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2006.12.01
著作権法改定案(追記あり)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16505012.htm
「著作権法の一部を改正する法律案」
(著作権)
今日、衆議院の文部科学委員会を通過した著作権法改定案。あとは衆議院本会議(これはあっさり通過するだろう)を経て参議院で審議されることとなる。
まぁ今さらという気もするのだが、これからのこともあるので この法案を理解する助けにと、内容を見ていきたい。
いや、別に特別なことをするわけではないのだ。単に法案を適用する前後でどのように条文が変わるのかを試してみるだけ。現行著作権法の条文は「法令データ提供システム」のものを使用している。
なお本改定において想定されている削除部分は打ち消し線で、変更ないし追加される部分には下線を引いて目印としている。読みづらいと思うが、しばらく我慢してください。できれば変更点を簡単に示す文章も添えたい(ただし作業が全部終わってから)。
この法案によって改められる(予定の)条文は多岐に渡る。ただ読んだだけでは理解しづらいので、私のような素人には以下に掲載するような面倒な作業が必要なのである。すなわち、実際の条文がどのように変化するのかを自分の目で確かめるということだ。要は私が自習のために用意したものをブログに掲載しているに過ぎない。
なお私は(言わずもがなと思うが)法律に関しては全くの素人である。ところどころに私の感想ないし解釈が書かれると思うが、それが妥当か否かは全く判らない。単純に文章を読んだら“そう読める”程度のものでしかない。そのあたり、お気を付けいただければ幸い。妥当な解釈については文化庁や学者に問い合わせるなり、弁護士に相談するなりしてほしい。
■概観
本法案は第一条と第二条、そして附則からなる。まずは施行日を決めた附則から見ることにしよう。実はここに本法案の構成を知る手掛かりがある。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十九年七月一日から施行する。ただし、第一条及び附則第四条の規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
つまるところ、法案での第一条と第二条は施行日が違う。第一条は急ぎ施行しなければならないIPマルチキャスト関連の法改定を定め、第二条はその他の項目を定めるのが基本的な構成となっている(話はそう単純でもなく、他の条文が改定される関係から、第一条による条文が更に第二条で改定されるなんて有様だったりする)。
なお本法案の附則については、最初が施行日、次が施行前の著作物の扱いというところは よくある形式だ。そして今回はその後に細かい変更が為されている。これまでの改定法による附則の文言を調整するものが殆どだが。
では、実際の改定内容を見ていくとする。
■法案第一条から──
【現行】
(著作隣接権の制限)
第百二条 第三十条第一項、第三十一条、第三十二条、第三十五条、第三十六条、第三十七条第三項、第三十八条第二項及び第四項、第四十一条から第四十二条の二まで並びに第四十四条(第二項を除く。)の規定は、著作隣接権の目的となつている実演、レコード、放送又は有線放送の利用について準用し、第三十条第二項及び第四十七条の三の規定は、著作隣接権の目的となつている実演又はレコードの利用について準用し、第四十四条第二項の規定は、著作隣接権の目的となつている実演、レコード又は有線放送の利用について準用する。この場合において、同条第一項中「第二十三条第一項」とあるのは「第九十二条第一項、第九十九条第一項又は第百条の三」と、第四十四条第二項中「第二十三条第一項」とあるのは「第九十二条第一項又は第百条の三」と読み替えるものとする。
2 前項において準用する第三十二条、第三十七条第三項又は第四十二条の規定により実演若しくはレコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像(以下「実演等」と総称する。)を複製する場合において、その出所を明示する慣行があるときは、これらの複製の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、その出所を明示しなければならない。
3 第三十九条第一項又は第四十条第一項若しくは第二項の規定により著作物を放送し、又は有線放送することができる場合には、その著作物の放送又は有線放送を受信してこれを有線放送し、又は影像を拡大する特別の装置を用いて公に伝達することができる。
4 次に掲げる者は、第九十一条第一項、第九十六条、第九十八条又は第百条の二の録音、録画又は複製を行つたものとみなす。
一 第一項において準用する第三十条第一項、第三十一条第一号、第三十五条第一項、第三十七条第三項、第四十一条から第四十二条の二まで又は第四十四条第一項若しくは第二項に定める目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて作成された実演等の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該実演、当該レコードに係る音若しくは当該放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を公衆に提示した者
二 第一項において準用する第四十四条第三項の規定に違反して同項の録音物又は録画物を保存した放送事業者又は有線放送事業者
(実演家人格権との関係)
第百二条の二 前条の著作隣接権の制限に関する規定(同条第三項の規定を除く。)は、実演家人格権に影響を及ぼすものと解釈してはならない。
【改定案】
(著作隣接権の制限)
第百二条 第三十条第一項、第三十一条、第三十二条、第三十五条、第三十六条、第三十七条第三項、第三十八条第二項及び第四項、第四十一条から第四十二条の二まで並びに第四十四条(第二項を除く。)の規定は、著作隣接権の目的となつている実演、レコード、放送又は有線放送の利用について準用し、第三十条第二項及び第四十七条の三の規定は、著作隣接権の目的となつている実演又はレコードの利用について準用し、第四十四条第二項の規定は、著作隣接権の目的となつている実演、レコード又は有線放送の利用について準用する。この場合において、同条第一項中「第二十三条第一項」とあるのは「第九十二条第一項、第九十九条第一項又は第百条の三」と、第四十四条第二項中「第二十三条第一項」とあるのは「第九十二条第一項又は第百条の三」と読み替えるものとする。
2 前項において準用する第三十二条、第三十七条第三項又は第四十二条の規定により実演若しくはレコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像(以下「実演等」と総称する。)を複製する場合において、その出所を明示する慣行があるときは、これらの複製の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、その出所を明示しなければならない。
3 著作隣接権の目的となつている実演であつて放送されるものは、専ら当該放送に係る放送対象地域(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条の二第二項第二号に規定する放送対象地域をいい、これが定められていない放送にあつては、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第十四条第三項第三号に規定する放送区域をいう。)において受信されることを目的として送信可能化(公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものに限る。)を行うことができる。ただし、当該放送に係る第九十九条の二に規定する権利を有する者の権利を害することとなる場合は、この限りでない。
4 前項の規定により実演の送信可能化を行う者は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、実演の提示につき受ける対価をいう。)を受けない場合を除き、当該実演に係る第九十二条の二第一項に規定する権利を有する者に相当な額の補償金を支払わなければならない。
5 前二項の規定は、著作隣接権の目的となつているレコードの利用について準用する。この場合において、前項中「第九十二条の二第一項」とあるのは、「第九十六条の二」と読み替えるものとする。
6 第三十九条第一項又は第四十条第一項若しくは第二項の規定により著作物を放送し、又は有線放送することができる場合には、その著作物の放送又は有線放送を受信してこれを有線放送し、又は影像を拡大する特別の装置を用いて公に伝達することができる。
7 次に掲げる者は、第九十一条第一項、第九十六条、第九十八条又は第百条の二の録音、録画又は複製を行つたものとみなす。
一 第一項において準用する第三十条第一項、第三十一条第一号、第三十五条第一項、第三十七条第三項、第四十一条から第四十二条の二まで又は第四十四条第一項若しくは第二項に定める目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて作成された実演等の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該実演、当該レコードに係る音若しくは当該放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を公衆に提示した者
二 第一項において準用する第四十四条第三項の規定に違反して同項の録音物又は録画物を保存した放送事業者又は有線放送事業者
(実演家人格権との関係)
第百二条の二 前条の著作隣接権の制限に関する規定(同条第五項及び第六項の規定を除く。)は、実演家人格権に影響を及ぼすものと解釈してはならない。
▲現行法第 102 条は、著作権の各種制限規定を著作隣接権にも「準用」することを定めたもの。これに第3項から第5項を追加、従来の第3項・第4項をその後に繰り下げとなっている。
新しい第3項で、「放送される」実演が送信可能化できることとなった。なおそれには条件があり、「専ら当該放送に係る対象地域(中略)において受信されることを目的として」いること、そして「当該放送に係る第九十九条の二に規定する権利を有する者の権利を害することとな」らないことである(第九十九条の二とは、放送事業者の送信可能化権を定めた条項)。
新しい第4項では、送信可能化した事業者は(当該放送実演の送信可能化権を持つ)実演家に対し補償金を支払う旨が定められている。ただし(放送される番組の送信可能化が)非営利・無償の場合は除外されている。
新しい第5項では、先の実演についての権利制限がレコードの利用についても準用される旨が規定されている。ここでも(当該放送レコードの送信可能化権を持つ)レコード製作者に対して、送信可能化した事業者が補償金を支払うこととされる。
この著作隣接権の制限規定が対象とする実演・レコードはかなり範囲が狭い。
・放送されるものに限る
・当該放送の対象地域に限る
・放送事業者の許諾が必要
なお「放送」については、著作権法第二条1項八号で「公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう」と定義されている。また、「当該放送に係る対象地域」については「放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条の二第二号に規定する放送地域をいい、これが定められない放送にあつては、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第十四条第三項第三号に規定する放送地域をいう」とされている。
【放送法】
(放送普及基本計画)
第二条の二 総務大臣は、放送(委託して放送をさせることを含む。次項第一号、第七条、第九条第一項第三号、第二項第五号及び第六号並びに第六項、第三十四条第一項、第五十二条の十三第一項第四号、第五十三条第一項並びに第五十三条の十二第一項において同じ。)の計画的な普及及び健全な発達を図るため、放送普及基本計画を定め、これに基づき必要な措置を講ずるものとする。
2 放送普及基本計画には、放送局の置局(受託国内放送及び受託内外放送にあつてはこれらの放送を行う放送局の置局及び委託放送業務とし、受託協会国際放送(電波法 の規定による免許を受ける無線局により行われるものに限る。以下この項において同じ。)にあつては受託協会国際放送を行う放送局の置局及び委託協会国際放送業務とする。)に関し、次の事項を定めるものとする。
一 放送を国民に最大限に普及させるための指針、放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に対し確保することにより、放送による表現の自由ができるだけ多くの者によつて享有されるようにするための指針その他放送の計画的な普及及び健全な発達を図るための基本的事項
二 協会の放送(協会の委託により行われる受託国内放送を含む。第三十二条第一項本文において同じ。)、学園の放送又は一般放送事業者の放送(協会の委託により行う受託国内放送を除く。)の区分、国内放送、受託国内放送、国際放送、中継国際放送、受託協会国際放送又は受託内外放送の区分、中波放送、超短波放送、テレビジョン放送その他の放送の種類による区分その他の総務省令で定める放送の区分ごとの同一の放送番組の放送を同時に受信できることが相当と認められる一定の区域(以下「放送対象地域」という。)
三 放送対象地域ごとの放送系(同一の放送番組の放送を同時に行うことのできる放送局の総体をいう。以下この号において同じ。)の数(受託放送に係る放送対象地域にあつては、放送系により放送することのできる放送番組の数)の目標
【電波法】
(免許状)
第十四条 総務大臣は、免許を与えたときは、免許状を交付する。
2 免許状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 免許の年月日及び免許の番号
二 免許人(無線局の免許を受けた者をいう。以下同じ。)の氏名又は名称及び住所
三 無線局の種別
四 無線局の目的
五 通信の相手方及び通信事項
六 無線設備の設置場所
七 免許の有効期間
八 識別信号
九 電波の型式及び周波数
十 空中線電力
十一 運用許容時間
3 放送をする無線局の免許状には、前項の規定にかかわらず、左に掲げる事項を記載しなければならない。
一 前項第一号から第四号まで及び第六号から第十一号までに掲げる事項
二 放送事項
三 放送区域
※ それぞれ、当該部に下線。
以上の限定によって、再送信の元ネタとされる「放送」の範囲がかなり狭まっているように思われる(現在放送事業者として総務省の管轄下にある者だけということになるよね)。
もっとも再送信する事業者については、「IPマルチキャスト放送を行う事業者のみならず、個々のユーザーの要求に応じて配信するストリーミングで映像コンテンツを流す者も、地域を限定すればこの特権の対象となり得る」「IPマルチキャスト放送に与えられる権利処理の特権の対象が、地上デジタル放送に限定されていない」との指摘がある。
ただ実際問題として、IPマルチキャスト以外の自動公衆送信(ぶっちゃけた話 インターネットでの配信)を「地域限定」で行なうことなど可能だろうか? いや逆に、全国規模で放送しているもの(BSとかCSとか)を再送信した方が実現可能性は高いかもしれない(こちらが後者の指摘の方)。だが、いずれにせよ元の放送にかかる放送事業者の送信可能化権をクリアしなければならないわけで、必ずしも再送信が簡単なわけではない。
私がどちらかというと気になるのは、再送信について「同時」ということがはっきりしていないことにある。実際の放送よりも早いことは放送事業者が許さないだろうから まず無いとして、実際の放送よりも少し間をおいて再送信なんてことはあり得るのではないか? もしそれが可能なら面白いことになりそうだが‥‥。
※ただ多少屁理屈をこねれば、「著作隣接権の目的となつている実演であつて放送されるものは」とされている点が引っかかる。「放送されたものは」ではない。これで同時再送信しか出来ないという趣旨だったりしてね。
──まぁ、もっと条文を判りやすく書き直せという批判はあり得るところだろう。
あと余談。レコードの配信に関して権利者団体から危惧されていたケースは上の法案でどうなるだろうか? ちょっとだけ電波を飛ばして、それを自動公衆送信するというやつ。
たぶん先に引用した放送法・電波法云々の要件で蹴られることになるだろう。そういう自動公衆送信をする人間が自ら放送事業者となっていることはあり得ないし、他の放送事業者のものを自動公衆送信したら許諾がない限り権利侵害となる。大丈夫じゃね?
※ひょっとすると、既存放送事業者がラジオやテレビをネット配信するのはやりやすくなるのかも知れないねぇ(IPマルチキャストでの地上デジタル放送同時再送信だけという法案説明とは若干食い違うがね)。
■法案第二条から──
ここからは 2007年7月1日 に施行される(予定)の項目である。これがかなりの数にのぼる。
【現行】当該号のみ
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(有線電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
【改定案】当該号のみ
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(有線電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。
▲第二条は、著作権法での用語を定義する規定が並ぶ。そのうち改定されるのは「公衆送信」について。
これまでは「一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる」有線電気通信設備、つまり有線 LAN だけが「公衆送信」から外されていたのだが、今回「有線電気通信設備」から「有線」が削除されて無線 LAN も公衆送信に当たらないものとされる。
余談だが、権利者の中に iTunes の「共有」機能に文句をつける向きも見られるところ、この「共有」機能は同一家庭内の LAN に限定されているものであって、法的に全く問題が無いわけだ。そして今回無線 LAN でもOKということとなったわけで、 AirMac や Rendezvous を使った無線「共有」も晴れて合法のお墨付きをもらったということになる(いや「公衆」相手でないからそもそも「公衆送信」には当たらなかったけれども)。
【現行】
(映画の著作物の著作権の帰属)
第二十九条 映画の著作物(第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。
2 もつぱら放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物(第十五条第一項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての当該放送事業者に帰属する。
一 その著作物を放送する権利及び放送されるその著作物を有線放送し、又は受信装置を用いて公に伝達する権利
二 その著作物を複製し、又はその複製物により放送事業者に頒布する権利
【改定案】
(映画の著作物の著作権の帰属)
第二十九条 映画の著作物(第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。
2 専ら放送事業者が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物(第十五条第一項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権のうち次に掲げる権利は、映画製作者としての当該放送事業者に帰属する。
一 その著作物を放送する権利及び放送されるその著作物について、有線放送し、自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行い、又は受信装置を用いて公に伝達する権利
二 その著作物を複製し、又はその複製物により放送事業者に頒布する権利
▲第二十九条は、「映画の著作物の著作権の帰属」と題がつけられていた(今回削除のはこび)。ここで放送事業者が製作した映画著作物についての変更が為される。「もっぱら」を「専ら」と変更しているのは、用字を揃えるという意図だろうか。
ここでの改定で不思議なのは、映画著作物の著作権者たる放送事業者に対して自動公衆送信権が追加される形になっていること。どうしてこれを今になって追加したのだろう。放送事業者には既に著作隣接権者としての自動公衆送信権が付与されているのは勿論、映画著作物の著作権者としても自動公衆送信権が当然に付与されているものと私は思っていたのだけど‥‥実際は違ったのだろうか? あるいは確認だけの規定なのだろうか?
ここについては誰かエライ人に尋ねてみないと(私のような素人には)わからない。
そこで聞いてみた。じゃない、本を調べた。田村善之・著『著作権法概説[第2版]』 392 ページ。
放送事業者への原始的帰属
29条1項により映画製作者に帰属するのは著作権であるが、29条2項はもっぱら放送事業者(2条1項9号に定義)が放送のための技術的手段として製作する映画の著作物に関してその例外を設けており、放送事業者に帰属するのは、著作権全部ではなく、放送、放送される場合の同時有線放送や受信装置を用いた公への再伝達、複製、放送事業者への頒布の禁止権に限られると定めている。当事者がこれを超える権利を移転する旨の契約を締結することは構わないが、そのような特約がない限り、上映権や翻案権、二次的著作物の利用権は、著作者に保留される。
なるほど。 29 条1項をよく読んでみると、確かに「第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く」ともある。放送事業者が映画著作物の製作者として(自動的に)持てる権利は限定されていたのか。「映画著作物の著作権者としても自動公衆送信権が当然に付与されているものと私は思っていた」なんて、だめじゃん →俺。
ここに新たに公衆送信権が追加されたのは、こんな理由なのかもしれない。従来 実演家とレコード製作者にあった許諾権を報酬請求権に「切り下げ」たことで、放送事業者がその許諾を代行するような形になってしまっている以上、権利を付与しておかないと辻褄が合わない、と(ちなみに従来の、放送を再送信する有線放送については実演家・レコード製作者に報酬請求権すら認められていなかった。これは有線放送権を放送事業者に付与しており、ここで許諾の判断が為されるからという理屈も一般的に為されている)。
ここで権利付与を(隠れて)やるというのが妥当か否かは、あえてここでは問わない。
※これまでは専ら放送のために制作された映画著作物は、公衆送信権については原著作者に帰属していたところ、これからは製作者たる放送事業者に帰属するようになるわけだ。こういう権利帰属の変更は後々混乱を招く可能性があるし、また本来無かった権利を放送事業者に与えるという点で言えば、こんな“どさくさ紛れ”で改定して良いものなのかという疑問は当然ある。
【現行】
(学校教育番組の放送等)
第三十四条 公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠した学校向けの放送番組又は有線放送番組において放送し、又は有線放送し、及び当該放送番組用又は有線放送番組用の教材に掲載することができる。
【改定案】
(学校教育番組の放送等)
第三十四条 公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠した学校向けの放送番組又は有線放送番組において放送し、若しくは有線放送し、又は当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条の二第二項第二号に規定する放送対象地域をいい、これが定められていない放送にあつては、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第十四条第三項第三号に規定する放送区域をいう。以下同じ。)において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行い、及び当該放送番組用又は有線放送番組用の教材に掲載することができる。
▲第三十四条。「学校教育番組の放送等」にかかる権利制限を定めたもの。
ここに長ったらしく、放送番組の再送信(一定の要件下の自動公衆送信)をも含むという規定が追加された。
ところでこの文面、見覚えが無いだろうか?
実は法案第一条にあった著作権法第百二条で追加される文面である。そして後述するが、法案第二条において著作権法第百二条のこの文面は削除される。
これは法案第一条・第二条の施行をずらしているための調整であろうかと思われる。法案第二条が施行するまでの間は第百二条で「放送対象地域」なる文言を定義し、法案第二条の施行とともに第三十四条を参照させる形ということになるのだろう。
つまり第百二条で大幅に文言が削られるものの、その趣旨(「放送対象地域」による限定)は維持されるということ。ざっと読んだときにはアレと思わされる改定手法ではあるが、四次元的に見れば まぁ筋は通っている。
【現行】
(点字による複製等)
第三十七条 公表された著作物は、点字により複製することができる。
2 公表された著作物については、電子計算機を用いて点字を処理する方式により、記録媒体に記録し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。)を行うことができる。
3 点字図書館その他の視覚障害者の福祉の増進を目的とする施設で政令で定めるものにおいては、専ら視覚障害者向けの貸出しの用に供するために、公表された著作物を録音することができる。
【改定案】
(点字による複製等)
第三十七条 公表された著作物は、点字により複製することができる。
2 公表された著作物については、電子計算機を用いて点字を処理する方式により、記録媒体に記録し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。)を行うことができる。
3 点字図書館その他の視覚障害者の福祉の増進を目的とする施設で政令で定めるものにおいては、公表された著作物について、専ら視覚障害者向けの貸出しの用若しくは自動公衆送信(送信可能化を含む。以下この項において同じ。)の用に供するために、録音し、又は専ら視覚障害者の用に供するために、その録音物を用いて自動公衆送信を行うことができる。
▲第三十七条。視覚障碍者のために設けられた権利制限規定。第一項と第二項で点字図書を、第三項で録音図書(こちらは法令に定められた施設のみが許される)を作ることが許される。
そのうち、録音図書について自動公衆送信も可能とする規定が追加される。ただし聴覚障碍者が利用するときに限られ、健常者が当該録音図書を使うことは許されていない(これは審議会での検討時に念を押されていた)。
【現行】当該条のみ
(聴覚障害者のための自動公衆送信)
第三十七条の二 聴覚障害者の福祉の増進を目的とする事業を行う者で政令で定めるものは、放送され、又は有線放送される著作物について、専ら聴覚障害者の用に供するために、当該著作物に係る音声を文字にしてする自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。
【改定案】当該条のみ
(聴覚障害者のための自動公衆送信)
第三十七条の二 聴覚障害者の福祉の増進を目的とする事業を行う者で政令で定めるものは、放送され、又は有線放送される著作物(放送される著作物が自動公衆送信される場合の当該著作物を含む。以下この条において同じ。)について、専ら聴覚障害者の用に供するために、当該放送され、又は有線放送される著作物に係る音声を文字にしてする自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。
▲第三十七条の二。聴覚障碍者のために設けられた権利制限規定。もともと放送あるいは有線放送された著作物について「音声を文字にしてする自動公衆送信」が許されていた(ただし聴覚障碍者のみの利用)が、この対象に自動公衆送信される放送番組も追加されることとなった。
放送を補完する目的で「有線放送」とみなすことにしたIPマルチキャスト(放送の同時再送信)であるから、この追加は「有線放送」に関する規定として当然の変更かと思われる。
【現行】当該項のみ
(営利を目的としない上演等)
第三十八条
2 放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、有線放送することができる。
3 放送され、又は有線放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする。
【改定案】当該項のみ
(営利を目的としない上演等)
第三十八条
2 放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、有線放送し、又は専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。
3 放送され、又は有線放送される著作物(放送される著作物が自動公衆送信される場合の当該著作物を含む。)は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする。
▲第三十八条。「営利を目的としない上演等」と題される条項。
放送・有線放送でかかる著作物を非営利・無償で「公に伝達」することを許可したもので、この権利制限の範囲に「専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(中略)を行なう」ことも追加された。
IPマルチキャスト関連の法改定については、地上デジタル放送の再送信であるとか、実演家・レコード製作者の著作隣接権「切り下げ」であるとか、そういう面ばかりがクローズアップされていた。しかしこの改定の本質はIPマルチキャスト(これに限定した法案であるかは別論として)を「有線放送」とみなすことにある訳で、有線放送に絡んだ項目にもIPマルチキャストに対応した変更が当然加えられるということなのだろう。
この後も同種の変更が続く。
【現行】
(時事問題に関する論説の転載等)
第三十九条 新聞紙又は雑誌に掲載して発行された政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する論説(学術的な性質を有するものを除く。)は、他の新聞紙若しくは雑誌に転載し、又は放送し、若しくは有線放送することができる。ただし、これらの利用を禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
2 前項の規定により放送され、又は有線放送される論説は、受信装置を用いて公に伝達することができる。
【改定案】
(時事問題に関する論説の転載等)
第三十九条 新聞紙又は雑誌に掲載して発行された政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する論説(学術的な性質を有するものを除く。)は、他の新聞紙若しくは雑誌に転載し、又は放送し、若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。ただし、これらの利用を禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。
2 前項の規定により放送され、若しくは有線放送され、又は自動公衆送信される論説は、受信装置を用いて公に伝達することができる。
▲第三十九条。「時事問題に関する論説の転載等」と題される権利制限規定。
有線放送の扱いに「自動公衆送信」も加えた形なのは上記の例と同様。
【現行】
(政治上の演説等の利用)
第四十条 公開して行なわれた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の行なう審判その他裁判に準ずる手続を含む。第四十二条において同じ。)における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
2 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人において行われた公開の演説又は陳述は、前項の規定によるものを除き、報道の目的上正当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、若しくは有線放送することができる。
3 前項の規定により放送され、又は有線放送される演説又は陳述は、受信装置を用いて公に伝達することができる。
【改定案】
(政治上の演説等の利用)
第四十条 公開して行われた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の行う審判その他裁判に準ずる手続を含む。第四十二条第一項において同じ。)における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
2 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人において行われた公開の演説又は陳述は、前項の規定によるものを除き、報道の目的上正当と認められる場合には、新聞紙若しくは雑誌に掲載し、又は放送し、若しくは有線放送し、若しくは当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。
3 前項の規定により放送され、若しくは有線放送され、又は自動公衆送信される演説又は陳述は、受信装置を用いて公に伝達することができる。
▲第四十条。「政治上の演説等の利用」と題される権利制限規定。
始めの方の「行なう」の後の修正は まぁ些末的なもの。本題は「第四十二条」の扱い。後述するが、第四十二条には第二項を追加することとなっており、これに伴って旧来の「第四十二条」と対応する「第四十二条第一項」に修正したという形。
また、第四十条第二項の変更は前期同様、有線放送にかかわる部分に自動公衆送信を追加したもの。
【現行】
(裁判手続等における複製)
第四十二条 著作物は、裁判手続のために必要と認められる場合及び立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
【改定案】
(裁判手続等における複製)
第四十二条 著作物は、裁判手続のために必要と認められる場合及び立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2 次に掲げる手続のために必要と認められる場合についても、前項と同様とする。
一 行政庁の行う特許、意匠若しくは商標に関する審査、実用新案に関する技術的な評価又は国際出願(特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律(昭和五十三年法律第三十号)第二条に規定する国際出願をいう。)に関する国際調査若しくは国際予備審査に関する手続
二 行政庁若しくは独立行政法人の行う薬事(医療機器(薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第四項に規定する医療機器をいう。)に関する事項を含む。以下この号において同じ。)に関する審査若しくは調査又は行政庁若しくは独立行政法人に対する薬事に関する報告に関する手続
▲第四十二条。「裁判手続等における複製」と題された権利制限規定で、本法案の目玉のひとつ。
従来の裁判手続での複製については第一項とし(文言はいじっていない)、更に行政手続での複製について第二項を設けた。これがまるまる追加部分。
特許・意匠・商標・実用新案・国際出願について、著作物の複製を認めた(これまでも「裁判手続」の延長として容認されてきたものが、ここで改めて明記されることとなった)。これについては「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」の限定があるものの、(審議会で検討される理由とされた)瑕疵ある特許出願に対抗する情報提供も出来るようになったのではないか。情報提供者が一般人の第三者である場合、複製権との絡みが心配されていたわけだ。
薬事については号を改めて規定されている。「利益を不当に」云々の限定はもちろんあり、さらにこちらは「行政庁若しくは独立行政法人に対する薬事に関する報告」に限定されている。どうやら、製薬会社から病院・研究者などへの情報提供に伴う複製は認められていないようである(素人目には。正しくはどうなんだろう?)。
ちなみに、要望されていた広範な権利制限を実現するにあたっては、禁止権を制限する代わりに報酬請求権として処理するというアイディアもあった筈だが、今回はどうも採用していないようだ。薬事の情報提供に関する権利制限がオミットされたからだろうか。
【現行】
(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)
第四十七条の二 プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。ただし、当該利用に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、この限りでない。
2 前項の複製物の所有者が当該複製物(同項の規定により作成された複製物を含む。)のいずれかについて滅失以外の事由により所有権を有しなくなつた後には、その者は、当該著作権者の別段の意思表示がない限り、その他の複製物を保存してはならない。
(複製権の制限により作成された複製物の譲渡)
第四十七条の三 第三十一条第一号、第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十四条第一項、第三十五条第一項、第三十六条第一項、第三十七条第一項若しくは第二項、第三十九条第一項、第四十条第一項若しくは第二項、第四十一条、第四十二条、第四十二条の二、第四十六条又は第四十七条の規定により複製することができる著作物は、これらの規定の適用を受けて作成された複製物(第三十一条第一号、第三十五条第一項、第三十六条第一項又は第四十二条の規定に係る場合にあつては、映画の著作物の複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を含む。以下この条において同じ。)を除く。)の譲渡により公衆に提供することができる。ただし、第三十一条第一号、第三十三条の二第一項、第三十五条第一項、第四十一条、第四十二条又は第四十二条の二の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物(第三十一条第一号、第三十五条第一項又は第四十二条の規定に係る場合にあつては、映画の著作物の複製物を除く。)を、第三十一条第一号、第三十三条の二第一項、第三十五条第一項、第四十一条、第四十二条又は第四十二条の二に定める目的以外の目的のために公衆に譲渡する場合は、この限りでない。
【改定案】
(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)
第四十七条の二 プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。ただし、当該利用に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、この限りでない。
2 前項の複製物の所有者が当該複製物(同項の規定により作成された複製物を含む。)のいずれかについて滅失以外の事由により所有権を有しなくなつた後には、その者は、当該著作権者の別段の意思表示がない限り、その他の複製物を保存してはならない。
(保守、修理等のための一時的複製)
第四十七条の三 記録媒体内蔵複製機器(複製の機能を有する機器であつて、その複製を機器に内蔵する記録媒体(以下この条において「内蔵記録媒体」という。)に記録して行うものをいう。次項において同じ。)の保守又は修理を行う場合には、その内蔵記録媒体に記録されている著作物は、必要と認められる限度において、当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該保守又は修理の後に、当該内蔵記録媒体に記録することができる。
2 記録媒体内蔵複製機器に製造上の欠陥又は販売に至るまでの過程において生じた故障があるためこれを同種の機器と交換する場合には、その内蔵記録媒体に記録されている著作物は、必要と認められる限度において、当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該同種の機器の内蔵記録媒体に記録することができる。
3 前二項の規定により内蔵記録媒体以外の記録媒体に著作物を記録した者は、これらの規定による保守若しくは修理又は交換の後には、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物を保存してはならない。
(複製権の制限により作成された複製物の譲渡)
第四十七条の四 第三十一条第一号、第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十四条第一項、第三十五条第一項、第三十六条第一項、第三十七条第一項若しくは第二項、第三十九条第一項、第四十条第一項若しくは第二項、第四十一条、第四十二条、第四十二条の二、第四十六条又は第四十七条の規定により複製することができる著作物は、これらの規定の適用を受けて作成された複製物(第三十一条第一号、第三十五条第一項、第三十六条第一項又は第四十二条の規定に係る場合にあつては、映画の著作物の複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を含む。以下この条において同じ。)を除く。)の譲渡により公衆に提供することができる。ただし、第三十一条第一号、第三十三条の二第一項、第三十五条第一項、第四十一条、第四十二条又は第四十二条の二の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物(第三十一条第一号、第三十五条第一項又は第四十二条の規定に係る場合にあつては、映画の著作物の複製物を除く。)を、第三十一条第一号、第三十三条の二第一項、第三十五条第一項、第四十一条、第四十二条又は第四十二条の二に定める目的以外の目的のために公衆に譲渡する場合は、この限りでない。
▲現行著作権法・第四十七条の二の後に第四十七条の三を追加する。これに伴って、従来の第四十七条の三は「第四十七条の四」と改められる(文言に変化はない)。
さて追加される第四十七条の三は、これも本法案の目玉のひとつ「保守・修理等のための一時的複製」の権利制限である。アメリカあたりでは「フェアユース」として認められていそうなものだが、日本の場合はこの複製は認められていなかった(著作物を蓄積している機器の保守・修理をする業者が当該著作物を複製しては「私的複製」に当たらないため)。
そこで要望されていたのがこの規定であり、保守・修理に加え「記録媒体内蔵複製機器に構造上の欠陥又は販売に至るまでの過程において生じた故障があるためこれを同種の機器と交換する場合」にも一時的な複製が許されることとなった。なお当該保守・修理・交換の後には、複製した著作物を保存してはならないとの規定も用意されている。
保守・修理はともかく、交換の方にはかなりの限定が付けられている。要は初期不良の交換時にのみ適用できるということなのだろう。だから買い換え時に「交換」とみなし当該権利制限を適用することは出来ないと思う。
【現行】
(出所の明示)
第四十八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
一 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十七条第一項若しくは第三項、第四十二条又は第四十七条の規定により著作物を複製する場合
二 第三十四条第一項、第三十七条の二、第三十九条第一項又は第四十条第一項若しくは第二項の規定により著作物を利用する場合
三 第三十二条の規定により著作物を複製以外の方法により利用する場合又は第三十五条、第三十六条第一項、第三十八条第一項、第四十一条若しくは第四十六条の規定により著作物を利用する場合において、その出所を明示する慣行があるとき。
【改定案】
(出所の明示)
第四十八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
一 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十七条第一項若しくは第三項、第四十二条又は第四十七条の規定により著作物を複製する場合
二 第三十四条第一項、第三十七条第三項、第三十七条の二、第三十九条第一項又は第四十条第一項若しくは第二項の規定により著作物を利用する場合
三 第三十二条の規定により著作物を複製以外の方法により利用する場合又は第三十五条、第三十六条第一項、第三十八条第一項、第四十一条若しくは第四十六条の規定により著作物を利用する場合において、その出所を明示する慣行があるとき。
▲第四十八条。「出所の明示」と題された規定。引用や裁定を受けた場合など、複製した著作物の出所を明示することを義務付ける趣旨である。
ここの変更は単純。「第三十七条第三項」の位置が、第四十八条第一号から同条第二号に移されたのみ。前者が「著作物を複製する場合」、後者が「著作物を利用する場合」と締めくくられていることから判るように、第三十七条第三項の性質が変わったからその分類も変更されたということである。
なお第三十七条第三項は(前述のとおり)視覚障碍者向けの点字図書・録音図書にかかる規定。従来は複製のみの規定だったところ、今回 自動公衆送信が追加されることで「利用」というくくりになる。しちめんどくさい気もしないでもないが、割と論理的な変更ではある。
【現行】
(複製物の目的外使用等)
第四十九条 次に掲げる者は、第二十一条の複製を行つたものとみなす。
一 第三十条第一項、第三十一条第一号、第三十三条の二第一項、第三十五条第一項、第三十七条第三項、第四十一条から第四十二条の二まで又は第四十四条第一項若しくは第二項に定める目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて作成された著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該著作物を公衆に提示した者
二 第四十四条第三項の規定に違反して同項の録音物又は録画物を保存した放送事業者又は有線放送事業者
三 第四十七条の二第一項の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物(次項第二号の複製物に該当するものを除く。)を頒布し、又は当該複製物によつて当該著作物を公衆に提示した者
四 第四十七条の二第二項の規定に違反して同項の複製物(次項第二号の複製物に該当するものを除く。)を保存した者
【改定案】
(複製物の目的外使用等)
第四十九条 次に掲げる者は、第二十一条の複製を行つたものとみなす。
一 第三十条第一項、第三十一条第一号、第三十三条の二第一項、第三十五条第一項、第三十七条第三項、第四十一条から第四十二条の二まで又は第四十四条第一項若しくは第二項に定める目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて作成された著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該著作物を公衆に提示した者
二 第四十四条第三項の規定に違反して同項の録音物又は録画物を保存した放送事業者又は有線放送事業者
三 第四十七条の二第一項の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物(次項第二号の複製物に該当するものを除く。)若しくは第四十七条の三第一項若しくは第二項の規定の適用を受けて同条第一項若しくは第二項に規定する内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録された著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によつてこれらの著作物を公衆に提示した者
四 第四十七条の二第二項又は第四十七条の三第三項の規定に違反してこれらの規定の複製物(次項第二号の複製物に該当するものを除く。)を保存した者
▲第四十九条。「複製物の目的外使用等」と題される みなし侵害規定。ここに新しい第四十七条の三(保守・修理等にかかる権利制限)についての「目的外使用」を追加規定する。第三号で一時的複製をした著作物の頒布・公衆への提示を禁じる。そして第四号では同著作物を保存する行為を禁じる。このあたりはきちんとしている。
余談だが、この「目的外使用」の規定は、我々にも深く関係する条文である。そう、「私的複製」規定と表裏一体なのである。私的複製の結果 できた複製はあくまでも「家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」でのみ使用が許される。従って、私的複製物を「頒布」したり「公衆に提示」したりすると著作権侵害と見なされる。
意外に思われるかも知れないが、私的複製物を他人にやってしまうだけではなくて、私的複製物を公衆に聞かせることも厳密には著作権侵害だったりするのである(合ってるよな、この解釈?)。
──お気をつけあそばせ。
【現行】
(著作物の放送)
第六十八条 公表された著作物を放送しようとする放送事業者は、その著作権者に対し放送の許諾につき協議を求めたがその協議が成立せず、又はその協議をすることができないときは、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者に支払つて、その著作物を放送することができる。
2 前項の規定により放送される著作物は、有線放送し、又は受信装置を用いて公に伝達することができる。この場合において、当該有線放送又は伝達を行う者は、第三十八条第二項及び第三項の規定の適用がある場合を除き、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
【改定案】
(著作物の放送)
第六十八条 公表された著作物を放送しようとする放送事業者は、その著作権者に対し放送の許諾につき協議を求めたがその協議が成立せず、又はその協議をすることができないときは、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者に支払つて、その著作物を放送することができる。
2 前項の規定により放送される著作物は、有線放送し、専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行い、又は受信装置を用いて公に伝達することができる。この場合において、当該有線放送、自動公衆送信又は伝達を行う者は、第三十八条第二項及び第三項の規定の適用がある場合を除き、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
▲第六十八条。「著作物の放送」と題されているが、要は著作物を放送する際に権利者との協議がうまくいかなくても、文化庁の「裁定」を受ければ放送可能という規定である(ただし補償金の支払いが必要)。
この裁定の結果 放送や有線放送にかけることが出来ると規定されているところ、その可能な利用態様に自動公衆送信(もちろん前記のように範囲の限定がある)が追加される。
【現行】
(出版権の制限)
第八十六条 第三十条第一項、第三十一条、第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十四条第一項、第三十五条第一項、第三十六条第一項、第三十七条第一項、第三十九条第一項、第四十条第一項及び第二項、第四十一条から第四十二条の二まで、第四十六条並びに第四十七条の規定は、出版権の目的となつている著作物の複製について準用する。この場合において、第三十五条第一項及び第四十二条中「著作権者」とあるのは、「出版権者」と読み替えるものとする。
【改定案】
(出版権の制限)
第八十六条 第三十条第一項、第三十一条、第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十四条第一項、第三十五条第一項、第三十六条第一項、第三十七条第一項、第三十九条第一項、第四十条第一項及び第二項、第四十一条から第四十二条の二まで、第四十六条並びに第四十七条の規定は、出版権の目的となつている著作物の複製について準用する。この場合において、第三十五条第一項及び第四十二条第一項中「著作権者」とあるのは、「出版権者」と読み替えるものとする。
▲第八十六条。「出版権の制限」と題されており、著作者に関する権利制限を出版権者にも準用するという規定。
このうち従来は「第四十二条」とされていた部分を「第四十二条第一項」と変更する。第四十二条は(前述のように)裁判等での著作物複製に関する規定であり、第二項と第三項が追加されるもの。
ただここで「第四十二条第一項」だけ準用されているのは、「著作権者」の語が含まれる項がここだけだからという単純な理由である。別に準用の範囲を限定しているのではなく、第二項と第三項は第一項「同様」と解されるのに違いない(つまり出版権者についても権利制限される)。
【現行】
(著作隣接権)
第八十九条 実演家は、第九十条の二第一項及び第九十条の三第一項に規定する権利(以下「実演家人格権」という。)並びに第九十一条第一項、第九十二条第一項、第九十二条の二第一項、第九十五条の二第一項及び第九十五条の三第一項に規定する権利並びに第九十五条第一項に規定する二次使用料及び第九十五条の三第三項に規定する報酬を受ける権利を享有する。
2 レコード製作者は、第九十六条、第九十六条の二、第九十七条の二第一項及び第九十七条の三第一項に規定する権利並びに第九十七条第一項に規定する二次使用料及び第九十七条の三第三項に規定する報酬を受ける権利を享有する。
3 放送事業者は、第九十八条から第百条までに規定する権利を享有する。
4 有線放送事業者は、第百条の二から第百条の五までに規定する権利を享有する。
5 前各項の権利の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
6 第一項から第四項までの権利(実演家人格権並びに第一項及び第二項の二次使用料及び報酬を受ける権利を除く。)は、著作隣接権という。
【改定案】
(著作隣接権)
第八十九条 実演家は、第九十条の二第一項及び第九十条の三第一項に規定する権利(以下「実演家人格権」という。)並びに第九十四条の二及び第九十五条の三第三項に規定する報酬並びに第九十一条第一項、第九十二条第一項、第九十二条の二第一項、第九十五条の二第一項及び第九十五条の三第一項に規定する権利並びに第九十五条第一項に規定する二次使用料及び第九十五条の三第三項に規定する報酬を受ける権利を享有する。
2 レコード製作者は、第九十六条、第九十六条の二、第九十七条の二第一項及び第九十七条の三第一項に規定する権利並びに第九十七条第一項に規定する二次使用料及び第九十七条の三第三項に規定する報酬を受ける権利を享有する。
3 放送事業者は、第九十八条から第百条までに規定する権利を享有する。
4 有線放送事業者は、第百条の二から第百条の五までに規定する権利を享有する。
5 前各項の権利の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
6 第一項から第四項までの権利(実演家人格権並びに第一項及び第二項の報酬及び二次使用料を受ける権利を除く。)は、著作隣接権という。
▲第八十九条。実演家とレコード製作者が与えられる「著作隣接権」を規定したもの。
ここの変更はたいした内容ではない。第八十九条第1項については、参照する条文の登場順を並び替えるだけ。同条第6号も「二次使用料」と「報酬」を並び替える。
【現行】
(放送のための固定物等による放送)
第九十四条 第九十二条第一項に規定する権利を有する者がその実演の放送を許諾したときは、契約に別段の定めがない限り、当該実演は、当該許諾に係る放送のほか、次に掲げる放送において放送することができる。
一 当該許諾を得た放送事業者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物を用いてする放送
二 当該許諾を得た放送事業者からその者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物の提供を受けてする放送
三 当該許諾を得た放送事業者から当該許諾に係る放送番組の供給を受けてする放送(前号の放送を除く。)
2 前項の場合において、同項各号に掲げる放送において実演が放送されたときは、当該各号に規定する放送事業者は、相当な額の報酬を当該実演に係る第九十二条第一項に規定する権利を有する者に支払わなければならない。
【改定案】
(放送のための固定物等による放送)
第九十四条 第九十二条第一項に規定する権利を有する者がその実演の放送を許諾したときは、契約に別段の定めがない限り、当該実演は、当該許諾に係る放送のほか、次に掲げる放送において放送することができる。
一 当該許諾を得た放送事業者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物を用いてする放送
二 当該許諾を得た放送事業者からその者が前条第一項の規定により作成した録音物又は録画物の提供を受けてする放送
三 当該許諾を得た放送事業者から当該許諾に係る放送番組の供給を受けてする放送(前号の放送を除く。)
2 前項の場合において、同項各号に掲げる放送において実演が放送されたときは、当該各号に規定する放送事業者は、相当な額の報酬を当該実演に係る第九十二条第一項に規定する権利を有する者に支払わなければならない。
(放送される実演の有線放送)
第九十四条の二 有線放送事業者は、放送される実演を有線放送した場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、実演の提示につき受ける対価をいう。次条第一項において同じ。)を受けない場合を除く。)には、当該実演(著作隣接権の存続期間内のものに限り、第九十二条第二項第二号に掲げるものを除く。)に係る実演家に相当な額の報酬を支払わなければならない。
▲ここでは第九十四条のあとに「第九十四条の二」が追加される。有線放送(IPマルチキャスト等の、要件を満たす自動公衆送信をも含む)での放送番組再送信においても実演家は報酬請求権を得ることとなる(今までは再送信に一切の権利が認められていなかった)。
なおここでの規定で扱われているのは、実演そのものについてである。
【現行】
(商業用レコードの二次使用)
第九十五条 放送事業者及び有線放送事業者(以下この条及び第九十七条第一項において「放送事業者等」という。)は、第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て実演が録音されている商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(当該放送又は有線放送を受信して放送又は有線放送を行つた場合を除く。)には、当該実演(第七条第一号から第六号までに掲げる実演で著作隣接権の存続期間内のものに限る。次項から第四項までにおいて同じ。)に係る実演家に二次使用料を支払わなければならない。
【改定案】
(商業用レコードの二次使用)
第九十五条 放送事業者及び有線放送事業者(以下この条及び第九十七条第一項において「放送事業者等」という。)は、第九十一条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て実演が録音されている商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けずに、当該放送を受信して同時に有線放送を行つた場合を除く。)には、当該実演(第七条第一号から第六号までに掲げる実演で著作隣接権の存続期間内のものに限る。次項から第四項までにおいて同じ。)に係る実演家に二次使用料を支払わなければならない。
▲第九十四条の二と同様、実演家はレコードの二次使用についても、有線放送(限定された自動公衆送信も含まれるのは先と同じ)での放送番組再送信から報酬を得られるようになる(これが第九十五条の趣旨)。ただし実演の放送とレコード二次使用とでは規定ぶりが若干違うため、報酬請求権の対象外(除外規定)を調整することで実現している。
ちなみに非営利・無償かつ「同時」の再送信は報酬請求権の対象外のままである。ここで「同時」の要件が追加されているのが気になるが、この違いについては そのうち時間があれば考えてみたい。
※教えて、エライ人。
【現行】
(商業用レコードの二次使用)
第九十七条 放送事業者等は、商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(当該放送又は有線放送を受信して放送又は有線放送を行つた場合を除く。)には、そのレコード(第八条第一号から第四号までに掲げるレコードで著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係るレコード製作者に二次使用料を支払わなければならない。
【改定案】
(商業用レコードの二次使用)
第九十七条 放送事業者等は、商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、レコードに係る音の提示につき受ける対価をいう。)を受けずに、当該放送を受信して同時に有線放送を行つた場合を除く。)には、そのレコード(第八条第一号から第四号までに掲げるレコードで著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係るレコード製作者に二次使用料を支払わなければならない。
▲第九十七条では、放送事業者がレコードの二次利用を行なった場合を定めている。先の第九十五条が実演家への報酬を定めていたのに比して、ここではレコード製作者への報酬を規定する。
変更の内容は第九十五条のものと同じ。
【現行】
(著作隣接権の制限)
第百二条 第三十条第一項、第三十一条、第三十二条、第三十五条、第三十六条、第三十七条第三項、第三十八条第二項及び第四項、第四十一条から第四十二条の二まで並びに第四十四条(第二項を除く。)の規定は、著作隣接権の目的となつている実演、レコード、放送又は有線放送の利用について準用し、第三十条第二項及び第四十七条の三の規定は、著作隣接権の目的となつている実演又はレコードの利用について準用し、第四十四条第二項の規定は、著作隣接権の目的となつている実演、レコード又は有線放送の利用について準用する。この場合において、同条第一項中「第二十三条第一項」とあるのは「第九十二条第一項、第九十九条第一項又は第百条の三」と、第四十四条第二項中「第二十三条第一項」とあるのは「第九十二条第一項又は第百条の三」と読み替えるものとする。
2 前項において準用する第三十二条、第三十七条第三項又は第四十二条の規定により実演若しくはレコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像(以下「実演等」と総称する。)を複製する場合において、その出所を明示する慣行があるときは、これらの複製の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、その出所を明示しなければならない。
3 第三十九条第一項又は第四十条第一項若しくは第二項の規定により著作物を放送し、又は有線放送することができる場合には、その著作物の放送又は有線放送を受信してこれを有線放送し、又は影像を拡大する特別の装置を用いて公に伝達することができる。
4 次に掲げる者は、第九十一条第一項、第九十六条、第九十八条又は第百条の二の録音、録画又は複製を行つたものとみなす。
一 第一項において準用する第三十条第一項、第三十一条第一号、第三十五条第一項、第三十七条第三項、第四十一条から第四十二条の二まで又は第四十四条第一項若しくは第二項に定める目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて作成された実演等の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該実演、当該レコードに係る音若しくは当該放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を公衆に提示した者
二 第一項において準用する第四十四条第三項の規定に違反して同項の録音物又は録画物を保存した放送事業者又は有線放送事業者
【改定案第一条の適用】
(著作隣接権の制限)
第百二条 第三十条第一項、第三十一条、第三十二条、第三十五条、第三十六条、第三十七条第三項、第三十八条第二項及び第四項、第四十一条から第四十二条の二まで並びに第四十四条(第二項を除く。)の規定は、著作隣接権の目的となつている実演、レコード、放送又は有線放送の利用について準用し、第三十条第二項及び第四十七条の三の規定は、著作隣接権の目的となつている実演又はレコードの利用について準用し、第四十四条第二項の規定は、著作隣接権の目的となつている実演、レコード又は有線放送の利用について準用する。この場合において、同条第一項中「第二十三条第一項」とあるのは「第九十二条第一項、第九十九条第一項又は第百条の三」と、第四十四条第二項中「第二十三条第一項」とあるのは「第九十二条第一項又は第百条の三」と読み替えるものとする。
2 前項において準用する第三十二条、第三十七条第三項又は第四十二条の規定により実演若しくはレコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像(以下「実演等」と総称する。)を複製する場合において、その出所を明示する慣行があるときは、これらの複製の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、その出所を明示しなければならない。
3 著作隣接権の目的となつている実演であつて放送されるものは、専ら当該放送に係る放送対象地域(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条の二第二項第二号に規定する放送対象地域をいい、これが定められていない放送にあつては、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第十四条第三項第三号に規定する放送区域をいう。)において受信されることを目的として送信可能化(公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものに限る。)を行うことができる。ただし、当該放送に係る第九十九条の二に規定する権利を有する者の権利を害することとなる場合は、この限りでない。
4 前項の規定により実演の送信可能化を行う者は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、実演の提示につき受ける対価をいう。)を受けない場合を除き、当該実演に係る第九十二条の二第一項に規定する権利を有する者に相当な額の補償金を支払わなければならない。
5 前二項の規定は、著作隣接権の目的となつているレコードの利用について準用する。この場合において、前項中「第九十二条の二第一項」とあるのは、「第九十六条の二」と読み替えるものとする。
第百二条の二中「同条第三項」を「同条第五項及び第六項」に改める。
6 第三十九条第一項又は第四十条第一項若しくは第二項の規定により著作物を放送し、又は有線放送することができる場合には、その著作物の放送又は有線放送を受信してこれを有線放送し、又は影像を拡大する特別の装置を用いて公に伝達することができる。
7 次に掲げる者は、第九十一条第一項、第九十六条、第九十八条又は第百条の二の録音、録画又は複製を行つたものとみなす。
一 第一項において準用する第三十条第一項、第三十一条第一号、第三十五条第一項、第三十七条第三項、第四十一条から第四十二条の二まで又は第四十四条第一項若しくは第二項に定める目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて作成された実演等の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該実演、当該レコードに係る音若しくは当該放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を公衆に提示した者
二 第一項において準用する第四十四条第三項の規定に違反して同項の録音物又は録画物を保存した放送事業者又は有線放送事業者
【改定案第二条の適用】
(著作隣接権の制限)
第百二条 第三十条第一項、第三十一条、第三十二条、第三十五条、第三十六条、第三十七条第三項、第三十八条第二項及び第四項、第四十一条から第四十二条の二まで、第四十四条(第二項を除く。)並びに第四十七条の三の規定は、著作隣接権の目的となつている実演、レコード、放送又は有線放送の利用について準用し、第三十条第二項及び第四十七条の四の規定は、著作隣接権の目的となつている実演又はレコードの利用について準用し、第四十四条第二項の規定は、著作隣接権の目的となつている実演、レコード又は有線放送の利用について準用する。この場合において、同条第一項中「第二十三条第一項」とあるのは「第九十二条第一項、第九十九条第一項又は第百条の三」と、第四十四条第二項中「第二十三条第一項」とあるのは「第九十二条第一項又は第百条の三」と読み替えるものとする。
2 前項において準用する第三十二条、第三十七条第三項又は第四十二条の規定により実演若しくはレコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像(以下「実演等」と総称する。)を複製する場合において、その出所を明示する慣行があるときは、これらの複製の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、その出所を明示しなければならない。
3 著作隣接権の目的となつている実演であつて放送されるものは、専ら当該放送に係る放送対象地域(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条の二第二項第二号に規定する放送対象地域をいい、これが定められていない放送にあつては、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第十四条第三項第三号に規定する放送区域をいう。)において受信されることを目的として送信可能化(公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものに限る。)を行うことができる。ただし、当該放送に係る第九十九条の二に規定する権利を有する者の権利を害することとなる場合は、この限りでない。
4 前項の規定により実演の送信可能化を行う者は、第一項において準用する第三十八条第二項の規定の適用がある場合を除き、当該実演に係る第九十二条の二第一項に規定する権利を有する者に相当な額の補償金を支払わなければならない。
5 前二項の規定は、著作隣接権の目的となつているレコードの利用について準用する。この場合において、前項中「第九十二条の二第一項」とあるのは、「第九十六条の二」と読み替えるものとする。
第百二条の二中「同条第三項」を「同条第五項及び第六項」に改める。
6 第三十九条第一項又は第四十条第一項若しくは第二項の規定により著作物を放送し、又は有線放送することができる場合には、その著作物の放送若しくは有線放送について、これを受信してこれを有線放送し、若しくは影像を拡大する特別の装置を用いて公に伝達し、又はその著作物の放送について、これを受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として送信可能化(公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものに限る。)を行うことができる。
7 次に掲げる者は、第九十一条第一項、第九十六条、第九十八条又は第百条の二の録音、録画又は複製を行つたものとみなす。
一 第一項において準用する第三十条第一項、第三十一条第一号、第三十五条第一項、第三十七条第三項、第四十一条から第四十二条の二まで又は第四十四条第一項若しくは第二項に定める目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて作成された実演等の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該実演、当該レコードに係る音若しくは当該放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を公衆に提示した者
二 第一項において準用する第四十四条第三項の規定に違反して同項の録音物又は録画物を保存した放送事業者又は有線放送事業者
三 第一項において準用する第四十七条の三第一項若しくは第二項の規定の適用を受けて同条第一項若しくは第二項に規定する内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録された実演等の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該実演、当該レコードに係る音若しくは当該放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を公衆に提示した者
四 第一項において準用する第四十七条の三第三項の規定に違反して同項の複製物を保存した者
▲法案第二条における、著作権法第百二条の変更。法案第一条ですでに改定された(と想定される)内容から更に変更点が示される形である。
著作権法百二条(著作隣接権の制限)第1項では、権利制限の対象として新「第四十七条の三」(保守・修理に伴う一時的複製)が追加されている。また、旧「第四十七条の三」(こちらは元々百二条に含まれている)については新「第四十七条の四」として書き改められる。
次に、同条第3項(法案第一条参照)から「放送対象地域」の説明文(かっこ書)が削除される。これは「放送対象地域」の意味が変わるというのではなく、第三十四条で先に登場するから語の定義をそちらに委ねるということだろう。従って「放送対象地域」は放送法ないし電波法に縛られることとなる。
同条第4項(これも法案第一条参照)では非営利・無償の自動公衆送信を除外する規定を、先行する条文を参照させる文言に変更している。法案第一条と法案第二条で施行の時間差が生まれるがゆえの措置かと思われる。
同条第6号(法案第一条による。現行法では第百二条第3項)については、若干の文言変更とともに、要件を満たす自動公衆送信を「有線放送」として扱うための追加が行なわれている。
同条第7号(法案第一条による。現行法では第百二条第4項)は著作隣接権にかかる みなし侵害を定めたもの。いわゆる「目的外使用」を違法化する規定である。ここに、保守・修理のための一時的複製にかかる規定が追加される。当該複製物を保守・修理以外に使ったり、あるいは保存した場合には著作隣接権侵害とみなされる(もちろん著作権についても第四十九条で みなし侵害と規定されている。前述の当該条文を参照のこと)。
【現行】(該当する項のみ)
第百十三条 次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
一 国内において頒布する目的をもつて、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によつて作成された物を輸入する行為
二 著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為によつて作成された物(前号の輸入に係る物を含む。)を情を知つて頒布し、又は頒布の目的をもつて所持する行為
4 第九十五条第一項若しくは第九十七条第一項に規定する二次使用料又は第九十五条の三第三項若しくは第九十七条の三第三項に規定する報酬を受ける権利は、前項の規定の適用については、著作隣接権とみなす。この場合において、前条中「著作隣接権者」とあるのは「著作隣接権者(次条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を有する者を含む。)」と、同条第一項中「著作隣接権」とあるのは「著作隣接権(同項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。)」とする。
【改定案】
第百十三条 次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
一 国内において頒布する目的をもつて、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によつて作成された物を輸入する行為
二 著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為によつて作成された物(前号の輸入に係る物を含む。)を、情を知つて、頒布し、若しくは頒布の目的をもつて所持し、又は業として輸出し、若しくは業としての輸出の目的をもつて所持する行為
4 第九十四条の二、第九十五条の三第三項若しくは第九十七条の三第三項に規定する報酬又は第九十五条第一項若しくは第九十七条第一項に規定する二次使用料を受ける権利は、前項の規定の適用については、著作隣接権とみなす。この場合において、前条中「著作隣接権者」とあるのは「著作隣接権者(次条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を有する者を含む。)」と、同条第一項中「著作隣接権」とあるのは「著作隣接権(同項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。)」とする。
▲第百十三条。海賊版にかかる みなし侵害規定。これまでは海外で作られた海賊版を輸入する行為や頒布する行為、頒布目的で所持する行為を禁止する規定であった。
しかし今回、新たに輸出する行為も禁止されることとなる。「業として」輸出するか、「業として」輸出目的の所持をすることが規制の対象。この「業として」というのがポイントになるのだろうか。
※輸入の方は「業として」の要件は設けられていないのだが?
なお同条第4項では、報酬請求権を定めた第九十四条の二を追加、あとは文言を並べ替えたに過ぎない(報酬と二次使用料とで並び替えている)。
【現行】
第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作者人格権、著作権、実演家人格権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
二 営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者
【改定案】
第百十九条 著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者、第百十三条第三項の規定により著作権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者、第百十三条第五項の規定により著作権若しくは著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者又は次項第三号若しくは第四号に掲げる者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(第百十三条第三項の規定により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
二 営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者
三 第百十三条第一項の規定により著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
四 第百十三条第二項の規定により著作権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者
▲第百九条。本法案の目玉のひとつ、罰則強化である。
ただし全ての罰則が一律に強化されているのではなく、二段階に分かれているようである(ただしこのような“配慮”で罰則強化の弊害が解消されるというようなものでは全くない)。
【現行】
第百二十四条 法人の代表者(法人格を有しない社団又は財団の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第百十九条第一号(著作者人格権又は実演家人格権に係る部分を除く。)又は第百二十二条の二第一項 一億五千万円以下の罰金刑
二 第百十九条第一号(著作者人格権又は実演家人格権に係る部分に限る。)若しくは第二号又は第百二十条から第百二十二条まで 各本条の罰金刑
2 法人格を有しない社団又は財団について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその社団又は財団を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
3 第一項の場合において、当該行為者に対してした告訴又は告訴の取消しは、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴又は告訴の取消しは、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
【改定案】
第百二十四条 法人の代表者(法人格を有しない社団又は財団の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第百十九条第一項若しくは第二項第三号若しくは第四号又は第百二十二条の二第一項 三億円以下の罰金刑
二 第百十九条第二項第一号若しくは第二号又は第百二十条から第百二十二条まで 各本条の罰金刑
2 法人格を有しない社団又は財団について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその社団又は財団を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
3 第一項の場合において、当該行為者に対してした告訴又は告訴の取消しは、その法人又は人に対しても効力を生じ、その法人又は人に対してした告訴又は告訴の取消しは、当該行為者に対しても効力を生ずるものとする。
4 第一項の規定により第百十九条第一項若しくは第二項又は第百二十二条の二第一項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、これらの規定の罪についての時効の期間による。
▲第百二十四条では、法人が関わった権利侵害行為への罰則を定めている。もともと先の第百九条を参照する形で規定されているため、第百九条の構成が全面改定されたのに伴って参照条項を変更したもの。
また、第4項が追加。法人が関わった場合の時効について特記がある。これは、法人に属する者が侵害行為を行った場合、侵害者本人の公訴時効が5年のところ法人は3年となってしまうことから改定の必要が説明されていたものである(下記引用部参照)。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/06083002/008.htm
「文化審議会 著作権分科会法制問題小委員会
(IPマルチキャスト放送及び罰則・取締り関係)報告書
3.罰則の強化について」
(文部科学省)
公訴期間について
罰則の引き上げに関連した問題として、平成16年の著作権法改正による個人罰則の懲役罰の引き上げ(3年から5年)に伴い、著作権法の法人罰則規定について、一つの罪に対する複数の侵害主体の公訴時効の期間が異なってしまう事態(法人が公訴時効3年である一方、法人に属する侵害行為者は公訴時効5年)が生じている。
この点、知的財産法上の犯罪は、類型的には、個人の利得よりも法人の業務を利する意図で犯されるものも多い。また、法人の代表者の行為は直接にその法人に帰属するが、その代表者による法人の侵害行為も個人の侵害行為も、その悪質さにおいて同じであり、さらに、その侵害行為の発見ないし告発に相当長期間を要すると認められる場合には、法人のみについて早期に公訴時効を完成させるのは適切ではないと考えられることから、法人罰則についての公訴期間変更を検討する必要がある。
──ここまでで、説明文の付記は終わりにしたい。
あとは附則に関する変更であること、一部の文言を言い換えするだけの些末的なものだったり、本法案によって改定される条項に合わせて条・項・号を変更するようなものが殆どである。
【現行】附則(当該項のみ)
(適用範囲についての経過措置)
第二条
3 この法律の施行前に行われた実演(新法第七条各号のいずれかに該当するものを除く。)又はこの法律の施行前にその音が最初に固定されたレコード(新法第八条各号のいずれかに該当するものを除く。)でこの法律の施行の際現に旧法による著作権が存するものについては、新法第七条及び第八条の規定にかかわらず、新法中著作隣接権に関する規定(第九十五条、第九十五条の三第三項及び第四項、第九十七条並びに第九十七条の三第三項から第五項までの規定を含む。附則第十五条第一項において同じ。)を適用する。
【改定案】附則(当該項のみ)
(適用範囲についての経過措置)
第二条
3 この法律の施行前に行われた実演(新法第七条各号のいずれかに該当するものを除く。)又はこの法律の施行前にその音が最初に固定されたレコード(新法第八条各号のいずれかに該当するものを除く。)でこの法律の施行の際現に旧法による著作権が存するものについては、新法第七条及び第八条の規定にかかわらず、著作権法中著作隣接権に関する規定(第九十四条の二、第九十五条、第九十五条の三第三項及び第四項、第九十七条並びに第九十七条の三第三項から第五項までの規定を含む。附則第十五条第一項において同じ。)を適用する。
【現行】
(自動複製機器についての経過措置)
第五条の二 新法第三十条第一項第一号及び第百十九条第二号の規定の適用については、当分の間、これらの規定に規定する自動複製機器には、専ら文書又は図画の複製に供するものを含まないものとする。
【改定案】
(自動複製機器についての経過措置)
第五条の二 著作権法第三十条第一項第一号及び第百十九条第二項第二号の規定の適用については、当分の間、これらの規定に規定する自動複製機器には、専ら文書又は図画の複製に供するものを含まないものとする。
■附則から──
附 則 (施行期日) 第一条 この法律は、平成十九年七月一日から施行する。ただし、第一条及び附則第四条の規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
(放送のための映画の著作物の著作権の帰属についての経過措置) 第二条 この法律の施行前に創作されたこの法律による改正後の著作権法(次条において「新法」という。)第二十九条第二項に規定する映画の著作物の著作権の帰属については、なお従前の例による。
(放送される実演の有線放送についての経過措置) 第三条 新法第九十四条の二の規定は、著作権法の一部を改正する法律(昭和六十一年法律第六十四号)附則第三項若しくは著作権法の一部を改正する法律(平成元年法律第四十三号。以下この条において「平成元年改正法」という。)附則第二項の規定の適用により新法中著作隣接権に関する規定の適用を受けない実演又は平成元年改正法附則第四項の規定の適用により新法中著作隣接権に関する規定の適用を受けない実演家に係る実演については、適用しない。
(罰則についての経過措置) 第四条 この法律(附則第一条ただし書に規定する規定については、当該規定)の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
▲附則第一条から第四条は読めばわかる内容。だから法案をそのまま転載する。
【現行】
附 則 (昭和五三年五月一八日法律第四九号)
(施行期日)
1 この法律は、許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
(経過措置)
2 改正後の著作権法中著作隣接権に関する規定は、この法律の施行前にその音が最初に固定された改正後の著作権法第八条第三号に掲げるレコードについては、適用しない。
【改定案】
附 則 (昭和五三年五月一八日法律第四九号)
(施行期日)
1 この法律は、許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
(経過措置)
2 改正後の著作権法中著作隣接権に関する規定は、この法律の施行前にその音が最初に固定された改正後の著作権法第八条第六号に掲げるレコードについては、適用しない。
【現行】
附 則 (昭和六一年五月二三日法律第六四号)
(施行期日)
1 この法律は、昭和六十二年一月一日から施行する。
(有線放送のための映画の著作物の著作権の帰属についての経過措置)
2 この法律の施行前に創作された改正後の著作権法第二十九条第三項に規定する映画の著作物の著作権の帰属については、なお従前の例による。
(有線放送事業者又は実演家に係る著作隣接権についての経過措置)
3 改正後の著作権法中有線放送事業者又は実演家に係る著作隣接権に関する規定(第九十五条並びに第九十五条の三第三項及び第四項の規定を含む。)は、この法律の施行前に行われた有線放送又はその有線放送において送信された実演(同法第七条第一号から第三号までに規定する実演に該当するものを除く。)については、適用しない。
(罰則についての経過措置)
4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
【改定案】
附 則 (昭和六一年五月二三日法律第六四号)
(施行期日)
1 この法律は、昭和六十二年一月一日から施行する。
(有線放送のための映画の著作物の著作権の帰属についての経過措置)
2 この法律の施行前に創作された改正後の著作権法第二十九条第三項に規定する映画の著作物の著作権の帰属については、なお従前の例による。
(有線放送事業者又は実演家に係る著作隣接権についての経過措置)
3 改正後の著作権法中有線放送事業者又は実演家に係る著作隣接権に関する規定(第九十五条並びに第九十五条の三第三項及び第四項の規定を含む。)は、この法律の施行前に行われた有線放送又はその有線放送において送信された実演(同法第七条第一号から第三号までに規定する実演に該当するものを除く。)については、適用しない。
(罰則についての経過措置)
4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
【現行】
附 則 (平成元年六月二八日法律第四三号)
(施行期日)
1 この法律は、実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
(条約により保護の義務を負う実演等についての経過措置)
2 改正後の著作権法(以下「新法」という。)中著作隣接権に関する規定(第九十五条及び第九十七条の規定を含む。)は、次に掲げるものについては、適用しない。
一 この法律の施行前に行われた新法第七条第五号に掲げる実演
二 この法律の施行前にその音が最初に固定された新法第八条第三号に掲げるレコードで次項に規定するもの以外のもの
三 この法律の施行前に行われた新法第九条第三号に掲げる放送
3 この法律の施行前にその音が最初に固定された新法第八条第三号に掲げるレコードで許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約により我が国が保護の義務を負うものについては、なお従前の例による。
(国内に常居所を有しない外国人であった実演家についての経過措置)
4 新法中著作隣接権に関する規定(第九十五条並びに第九十五条の三第三項及び第四項の規定を含む。)は、この法律の施行前に行われた実演に係る実演家で当該実演が行われた際国内に常居所を有しない外国人であったものについては、適用しない。ただし、著作権法の施行前に行われた実演で同法の施行の際現に旧著作権法(明治三十二年法律第三十九号)による著作権が存するものに係る実演家については、この限りでない。
【改定案】
附 則 (平成元年六月二八日法律第四三号)
(施行期日)
1 この法律は、実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
(条約により保護の義務を負う実演等についての経過措置)
2 改正後の著作権法(以下「新法」という。)中著作隣接権に関する規定(第九十五条及び第九十七条の規定を含む。)は、次に掲げるものについては、適用しない。
一 この法律の施行前に行われた新法第七条第五号に掲げる実演
二 この法律の施行前にその音が最初に固定された新法第八条第三号に掲げるレコードで次項に規定するもの以外のもの
三 この法律の施行前に行われた新法第九条第三号に掲げる放送
3 この法律の施行前にその音が最初に固定された新法第八条第三号に掲げるレコードで許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約により我が国が保護の義務を負うものについては、なお従前の例による。
(国内に常居所を有しない外国人であった実演家についての経過措置)
4 著作権法中著作隣接権に関する規定(第九十五条並びに第九十五条の三第三項及び第四項の規定を含む。)は、この法律の施行前に行われた実演に係る実演家で当該実演が行われた際国内に常居所を有しない外国人であったものについては、適用しない。ただし、著作権法の施行前に行われた実演で同法の施行の際現に旧著作権法(明治三十二年法律第三十九号)による著作権が存するものに係る実演家については、この限りでない。
【現行】
附 則 (平成三年五月二日法律第六三号)
(施行期日)
1 この法律は、平成四年一月一日から施行する。
(経過措置)
2 改正後の第九十五条の三の規定は、著作権法の一部を改正する法律(平成元年法律第四十三号。次項第二号において「平成元年改正法」という。)の施行前に行われた第七条第五号に掲げる実演については、適用しない。
3 改正後の第九十七条の三の規定は、次に掲げるものについては、適用しない。
一 許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約(次号及び附則第五項第三号において「レコード保護条約」という。)により我が国が保護の義務を負うレコード(第八条第一号又は第二号に掲げるものを除く。)であって著作権法の一部を改正する法律(昭和五十三年法律第四十九号)の施行前にその音が最初に固定されたもの
二 第八条第三号に掲げるレコード(レコード保護条約により我が国が保護の義務を負うものを除く。)であって平成元年改正法の施行前にその音が最初に固定されたもの
4 最初に販売された日がこの法律の施行前である商業用レコード(第七条第一号から第四号までに掲げる実演が録音されているもの及び第八条第一号又は第二号に掲げるレコードが複製されているものに限る。)を実演家又はレコード製作者が貸与により公衆に提供する権利に関する第九十五条の三第二項に規定する期間経過商業用レコードに係る期間の起算日については、なお従前の例による。 5 改正後の第百二十一条の二の規定は、この法律の施行後に行われる次に掲げる行為については、適用しない。
一 国内において商業用レコードの製作を業とする者がレコード製作者からそのレコード(第八条各号のいずれかに該当するものを除く。)の原盤の提供を受けて製作した商業用レコード(次号において「特定外国原盤商業用レコード」という。)で、当該原盤に音を最初に固定した日の属する年の翌年から起算して二十年を経過する日(次号において「二十年の禁止期間経過日」という。)が著作権法