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2007.06.18

【資料】私的録音録画小委は過去の議論を踏まえ、その内容の適否を精査した上で新たな提案へと進むべきである

※引用部中の下線は引用者による。

■2005年度 法制問題小委員会における検討の結果
 (「iPod 課金」もしくは「iPod 税」問題の検討として注目された。)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/06012705.htm
「文化審議会 著作権分科会報告書」
(文部科学省)



第2節 私的録音録画補償金の見直しについて

○ハードディスク内蔵型録音機器等の追加指定に関して,実態を踏まえて検討する。
○現在対象となっていない,パソコン内蔵・外付けのハードディスク ドライブ,データ用CD−R/RW等のいわゆる汎用機器・記録媒 体の取扱いに関して,実態を踏まえて検討する。
○現行の対象機器・記録媒体の政令による個別指定という方式に関して,法技術的観点等から見直しが可能かどうか検討する。

(中略)

3 検討結果
 本小委員会においては,平成17年2月,補償金制度に関し,著作権分科会「著作権制度に関する今後の検討課題」が示した各課題について検討を開始したが,検討の過程において現在の補償金制度が抱える様々な問題点が指摘された。したがって,この報告においては,まずはこの制度がこれまで我が国において果たしてきた役割や意義とあわせて,指摘された問題点等について述べることとし,それを踏まえた上で,著作権分科会の示した各項目についての検討結果その他を記すこととしたい。


(1)補償金制度の意義

 平成4年に導入された我が国の補償金制度については,現在様々な問題が指摘されているものの,私的録音・録画が一般的に自由とされ(注14)かつ実際にデジタルによる録音・録画が広範に行われている現状(注15)の下で,これまで一定の機能を果たしてきた。

(注14)
 ただし,平成11年の著作権法改正により,私的使用のためであっても「技術的保護手段を回避して行う複製」は「自由」ではなくなった。
(注15)
 脚注14の法改正や技術の進展によりDRMは様々な分野において普及しつつあるが,CDについては,MDへの複製を一世代のみに限定するDRM(SCMS方式)はMD機器に広く普及されているが,汎用機からCD−Rへの複製に対しては,DVD,音楽配信,デジタル放送の場合と異なり,いまだ本格的にDRMが採用される状況にいたっていない。(49頁 表「デジタル環境下における主なDRMの例」参照)


(2)補償金制度を巡る諸課題
 他方,本小委員会においては,補償金制度の制度上あるいは運用上の問題や,制度の前提となっている状況の変化等について,以下のとおり指摘されたところである。

ア 指摘された制度上の問題点
 
実際に著作物の私的録音・録画を行わない者も機器や記録媒体を購入する際負担することとなる。この問題点を解消するための返還金制度も,そもそも返還額が少額であり実効性のある制度とすることが難しい。(複製を行う者の正確な捕捉の困難性)
 
汎用的な複製に用いられる機器(パソコン)や記録媒体(データ用 CD-R) は,私的録音・録画に用いられる実態があるが,仮に指定すると音楽録音等に使用しない者にも負担を強いることとなり,指定は困難(しかし,指定されないことにより,現実に行われている多くの複製が捕捉されない結果となっている)。(複製の対象となる機器や記録媒体の正確な捕捉の困難性)
 
権利者への分配は,CD出荷量,放送・レンタル等の音楽使用データより推計して行っており,緻密に算出しても,実態の捕捉の困難性から,著作物等を複製されているのに配分を受けることができない権利者が生じ得る。(配分を受ける権利者の正確な捕捉の困難性)


(注)「二重徴収」についての問題

・消費者が配信サービスにより楽曲の提供を受けた場合に,配信についての「課金」と,私的録音に対する「補償金」が「二重徴収」されているのではないかとの問題が指摘された。
〈「二重徴収」に当たらないとする意見〉
 配信サービスの対価はあくまでも「消費者への音源の配信」や「ダウンロードに際しての複製」についての対価であり,その後の私的複製は対象としていない。
〈「二重徴収」に当たるとする意見〉
 ユーザーの複製を前提とした配信サービスにおけるビジネスモデルにかんがみると,配信サービスの対価を徴収した上で「補償金」を徴収することは「二重徴収」に当たる。

・購入等の手段によって,自己所有のCD等を複製する場合においても「補償金」が「二重徴収」されているのではないかとの問題が指摘された。


イ 指摘された運用上の問題点
 
・消費者に制度が知られておらず,機器や記録媒体購入の際負担していることを認識していない消費者がほとんどである。
 
・補償金の返還制度は十分に機能していない。
 
・共通目的事業の内容が十分知られていない。また,権利者のみならず,広く社会全体が利益を受けるような事業への支出も見られる。


ウ 現在の補償金制度の前提となる状況の変化

・現在の補償金制度は,「私的録音・録画が零細であり,その捕捉が事実上困難である」ことを前提とした制度であったが,DRM等の技術の進展により私的録音・録画の実情の捕捉が可能となりつつあるとの意見がある(注16)。したがって,「機器や記録媒体の購入の際にすべての消費者が補償金を支払わなければならない」という現在の制度を正当化する根拠は失われつつあるとの指摘がなされたところである。

(注16)
 もっとも,DRMの普及については,その社会的なコストがどの程度か見極める必要があると共に,ユーザーのプライバシー保護が十分である必要がある。


(3)検討の結果
 以上のような,補償金制度の導入の経緯や意義,更に問題点の指摘を踏まえ,本小委員会としては以下の結論を得た。

ア 著作権分科会が示した各検討事項について

○ハードディスク内蔵型録音機器等の追加指定に関して,実態を踏まえて検討する

・仮に本制度導入時にこのような機器が存在していれば,この制度の対象となったであろうとの意見があった一方で,市場に投入されている一部機種には写真その他のデータを保存できる機能を有するなど,音楽の再生以外の機能を有する「汎用機器」のものもあることから,補償金の対象とすることが適切ではないとの指摘もあった。
 
・しかし,これら機器は,音楽の録音・再生を最大のセールスポイントとして販売され,また購入されているのが実態である。したがって,主として「音楽の録音に用いられるもの」として指定すること(注17)は不可能ではないと考えられる。
 
・しかしながら,本件について検討する過程においては,現在の補償金制度についての様々な問題が指摘されるとともに,そもそもこうした問題点を抱えたままで新たな指定を行うことについては反対する意見も多数述べられたところである(注18)。
 
・このような状況の下では,本小委員会としては,現時点で内蔵型機器の指定を行うことは必ずしも適切ではないと思料する。今年以降の私的録音・録画の検討において,補償金制度について抜本的に検討を行う中でその検討結果を踏まえ適切に検討すべきであると考える。

(注17)
 著作権法第30条第2項は,機器と媒体を分離して規定しているが,機器や媒体の指定は,国民の権利・義務に直接関連する事項であることから,条文は厳格に解釈する必要があり,現在の条文で想定されていない「内蔵型」指定をするためには,法律の規定ぶりを変更する必要がある。
(注18)
 現在販売されている「内蔵型」機器については,パソコンは別として他の機器への直接の複製が不可能となっているものが多く,また,私的複製の対価はレンタルや配信サービスを受ける際の料金に織り込み済みであるとの意見もあり,これを補償金の対象とすることについて,各方面の理解を得るには至っていない。

○現在対象となっていない,パソコン内蔵・外付けのハードディスクドライブ,データ用CD−R/RW等のいわゆる汎用機器・記録媒体の取扱いに関して,実態を踏まえて検討する。

・汎用機器は,私的汎用機器は,私的録音・録画に用いられることが多く,例えば内蔵型機器のうち,録音についても,パソコンを経由して複製が行われるなど,私的録音・録画の現状においては,無視できない存在であるにも関わらず,パソコン内蔵・外付けのハードディスクドライブ,データ用CD-R/RW等のいわゆる汎用機器・記録媒体(以下「汎用機器等」という。)は現在補償金の対象とはされていない。

・この点,汎用機器等については,以下のような理由から,補償金の対象とすべきでないとする意見が多数であった

 (i)録音や録画を行わない購入者からも強制的に一律に課金することになり,不適切な制度となる。また,補償金返還制度も機能しづらい
 (ii)課金対象を無制限に拡大することにつながる
 (iii)実態として,他人の著作物の録音・録画が利用の相当割合を占めるとは考えにくい
 (iv)現行の補償金制度の問題点を増幅させる結果を招く

・なお,汎用機器等の取り扱いは,今後の私的複製における重要な課題であることから,今年以降の私的録音・録画の検討のなかで,十分な検討を行い,結論を得る必要がある。

○現行の対象機器・記録媒体の政令による個別指定という方式に関して,法技術的観点等から見直しが可能かどうか検討する。

・現行制度では2つの問題があると指摘される。1点目は,技術を指定する現行制度は,指定までの時間がかかり過ぎて権利者の補償に欠けることである。2点目は,技術を指定する現行制度は,私的録音録画補償金を支払う消費者には理解できず,制度への理解を妨げる一因ともなっていることである。
 
・しかし,法的安定性,明確性の観点から,現行の制度の下では,現行の方式を変更すべきではない
 
・ただし,機器等の個別指定が技術革新の速度に対応できないという意見や,指定手続を機動的かつ透明性の高いものにすることを前提に,機器等の指定を省令又は告示に委任することも検討すべきとの意見もあった。補償金制度の見直しの際に,併せて検討するべきである。


イ 私的録音録画補償金制度の課題について

(ア)私的録音・録画についての抜本的な見直し
 
・平成17年1月24日に著作権分科会で示した「著作権法に関する今後の検討課題」や「知的財産推進計画2005」においては,私的複製に関して,それが認められる範囲の明確化などについて検討することとされている。
 
・本小委員会としては,今回の検討の過程で補償金制度の在り方について様々な問題点や社会状況の変化の指摘があったことを踏まえ,上記「私的複製の検討」では,私的録音・録画についての抜本的な見直し及び補償金制度に関してもその廃止や骨組みの見直し,更には他の措置の導入も視野に入れ,抜本的な検討を行うべきであると考える。
 
・この私的録音・録画の検討は,実態を踏まえた解決策を見出し,著作権分科会「著作権法に関する今後の検討課題」や,政府の「知的財産推進計画2005」に示されているように,平成19年度中には一定の具体的結論を得るよう,迅速に行う必要がある。
 
・なお,検討に当たっては,補償金制度に対し,本小委員会において指摘された点や以下の点等について十分留意すべきである。
 (i)平成4年の制度導入時においては,国際条約との関連に大きな考慮が払われた。私的録音・録画が今後一層広範かつ自由に行われるような事態となれば,我が国としてはその国際的な責務を十分果たしているか,国際社会から厳しい目を向けられることは必定である。そのようなことから,今後も国際条約や国際的な動向との関連に大きな留意を払いながら,私的録音・録画により権利者の利益が不当に侵害されると認められることのないよう留意する必要がある。
 (ii)また「ユーザー」の視点を重視し,提案されるべき将来あるべき姿は,ユーザーにとって利用しづらいものとならず,かつ納得のいく価格構造になるよう留意する必要があるとともに,ユーザーのプライバシー保護にも十分留意しなければならない。


(イ)現在の制度の運用上の改善

・ 私的録音録画補償金制度の当面の運用に関しては,次のような改善を速やかに図る必要がある。
 (i)「消費者への理解」に努める。
   (更なる広報活動の充実・商品パッケージ記載の充実)
 (ii)「共通目的事業」の理念の再検討又は見直し。




■現 私的録音録画小委員会で当初出されていた検討方針

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/020/07042409/005.htm
「私的録音録画問題に関する検討の進め方(案)
 (第1回会合配付資料5)」
(文部科学省)



私的録音録画問題に関する検討の進め方(案)

 私的録音録画問題を解決するために具体的にどのような方法が考えられるかについて、次の手順に従って検討する。


1.第30条(私的使用のための複製)の範囲の見直しについて

○昨年の小委員会で事務局が提出した「著作権法第30条について(私的録音録画関係)」(参考資料6)及び「著作権法第30条の範囲外とすべき利用形態等について(案)」(参考資料7)に関する議論を踏まえ検討する。

(検討例)
・第30条の対象外にすることが可能な利用形態とは何か。
 →昨年の小委員会の議論では、違法複製物、違法サイト(ファイル交換によるものを含む)からの私的録音録画及び適法配信からの私的録音録画については、制度改正に課題が少ないと整理されている。

第30条の対象外とする利用形態について権利者と著作物提供者や利用者との円滑な契約が可能かどうか
 →例えば iTunes のような著作物提供者と利用者との間の契約関係がある有料サービスについては利用者の私的複製の部分も含め円滑な許諾が可能と考えられるが、利用者との間の契約関係のない一般のホームページからのダウンロードや、広告収入により運営している配信サービスについてはどうか。

・違法状態を放置することにならないか
 →例えば違法サイトからの私的録音録画を第30条の対象外とした場合、現在の違法サイトの利用状況が変わらなければ違法複製が蔓延するおそれがあるが、これについてどう考えるか。

○なお、私的録音録画問題は、著作権等の権利制限を認めた第30条の範囲内の複製が問題の前提であることから、一定の利用形態が第30条の対象外になれば、その利用形態に関する補償措置の必要性の議論は必要なくなるのは言うまでもない。


2.補償措置の必要性と具体的な対応方法について

(1)著作権保護技術と補償措置の必要性について

○昨年の小委員会で事務局が提出した「私的録音録画に関する補償措置の必要性について(案)」(参考資料8)に関する議論を踏まえ、著作権保護技術の程度と補償措置の必要性の関係について更に整理し、どのような著作権保護技術であっても複製が可能である限り補償措置の必要性が伴うのか、反対にどのような保護技術であれば補償措置の必要性がなくなるのか等について検討する
○また、昨年の小委員会で事務局が提出した「著作権法第30条について(私的録音録画関係)」(参考資料6)に関する議論を踏まえ、補償措置の必要性と関連して、技術的保護手段の設定について一定の制約を設けるかどうかについても検討する。

(2)具体的な対応方法について

私的録音録画補償金制度による対応
 補償金制度による対応をするとした場合、対象機器・記録媒体の範囲、一体型機器の取り扱い、支払義務者、私的録音(又は録画)補償金管理協会のあり方、補償金の額の算定方法、共通目的基金等のあり方、補償金制度の広報等の問題について検討する

オーバーライド契約その他の方法による対応  第30条を維持したまま、例えば権利者と著作物の提供者や利用者との契約により対応する方法は考えられるか、また、その他の方法により問題の解決を図れる方策はあるのか検討する。  →例えば、CDレンタルについて、レンタル店がレンタル料金に私的複製の部分の対価を上乗せして徴収したり、CD販売について、CDの販売価格に私的複製の部分の対価を含めることは考えられるか。放送については何らかの方策が考えられるか。

 本文として、別ブログで詳しく書くつもりではあるが、これまでの検討課題として挙げられたものをまともに議論させず、ただ事務局が思うように小委員会運営が進められていくのであれば、それは権利者・利用者間の合意形成とはとても言えない。
 すなわち、私的録音録画小委員会第5回会合をもって私的録音録画補償金の正当性が完全に失われ、もはや従うに値しない利権を生きながらえさせるだけ(しかしユーザーが支払いを拒否することで実質死に追いやることができる)の事態と化すことになろう。

 合意形成というものは本来、対立する当事者同士の間でもって共通して持てている認識を特定し、かつ対立点も互いの納得できる落としどころを探ることで(要は双方に妥協する姿勢が必要)可能となるものである。しかし文化庁著作権課(私的録音録画小委の事務局)はそうした理解と納得の段階を踏まず、いきなり自分らの望む「叩き台」とやらを提示し、強引に議論を進めようとした。当然反論が相次ぎ、結局は「そもそも論」での対立に終始したとのことである。
 もはや文化庁著作権課にはこの議論の場を仕切る能力が全くないと考えるのが自然であり弁証法的観点からも帰納的である。今期私的録音録画小委員会が開催されるたびに多くの小委員会委員が根幹の議論提示をしたにもかかわらず、作為的に論点として採り上げることをしない(検討方針を示す資料に反映させない)などハナから「結論ありき」の審議会運営を続ける事務局には真摯な姿勢など微塵も感じられない。
 文化庁が公平公正な著作権行政を運営するのに適切な省庁であるとは全く言えず、速やかに著作権行政を他の省庁に移管することを「アップル」でなくても強く望むところである。

 配付資料等、小委員会での詳しい内容が明らかになり次第、さらなる考察を加える。

投稿:by 暇人#9 11:22 午後 [ユーザーと著作権, 著作権行政 watch, 音楽業界の愚行] | 固定リンク

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