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2007.07.09

私的録音録画小委#5の資料1(事務局作成「叩き台」)の問題点

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/020/07061916/001.htm
「文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会(第5回)
 議事録・配付資料 [資料1]」
(文部科学省)

 ──箇条書き。

●私的録音・録画から外す範囲について相変わらず進める気でいるのがまず論外。しかも「有料放送からの録音録画」までいつのまにか加わっている。これらの法改定については実効性の検討が不可欠であるが、私的録音録画小委員会でどれだけ検討したというのか。「そもそも論」すなわち「なぜ私的録音・録画に補償金を課さねばならないのか」という論点でずっと進められてきたではないか。

●HDD ビデオレコーダーや携帯音楽プレーヤーについて「これを対象としないことは、負担の公平性の観点から問題がある」としているらしいが、これは事務局が判断することではない。まして補償金制度というそもそも不公平な制度において、課金対象の範囲が不「公平」などと称するのは片腹痛い。
●パソコンについて「論点をどのように整理するかを改めて検討する必要がある」としているらしいが、ということは、上記 携帯音楽プレーヤー等については論点整理・検討は必要ないと考えているのか。そもそも論をすっとばし、加えてこういう重要な論点をもすっとばす。そもそも法制小委での議論(2005年度)では現行制度に問題点が多いため iPod 等への課金見送りということであった。しかし私的録音録画小委においてその現行制度の問題点は全く解消されていない(検討すらされていない)。新たな課金対象を考える段階には全く無いということだ。
●加えて、現行の政令指定についても簡便化する方向性が出されたらしい。ふざけるな、だ。法制小委では現行制度では政令指定の維持が望ましいとはっきり結論されている。また、 iPod への課金議論を見ればわかるように、現行の「政令指定」のままでも著作権分科会での議論を経ることで一定の「透明性」は得られている。文化庁主導で不適切な議事進行が為されるという点では「評価機関」なぞというものを用意しても同じだ。むしろその公開性が危ぶまれるところである。それよりも文化審議会の各議事録を早く公開することに努めるべきであろう(その方がよほど「透明性」に資するというものだ)。

●俺はあちこちで「ユーザーを支払い義務者にするという日本法の規定は、私的録音録画補償金制度における唯一の合理的制度設計だ」と発言している。しかしこの前提すらも覆す提案を文化庁はしている。これは CPRA からも提案されていることで知られているが、全くもって言語道断である。
●まず、この支払い義務者をメーカーにするというのは、エンドユーザーを私的録音・録画問題の議論の場から排除する効果がある。実際の負担はエンドユーザーが行なっているにもかかわらず、である。
●さらに言えば、メーカーに課金することで補償金の返還制度を改めるというインセンティブが下がる。私的録音・録画をしていないユーザーにも補償金を負担させるという不当な制度設計を可能にするということでもある。要は、他人の著作物の私的録音・録画〈にも〉使える機器・記録媒体を買った人間は全員 著作権・著作隣接権の管理団体へ みかじめ料を払えという制度が完成することを意味する(財産権侵害で訴訟を起こしたいくらいだ)。
●仮に私的録音・録画が補償すべき行為だったとしたら、その補償金を支払うのはユーザー自身であるべきである。だからこそ日本法での規定は合理的なのである。
●なお、メーカーを支払い義務者とすることについての上記問題点は、私的録音・録画問題に補償金制度で対応すべきと唱えた半田正夫氏ですら看過できないものとして指摘している。

●「コンテンツ提供者から補償金を徴収する『世界初』の制度設計案」というのは、実は補償金制度創設時にも検討されていた(記事で例示されているほど大胆なものではなかったが──著作権審議会第10小委員会報告書参照のこと)。しかしこの時には明確に否定されている。理由は RIAJ の生野委員が反論したという内容そのものだ。
●もっともユーザー側からすれば、買った金額に補償金が上乗せされるということ自体 受け入れられるものではない。まして買ったものからの私的複製については権利者の利益を損なうものでないことは権利者からも認められたところである。
●個人的には、これは“目くらまし”ではないかとも思われるが。おおよそ実現不可能なものを対比として持ってきて、“本命”の議論へと向かわせるための。しかし本来とるべき方向性が資料1に含まれていないという事実を我々は堂々と指摘すべきである。


●メーカーが利益を「権利者」に還元しなければならないとしたら、「権利者」もまたその利益を、プレーヤーを作っているメーカーに還元すべきであろう。各媒体のプレーヤーをメーカーが作っているからこそ、「権利者」はCDだの DVD だのを作って得ることができるのである。結局の所、このような主張は自分らの利益拡大だけを考えているのであり、共存共栄を考えているものではないということ。

投稿:by 暇人#9 11:39 午後 [著作権行政 watch, 音楽業界の愚行] | 固定リンク

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