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2007.06.20

私的録音録画補償金拡大を強行する文化庁 ──エンドユーザーはこれ読んで怒れ!

 6月15日 に開催された文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会(第5回)会合の内容が徐々に明らかになってきている。

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/06/18/16070.html
「私的録音録画小委員会、見直し議論は『補償の必要がある』ことが前提?」
(INTERNET Watch)

http://nirvana.blog1.fc2.com/blog-entry-82.html
「著作権分科会 私的録音録画小委員会(第5回)」
(zfyl)

 委員から相次いで指摘されていた「そもそも論」を積み重ねるという必須の作業をすっとばし、ついに事務局側から強引に「叩き台」と称する方向性が打ち出された。その中には反対意見が出ている私的複製範囲の縮小や補償金の必要性ありと認めることに加え、私的録音録画小委では一切議論されていない iPod 等への課金・汎用機器 記録媒体への課金・支払義務者の変更(返還制度の実質的廃止)・政令指定の変更なども明確な形で書かれている。
 まさに「結論ありき」の形で出された「叩き台」であり、これまでの議事進行を見ても異論を全く受け付けない形で公表されるに至ったものだ。

 このような有様では、とても合意形成の場とは呼べない。この小委員会で何かが決められたとしても、エンドユーザーが納得できるものではないし、またメーカーもそうした“新制度”に従うことなど非常に困難であろう(個人的には、最悪の場合、メーカーが訴訟を起こすなんてことも視野に入れるべきではないかとすら思う)。

 以下、事務局が独断で作成した「叩き台」と、それに対して当然に反論した亀井委員 (JEITA) の発言を引用する。

※なお「叩き台」は第5回会合当日の配付資料から、亀井委員の発言は傍聴者によるメモから引用。いずれもブログ 『zfyl』 に掲載されていたもの。




■資料1から、事務局が過去の議論を踏まえず一方的に提示した「叩き台」(抜粋)

※下線は引用者による。

http://zfyl.shacknet.nu/070615_m01.pdf



【資料1】

私的録音録画に関する制度設計について


1 前提条件の整理

(1)第30条の範囲の縮小

 私的録音録画に関するいくつかの行為類型のうち、
  ア 違法複製物・違法サイトからの録音録画
  イ 適法配信・有料放送からの録音録画
 については、第30条の適用範囲から除外することとするが、それ以外のものについては従来どおりの適用範囲内とすることでどうか。

(2)著作権保護技術と補償の必要性との関係

 (中略)


2 仮に補償の必要性があるとした場合の私的録音録画補償金制度の基本的なあり方

 (中略)

(2)録音録画機器・記録媒体の提供という行為に着目した制度設計について

○1 対象機機・記録媒体の範囲について

(中略)

ウ 改善すべき課題と対応策

(ア)対象機機について
○ 現行制度は、私的録音録画に専ら使用され、かつ記録媒体を内蔵しない機器(分離方専用機器)を想定して制度設計を行っている。

○ 現在は、
 a 録音録画機能以外の機能(再生機能は除く)を併せ持つ機器(汎用機器)
 b 記録媒体を内蔵した一体型の機器
 が主流となりつつあり、この傾向は、ここ数年のうちにより顕著となっている。

○ このようにIT技術の急速な発達に伴い一体型機器や汎用機器を用いて行う録音録画が増加していることを考えれば、これを対象にしないことは、負担の公平性の観点から問題があるところから、対象機機の範囲を見直す必要があると考えるがどうか。

○ 専用機器については、記録媒体を内蔵した機器(一体型専用機器)であっても、私的録音録画に専ら使用される専用機器であることに違いはないことから、対象にすることについて課題は少ないと考えられるがどうか。

○ 汎用機器については、
 a ポータブル・オーディオ・レコーダ (iPod、 ウォークマン等)に代表されるように、汎用機能を有するが消費者の主たる用途は私的録音録画であるもの と、
 b 通常のパソコンのように、消費者の主たる用途が私的録音録画であるとはいえないもの
 に分類されると考えられる。

○ aの場合、例えば専用機器であるポータブル・オーディオ・レコーダと汎用機器ではあるが主たる用途は録音録画であるものとの取り扱いを異なるものとすることは、負担の公平性から問題があることから、これを対象にすることが適切であると考えるがどうか。

○ bの場合、機器の購入者が私的録音録画に供する可能性がかなり低いものもあると考えられることから、補償金の対象とするかどうかは、この論点をどのように整理するかを改めて検討・整理する必要があると考えるがどうか。


○2 対象機器・記録媒体の決定方法について

(中略)

ウ 改善すべき課題と対応策
○仮に汎用機器・記録媒体も対象範囲に加えるとすると現行の政令指定方式では対応できないと考えられ、他の問題点も考慮すると、新たな決定方式を考える必要があると考えるがどうか。

○例えば、次のような方法により、弾力的に、また迅速かつ透明性ある決定方式にすることは考えられるか。なお、他に適切な方法はあるのか。

 例 政令で定める基準に照らして、公的な「評価機関」の審議を経て、文化庁が定める

(説明)
・政令で一般的な基準(たとえば、技術、用途)を定め、具体的な対象については評価機関で議論されることとなるため、汎用機器についても利用実態を考慮して判断できる。
・公的な評価機関は、例えば権利者、製造業者、消費者、学識経験者で構成され、そこで対象範囲が議論され、透明性が確保されたプロセスにより審議する
・政令指定よりも迅速に対応できる


○3 補償金の支払い義務者

ウ 改善すべき課題と対応策
○ 現行制度は、専用機器・専用記録媒体を前提にした制度であるところから、負担の公平性の点から、仮に汎用機器等を対象にする場合、イの問題点から現行制度のように利用者が支払い義務者では対応できないと考えられるがどうか。

○ 仮に見直すとした場合、選択可能な制度は、我が国以外の国で採用されている製造業者及び輸入業者が支払い義務者になることが適切と考えられるがどうか。

○ なお、製造業者等の支払い義務者とすることの考え方を整理すると次のようになるが、これについて問題はあるか。

 ・録音録画機器等の提供があることから私的録音録画が行なわれるとの因果関係がある。
 ・著作権法の原則では、利用者が補償金を支払うのが基本であるが、個々の利用者から補償金を徴収するのは事実上困難であり、現行制度においても実質的には製造業者が補償金を支払っている
 ・今回の制度見直しにより、負担の公平性の点から汎用機器も対象にせざるを得ないとすれば、返還制度に関する問題点等が拡大するなど現行制度の考え方では対応できないところから、第30条の存在により利益を得ており、現行制度においても実質的に補償金を支払っている製造業者等に著作者保護のために協力を求めることが適切と考えられる


■この資料1に対して JEITA 亀井委員が当然にぶつけた反論

亀井委員:まず資料1について。
 第10小委員会報告書などを読むと、基本的に著作物利用の責任は受益者たる利用者が負うというところから出発している。現行制度設計時はこうした理念が きちんと議論され、整理された上で作ら れたと理解している、資料1をみると、その理念はどこにあるのか。これから理念について議論されるのだろうと思うが、表面的に制度改正をするという議論に なってしまわないか。
 前提条件の整理について。前回もかなり議論があったが、そういうことについて一切ふれられていない。何が「整理」か
 また、違法サイト、適法サイトとあるが、これについても定義が満足に議 論されていない。それ以外についても議論が全く不十分なまま。それでどうかと聞かれても「はいそうですか」とはいえない状況。それが前提である
 2に至っては、以前から事務局が出されているそのままの表現。いくつか意見を申し上げ たが、全く反映されていない。JEITAとしては、アの条件は成就しているのではないかと考えているが、そのことも書いてない。
 それでも、「仮に」ということで「制度論をしようよ」ということで始まり、「これまでの本委員会の議論から」とあるが、どうしてそういう帰結が出てくる のか、全くわからない
  対象機器、媒体について、汎用機器、汎用媒体への拡大が提案されているが、ラフジャスティスの制度の上で拡大するということは、さらにラフにということだ から、全く妥当とは思われないし、先ほど理念は何かということを申し上げたが、これは「お金が欲しい」としか聞こえない。言い過ぎかもしれないがそのよう に さえ思える。
 「消費者の主たる用途」と書かれて いるが、それが現行の政令の「主として・・・用に供するもの」という表現とどこがどう違うのか。主観的要件と説明されたが、その基準は非常に曖昧。たとえ ばPCをCDのコピーのために買う人はいるが、その用途はいったい何なのか、ということになる。
  汎用機器を用いての録音録画が増えていると書かれているが、たとえばポータブルオーディオプレーヤーを買ってネット配信で買うという方が仮に増えたとして も、前提条件としてそれは補償金の外だということであれば、それはそもそも補償金を負担する義務がないということ。負担の公平性の観点から問題とい うが、果たしてそうなのか。
 それから、決定方法について、現行法の政令指定という枠組みは、文化庁だけで決められるのではなく、様々な観点からの検討が必要だという前提から定めら れたもの。「例えば」としてあげられている方法では、その考え方はどこに行ってしまうか。法的安定性、明確性のためにもそうした制度であることが必要と考 えられる
 例ではそれによって迅速化されると書かれているが、形式的な評価委員会を設けて、一回的に議論して、その後文化庁が決められるから速くなるといっている としか思えないので、この審議会でいろいろ申し上げてもそれが取り上げられないことを考え合わせると、どう検討されるのか、非常に大きな疑問がある。
 支払義務者について大きな提案がされている。外国の制度を引き合いに出されておっしゃっているが、ドイツでは元々機器メーカーが間接侵害者だという議論 から出発し ている。そこでできあがってきた制度と、当然ドイツの状況も勘案しながら決めた我が国の今の制度とでは、経緯、判断が全く違う。どうしてひっくり返すの か。立法事実に変化があるのか。説明が必要である。
 返還制度がワークしていないという問題があるが、立証責任を利用者に負わせている点であるとか、運用上の問題がないか、補償金制度の認知が低い中で返還 制度をどれほどの人が承知されているか、といった点が全く議論されないまま、返還制度については、「支払義務者を変えれば忘れることできる」といっている ようにしか読めない。「そういう議論をしていていいのか??」という疑問がある。
 最後に、「実質的に補償金を支払っている製造業者等に著作権保護のために協力を求めることが適切と考えられる。」と書かれているが、現在における メーカーの協力義務以上に支払い義務のことをおっしゃっているということであれば、今のような議論のプロセスからいえば、何をか言わんやであって、全く受 け入れることができない

 文化庁が今こういうものをごり押ししようとしているということを我々は知らねばならない。
 こんなものはもはや「補償金制度」ではない。国民からの財産収奪だ。

投稿:by 暇人#9 05:58 午後 [ユーザーと著作権, 著作権行政 watch, 音楽業界の愚行] | 固定リンク

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