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2007.05.21

保護利用小委#2:ヒアリング第1弾

 ──こちらでは久々の更新。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/021/07050102.htm
「文化審議会 著作権分科会
 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第2回)
 議事録・配付資料」
(文部科学省)

 4月27日 に開催された、文化審議会 著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(以下、「保護利用小委」と略す)第2回会合での配付資料が文科省サイトで公表された。
 第2回・第3回会合の2度にわたって「創作者団体・個人」「利用者」「アーカイブ関係者」「学識経験者」からのヒアリングが実施されていたところで、その対象は、保護利用小委が検討課題として挙げた「過去の著作物等の利用の円滑化方策について」「アーカイブへの著作物等の収集・保存と利用の円滑化方策について」「保護期間の在り方について」「意思表示システムについて」のうち発言者が意見を述べたいものすべてということになっている。
 第2回会合において意見を述べたのは15名。それぞれがレジュメを提出したため、配付資料の数も膨大なものとなった。

 ところで、この第2回会合での配布資料が公式に参照可能となったことで、これらに目を通した上で答える形のアンケートが実施されている。つまり、発言者それぞれの言い分について、賛同できるか否かを問うものである。

http://q.hatena.ne.jp/1179316258
(人力検索はてな)



現在、文化審議会著作権分科会過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会において、関係者のヒアリングを行っています。4月27日に開催された第2回小委員会にて、1回目のヒアリングが行われました。

著作権の保護期間等を検討する小委員会、関係者ヒアリングを実施
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/04/27/15585.html
著作権保護期間の延長問題、関係各団体が文化審で意見表明:ITpro
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070427/269849/

文化審議会のサイトでヒアリングの際の資料が公開されています。

文化審議会 著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第2回)議事録・配付資料-文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/021/07050102.htm

この資料に全て目を通してから回答してください。

 今回のヒアリングで採り上げられている課題は、著作権制度について多少なりとも興味がおありの方にはたいそう刺激になろうかと思われるものであるから、ぜひ時間を作ってお読み戴ければ幸いである。できればアンケートにも参加いただきたい。

※ただし、「はてな」のユーザーアカウントが必要なので御注意あれ。




■各配布資料の感想(メモ)

 これは決して配付資料を要約したものではないので注意のこと。
 私が独断と偏見で感想を述べたものである。たいした内容ではないので以下、箇条書き。


【社団法人日本文藝家協会】
●「文藝」とは、意味をなさない文字列を延々と書き連ねることを示す言葉か?
●「実に眩いばかりである」「返答に困る」「暗澹たる思いがする」「他のコンテンツでも状況は全く同様」→いずれもその根拠を検討することなく紋切り型で書き飛ばしたに過ぎない「文藝」。こういうのを紋切り型で「ひとりよがり」と呼ぶ。
●パブリックドメイン入り間近の著作者の名前を連ねているが、文藝家協会は、挙げられた作家と同時代の他の作家を語ることができるだろうか? そんな彼らの作品は今も我々の目に触れる機会を得られているか? 文藝家協会が例示しなかった人たちの作品こそ「国家的な財産の損失」ではないのか。保護期間延長はその「国家的な財産の損失」を回復不可能なところまで追いやってしまう。
●権利者データベースについては手前らで作りきれないのだと宣言。しかもデータベース外の著作者については「簡便な裁定制度」の適用を主張していたはずだが(とくに三田某)、それは資料に書かれていないようである。実際のヒアリングでは発言したのか、はたまた撤回したのか。
●すくなくとも、死蔵問題を解消する気概は彼らに見えない。

【協同組合日本脚本家連盟】
●主張が短すぎやしないか? それともあれか、「言いたいことは一行で言え」の実践か。
●アーカイヴについて、国会図書館や民間のものが既に存在しているわけだが、それに触れるでもなく彼らの主張を示すでもなく。アーカイヴは金の無駄だとでも言いたいのだろうか。
●保護期間のあり方については、なかなか大胆なことを言っている。こういう掴みは巧いな、さすがに。
●意思表示システムについての一行が笑えた。脚本家の実情については、ということか?

【協同組合日本シナリオ作家協会】
●なかなか良いことを書いてる。──と最初は思ったら、中盤からエゴ丸出し。
●INTERNET Watch 記事で「議論の中では利用者の立場からは保護期間の延長に慎重な意見もあったが、全体の意見としては創作者の立場を優先すべきであり、保護期間の延長を望むとした」と報じられているところから嫌な予感はしていたんだが。
●「子(著作物)は何時までたっても子である事を理解して頂きたい」→死後50年も行動を縛った挙げ句、親に金を入れ続けろとさ。子にも社会的立場ってものがあるのにな。これで70年に延長ともなれば、子が“社会復帰”できるのはいつの日か。
●シナリオライターの実情がどれだけ悲惨なものなのかは(いたたまれないほど)伝わってくるが、それがどうして保護期間延長に繋がるのか根拠が示されていない。
●たった一人の例をもって著作権保護期間延長の理由になり得ないことくらいは、論理性を要求されるシナリオライターなら判りそうなもの。第一、保護期間を延長することで直接の影響を受けるのは死後50年を経過した著作者だ。例に出しているのは今も生きているヤツではないか。例としてそもそも適切ではない(この例をもとに「著作権などあっても無意味だ」と主張するのならともかく)。
●これはシナリオライター以外の著作者や実演家にも言えることだが、現状の悲惨さは著作権保護期間で手当てすべき問題ではない(そもそも手当てにもならない)。既に亡くなっている人をどうこうするのではなく、今この時に生活し創作するものに手厚い保護が与えられなければ意味がない。要は、彼らが受けている不当な扱いを是正し、本来持ち得るべき権利を(フェアな範囲で)行使できるようにすべきなのだ。
●たいして権利も行使できないような境遇の中でいたずらに保護期間を延ばしてしまったところで、シナリオライターの利益には全くならない。むしろ彼らの作品が日の目を見なくなるような弊害が広がるだけである。

【日本音楽作家団体協議会・社団法人音楽出版社協会・社団法人日本音楽著作権協会】
●著作権が未来の創作に対する「インセンティブ」を標榜する制度である以上、当然にして既に創作された「過去の著作物」と今後創作される「未来の著作物」は分けて考えられるべきである。また「過去の著作物」が死蔵される現実がある以上(そして著作権・著作隣接権がその解消を妨害する以上)、当然に制度の見直しが図られる。この流れは「著作者への敬意」などというものとは全く無関係のものであり、彼らに止めることはできない。
●「保護期間が切れた著作物であれば、人格権を侵害するような利用形態を除けば自由に利用が可能です」→ほう。あんたらがそれを言うか。ならば「保護期間が切れた著作物」が毎年増えていく現行制度を維持すべきだな。それが最低限だ。逆に保護期間を延長したいのなら、「人格権を侵害するような利用形態を除けば自由に利用が可能」なものを著作権法の保護下で作るべきということにもなる。
●アーカイヴの件で「保護期間を延長せずに『死後50年まで』で据え置いたとしても、この問題が解消しないことはいうまでもありません」とあるが、これが保護期間延長を肯定する根拠にならないということも言うまでもない。それどころか、保護期間を延ばすことでこの種の弊害はさらに拡大する。
●他にもツッコミどころは満載だが、いちいちそれに労力を割くのがバカらしくなってきた。笑止。

【社団法人日本漫画家協会】
●論じるに値しない。

【社団法人日本芸能実演家団体協議会】
●それぞれの主張について、実例を挙げていないのがきついな(実際の話ではどうだったんだろうか?)。
●「著作物の二次利用が進まぬ理由として、著作権法上の権利を阻害要因として挙げることの誤りは既に共有されている」→意味不明。実際の発言で訂正か補足があったかもしれない。もっとも、IPマルチキャスト同時再送信関連で実演家の権利が制限された(許諾権から報酬請求権へ「切り下げ」られた)のは明らかにこの考え方からくるものだし、また日本で音楽配信がなかなか広がらないのもレコード製作者による著作隣接権の不当な行使によるものである。これを否定する根拠は、権利者の側から何ら示されていない。
●「利用の円滑化については、既存の枠組みの中での関係者の協議を通じて解決できる」→それができないからIPマルチキャスト同時再送信で権利制限されたのでは? iTS の欧米並みサービスも未だに始まらない。日本の「関係者の協議」万々歳である。
●「安易に権利制限などの方策を採ることは、集中管理に取り組むインセンティブを損ないかねず」→IPマルチキャストも「インセンティブ」にはならなかったということか? もう少し危機感を持ってもらいたいのだが(経済財政諮問会議での「デジタル・コンテンツ流通促進法制」のように、彼らの「権利」はかなり切羽詰まったところまで来てると思うのだが‥‥早く論を組み直さないと、このままずるずると権利制限なり新法制へと進んでしまうのではないか──最低限、実効性ある集中管理にまで漕ぎ着けないと相手にすらされなくなるおそれがある。IPマルチキャストから彼らは何を学んだのだろうか)。
●「コンテンツホルダーと権利者団体の協力により一定の解決策をとることが可能」→やっておくれ。
●「権利者情報を含むコンテンツ情報の精緻化の必要性」→これはいいね。やっておくれ。
●著作権と著作隣接権が異なる扱いを受けることは致し方ない話。しかも実演は(ライヴパフォーマンスを除けば)映画著作物やレコード著作物との親和性が高く、これらの権利が公表後起算である以上(原著作物の著作権は除く)実演家の権利が実演後起算になるのも(混乱を避ける意味で)当然といえる。まして映画著作物では著作権切れと同時に原著作物(いわゆる原作・脚本だけ。音楽や美術著作物は別扱い)の著作権も及ばなくなるし、音楽著作物では JASRAC という強力な集中管理機構が存在する。
●ただし実演家の著作隣接権延長が肯定できるとすれば、唯一、映画著作物にかかる著作隣接権(20年分だけ)についてのみ考えられるのではないか(もっとも今検討されている集中管理なり強制許諾なり権利制限をも前提とすべきではある)。映画製作者(著作権法上の著作権者)だけが著作権延長の恩恵に浴するというのは不公平だろう。実演家の権利が解消するは、著作権は存続するはで、実演家にも利益還元が必要だと思うのは俺だけか?

【社団法人日本民間放送連盟】
●「放送事業者が放送のために製作する番組については、実演家の放送権のみの許諾を得る場合が多い」というのはレコード製作と大きく違う点か(レコード製作だと契約で譲渡させられる場合も多いようだからなぁ)。
●「裁定制度の利用を前提とした著作権者の探索においては何らかの権利制限を創設することが望まれる」→なかなか興味深い提案。今まで気付かなかった。(余談だが、フェアユース規定があればカバーできそうな気も。)
●著作者としての主張は少ないところが興味深い(民放キー局みずから製作する番組が少ないという事情も関係してるのか?)。余談だが、放送番組の著作権帰属ってのはかなり曖昧な気も。下手に保護期間延長とかいうとトラブルが増えるか?
●利用者としての主張も割とひかえめ。

【日本放送協会ライツ・アーカイブスセンター】
●主張の中身自体は、民放連と足並みを揃えている印象。
●「NHK アーカイブスについて」が興味深い。

【社団法人日本書籍出版協会】
●「当協会としては、70年への延長、50年据え置き、どちらとも判断が困難な立場であります」→ほぉ。
●「著作物は、著作権者が権利を占有する私的財産であると同時に、〜適当であると考えます」→いいこと言ってる。
●他に若干のツッコミどころはある。「わが国が利用する海外の著作物の多くが欧米諸国のものであることを考えれば」云々は結論が必ずしも妥当しないし、「絶版の定義や絶版であるかどうかの確認は困難であり」などと「出版協会」が言ってる有様だし、「アーカイブに収める出版物は、現在のところ、著作権の保護期間が経過したものに限られるべきです」との主張は保護期間延長やむなしとの見解と相容れない(アーカイヴを停止しろと言ってるのに等しい)。
●「意思表示システムについて」は結構まともな内容。

【社団法人音楽電子事業協会・ネットワーク音楽著作権連絡協議会】
●「CP の基本方針」は傾聴すべき。
●「ネット配信では国境が無意味であり、50年のままだと日本のCPに対して海外の権利者が包括契約を拒否する恐れがある」→これホントかよ。本当に「国境が無意味」だったら、配信国からダウンロードされておしまいだろうに。日本だけ許諾対象から外して何が得になるんだか(かえってファイル交換の餌食になるだけじゃないのか)。
●「条件付き賛成意見」はあまりよろしくない項目名だな。どう読んでも反対意見だ。(俺が「輸入権」パブコメの時に賛成意見に入れられていたのを思い出した。)
●反対意見はストレートすぎて好感を持った。なかなかの主張(笑)。
●「意思表示システムについて」の懸念は妥当なところと考えられる。

【国立国会図書館】
●注目すべきは具体的データ。「権利者不明の場合」はやはり多いのである。
●「別添資料」も3つあるので併せて読まれたい。別紙2のデータ、別紙3の指摘は今後の図書館(アーカイヴ)を考える上でも有益な資料となろう。

【青空文庫】
●刮目して読むべし。
●「ゲーム機用読書ソフトの開発も進められている」ってのは、 Nintendo DS のアレかなぁ。もしそうだとしたら、青空文庫のデータを使って 4000円 ってのはボりすぎ。俺は Azur 使った方が便利だと思うんだけど、実際に Azur 使ってるユーザーってどれくらいいるのかなぁ。

【クリエイティブ・コモンズ・ジャパン】
●クリエイティブ・コモンズ入門の文章として是非(笑)。
●現行著作権法および保護期間延長問題についても明確な意見。

【エンドユーザー】
●印刷したプリントを読みながら、手を合わせて拝んじまったよ。まじで。
●たぶん津田大介氏にとっては書きづらいところがあったと思う。でもそこまで敢えて踏み込んでくれたことに感謝するのと同時に、これ以上は無理しないでほしいと思う面もある(どこまで氏自身が納得して書いているのか判断つかないだけに‥‥)。
●まずはこれが基礎資料。ここに書かれていることに異論があるユーザーがいたのなら、大きく叫べ。それが誰かに届くまで叫び続けろ。君たちには語るべきものがあるということなのだから。あるいは君が異論の無いユーザーだったら、友人にこれを読ませてやれ。そして、この意見が保護利用小委でどう扱われるのかを見届けてくれ。
●たとえ一人ずつでも発言者が増えていってくれることを祈る。自らの頭で考え、自らの口で発言し、自らの足で行動する人間が。それは必ずしも俺と同じ思想の持ち主を意味しない。まずは一人ひとりの声を顕在化(できればブログ等による可視化)すべきだ。理解し合うのはその後からでもいい。
●社会(そしてその写しである市場)は一人ひとりの選択行動の総和である。著作権制度も同様。ごく僅かな人間によって形作られるべきものなのではなく、より多くの人間によって考察・発言・対立・説得・理解・妥協が重ねられ平衡した末に見えるものなのである。こと著作権制度については、それが始まったばかりなのだ。

※全般として、発言者による実際の発言内容については議事録で確認しないと細かいニュアンスは理解しづらいだろう。ひょっとすると資料に一部訂正が入っている可能性もあるしね(ただ訂正部分は普通 公表前に修正されてしかるべきではあるが‥‥)。一定の判断保留を意識しつつ、冒頭で紹介したアンケートに接していただけると幸いである。

投稿:by 暇人#9 05:51 午後 [ユーザーと著作権, 著作権行政 watch, 音楽業界の愚行] | 固定リンク

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