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2007.06.08
知的財産推進計画 2007 からピックアップ
自分としては(アップルに新たな動きが無いかぎり)知財推進計画 2007 関連の話題はこれで打ち止めにしたいところであるが──
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keikaku2007.html
「知的財産推進計画2007の策定」
(首相官邸:知的財産戦略本部)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/070531/060531keikaku.pdf
「知的財産推進計画2007」
(首相官邸:知的財産戦略本部・ PDF)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/070531/060531siryou.pdf
「知的財産戦略の進捗状況
知的財産推進計画2007 参考資料」
(首相官邸:知的財産戦略本部・ PDF)
私が追いかけている著作権行政においては、だいたい文化審議会著作権分科会(およびその小委員会)で議題として既に挙げられているものが知的財産推進計画に反映されることとなっている(どちらが先かというのは、鶏か卵かみたいな話になるんだが)。つまり著作権分科会で動いている範囲内の表現となっていることが多い。
最近は結論をぼかし「検討する」「必要なときは法整備を実施する」などの表現が多く使われる。しかし一定の方向性を考えていないのであれば そもそも知的財産推進計画に載せる必要が無いのであるから、法規制に触れた項目がここに掲載された時点で行政側は規制へと舵を切り出しているとの認識でいることが肝要だろう。
その意味では、著作権行政によって国民生活(あるいは著作物利用者の文化的活動)が脅かされる危険性はかなり強まっていると言える。ことは保護期間延長問題や私的録音録画補償金問題に限られたものではないのである。
ともかく、私が「知的財産推進計画 2007」 に目を通したとき気になった項目をピックアップしてみる。独断と偏見により選んだものだが、ここで選から漏れたものについても重要なものがたくさんあるので、一度は目次に目を通し 気になる項目をチェックすることをお勧めする。
※うちにブログを継続的に読んでくれている方にはお判りかと思うが、一応。
私は、法律関係について ずぶの素人である。単純に、個人的感覚を(なるべく)論理的に検討した結果を文章にしているだけで、決してこれが最終的な結論というわけではない。現時点の私では知らない事実関係や、あるいは論理的間違いの指摘などを受け、私の見解が今後変化していくことは十分あり得る(というか〈絶対に〉あるだろうな)。
「エンドユーザー」の視点を標榜し(要は開き直って)やっていることなので読者諸氏には批判的にお読みいただくことを推奨したい。私としては、自分の考えが他人に影響を与えることよりも、皆さんが考え発言していく機会になることの方が嬉しいので。生活者の視点がもっと著作権を巡る議論に反映されるように‥‥。
もちろん私は今以上の勉強を己に課すつもりで(笑)。
【ノンブル5ページ】
※「知的財産推進計画2007」の策定に当たって
3.「知的財産推進計画2007」の基本的考え方
さらに、本計画の策定に当たっては、2007年2月に知的創造サイクル専門調査会(阿部博之会長)から、2007年3月にコンテンツ専門調査会(牛尾治朗会長)から、それぞれ報告を受けるとともに、国民やユーザーからパブリックコメントなどを通じ意見を聴取した。
▲ 今年3月に実施された意見募集については、この「知的財産推進計画 2007」 の公表と同時に結果が明らかにされた。すなわちインターネットで公表されたのは 2007年5月31日。
しかしながら「〜意見募集の結果について」という文書は 「2007年4月17日」 との日付が記されており、先の事実とは食い違っている。例年は本部会合や各専門調査会で資料として配付し委員らが(最低限、概要だけでも)目を通す手順になっていただけに、今回の推進計画策定にパブリックコメントがどう使われていたのか明らかでないという異常さが際だっている。
形だけでも意見募集を行なっておき(ガス抜き?)、知財推進計画策定は手前らで勝手に進める。これが「美しい国」の正体かもわからんね。
【ノンブル14ページ】
※重点編
2.知的財産の保護
II. 模倣品・海賊版対策を強化する
(2)個人輸入等の取締りを強化する
2007年度は、税関が知的財産侵害疑義物品を発見した場合、その多寡にかかわらず、原則として認定手続を執ること等を明確化した改正通達に沿って、税関は水際における取締りを強力に推進するとともに、侵害認定について、状況により専門委員制度を活用する等、厳正化を図る。また、必要に応じ、模倣品・海賊版の個人輸入・個人所持の禁止について更に検討を行い、 新法の制定等法制度を整備する。
(警察庁、法務省、財務省、文部科学省、経済産業省)
(3)インターネットオークション上の模倣品・海賊版の取引を防止する
i) 著作権法において、インターネットオークションへの出品など海賊版の広告行為自体を権利侵害とすることについて、2007年度中に検討し、必要に応じ法制度を整備する。
(警察庁、法務省、文部科学省、関係府省)
▲「海賊版」取締りに名を借りた過剰規制の危険に注視すべし。
個人所持の禁止など、市民生活に混乱をもたらす以外の何物でもない。また「広告行為」を禁止するにしても(インターネットオークションへの海賊版の出品をオークションサービス事業者が削除していくことを目的に必要最小限の範囲で行なう限りにおいては、この「広告行為」規制は正当化され得ると思う)、この「広告行為」の定義をきちんとしなければ言論を萎縮させることとなろう。「広告」の定義については意匠法などの先例もあるから問題ないものを定めるのも可能ではあるだろうが(間違っても「広告」と規定させてはならない)。
刑事罰であれば「故意」の存在が要件となり、また法規制としては「情を知って」などの要件が付くことにはなるだろう(そのように構想が語られる)。しかしこれによって我々が危惧するような副作用を防止できるだろうか? 否、模倣品の場合には真性品を買う必要を感じていない「模倣品」所持者が対象となってしまいかねないし、海賊版であれば正規流通で入手困難なものを無理にでも入手した所持者が対象となってしまう(たとえば他人の私的複製物を借り受け複製する場合など)。程度問題かも知れないが、〈自分にブランドは必要ない、模倣品であっても使う分には変わりない〉〈海賊版でないともはや入手できない〉場合において「情を知って」いると考えられる状況も決して少なくはない。
現行の正規流通が需要を満足させるには至らない以上、海賊版の存在の余地(その正当化の余地という意味ではない)があるのであり、海賊版規制をどんなに法で定めたとしても、結局 正規版が市場流通しているものについてしか実効性を担保できるものでない。絶対に存在してしまう部分は違法行為が放置される有様となってしまうわけだ(しかも適法に入手したものまで「模倣品」「海賊版」として認定され得るおそれまで生じてしまう──本来的にはこちらの方が深刻である)。
こうした規制は必要最小限にとどめるべきである。むしろ現行の規制の実効性を高める努力をするのが先だろう。
【ノンブル19ページ】
※重点編
4.コンテンツをいかした文化創造国家づくり
I.世界最先端のコンテンツ大国を実現する
(1)デジタルコンテンツの流通を促進する法制度等を整備する
デジタル化・ネットワーク化の特質に応じて、著作権等の保護や利用の在り方に関する新たな法制度や契約ルール、国際的枠組みについて2007年度中に検討し、最先端のデジタルコンテンツの流通を促進する法制度等を2年以内に整備することにより、クリエーターへの還元を進め、創作活動の活性化を図る。
(総務省、外務省、文部科学省、経済産業省)
▲ 現在 保護利用小委(文化審議会 著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会)で審議が始まっているデジタルコンテンツ流通促進法制について、時期は前後するが知的財産推進計画にも盛り込まれた形である(もっともこれの元となるアイディアはかねてからパブリックコメント等で寄せられており、また知的財産戦略本部下の専門調査会でも同様の提案が出されていたという経緯がある)。
「コンテンツ大国」を目指すのであれば、コンテンツ流通の阻害要因をすぐに排除するのが必須である。現状、実際にサービスが始まっているインターネット配信の全て(音楽配信・映画配信・映像配信・テレビ放送同時再送信等々)において外国から遅れを取っているのであり、またこれがすぐに改善される兆しなど全く見られない。このまま停滞するコンテンツ業界と心中するか、思い切ったメスを入れて流通促進するかという選択が迫られている。
まぁ皮肉めいたことを言えば、いつまでも世界の潮流に乗れず、アナログな世界で「スローライフ」ってのも悪くはないが。最先端の奴らは海外サービスを使えば良いわけだし(笑)。
※上の「スローライフ」は本心じゃないぞ。
【ノンブル20ページ】
※重点編
4.コンテンツをいかした文化創造国家づくり
I.世界最先端のコンテンツ大国を実現する
(2)違法複製されたコンテンツの個人による複製の問題を解決する
合法的な新しいビジネスの動きを支援するため、インターネット上の違法送信からの複製や海賊版CD・DVDからの複製を私的複製の許容範囲から除外することについて、個人の著作物の利用を過度に萎縮させることのないよう留意しながら検討を進め、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省)
(3)権利者不明の場合におけるコンテンツの流通を促進する
我が国が蓄積してきた豊かなコンテンツを有効に活用するため、諸外国の動向も踏まえ、権利者の不明その他の理由により利用者が相当の努力を払っても権利者と連絡が取れない場合に、利用の円滑化を進める新たな方策について検討を進め、2007年度中に一定の結論を得る。
(総務省、文部科学省)
▲ これらも文化審議会 著作権分科会(各小委員会)で議題に挙がっているものである。
特に私的複製の範囲を狭めるとする規制「違法複製されたコンテンツの個人による複製の問題を解決する」には注意が必要である。これを仮に法改定してしまった場合でも法規範・規制に実効性が期待できないこと(こうした複製を認知する方法がない)、ユーザーにとっても民事裁判原告(刑事罰は課さないとの文化庁の方針が明らかにされている)にとっても適法複製・違法複製の区別が困難であること(複製元が多くの場合 適法流通するコンテンツであり、加えて私的複製の手段自体が同じなのだから当然)、権利制限によって複製されたものが目的外使用の後に複製されたものでも「違法複製」に当たること(すなわちこの規制が対象とする範囲が極めて広い)、そもそも正規流通の不備によって「違法複製」でしか入手できないものが存在し一定のニーズが必ずあるということ等、こうした複製について単純に規制してしまうことについては問題が山積している。
加えて、並行して検討されている非親告罪化まで重なろうものなら、害悪は相乗的に大きくなる。上記の副作用に当局の恣意が重なってくるからだ。
これらの法改定を行なったところで、「違法」複製が爆発的に発生する(つまり著作権法が規範としての機能を失う)か、そもそもコンテンツ利用そのものが無くなる(誰も見たり聞いたりしなくなる)かのいずれかである。
※なお「合法的な新しいビジネスの動きを支援するため」などというのは全く説得力の無い前置きである。なぜなら、海賊版と積極的に競合し、ユーザーを正規流通へ取り返す試みが全くと言っていいほど為されていないからだ。現行流通の不備を突き実在するニーズを掠め取るのが「海賊版」の本質だというのに、いまだに「海賊版」が満たしてしまっているニーズを正規流通が掬い上げられないでいる(それは「海賊版」の存在によってビジネスチャンスが潰されているのではない。ビジネスチャンスが見過ごされているだけなのである)。
また、「個人の著作物の利用を過度に萎縮させることのないよう留意しながら」などというのは反対意見に配慮したかに見せる方便に過ぎない。この「留意」が実際に議論に反映されたことなど無いからである(私的録音録画小委で委員からここを危惧する意見が出たにとどまる)。規制構想の中に出てくる「情を知って」との要件を設けたとしても、この「留意」には不充分な限定と言わざるを得ない。このようなものは裁判所の認定次第でどうにでもなってしまうからである。そもそも「海賊版」入手に必然性(合法性ではない)があればあるほど「情を知った」上での入手となり得る。
▲ 権利者不明の場合の裁定制度簡便化には賛成だ。しかしながら実際の著作物利用の場面において、権利者不明の場合と同様に問題になっているものがもう一つある。それは権利者の頑なな許諾拒否による協議不調である。権利者が(禁止権を楯に)一方的に有利な条件を求めることが少なくなく、加えて反競争的な思想のもと“権利行使”されているという実態もある。このような場合にも強制許諾制度のようなものを用意する必要が(コンテンツ流通促進の観点からも)あろう。
【ノンブル21ページ】
※重点編
4.コンテンツをいかした文化創造国家づくり
I.世界最先端のコンテンツ大国を実現する
(5)ネット検索サービス等に係る課題を解決する
情報化時代におけるネット検索サービスが、国民生活の利便性の向上のみならず、産業政策や文化政策上重要であることにかんがみ、ネット上での検索サービス等に伴うサーバーへの複製・編集等や検索結果の表示に関する著作権法上の課題を明確にし、所要の法整備の検討を行い、2007年度中に結論を得る。また、新たなコンテンツへの検索・解析技術の開発・国際標準化や適切な保護ルールの検討などを2007年度から開始する。
(文部科学省、経済産業省)
(6)アーカイブ化を促進し、その活用を図る
公共的なデジタルアーカイブにおける著作物の収集・保存や絶版等に至った著作物で一般ユーザーが入手困難なものの提供など非営利目的や商業的利用と競合しない利用について、クリエーターへの補償措置も考慮しながら、コンテンツの保存・収集・利用を円滑に進められる方策を検討し、2007年度中に一定の結論を得る。
(文部科学省)
(7)インターネット上でのコンテンツの新たな創作・発信を促す
インターネット上における著作物の自由な創作・発信を促すため、2007年度中に、著作物等のネットワーク上での利用条件を意思表示するシステムの構築を目指し、著作者が予め意思表示する際の利用条件の類型化や本人の意思に基づく権利放棄の取扱い等のルールの法的課題等の研究を行うとともに、民間における自由利用促進のための取組を奨励・支援する。
(総務省、文部科学省、経済産業省)
▲ 日本の著作権法にフェアユース規定が無いために(日本ではフェアユースの法理は採用されていないので、正確に言えば〈個別の権利制限規定によるフォローが不充分なために〉だが)、インターネット上で実際にサービスが行なわれていながら厳密には著作権法に抵触しかねないものがある(サービス事業者の多くが米国企業だという事情もあるが、日本企業が行なっているサービスでも危ない橋を渡っているものは意外とある)。ここでは検索エンジンの開発・サービス提供が挙げられており、これについては著作権法上の手当ての検討が始まっているところである。
しかし他にも手当てすべき「フェアユース」的課題は多い。例えば(6)でも触れられているアーカイヴの問題。この項目で述べられているような「公共的なデジタルアーカイブにおける著作物の収集・保存や絶版等に至った著作物で一般ユーザーが入手困難なものの提供など非営利目的や商業的利用と競合しない利用」への手当ても勿論重要だが、これだけでは不充分と言わざるを得ない。日々 生まれては消えていくネット上の情報について民間でアーカイヴィングできるような法整備を早く実施する必要がある(公的機関に任せていたのでは大部分をフォローするのが物理的に不可能──民間が加われば幾らかはマシになる)。一度 世に問われた情報は流通を保持される仕組みを構築すべきである(個人的には、商用コンテンツに限って考えるべきでないと思う)。
加えて、インターネット上でのストレージサービスについても手当てしなければならない。現状ではサービス事業者が複製権・自動公衆送信権侵害を問われかねないところであり、こうしたサービスの登場がインターネットにおける国際的潮流であることを考えれば、私的複製に準じた使い方だけをユーザーに提供する場合には(つまりアップロードとダウンロードが同一人物に限定される仕組みを持ったもの)日本でも合法とすべきである。これが実現しなければ、ストレージサービスでも海外のものがシェアを握ることとなり(検索エンジンの現状と同様)、国内のITサービスの発展を阻害し競争力を削ぐのは目に見えている。
かように新たなサービスの余地が生まれてきていながら、日本では著作権法の不備によって国内事業者に足枷をはめるような事態はこれからも発生してくるだろう。こうした事態に個別に対応するのも結構だが、現状を見るかぎり時間がかかりすぎるきらいがあり、結局のところ海外のサービス事業者にデファクトスタンダード(および市場シェア)を握られることになる。もはやフェアユース規定創設を検討し、権利者との訴訟において正当性を主張できる最低限の根拠を確保しておくべきである(フェアユース規定創設の目的がこれである以上、「裁判にならなければフェアユースかどうか判らない」との創設論への批判は当たらないものと考える)。今こそ検討を始める時期に来ている。
挑戦的な国内事業者を片っ端から「著作権」で叩き潰している現状が健全と言えるのかどうか。よく考えたい。
【ノンブル60ページ】
※本編 - 第2章 知的財産の保護
II. 模倣品・海賊版対策を強化する
2.水際での取締りを強化する
(4)模倣品・海賊版の税関での取締りを強化する
○1 税関の体制を強化する
並行輸入や個人輸入と偽った輸入や個人による郵便物等の小口貨物を利用した輸入が、国内に偽ブランド品や海賊版が氾濫する原因の一つとなっている現状を踏まえ、それらの取締りを一層強化するよう、2007年度も引き続き、税関と権利者との連携の強化、税関の検査設備や情報システムの強化、必要な税関職員の確保、税関職員の能力の向上を進める。また、知的財産侵害物品の輸出入取締りに関する十分な情報の蓄積・共有を図り、より効果的かつ強力に税関による取締りを推進する。
(財務省)
○2 模倣品・海賊版の輸出・通過を取り締まる制度を整備する
模倣品・海賊版を侵害発生国・地域から第三国で積み替えて輸出を行うなどの新たな手口が発生している現状やG8サミットなどにおいて世界的な取組の重要性が指摘されていること等にかんがみ、模倣品・海賊版の拡散防止をより強力に推進するため、一時的に知的財産侵害物品を保税地域に搬入した場合についても、税関が取締りを実施できるよう、2007年度中に検討し、必要に応じ法改正等制度を整備する。
(法務省、財務省、関係府省)
▲ 「並行輸入や個人輸入と偽った輸入や個人による郵便物等の小口貨物を利用した輸入」を取り締まるために、適法な並行輸入・個人輸入等が割を食うような運用だけは避けてもらいたいと思うわけだが、実際にはどうなっているのだろうか。それはそうと、これだけ模倣品・海賊版対策に税関の人的リソースを割いているのであれば、反競争的発想から適法製品の輸入を止めるという暴挙に出た「商業用レコードの還流防止措置」という無駄な制度はさっさと廃止すべきなのではないか。こんなものに手間をかけている暇など税関には本来無いだろうに。
▲ 「一時的に知的財産侵害物品を保税地域に搬入した場合」について、著作権では現行法でも対処可能なような気がするな(現にカッコ内に文部科学省が入ってないし──海賊版「輸出」規制にゴーサインを出した際の法制小委の検討でも「税関通過以前であっても、陸揚げにより保税地域等に置いた時点で『輸入』に該当すると考えられる。第三国に送付する行為は『輸出』と考えられ、『輸出』行為に係る規定により対応可能と考える」としている)。まぁ相手が海賊版である限りにおいては取締りも正当化されるかも知れない(もし弊害があったら指摘よろしく)。
【ノンブル61ページ】
※本編 - 第2章 知的財産の保護
II. 模倣品・海賊版対策を強化する
2.水際での取締りを強化する
○3 差止申立てに係る手続を簡素化する
2007年度は、権利者の利便性向上という観点から、いずれかの税関が差止申立書を受理した場合にはすべての税関が受理したこととして取り扱うことができるよう、差止申立書の提出部数等について見直しを行い、必要に応じ法改正等制度を整備する。
(財務省)
3.国内での取締りを強化する
(1)インターネットオークション上の模倣品・海賊版の取引を防止する
i)著作権法において、インターネットオークションへの出品など海賊版の広告行為自体を権利侵害とすることについて、2007年度中に検討し、必要に応じ法制度を整備する。
(警察庁、法務省、文部科学省、関係府省)
▲ 「いずれかの税関が差止申立書を受理した場合にはすべての税関が受理したこととして取り扱うことができるよう」というのはアリかもわからんね。ただ「手続きを簡素化する」のがこれだけにとどまるのか、間違っても還流防止措置にかかる輸入差止申立てが簡単に受理されるような事態に陥るのだけは勘弁してもらいたい(還流防止措置はそもそも認められるための要件が厳格に判断されねばならないのだ)。
▲ 海賊版の広告規制については、上記引用部の項目立てだけを見ればインターネットオークションに限定しているように見えるが(もしそうなら反対する理由が今のところ無いわけだが)、実際にはウェブサイトやメールでの「広告行為」も規制対象として想定されているところである。そこまで規制を広げるとなると、規制対象の限定(正確な対象範囲の規定)が必要となってくる。なぜなら、実在する海賊版の内容についてウェブサイトで言及するときや、実在する海賊版を示しながら海賊版の是非を論じる場合など、言論活動との衝突が予想されるからである(これらの行為を「広告」とみなせないように規定する必要がある──個人的には、譲渡の申し入れを売価・入手方法とともに書いている場合か、実際に海賊版の頒布目的所持を伴っていなければ規制対象としないものと制度設計すべきと考える)。
なお、「海賊版」の射程が同人誌等にも及ぶのではないかとの危惧は非親告罪の議論で強く示されているところであるが(私も同感)、この広告規制についても「二次創作」同人誌(原著作物の権利者から許諾を得ている場合はもちろん別)の通販などが抵触する可能性があると加えて指摘しておく。現行法の親告罪が維持されるならば(刑事事件には至らず)権利者がお目こぼししてくれる可能性もあり得るけれども、ネットオークション事業者側のガイドラインではどう扱われることになるのか興味がある(同人誌の限ったことではないけど、制作者本人の他にも所有者が古本として売ることも想定できるから)。
規制対象をデッドコピー(の頒布目的広告)に限定するだけでも本来の目的は果たせるような気がするんだがな。
【ノンブル63ページ】
※本編 - 第2章 知的財産の保護
II. 模倣品・海賊版対策を強化する
3.国内での取締りを強化する
(4)劇場内で無断撮影された映像の違法流通への対策を強化する
映画の上映中に劇場内において無許可で撮影された映像が違法に流通する等の問題に対応するため、2007年の通常国会で成立した「映画の盗撮の防止に関する法律」について、その周知徹底、映画関係事業者による映画の盗撮防止の自助努力、違反行為の取締りなど、官民挙げて対策を強化する。
(警察庁、文部科学省、経済産業省、関係府省)
(5)著作権法における親告罪を見直す
海賊版の氾濫は、文化産業等の健全な発展を阻害し、犯罪組織の資金源となり得るなど、経済社会にとって深刻な問題となっている。重大かつ悪質な著作権侵害等事犯が多発していることも踏まえ、海賊版の販売行為など著作権法違反行為のうち親告罪とされているものについて、2007年度中に非親告罪の範囲拡大を含め見直しを行い、必要に応じ法改正等制度を整備する。
(警察庁、法務省、文部科学省)
▲ 映画盗撮防止法については、その運用状況を注視するしかあるまい。実効性がはたして担保されているのか否か。これがもし何の実効性もなく海賊版が出続けたとしても、それをもって海賊版対策を強化する理由にはなるまい。もちろん、海賊版対策を口実に著作権侵害の非親告罪化することなど論外である。
犯罪組織の資金源となることが海賊版対策の根拠となり得るのであれば、それを防止する方法はただひとつである。それは無償流通を解禁し、合法ファイル交換を実現することだ(半分ネタ)。
【ノンブル65ページ】
※本編 - 第2章 知的財産の保護
II. 模倣品・海賊版対策を強化する
5.模倣品・海賊版に関する国民の理解を促進する
(2)模倣品・海賊版に関する国民への啓発活動を強化する
2007年度も 引き続き、権利侵害事犯の特徴等について事例を紹介したり、各種セミナーなどの機会を捉えて模倣品・海賊版の問題を採り上げたりする等、模倣品・海賊版が社会悪であることを明確にするとともに、その氾濫が社会にもたらす悪影響について訴求し、政府が推進している対策を周知する。
また、このような訴求等により、国内外において模倣品・海賊版の購入をしない適切な消費行動につなげることが重要であるという認識の下、消費者の意識向上を図るための戦略的かつ効果的な啓発活動を、関係省庁が一体となって展開する。
(内閣府、警察庁、総務省、法務省、外務省、財務省、
文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省)
▲ ひとことで言えば大きなお世話。というか、なぜ国民の多くが模倣品・海賊版を許容するのかということについて国の側で想像力がなさすぎる。その許容が論理的にどうおかしいのか(あるいは筋が通ってしまっているのか)、加えて模倣品・海賊版対策が何故必要なのか(今までのような通り一遍の説明ではなく)きちんと伝えていく努力が必要であろう。はっきり言って「啓発」などという姿勢では目的は果たせまい。現に今までの「啓発」はことごとく失敗に終わっている。
それはそうと、いいかげん「模倣品」「海賊版」などという曖昧な語を使うのをやめてはどうか。あるいはきちんと定義付けすべきであろう(知的財産権を侵害した物品というだけでは不足である)。こんなところからも、模倣品・海賊版対策に理解が得られない原因が潜んでいる。
※知財戦略に絡めて文章を書くときは、私もやむをえず「模倣品」「海賊版」の語は用いるけれども‥‥できることなら正確に定義した上でその定義の語を用いて書きたいものだ。なお私の意識としては、「模倣品」は「特許権・商標権・意匠権などに抵触したもの」、「海賊版」は「複製権にかぎらない、翻案権や自動公衆送信権等も含んだ著作財産権・著作者人格権・著作隣接権を侵害して作成されたもの」として用いている。一般的イメージからは多少離れているかもしれないが、政府が用いている実例(模倣品・海賊版にかかる「啓発」)を見れば、こちらの解釈の方が適切だと思われるのでね。
【ノンブル90ページ】
※本編 - 第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり
I. 世界最先端のコンテンツ大国を実現する
1.デジタルコンテンツの流通を促進する法制度や契約ルールを整備する
(1)ビジネススキームを支える著作権制度を作る
○2 IPマルチキャスト放送へのコンテンツ流通を促進する
IPマルチキャスト放送に関する著作権法改正も踏まえ、地上デジタル放送の同時再送信を、計画されているスケジュールに沿って実施するために必要な措置を2007年度中速やかに講ずる。その際、放送番組に関する権利管理情報を放送事業者やIPマルチキャスト放送事業者など関係者が協力して整備するよう促す。
IPマルチキャスト方式による自主放送について、諸外国の動向を踏まえつつ、著作権法上の取扱いの明確化、プロテクションを含む端末技術の標準化の促進、放送番組等のコンテンツ流通市場の整備を2007年度中に進める。
また、クリエーターの新たな創作チャンスが増えるという視点も踏まえ、IPマルチキャスト放送事業者自らが魅力的な放送コンテンツを創るよう促すとともに、クリエーターとのビジネスマッチングの機会を2007年度中 に充実する。
(総務省、文部科学省、経済産業省)
○3 違法複製されたコンテンツの個人による複製の問題を解決する
合法的な新しいビジネスの動きを支援するため、インターネット上の違法送信からの複製や海賊版CD・DVDからの複製を私的複製の許容範囲から除外することについて、個人の著作物の利用を過度に萎縮させることのないよう留意しながら検討を進め、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省)
○4 権利者不明の場合におけるコンテンツの流通を促進する
我が国が蓄積してきた豊かなコンテンツを有効に活用するため、諸外国の動向も踏まえ、権利者の不明その他の理由により利用者が相当の努力を払っても権利者と連絡が取れない場合に、利用の円滑化を進める新たな方策について検討を進め、2007年度中に一定の結論を得る。
(総務省、文部科学省)
▲ IPマルチキャストについては、放送番組の同時再送信についてのみ実演家・レコード製作者の著作隣接権が制限されることとなった(禁止権から報酬請求権へ変更)。しかしIPマルチキャスト(電気通信役務利用放送)での自主放送については今も通信と同じように著作隣接権が及んでいる。これをどうするかという検討は当然必要となることだろう。地上デジタル放送への完全移行か実現できるかどうかが掛かっているのだから国も必死である(個人的には、完全移行など不可能だと思っているが)。
▲ 違法複製されたコンテンツの個人による複製については、この「違法複製されたコンテンツ」の範囲の広さによって違法行為が爆発的に増加することを指摘する必要がある。たとえば私的複製物の目的外使用(他人に私的複製物を渡したりするような場合)だとか、企業における会議などで 権利者から許諾を得ずに著作物をコピーしたような配付資料なども「違法複製されたコンテンツ」である。こういうのから私的複製するケースって結構あるでしょ?
いわゆる海賊版であっても、今では絶版・廃盤によって入手困難なコンテンツであったり、過去の放送番組で現在正規流通に載せられていないものなど、一定のニーズが存在しながら正規には満たされていない場面も存在する。そもそもこのような種類の海賊版が消えることは絶対になく、これからの私的複製をいたずらに違法化したところで抑制効果があるかは甚だ疑問だ。
正規流通への誘導と、海賊版頒布者への対応をもって対処していくのが本道である。この項目と裏表にあるのが著作権法上の罰則の非親告罪化だが、これももってのほか。
▲ 権利者不明の場合について、相変わらず利用者の「相当の努力」を求めようとしているようなのだが如何なものか。このようなことで利用が促進できるのだろうか?
【ノンブル91ページ】
※本編 - 第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり
I. 世界最先端のコンテンツ大国を実現する
1.デジタルコンテンツの流通を促進する法制度や契約ルールを整備する
(1)ビジネススキームを支える著作権制度を作る
○6 私的録音録画補償金制度の見直しについて結論を得る
私的録音・録画について見直すとともに、補償金制度については廃止や骨組みの見直し、他の措置の導入も含め抜本的な検討を行い、2007年度中に結論を得る。その際、技術的保護手段の進展やコンテンツ流通の変化等を勘案するとともに、国際条約や国際的な動向との関連やユーザーの視点に留意する。また、技術的保護手段との関係等を踏まえた「私的複製の範囲の明確化」、使用料と複製対価との関係整理等、著作権契約の在り方の見直し等についての検討を進め、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省、経済産業省)
○7 権利者の利益と公共の利益に留意した権利制限規定を整備する
i)公表された著作物に聴覚障害者向けに手話や字幕による複製を実施できるようにするなど、障害者による著作物の利用の促進という観点から著作権法上の権利制限規定を整備することについて関係団体による具体的な提案に応じて、検討を行い、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省)
ii)eラーニング推進のため、第三者が作成した著作物を学校の授業の過程で公衆送信により利用することについて、権利者・教育関係者間での権利処理の在り方などに係る教育関係者による具体的な提案に応じて検討を行い、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省)
iii)関係者間での権利委託と許諾システムの整備状況に応じて、医薬品等の製造販売業者が医薬品等の適正使用に必要な情報を医薬関係者へ提供するために行う文献等の複製や頒布・提供行為について、著作権者等への影響も勘案した上で、権利制限規定を整備することに関し検討を行い、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省、厚生労働省)
▲ 私的録音録画補償金制度については、単に私的録音録画小委員会で審議されている内容を引き写したに過ぎない。内容も(表向きは)中立的にまとめてある。しかしその内実は‥‥である。論理の積み上げが全く出来ない私的録音録画小委のお寒い状況はなおも続いている。
▲ 障碍者・教育・医薬品関連の権利制限に対する項目では、法制問題小委員会で 2005年度に 検討されたときの結論をそのまま引き写したのみ (2006年度には これらの項目は議題として挙がらなかった)。特に注目しなければならないのは、障碍者・教育関連では「具体的な提案に応じて」とし検討内容を提案者自身に委ねているところ。文化庁主導ではやる気が無いということでもある。
また医薬品関連では、法制小委委員からは理解が得られていたものの権利者による反対に遭って見送られた経緯があるが、医薬関係者からのパブリックコメント(「『知的財産推進計画2006』の見直しに関する意見募集の結果について」の「団体からの意見」参照のこと)では報酬あるいは補償金の支払いを前提に権利制限を求めているわけで、本来すぐにでも実現可能な項目と言える。しかし文化庁によって放置されている。今年度中に実現が決まったとしても遅すぎるぐらいである。
【ノンブル93ページ】
※本編 - 第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり
I. 世界最先端のコンテンツ大国を実現する 1.デジタルコンテンツの流通を促進する法制度や契約ルールを整備する (2)クリエーターに適正な報酬がもたらされる仕組みの下で、円滑な利用を進める
○3 権利の集中管理を進める
マルチユースに際し、クリエーターに適正な報酬がもたらされる仕組みとして権利の集中管理や権利管理情報の整備を促進するとともに、著作権法上の実演家の著作隣接権の共有に関する解釈を明確にし、利用に関しほとんどの権利者の合意が得られるコンテンツの流通を促進するための方策について検討を行い、2007年度中に結論を得る。
(総務省、文部科学省、経済産業省)
▲ 基本的に、著作隣接権の集中管理は放送番組の二次利用についてしか構想されていない。しかし実際に著作隣接権が流通阻害要因となっているのは音楽配信など他の利用態様についても同じであって、こういう利用も対象にしてこそ集中管理に意味が生じてくるのである。
そもそも著作隣接権は著作物を「伝える」役割を果たしている実演家・レコード製作者・放送事業者らにその「伝える」誘引を与えるために権利を認めたものとされる。すなわち己の権利を主張するあまり流通が阻害されるなどという事態は本末転倒であって、それゆえに集中管理がより求められるということにもなるだろう。
集中管理が実現しなかった場合、権利制限すべしとの議論も起こってくることは必至である(IPマルチキャストによる地上デジタル放送の同時再送信のように)。現に俺はそういう主張の持ち主だ。
【ノンブル94ページ】
※本編 - 第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり
I. 世界最先端のコンテンツ大国を実現する 1.デジタルコンテンツの流通を促進する法制度や契約ルールを整備する (2)クリエーターに適正な報酬がもたらされる仕組みの下で、円滑な利用を進める
○6 利用とのバランスに留意しつつ適正な保護を行う国内制度を整備する
i)コンテンツの流通形態の変化を踏まえ、著作権の間接侵害について検討を行い、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省)
ii)法定賠償制度の創設等を含めて、著作権侵害に係る損害賠償請求や不当利得返還請求等の役割・機能等に関して総合的に検討を行い、2007年度中に結論を得る。
(文部科学省)
iii)著作物の保護期間の延長や戦時加算の取扱いなど保護期間の在り方について、保護と利用のバランスに留意した検討を行い、2007年度中に一定の結論を得る。
(文部科学省)
iv)いわゆる放送新条約の検討状況を踏まえ、放送事業者への放送前信号に係る権利、譲渡権の付与等に関して検討を行い、2007年度中に結論を得る。
(総務省、文部科学省)
▲ 間接侵害・法定賠償制度・保護期間と重要課題めじろおし。というか、こんな重要な問題を「2007年度中に結論を得る」などといい加減な扱いをするんじゃない。
現に保護期間問題だけで半年費やしているではないか。まったく。
※それでも強引にまとめてくるのが文化庁のいつものやり方である。要注意。
【ノンブル95ページ】
※本編 - 第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり
I. 世界最先端のコンテンツ大国を実現する 1.デジタルコンテンツの流通を促進する法制度や契約ルールを整備する
(3)一般ユーザーがコンテンツを利用する環境を充実する
○1 ネット検索サービス等に係る課題を解決する
情報化時代におけるネット検索サービスが、国民生活の利便性の向上のみならず、産業政策や文化政策上重要であることにかんがみ、ネット上での検索サービス等に伴うサーバーへの複製・編集等や検索結果の表示に関する著作権法上の課題を明確にし、所要の法整備の検討を行い、2007年度中に結論を得る。また、新たなコンテンツへの検索・解析技術の開発・国際標準化や適切な保護ルールの検討などを2007年度から開始する。
(文部科学省、経済産業省)
○2 アーカイブ化を促進し、その活用を図る
i)公共的なデジタルアーカイブにおける著作物の収集・保存や絶版等に至った著作物で一般ユーザーが入手困難なものの提供など非営利目的や商業的利用と競合しない利用について、クリエーターへの補償措置も考慮しながら、コンテンツの保存・収集・利用を円滑に進められる方策を検討し、2007年度中に一定の結論を得る。
(文部科学省)
ii)2008年中にNHKアーカイブスのネット配信サービスが行えるよう、必要な法整備を進めるとともに、関係者間の合意や過去の放送番組の二次利用に関する権利処理に係る取組を促し、民間放送事業者や放送番組セン ターの保有する番組を含め放送番組アーカイブの円滑な利用を促進する。
(総務省、文部科学省)
iii)2007年度も引き続き、東京国立近代美術館フィルムセンターの機能の充実を図るとともに、漫画やアニメ関係資料、写真の収集保存について、地域・民間等での取組に協力する。
(文部科学省)
iv)2007年度も引き続き、国立国会図書館において行われている貴重な図書等のデジタル化やインターネット情報資源等を収集保存し、ネット上で一般ユーザーの利用に供する取組について、その促進が図られるよう一層の連携を進める。
(文部科学省、関係府省)
○3 インターネット上でのコンテンツの新たな創作・発信を促す
インターネット上における著作物の自由な創作・発信を促すため、2007年度中に、著作物等のネットワーク上での利用条件を意思表示するシステムの構築を目指し、著作者が予め意思表示する際の利用条件の類型化や本人の意思に基づく権利放棄の取扱い等のルールの法的課題等の研究を行うとともに、民間における自由利用促進のための取組を奨励・支援する。
(総務省、文部科学省、経済産業省)
▲ もうね、フェアユース規定しかねーよ。それが嫌だったら、片っ端から権利制限してしまえ。
現実に存在する適正なウェブサービスを著作権で潰すなんてのは下の下だ(確信犯的に著作権侵害をやってのけるというのならともかく)。そんなことしていたら、いつまでたっても「知財立国」など実現できっこない。今は技術と文化とが切っても切れない関係にあるのだから。技術を押さえられたら、文化流通(すなわち文化の伝播)の主導権をも握られたのに等しくなる。
Google を見よ。 iTunes Store を見よ。 ちょっと違うが YouTube を見よ。
▲ アーカイヴを担うのが公的機関というあたりが既に硬直化した考え方。むしろ Internet Archive のような民間団体がそれぞれにアーカイヴしていく形をとらないと、世の中に無数に発生し消えていく著作物を保存することなど不可能である。公的機関には公的機関としての役割(たとえば出版物の網羅や、蔵書の取捨選択など)があるのだから、何でもかんでも ここでやらせようとは考えないことだ。
【ノンブル96ページ】
※本編 - 第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり
I. 世界最先端のコンテンツ大国を実現する 1.デジタルコンテンツの流通を促進する法制度や契約ルールを整備する (3)一般ユーザーがコンテンツを利用する環境を充実する
○4 弾力的な価格設定など事業者による柔軟なビジネス展開を奨励する
2007年度も引き続き、消費者利益の向上を図る観点から、事業者による書籍・雑誌・音楽用CD等における非再販品の発行流通の拡大及び価格設定の多様化に向けた取組を奨励し、その実績を公表する。
(公正取引委員会、文部科学省、経済産業省)
○5 音楽用CDにおける再販売価格維持制度について検証する
2007年度も引き続き、ユーザーがコンテンツを選ぶ際に、価格についても幅広い選択肢の中から選ぶことができるよう、音楽用CDについては再販売価格維持制度の運用実態と効果を検証し、必要に応じてより効果的な方途を検討し対応する。
(公正取引委員会、文部科学省、経済産業省)
○6 安心してコンテンツを利用するための取組を奨励・支援する
i)一部のコンテンツが青少年を含め社会全般に悪影響を及ぼしているとの指摘があることを踏まえ、2007年度も引き続き「映像コンテンツ倫理連絡会議」における取組など、有害なコンテンツから青少年を守るための業界による自主的な取組を促進するとともに、ゲームの対象年齢を表示するレーティング制度の普及等を促進する。
(警察庁、文部科学省、経済産業省)
ii)インターネット上の違法・有害情報の増大に対処するため、2007年度も引き続き、サイトの利用の是非を閲覧者が事前に容易に判断できるよう、情報発信者が自らのコンテンツの表現レベル等をマークとして表示する仕組みの実用化を目指す民間の自主的な取組を支援する。
(総務省)
▲ 再販制は廃止すべき(特殊指定も同様)。
「非再販品の発行流通の拡大及び価格設定の多様化に向けた取組」などと甘っちょろいことを言ってるから、全商品にそれらの「取組」の占める割合が一向に増えないし、また音楽CDのように時限再販で発売されているものでも実際の値引率が1割程度しか無い(要は定価 3000円 のCDだと 2700円程度)ことなど、価格付けの多様化には程遠い有様。
特に音楽CDについては還流防止措置との二重保護下にあり、ただでさえ価格競争が阻害されているところ、相変わらずの価格高止まりである。いやむしろDVDとの抱き合わせ、どさくさ紛れの値上げ(最近は 3200円 という値付けのものも増えてきている)も横行している。
▲ いわゆる「有害情報」は国が認定すべきものではない。国民が各自判断すべきことに過ぎない。
要は〈情報の選別ができないガキにはネットを使わせるな〉。世の中はそんなにクリーンなもんじゃねえんだよ。無菌室でガキ育てて何をやらせる気だ。
【ノンブル99ページ】
※本編 - 第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり
I. 世界最先端のコンテンツ大国を実現する 2.海外展開を促進する
(1)日本のコンテンツの強みを世界的に発揮する
○8 音楽レコードの還流防止措置制度を活用するとともに輸出を拡大する
2007年度も引き続き、音楽レコードの還流防止措置の運用状況や海外における邦楽レコードの販売・ライセンス状況を検証し、輸出の拡大を促す。
(財務省、文部科学省、経済産業省)
▲ 2006年の対アジア ライセンス実績については、付属資料のノンブル37ページを参照のこと。一言でいえばお寒い状況。もともと「音楽レコード」については「日本のコンテンツの強み」というものが小さく、邦楽は国内市場のみを相手にし それゆえ輸入超過にあるわけで、わずかに輸出の望みがあったアジア圏においても一向に実績が上がらないという有様ではどうしようもあるまい。
あれだけの反対の声を押し切って導入した還流防止措置も、税関の人的リソース(さらに言えば経済的リソースも)を浪費するだけに終わっていると言わざるを得ない。
【ノンブル100ページ】
※本編 - 第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり
I. 世界最先端のコンテンツ大国を実現する 2.海外展開を促進する
(1)日本のコンテンツの強みを世界的に発揮する
○3 コンテンツ・ポータルサイトを支援する
地域発や中小コンテンツ事業者が創造するコンテンツを含め、幅広いコンテンツが備えられ、国内外の利用者が我が国のコンテンツに関する情報に円滑にアクセスできるよう、2007年度も引き続き、日本のコンテンツの情報発信基地であるコンテンツ・ポータルサイトの運用の拡大やその国際化を支援する。
(総務省、文部科学省、経済産業省)
▲ 権利情報等へのアクセスを可能にすることは、目的ではなく手段である。ポータルサイトの作成・運用は第一歩であってゴールではない。
最終的には流通へと結びつくような、権利の集中管理、協議不調時の裁定制度、時として権利制限(報酬請求権化)などを組み合わせて「目的」を果たせるよう万全の体制をとることが望まれる。
データベースだけを作っても不充分なのだ(もちろんこれも必要ではあるが)。
【ノンブル127ページ】
※本編 - 第5章 人材の育成と国民意識の向上
5.国民の知的財産意識を向上させる
(6)知的財産を含めた消費者教育を推進する
2007年度も引き続き、「消費者は、消費生活に関し、環境の保全及び知的財産権等の適正な保護に配慮するよう努めなければならない。」という消費者基本法の規定に基づき、知財を含めた消費者教育の推進体制の強化、担い手の強化及び内容の充実を図る。
また、「消費者教育を幅広く、かつ、効率的・効果的に実施していくために、広く関係機関の協力を得て消費者の教育の体系化を図り、これに基づく消費者教育の推進方策について検討する。」との消費者基本計画における記載に基づき、2007年度中に、知財を含めた消費者教育の体系化についても一定の結論を得る。
(内閣府、文部科学省、関係府省)
▲ 国民は“プロコピーライト”の奴隷ではない。それが大前提。
また著作権制度の在り方は社会の合意によって決定される(究極的には)。それが真実。
国民ひとりひとりが知的財産権に関する知識を得る必要は確かにあるだろうが、それは必ずしも国の指し示す方向に従う必要を意味するものではない。あるべき知的財産権保護の在り方を各自の思想と判断で探っていくことこそが本来求められる姿勢である。
知的財産権は、必要とされる範囲において保護されて然るべきなのである。必要以上の保護は害悪にしかならない。文化の独占はどこかで必ず歪みを生む。
【付属資料ノンブル37ページ】
※第4章 コンテンツをいかした文化創造国家づくり
(3)海外展開の促進
○2 音楽レコードの還流防止措置等
2005年1月、改正著作権法が施行され、アジア諸国など物価水準の異なる国において許諾を受けて生産された商業用レコードが我が国に還流してくることを防止する措置(還流防止措置)が導入された。還流防止措置の成果として、2006年の1年間で551タイトルがアジア諸国にライセンスされた。なお、2006年に日本で発売された音楽レコードは約1万タイトルである。
▲ 2006年のデータにしか触れないという誤魔化し。
「知的財産推進計画2006」によれば、2005年にアジア諸国へライセンスされたのは641タイトル。つまり減っているのである。ちなみに還流防止措置導入前の水準にも全く届かない。
ちなみに税関に輸入差止申立てがなされたのは(税関での集計によると) 2005年が 85タイトル、 2006年が 169タイトル。
還流防止措置が運用段階に入って2年半が経過しているが、この制度の趣旨である商業用レコードのアジア進出が促進されているのか否か、もはや明らかであろう。まして制度導入にともない日本レコード協会が約束したCD値下げも実現していない今、還流防止措置を続ける理由などどこにもない。
投稿:by 暇人#9 04:58 午後 [ユーザーと著作権, 著作権行政 watch, 音楽業界の愚行] | 固定リンク
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