、なんだかな〜って感じの曲。これも華が無い──というか、メロディに魅力すら無い。「愛してんじゃない」と「ほゝえみ」を足して 10 で割って、ブレイクに「明星」を流用した感じ(こりゃさすがに言い過ぎか)。その割に玉置浩二のヴォーカルに力が入ってるし(最近の録音では珍しい。「あの頃へ(新録)」「しあわせのランプ(新録)」「名前のない空を見上げて」の“がっかり三部作”を参照のこと)、バックのストリングスも無駄に豪華。力業で“感動”させようとしてるのか何なのか。こういうところに金と力を使うのならねぇ、「名前のない空を見上げて」の時に力入れなさいっての。はっきり言って「夜想」はシンプルなアレンジでこそ映えると思しきシブい曲だろう。こんなのがアルバムの終盤に来たら悪夢だな〜と思ってたら、8曲目。なかなか自分の個性を知った場所に落ち着いた感じである。
| プレゼント | |
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【プレゼント / おいでよ 僕の国へ】
「プレゼント」は、あのつまらないドラマに出演したことで得られた唯一と言ってもいい成果(あとこの曲がそこそこ売れたってのも「成果」か。出版権は日テレに持ってかれてるがね)。件のドラマがどれだけつまらないかってのは言い出せばキリが無いので敢えて繰り返さないけど、ホントこの曲の存在は「はきだめに鶴」って感じだ。アルバムタイトルにもなってることだし、これはアルバムのクライマックスを飾るだろう(またそれに相応しい)と思いきや、 10曲目 という微妙な位置。
「おいでよ 僕の国へ」は、ネコの目から見た人間へのメッセージみたいな感じ。新作がドーキュウへ捧げるアルバムだってのは かなり前から明らかにされていたし、作詞の松井五郎もそれを意識してるのかなって思ってた。だから、実際のアルバムでラス前に配置されているのはかなり納得。というか、ここ以外にあり得ない。
| いつもどこかで | |
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【いつもどこかで / 発散だー!!】
「いつもどこかで」は単発ドラマのエンディングに使われていた曲。ところがシングルで聴くとビミョーな感じなのだ。繰り返しばかりでね、だんだん盛り上げていく意図が目に見えるという。たとえて言うならメリハリのない「悲しみにさよなら」。だから、この曲の本当の魅力を感じたいなら、当該ドラマのエンディングで聴くべし(曲を編集されてるが)。あらかじめ使われ方を知って作られたかのような(事実関係は知らないけど)ドンピシャの盛り上がり方である。ドラマの余韻を感じさせるという意味では、その仕事を見事に果たしている曲という評価はできる。なお当該ドラマの本編の方は見なくてもよろしい(もっとマシな役者使えっての!)。
「発散だー!!」 は、一連のシングルの中で最も大きな成果である。この曲は名曲である(ちょっと意味が違うか?)。松井詞もスパイスが効いてるし、何よりもノリノリの玉置ヴォーカルが聴ける。バックを固めるバンドの演奏も最高。ニューアルバムに収録されたのは当然だと思うし、またそこでも強烈な個性を放っている。
ちなみに、玉置浩二通の方であれば 「発散だー!!」 のインストヴァージョンも楽しんで戴きたい。バンドサウンドが直に楽しめるし、僅かに入ってる玉置浩二の“合いの手”がどれだけ音楽的に貢献してるかが判る。というか、これだけでも充分に音楽してるのである(歌なんてオマケですよ──なんて言ったら熱烈なファンに怒られるかな)。ちなみに私はインストヴァージョンの方が歌入りヴァージョンより多く聴いてたりする。リズムセクションの音に浸るだけでも幸せになれるよ。












