2006.01.07

著作権法改定後の状況

 『Where is a limit?』 さんの記事に触発されて(ついでにデータもパクらせてもらって)、新しい内容で知財戦略本部へ意見を出した。締切りの 1月6日 を目一杯使って書き上げたものだ。 2004年の 著作権法改定(施行は 2005年) の中心だった還流防止措置と書籍・雑誌貸与権のふたつについて、施行後1年の状況をまとめたものである。
 ただし私も“事情通”という訳ではないので、あくまでも私の視点からしか描けないわけだが。特に貸与権に関しては、あまり情報が流れてこない(ように見える)。そのようなわけで、事実誤認等あるかもしれない。指摘されたし。

 ──以下、提出した意見である。




 2004年の 著作権法改定(施行は 2005年1月1日) により、商業用レコードの還流防止措置が創設され、また書籍・雑誌に貸与権が及ぶこととなった。それぞれについて、施行後1年の状況を以下 考察したい。


【還流防止措置】

●2005年中に アジアでライセンスされた邦楽CD、および差止申立ての受理されたCDがあまりに少なすぎる。還流防止措置の目的は邦楽CDのアジア展開を促進することにあったのだが、日本レコード協会の調査によると、 2005年上半期では むしろ前年比 21%減 であることが明らかになっている。 2005年 全体では最終的に前年並みにまで回復する見通しとのことであるが、これでは還流防止措置を創設した意味があったようには思われない(自由貿易の国是を曲げてまで創設された制度だけに、効果が得られなかった場合は撤廃すべきである)。
 なお アジアでライセンスされた邦楽CD、および税関に差止申立てされたCDに関する集計データを以下に幾つか引用する。

△2005年1月〜3月
 ライセンス 延べ 229 (133 タイトル)
 ※知的財産推進計画 2005 「知的財産戦略の進捗状況」より

△2005年4月8日 時点
 申立予定 延べ 17
 受理済み 延べ 9
 ※ブログ 『Where is a limit?』 調べ

△2005年1月〜6月
 ライセンス 延べ 494 (286 タイトル)
 受理済み  延べ 32 (13 タイトル)
 ※日本レコード協会調べ。
  前年同期からライセンス 21%減。 タイトル 23%減。
  なお 2005年は 最終的に前年並みになる見通しとのこと。
  公正取引委員会『音楽CD等の流通に関する懇談会(第2回)』
  資料より。

△2005年6月30日 時点
 申立予定 延べ 226
 受理済み 延べ 34
 ※ブログ 『Where is a limit?』 調べ

△2005年9月6日 時点
 申立予定 延べ 276 (153 タイトル)
 受理済み 延べ 81 (39 タイトル)
 ※公正取引委員会調べ。
  『音楽CD等の流通に関する懇談会(第2回)』資料より。

△2005年9月6日 時点
 申立予定 延べ 275
 受理済み 延べ 85
 取下げ済み 延べ 6
 ※ブログ 『Where is a limit?』 調べ

△2005年12月26日 時点
 受理済み 延べ 157 (82 タイトル)
 申立予定 延べ 352
 取下げ予定 1タイトル
 (計 510)
 ※ブログ 『Where is a limit?』 調べ

 全体を通して見ると、アジアでのライセンス数が前年割れである以外に、そのライセンス数が差止申立受理・申立予定の合計を上回っていることが判る。すなわち還流防止措置を利用していない邦楽アジア盤も存在しているということである。
 日本レコード協会は差止申立てを行なう盤はすべて「輸入差止申立てに係る対象レコードリスト」に掲載するとの方針であるから、ここに掲載されず アジアでライセンスされた盤は輸入可能であると思われる。そこで問題になるのは当該盤に「日本国内頒布禁止」の表示が付けられていないのかだ。この辺り、レコード協会には実態把握および適正化の努力義務があるのではないか。


●ライセンス数はともかく、差止申立予定数と申立受理数とを比較しても、受理済みの盤はあまりにも少ない。特に、日本レコード協会での公表リストに掲載され現地発売から半年も経過していながら、「申立て予定」のまま放置されているものが のべ 114項目 (タイトル数にすると 70) ある。

※上のデータは、 2005年12月29日 現在のリストを元に、現地発売が 2005年6月30日 以前のものを計数した。ちなみに同条件で「受理済み」の項目は のべ 120 (タイトル数にすると 60) ある。本来「受理済み」で然るべきの項目のうち、半分程度しか実際に「受理済み」となっていない訳だ。

 還流防止措置の実効性を得るためには、アジア盤が発売される前に申立てが受理され、輸入が止められるようでなければならない。その意味では、この「申立て予定」が当該盤発売後も(まして半年ともなれば尚更)続くのは、還流防止措置の正当性をレコード会社自らが失わせるものであり、同措置を続けていく意味があるのかという疑義を生じさせるところである。


●逆に、「申立て予定」のままでもレコード会社が慌てずに済むということは、輸入差止申立てが受理されなかったものでも還流防止措置の恩恵に与っているのではないかという疑義が生じるところである。還流防止措置に限らず、税関への輸入差止申立てについては申立て時点から輸入が止められているとの報道もある。税関の実務として、還流防止措置においてどのような扱いが為されているのか、もっと詳細な情報公開が欲しいところである(申立て中・申立て受理における輸入差止のタイミングや、申立てしている盤のデータなど。なお現在は、申立ての受理された盤のみが公表されている)。
 還流防止措置に限って言えば、申立て盤が措置適用要件を満たしているか否かが申立て受理という事実でしか判断できず、「日本国内頒布禁止」表示や国内外のライセンス料の比較などの正確な判断が要求されるため、申立て受理の時点で初めて差止めるのが適当である。本来 措置適用要件を満たさないような盤が虚偽の申告によって差止められ、本措置創設時に懸念された無差別的な輸入制限を引き起こす結果となる。慎重な実務が求められるところである。


●還流防止措置の対象となるべき邦楽盤については、日本レコード協会が公表するレコードリストで申立て予定・受理済み等の情報が参照できるところである。が、このレコードリストには現地発売日やタイトル・品番などの記載に不備が多く見られる(「未定」や度重なる変更など)。また、申立て予定のまま記載内容が変わらず、本当に申し立てが為されているのか判然としないものすらある。酷い例だと「申立て予定」のまま、結局 無断で削除されたものすらある(文化庁によるガイドラインでは「取り下げ予定」でしばらく掲載した後に削除することとなっている)。このようなレコードリストの不備を、レコード協会に是正させる必要がある。
 なお、レコード協会のリストの不備で特に酷いものでは、次のような例がある(ブログ 『Where is a limit?』 調べ)。

△東芝 EMI 発売 『Love For NANA Only1 TRIBUTE』
 2005年4月21日 「申立て予定」としてリスト追加
 2005年6月7日
 マレーシアの現地発行(予定)日を2005/05/下旬から2005/06/下旬に変更
 2005年6月23日
 マレーシアの現地発行(予定)日を2005/06/下旬から2005/07/中旬に変更
 2005年7月25日
 マレーシアの現地発行(予定)日を2005/07/中旬から2005/08/上旬に変更
 2005年8月3日
 マレーシアの現地発行(予定)日を2005/08/上旬から2005/08/中旬に変更
 2005年8月30日
 マレーシアの現地発行(予定)日を2005/08/中旬から2005/09/下旬に変更
 2005年9月29日
 マレーシアの現地発行(予定)日を2005/09/下旬から2005/10/下旬に変更
 2005年10月28日
 マレーシアの現地発行(予定)日を2005/10/下旬から2005/11/下旬に又伸ばす
 2005年12月02日
 マレーシアの現地発行(予定)日を2005/11/下旬から2005/12/下旬に又伸ばす、
 2005年12月29日
 マレーシアの現地発行(予定)日を2005/12/下旬から2006/01/下旬に又伸ばす、

 2005年12月29日の 時点で合計9回の発売日延長を行なっている。なお このタイトルはマレーシア盤に限らず、1枚も「受理済み」とはなっていない。そもそも申立て自体が行なわれているのか疑問のあるところである(レコードリストの記載によれば、マレーシア盤以外は既に発売されているようだ)。

△VAP 発売『そら』(タテタカコ)
 2005年10月25日:レコードリストから無断で削除。

△また、 2005年12月29日 現在のレコードリストでは次のような不備がある(ここだけ私自身の調査)。
 ユニヴァーサル 『エンジン』(オリジナルサウンドトラック)台湾盤
 →現地発行日が 「2005/09/上旬」
 日本クラウン 『THE SIXTH DAY』 (Gackt) 香港盤
 →現地発行日が 「2005/10/中旬」
 日本クラウン 『THE SEVENTH NIGHT』 (Gackt) 香港盤
 →現地発行日が 「2005/10/中旬」
 ソニー 『fo(u)r』 (CHEMISTRY) シンガポール盤
 →現地発行日が 「2005/12/中旬」
 ソニー 『fo(u)r』 (CHEMISTRY) マレーシア盤
 →現地発行日が 「2005/12/中旬」
 ソニー 『To All Tha Dreamers』 (SOUL'd OUT) 中国盤
 →現地発行日が 「2005/12/中旬」
 ソニー 『Diva』 (VARIOUS) インドネシア盤
 →現地発行日が 「2005/12/中旬」
 ソニー 『Do You Know?』 (nobodyknows+) 中国盤
 →現地発行日が 「2005/12/中旬」
 ソニー 『BEST』 (中島美嘉)韓国盤
 →現地発行日が 「2005/12/中旬」
 ソニー 『BEST』 (中島美嘉)シンガポール盤
 →現地発行日が 「2005/12/中旬」
 ソニー 『歌バカ』(平井堅)シンガポール盤
 →現地発行日が 「2005/12/中旬」
 エイベックス 『5 elementS』 (SweetS) 韓国盤
 →現地発行日が 「2005/12/中旬」
 エイベックス 『HEAVEN』 (Tourbillon) 韓国盤
 →現地発行日が 「2005/12/下旬」
 エイベックス 『a-nation '05 BEST』 (V.A.) 香港盤
 →現地発行日が 「2005/08/中旬」
 エイベックス 『a-nation '05 BEST』 (V.A.) 台湾盤
 →現地発行日が 「2005/08/中旬」
 エイベックス 『a-nation '05 BEST』 (V.A.) 韓国盤
 →現地発行日が 「2005/08/下旬」
 エイベックス 『musicmind』 (V6)香港盤
 →現地発行日が 「2005/11/中旬」
 エイベックス 『musicmind』 (V6)韓国盤
 →現地発行日が 「2005/12/中旬」
 エイベックス 『DOPE SPACE NINE』 (m-flo) 香港盤
 →現地発行日が 「2005/11/下旬」
 エイベックス 『DOPE SPACE NINE』 (m-flo) 韓国盤
 →現地発行日が 「2005/11/下旬」(さらに品番未定)
 エイベックス 『Queen of Hip-Hop』 (安室奈美恵)中国盤
 →現地発行日が 「2005/08/中旬」 (さらに品番未定)
 エイベックス 『R.U.O.K?!』 (相川七瀬)香港盤
 →現地発行日が 「2005/11/下旬」
 エイベックス 『R.U.O.K?!』 (相川七瀬)韓国盤
 →現地発行日が 「2005/12/下旬」

 いずれも現地発行日を既に過ぎており、この期に及んで現地発行日が明確に決まっていないのは異常だ。いかに上記レコード会社が情報公開に正確性を期していないかが判る。自らが望んで創設された制度の運用すら、自ら全うできないということである。


●また、還流防止措置の際には「洋楽輸入盤も止まる」のではないかとの問題点が指摘されてところであるが、現運用状況にも疑問がある。ソニーと東芝から海外アーティストのクレモンティーヌの作品が発売されており、これもレコードリストに記載されている(洋楽盤と目されるものが他にも幾つか指摘されている)。どうやら原盤が日本側で作られた模様であり、洋楽盤か邦楽盤かの区別が難しい例であるのは確かだ。
 しかしながら日本での発売を国外発売に先行させることを措置の要件とする文化庁ガイドラインの趣旨からすれば、洋楽盤の輸入差止めを防ぐ意図があるものであって、それが国内原盤であるからと言って差止めるのは一貫しないのではないか。洋楽盤を止めないのが国内のレコード会社の方針だったのだから、自らの輸入差止申立てにおいてもそれを一貫させるべきである。すなわち、海外アーティストのレコードについては自ら申立てを自粛するなどの方針を強く打ち出すべきである。
 日本レコード協会は音楽ファンに対する「約束」を果たさねばならない。


●以上のように、還流防止措置の運用において(現状では)問題点が多く発生しており、当初の目的を果たせない状態である。施行後1年もしないうちに適切な運用すらままならない状況。今後は還流防止措置の廃止も視野に入れて、動向を注視する必要がある。


【書籍・雑誌貸与権】

●まず特筆すべきは、書籍・雑誌の貸与権を管理すべき事業者「有限責任中間法人出版物貸与権管理センター」が全く機能していないということである。本来 2005年1月1日の 施行までに権利行使が可能となるようにすべきだったところ、管理委託契約約款の提出が 2005年3月28日 に届出、使用料規程に至っては未だに提出されていない。著作権等管理事業法は使用料規程の届出を義務づけており、これがなければ管理センターとしての事業が全く出来ない。
 さらには、貸与権使用料にかかる利用者団体との協議が暗礁に乗り上げたままという事情がある。一応は、運用準備のための暫定合意をすることで混乱を回避しているようではあるが、その後の実運用については全く先が見えない状態と言える。ここで合意に達しなければ、そもそもの使用料規程を定めることもできず、貸与権管理センターの機能不全が限りなく続くこととなる。
 暫定合意については以下の PDF を参照のこと。

http://www.cdvnet.jp/date/oshirase/050127rentalcomic.pdf


●また利用者団体との協議の中で、貸与権管理センターが法外な使用料を提示しているとの事実も指摘されている。特に見過ごせないのは、管理団体側の目論見として出版社や取次にも「使用料」を分配しようとしているところである。書籍・雑誌にかかる貸与権はあくまでも著作者に付与されるものであって、出版社や取次に利益誘導を行なうものではない。著作者の同意のもと、著作者が得るべき使用料から幾らかの分配が出版社や取次に回されるのであるなら ともかく、著作者が得る使用料に出版社・取次の取り分まで上乗せするという考えは異常であり、また法の趣旨に反しているとすら言える。
 このような指摘に対し、事実関係を調査し適正化を図る必要があるのではないか。

 なお協議中のやりとりを窺わせる資料として、以下の PDF を参照のこと。

http://www.cdvnet.jp/date/cdvjnews/041119cimicteiansyo.pdf

 さらに貸与権管理センターの取り分である管理料にも問題がある。これもまた著作者の得る使用料に上乗せして請求しているようなのである。他の管理事業者において権利者の得る使用料から一定割合が控除されて「管理料」とされている。これが当然の形といえるだろう。貸与権管理センターの管理料についても、これに準じた形をとらねばならない。


●現状、雑誌・書籍にかかる貸与権は全く行使されていない。この権利付与を求めていた権利者団体は早急な管理団体の立ち上げを国会で約束していたのだが、施行後1年たっても その約束は果たされていない。今のままではアウトサイダーによる権利行使を招きかねないこともあり、暫定的にでも当該貸与権の停止をすべきである (2004年改定前 の状態に戻すということ)。

投稿:by 暇人#9 06:21 午後 [「輸入権」問題, 著作権行政 watch, 音楽業界の愚行] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005.08.04

レコード協会へ質問する(その3・解題篇) ──判ったような解らないような

(追記: 2005.8.6)

 私がレコ協へ質問メールを出した旨は既に記事にした。そして、これに対する回答が今日ついに届いたのである(あ、日付変わったから「昨日」か)。
 「悪の7団体」が、会見やる衆議院・文部科学委員会で吊るし上げ食うはで、いろいろ書きたいネタが目の前に積み上がっているのだが、急遽こちらの話題を採り上げることにする。先の話題は多くのブログが追いかけてるけど、この話ばかりは私にしか伝えられないものねぇ。
 これまでのいきさつについては、以下の URL を参照のこと。

http://himagine9.cocolog-nifty.com/kitaguni/2005/07/riaj_q_and_a_1__e4ac.html
「レコード協会へ質問する(その1・質問篇) ──回答は延期」
(試される。(ココログ mix))
▲ 私が出した質問メールを掲載。

http://himagine9.cocolog-nifty.com/kitaguni/2005/08/q_and_a_and_q___703e.html
「レコード協会へ質問する(その2・回答篇)  ──やっと返事が来たぞ」
(試される。(ココログ mix))
▲ こちらではとりあえず回答を掲載(質問も再掲)。

http://blog.drecom.jp/ecolin_profile/archive/398
「RIAJとか権利団体とかについて、少しだけ・・・ボヤキ(番外編)」
(ふっかつ!れしのお探しモノげっき)
▲ 私の他にも質問を出された方がいる。
  でもこの時点では回答が来ていないとの
  「ボヤキ」(7月30日付)。

http://www.riaj.or.jp/all_info/return/index.html
「音楽レコードの還流防止措置」
(社団法人 日本レコード協会|各種情報)
▲ 質問メールはこちらから送信。

 質問メールと回答の中身は上の記事に掲載したので、ここでは回答の示すところを吟味したい。
 と言うのも、質問に対してストレートに応えてきたのは半分くらいなのだ(まぁ私の訊き方の問題もあったんだろうが)。従って、あとは解釈に頭を捻らねばならない訳だ。




■【還流防止措置の対象となるのは?】

 ──質問!

 文化庁のガイドラインによれば、課された要件を満たした盤に「日本国内頒布禁止」等の表示をし、レコード協会サイトで「〜レコードリスト」を公表し、税関へ差止め請求をすることで権利行使することになっています。
 そこで疑問として出てくるのが、レコード協会の方針として、アジアで発売された邦楽盤のうちどの範囲までを権利行使するつもりでいるのかということです。
  A.アジアで発売される邦楽盤すべて
    (殆どは要件を満たすと思われます)。
    もちろん日本盤が廃盤になっておらず、
    その発売から4年以内のものです。
  B.レコードリストに掲載されているもの。
    掲載されていないものについては、
    輸入が行なわれても権利行使しない。
  C.税関への申立てが受理されたもの。
    税関を正当に通過した盤については
    権利行使をしない。

 上記A〜Cのうち どれなのでしょう? 現状、この権利行想定している範囲が明確にアナウンスされていないため、無用の混乱が生じていると私は見ています。

 現状として、アジア各国で流通する邦楽CDが「輸入差止め申立てに係る対象レコードリスト」に載っているものだけなら何の問題もない。全て税関でストップすれば済む。しかし流通しているCDの実態からすれば、そういうわけにいかない。
 還流防止措置が施行される遙か前から邦楽CDは流通し、今でもそういった旧譜は流通し続けている。私も韓国土産の邦楽CDを何枚か貰ってるから間違いない。本来、こいつが日本へ輸出されてしまって困るのだとレコ協が泣きついて、還流防止措置などというアホな制度が出来てしまった。でも今のところ、旧譜についてはあまりリストに入れられてはいない。
 そこなのだ。もし「〜レコードリスト」に載っていない旧譜を輸入業者が日本に持ち込もうとした場合はどうなるのか? これは大きな問題だ。

 単純に法的要件を考えれば、今年の正月から4年間は、たとえ旧譜でも権利行使の対象とできる。要はレコ協会員社の意向次第である。もっとも、権利行使すれば文化庁ガイドラインの破棄を意味するのではあるが。
 本制度に係る権利行使で鍵になるのは表示要件だろう。基本的には、文化庁ガイドラインを基にしたレコ協表示ガイドライン(リンクは PDF) 準拠の表示が必要だが、これに争う余地が残されている。著作権法では「情を知」るという要件でしか書かれていないためだ。
 そして、旧譜であっても「日本輸出禁止」等の表示を付されたものが多い。つまり、レコードリストに無い旧譜であっても、いざ訴訟になれば著作権侵害とみなされる可能性が残されているのだ(あと3年半は)。

 ただ、文化庁のガイドラインの中で、レコ協会員社が権利行使をするにあたっては税関の輸入差止申立て制度を利用することが「望ましい」とされている。この表現がまた嫌らしいのだが、基本的には これ以外の手法での権利行使(つまり訴訟等)をしないことが望まれているわけだ。
 しかしレコ協の真意のほどが判らない。どの範囲の盤を対象に、どういった権利行使を想定しているのか? そこで確かめてみたのである。今まで、施行から半年以上たつにもかかわらず、曖昧にされ続けてきた部分である。

 ──レコードリストに含まれないCDは(輸入業者が頒布目的で)日本に持ち込んでも訴えられないで済むのか? 以下がその回答だ。

1.還流防止措置の行使の対象範囲について

・対象となるレコードは、税関において輸入差止申立てが受理された国外頒布目的商業用レコード(貴殿のいうC.)となります。
・なお、平成16年12月6日付けの文化庁施行通知(16庁房第306号「還流防止措置を行使するに当たっての実務上の留意事項等について(通知)」)において「権利者が実際に本措置を行使するに当たっては、輸入差止申立てを行うことが適当である」とされていることから、当協会会員社は、本措置の行使を求める国外頒布目的商業用レコードについて、税関への輸入差止申立て手続きを進めています。
・制度施行当初のため、会員社、税関とも慎重に手続きが進められていることから、「申立て予定」の掲載から「受理済み」となるまでの期間がかかっておりますが、当協会会員社は鋭意手続きを進めておりますので、当該レコードリストに「申立て予定」として掲載されている国外頒布目的商業用レコード(貴殿のいうB.)についても、早晩、申立てが受理されるものと考えています。

 ‥‥う〜ん。
 とりあえず、還流防止措置の対象としてレコ協が考えているのは、税関で輸入差止申立てが「受理」された盤だけだそうだ。つまり税関を通過できる「還流盤」ならばOKということになる。わざわざ文化庁ガイドラインを引用して述べている以上、これ以外の方法で権利行使するつもりが無いと解釈するのが自然だろう。
 ただ、レコードリストに載っていながら、まだ税関で差止申立てが「受理」されていないものについては考慮されていない。「早晩、申立てが受理される」とのことで、「受理」盤とリスト掲載盤は同一視されている。この後の回答においても、その見解は一貫している。レコードリストに載れば、すぐに申立て手続に入り、すぐ受理されると。それが事実なのかは別問題としても(あのリストは現状として反例だらけである)。

 この回答で気になる点がひとつある。私は質問の際に、選択肢Cに「税関を正当に通過した盤については、権利行使をしない」と付言してあった。で、回答では確かに「C」とされていたのだが、この「税関を正当に通過した盤」については触れられていないのだ。
 レコードリストの扱い、権利行使の方法から考えれば、論理的には税関通過後の還流盤への権利行使(著作権法では頒布目的所持も禁止しているため訴えることは可能)は無いと解釈できる。しかし こうした事態が多く発生し、トラブルになる可能性は高いのではないか? レコ協の見解ではリスト掲載から「受理」までの時間が短いとのことだが、実際問題としてレコードリストで「申立て予定」のまま何ヶ月も(場合によっては半年以上も)経っている盤が決して少なくない。これらを輸入しようとしたらどうなるのだろうか?
 何故、レコ協はこうした事態に最大の注意を払っていない(ように見える)のだろうか。「申立て予定」とした盤だけが多く、しかもその状態が長く続けば、その分トラブルは起こりやすくなる。それにもかかわらず、レコ協には気にしている様子がない‥‥むしろ気にしないのが不気味なほどだ。何故このタイムラグが気にならないのか。
 やはりあの話は、レコード還流防止措置でも同様だったのかも知れない。税関への申し立てが「受理」された段階ではなく、申し立てが出された時点で既に輸入盤が止まっているという話。もしそうならば、税関で実際に止められている還流盤は、あの 18件 だけではない。そして、リスト掲載後すぐに申立て手続がなされているのが事実なら、レコードリストに載った盤の殆どが既に止められている‥‥? 憶測の域を出ないが、そう考えられる根拠のひとつではある。

 どこかの輸入業者がチャレンジしてくれないものだろうか。レコードリストに載っていない還流盤の輸入。そして、レコードリストで「申立て予定」とされる還流盤の輸入。レコ協の話が本当だったら、少なくとも前者は輸入が可能である(ひょっとすると既にやってる業者がいるのだろうか?)。もしやる業者がいたとして、情報をオープンにして輸入してくれたりすると特にありがたいのだけど。
 旧譜の輸入再開をやってくれないものかねぇ →ドンキ。




■【レコードリストは改善されないのか?】

 私は、現状は混乱したものだと考えている。
 先の文章とダブるが、まず論理的には、レコードリストに掲載されていなくても権利行使の対象となり得る盤というのが存在する。すなわち旧譜であって「日本輸出禁止」と書かれた盤だ(なお新譜でリストにない盤が今も存在するのかは不明)。これについて権利行使するか しないかは権利者の判断ひとつである。
 そして、レコードリストに載っていても、輸入差止申立てが「予定」から「受理」にならないで長く経っているものがある。これらは本当に正規の手続を経ているのか? ただ輸入業者の自粛を誘発することを目的に掲載している盤もあるのではないか。手続を一向に進めない盤が。仮にそうしたものがあれば、それを輸入することは(文化庁のガイドライン上)問題はない筈である。ただし訴訟の可能性はついて回るが。
 つまるところ、レコ協が権利行使の対象とする範囲を明確にしていないがために、本来は権利対象と想定されていない盤まで輸入が自粛されるという現状である。これでは文化庁ガイドラインを守るべきという観点において、決して好ましい状態ではない。レコ協の方針を明確にし、公表すべきである。

 そこで、私は次のような提案をした。

 さて、現状の混乱を解消するための提案もしてみます。

1.レコード協会が権利行使の対象と想定する範囲を公表する。
  税関への申立てを実効化し、文化庁ガイドラインを遵守する。
2.レコードリストでの状況表示に、申立て「手続中」を追加する。
  これによって、リスト掲載しながら申立てないケースを
  防止します。
3.権利行使するつもりのない盤に「日本国内頒布禁止」
  「日本輸出禁止」等の表示が残っている場合に、
  輸出を許可する旨の表示
  (あるいは公式サイトでのアナウンス)を行なう。

 いずれも文化庁のガイドラインを確実に遵守するために望まれる対策だと考えます。できれば3つとも実現して戴ければと思います。
 制度が始まってから半年あまりが経過してはいますが、まだスムーズな運用がなされているとは言えません。税関で 7月11日現在 申し立てが受理されたのは 13件 のみです(タイトル数。対象国の違いはカウントしていない)。これでは文化庁ガイドラインが死文化する可能性があります。また、輸入業者や消費者から見て非常に判りづらい。

 そして、レコ協からの回答がこちらだ。

2.貴殿からのご提案について

(1)権利行使対象の明示
 上記のとおりです。
(2)申立て「手続中」の状況表示
 当協会会員社においては、申立てを行う意図があるもののみを当該レコードリストに掲載しています。すなわち当該レコードリストで「申立て予定」となっているものは、早晩、申立書が提出されるもののみであると考えていただいて構いません。
(3)対象外盤の表示無効化
 当協会会員社は、当協会が定めた表示ガイドラインに従った表示を付した国外頒布目的商業用レコードについて権利行使をする考えです。

 (1)。権利行使対象を明示すべきではないかということについて。「上記のとおりです」とあるが、これは私への回答文を指している。私としては、ウェブサイト等で告知すべきだとの意図で質問を投げたのだが、個人への回答をもって「明示」と言いたいらしい。確かに私は回答を公表するとあらかじめ示し、レコ協側も(回答メールにおいて)それを了解しているが‥‥。
 トラブルを未然に防ぐためには、レコ協が自身のサイトで見解表明すべきだろう。私のところのような一個人のサイトで「明示」したところで、どれほどの信頼性があるというのか(まして匿名者による公表である)。もしそこまで計算しての回答だとしたら嫌らしいこと この上ないが、事実はどうなのだろう。
 もし(まかり間違って)レコ協の関係者がここを読んでいたりしたら、ぜひ検討するよう意見して戴きたい。次の一文をレコ協サイトの「還流防止措置」ページに明記されたい。──「レコードリストに掲載されていない盤については、輸入を黙認します」と。

 (2)レコードリストに掲載されているものは、すなわち申立て手続に入っているのだという。その割には「予定」のままで長い時間 放っておかれる盤が多いようだが。先の回答の中で「慎重に手続が進められていることから、(中略)期間がかかっております」とある。しかし、仮にその間に当該盤が税関を通過しているとしたら、そんな悠長なことを言ってる場合ではないのでは? それこそ死活問題だろう。あれほど必死になって導入した制度であるにもかかわらず、こんなことで税関を通しかねないのは不安ではないのか。
 やはり、どの時点で差止めが為されているのか調べる必要がある。

 (3)対象外盤の表示無効化。「当協会が定めた表示ガイドライン(引用者注:ここを参照のこと)に従った表示を付した国外頒布目的商業用レコードについて権利行使をする考え」とある。
 当該表示ガイドラインでは、一定の文言を2ヶ国語で表示することが定められている。この表示要件を満たすには相当量の文字数が必要であり、かつてのアジア盤についている「日本輸出禁止」だけでは このガイドラインを満たさないと考えられる(決定的なのは、ガイドラインで課せられている「還流防止説明表示」「還流防止期限表示」が満たされないところにある)。多くの旧譜盤がレコードリストに掲載されていない事実を合わせて考えると、過去に多く輸入された「還流盤」の多くは現在も輸入可能ということになる(ただ、小田和正『自己ベスト』のように、かつて還流盤として輸入されたタイトルでも、改めてレコードリストに掲載された旧譜もあったりする。おそらく表示もガイドラインに沿うよう改訂されていると思われるが、いずれにせよ注意は必要である。肝心要は表示の内容だろうか)。
 既に流通網に乗っている旧譜盤について「日本輸出禁止」表示無効の旨は特に表示しないということなのだろう。この方針も、せめてレコ協サイトで掲載してくれればと思うのだが。




■【そして今後の課題】

 これで、一応の回答がレコ協から得られたものと考えられる。
 彼らの回答によれば、文化庁のガイドラインに従っているという。回答文の上では、との限定つきではあるが。次に私がすべきなのは、それが事実かを吟味することであろう(レコ協が自らのサイトで同種の告示を出すよう働きかけることも含まれる)。
 例えば、レコードリストに載った盤は、本当に全ての盤が輸入差止申立てをされているのか。「当該レコードリストで『申立て予定』となっているものは、早晩、申立書が提出されるもののみであると考えていただいて構いません」とはあるが、それを客観的に証明する事実は提示されていない。我々が知ることのできる事実は「受理済み」であるタイトルだけなのである。
 また、税関において、どの時点で輸入が差止められているのかも調査が必要だろう。申立て時点なのか、「受理」時点なのか。推測ではなく、何か決定的な事実として掴む方法を検討しなければならない。何か無いだろうか。
 輸入業者の現状を知る方法も無いだろうか? 特に、還流盤を輸入しようとするチャレンジャーがいないものか(輸入が差止められた例が国会で報告されていたりもするので、全くいない訳でもないと思われるのだが)。

 ──私の手には負えないかもなぁ。
 ちょっと落ち着いたら、何か考えてみよう。
 もし私の今回のやりとりから何か疑問が出てきたら、 Watchdog 諸氏には ぜひレコ協へ質問をぶつけてみて戴きたい。何だったら、同じ質問でもいい(どうせ出すなら、少し角度を変えてみてほしいが‥‥そうすれば回答で新事実が出てくるかも知れない)。たくさん質問が行けば、多少はプレッシャーになるだろう。また、レコ協の方針をサイトに載せるよう働きかけてもらえるとありがたい。

 それはそうと、どうしたあんな回答(結局は文化庁ガイドラインそのままの回答だよ)なのに「関係各所との調整等が遅れて」しまうのかねぇ。謎。




(追記: 2005.8.6)

 還流盤の話なので、ここでは邦楽盤に話を絞っている(なお、レコ協のレコードリストでは日本原盤と思われる洋楽盤も数タイトル含まれている。これは邦楽盤として扱われている模様)。
 では洋楽盤──海外に権利者がいる場合はどうなるのか。これを考察するにあたっては、目に見える権利行使と、目に見えない権利行使(と同じ効果をもたらすもの)について考える必要がある。

 目に見える権利行使については、まず訴訟が提起されるか否かか。今のところそんな話は聞かないが。税関に申立てるには様々なハードル(言語の壁も含め)があるから難しいのではないかと思う。‥‥いや、本当に止めようとしてたら、やるかも知れないか? レコ協会員社と違って、盤に「日本国内頒布禁止」類似表示があって(レコ協のガイドラインには拘束されない)、きちんと税関で手続きをしてたら止まるかも知れないぞ。いま思いついたけど、仮に税関で申し立てがあった時点でCDを止めてたとしたら、「受理」されるまでは表に出ないで輸入盤が止まる‥‥?
 訴訟にしても輸入盤止めにしても、情報を掴まないうちに騒ぐ訳はいかないのだが、アンテナを張っておく必要はあるだろう。海外権利者の動向はこうした部分から見えてくる訳だから。そしていざ輸入差止申立て・訴訟ともなれば、即座に行動を起こすことを考えていた方がいい。ネットでの情報共有はもちろん、マスコミに働きかける、国会議員に働きかける、文化庁に圧力かける‥‥などなど。
 目に見えない権利行使(と同じ効果をもたらすもの)というのは、法案審議前から心配されていた輸入業者の萎縮効果のことだ。今のところ、極端な輸入盤自粛は無いようだけども、入荷時期や価格など不安に思う材料もある。私には、この方面に知り合いがいる訳ではないので、情報を集めることはできない。しかし輸入業者の動向を見ることも必要であろう。

 私のスタンスとしては、基本線、上のような憶測は憶測として、それとは別に情報を得たいと思っている。実際の判断はそれからだ。だから今回の記事では敢えて洋楽盤について触れなかった。
 ──後で、追記した方が良いかなぁなんて思ったわけですけども。

投稿:by 暇人#9 02:37 午前 [「輸入権」問題, 音楽業界の愚行] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005.08.03

レコード協会へ質問する(その2・回答篇) ──やっと返事が来たぞ

 とりあえず速報。
 私が受け取った回答は以下の通り。

1.還流防止措置の行使の対象範囲について

・対象となるレコードは、税関において輸入差止申立てが受理された国外頒布目的商業用レコード(貴殿のいうC.)となります。
・なお、平成16年12月6日付けの文化庁施行通知(16庁房第306号「還流防止措置を行使するに当たっての実務上の留意事項等について(通知)」)において「権利者が実際に本措置を行使するに当たっては、輸入差止申立てを行うことが適当である」とされていることから、当協会会員社は、本措置の行使を求める国外頒布目的商業用レコードについて、税関への輸入差止申立て手続きを進めています。
・制度施行当初のため、会員社、税関とも慎重に手続きが進められていることから、「申立て予定」の掲載から「受理済み」となるまでの期間がかかっておりますが、当協会会員社は鋭意手続きを進めておりますので、当該レコードリストに「申立て予定」として掲載されている国外頒布目的商業用レコード(貴殿のいうB.)についても、早晩、申立てが受理されるものと考えています。

2.貴殿からのご提案について

(1)権利行使対象の明示
 上記のとおりです。
(2)申立て「手続中」の状況表示
 当協会会員社においては、申立てを行う意図があるもののみを当該レコードリストに掲載しています。すなわち当該レコードリストで「申立て予定」となっているものは、早晩、申立書が提出されるもののみであると考えていただいて構いません。
(3)対象外盤の表示無効化
 当協会会員社は、当協会が定めた表示ガイドラインに従った表示を付した国外頒布目的商業用レコードについて権利行使をする考えです。

 ──これに対する評価は後ほど。




 なお私からの質問は以下の通り。

日本レコード協会 御中

 私は一音楽ファンで、▲▲という者です。日頃から音楽に
親しみ、少なくない数のCDを購入しております。日本レコー
ド協会の動向に注目しつつ、著作権への理解を深めようと努
めているところです。
 ところで、音楽レコードの還流防止措置に関して質問があ
ります。基本的には「輸入差止申立に係る対象レコードリス
ト」に関することですが、還流防止措置の制度の根本に関わ
るものでもあります。問い合わせ受付窓口の設置を伝えた自
民党・河野太郎議員によれば「協会事務局と会員社の実務担
当者が調査し、回答することになる」とのことですので、明
確な回答を戴けるものと思います。

 文化庁のガイドラインによれば、課された要件を満たした
盤に「日本国内頒布禁止」等の表示をし、レコード協会サイ
トで「〜レコードリスト」を公表し、税関へ差止め請求をす
ることで権利行使することになっています。
 そこで疑問として出てくるのが、レコード協会の方針とし
て、アジアで発売された邦楽盤のうちどの範囲までを権利行
使するつもりでいるのかということです。
  A.アジアで発売される邦楽盤すべて
    (殆どは要件を満たすと思われます)。
    もちろん日本盤が廃盤になっておらず、
    その発売から4年以内のものです。
  B.レコードリストに掲載されているもの。
    掲載されていないものについては、
    輸入が行なわれても権利行使しない。
  C.税関への申立てが受理されたもの。
    税関を正当に通過した盤については
    権利行使をしない。

 上記A〜Cのうち どれなのでしょう? 現状、この権利行
使を想定している範囲が明確にアナウンスされていないため、
無用の混乱が生じていると私は見ています。
 例えば、レコードリストに含まれていないにもかかわらず、
「日本国内頒布禁止」「日本輸出禁止」等の表示があるもの。
新譜もそうですが、旧譜においても類似表示の印刷が見られ
ます。還流防止措置が決まる前から対策として付されていた
ようですね。しかし還流防止措置が実現した今、この表示が
却って混乱を招いています。レコードリストに掲載されてい
なくても、この表示のために権利行使を(レコード協会会員
社が)行なうことが危惧されているのです。
 また、レコードリストに掲載されていながら、一向に税関
で申立て受理とならないものもあります。ソニーから発売さ
れている盤は1枚も受理されていませんね、レコードリスト
には多数掲載されていますが。この場合、輸入を試みれば多
くの盤が 税関を正当に通過するとは考えられますが、それに
対して権利行使をする方針なのでしょうか。

 レコード協会(および会員社)が権利行使するつもりでい
る範囲がどの程度なのか──をここで はっきりさせる必要が
あります。還流防止措置での権利行使は私権ですから完全に
拘束することは難しいでしょうが、レコード協会(および会
員社)全体の方針として何らかのガイドラインを出すことは
可能な筈です。現状、レコード協会からのアナウンスが非常
に少ないと言わざるを得ません。
 還流防止措置はレコード協会の要望から創設された制度で
すから、文化庁のガイドラインを遵守する道義的義務がある
と思われます──税関差止めによって権利行使することまで
含めて(つまりレコードリストが適切な内容を維持する努力
が求められます)。この辺り、どうお考えなのか回答いただ
きたいのです。

 さて、現状の混乱を解消するための提案もしてみます。
1.レコード協会が権利行使の対象と想定する範囲を公表する。
  税関への申立てを実効化し、文化庁ガイドラインを遵守する。
2.レコードリストでの状況表示に、申立て「手続中」を追加する。
  これによって、リスト掲載しながら申立てないケースを
  防止します。
3.権利行使するつもりのない盤に「日本国内頒布禁止」
  「日本輸出禁止」等の表示が残っている場合に、
  輸出を許可する旨の表示
  (あるいは公式サイトでのアナウンス)を行なう。

 いずれも文化庁のガイドラインを確実に遵守するために望
まれる対策だと考えます。できれば3つとも実現して戴けれ
ばと思います。
 制度が始まってから半年あまりが経過してはいますが、ま
だスムーズな運用がなされているとは言えません。税関で
7月11日現在 申し立てが受理されたのは 13件 のみです
(タイトル数。対象国の違いはカウントしていない)。これ
では文化庁ガイドラインが死文化する可能性があります。ま
た、輸入業者や消費者から見て非常に判りづらい。

 一応、質問を整理し再掲します。
●日本レコード協会が想定している
 権利行使対象の範囲はどれくらいか。
 (すべての邦楽盤か、リスト掲載盤か、申立受理盤か。)
●私の提案に対する実現可能性についてどう考えるか。
 (権利行使対象の明示、申立手続中の状況表示、
  対象外盤の表示無効化。)

 ぜひとも、問い合わせ窓口を設置した この機会に、明確な
回答を戴けたらと思います。
 なお、私の この質問については公表する予定でいます(ブ
ログを運営しておりますので)。また、レコード協会からの
回答もできれば公表したいと思います。明確な拒否が回答の
中にあれば別ですが。その時は、レコード協会の意向になる
べく添うよう努力しましょう。
 本来ならレコード協会のサイト上で回答に当たるアナウン
スをして戴くのが一番かと思います。ただ、仮に同内容であっ
てもメールでも返答いただければ幸いです。

 では、失礼いたします。
 これからも音楽業界の動向を見守り続ける所存でいます。
業界がアーティストや消費者(そして未来のアーティスト)
と手をとりあって、文化的にも経済的にも発展していくこと
を祈っています。

                 2005.7.11 ▲▲▲▲
                  【メールアドレス】

投稿:by 暇人#9 10:39 午後 [「輸入権」問題, 音楽業界の愚行] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005.07.20

レコード協会へ質問する(その1・質問篇) ──回答は延期

http://www.riaj.or.jp/all_info/return/index.html
「音楽レコードの還流防止措置」
(社団法人 日本レコード協会|各種情報)

 Watchdog 系ブログでは既報なのだが、日本レコード協会サイトの「音楽レコードの還流防止措置」広報ページから問い合わせが可能となっている。本制度について、メールで問い合わせる形である。
 実は(というか、これも当時 Watchdog 系ブログで話題になった)河野太郎 衆議院議員のメールマガジン『ごまめの歯ぎしり』 6月30日付で この窓口の設置が予告されていた。レコ協のリストにない「国内頒布禁止」CDについての対応を文化庁に検討させていたとの前振りの後で、レコ協に「メール受付システム」を用意させるという話だった。レコ協や会員社の実務担当者から回答があるとのことで、非常に興味深く、実のありそうな試みと言える。

 私からしても、還流防止措置に関して色々気になるところはある。制度の運用を見ていて首を傾げたくなる場面がいくらでも出てきている。せっかく直接レコ協に訊ける機会が得られたのだから、これを使わない手はないのだ。
 同様のことを考えた方も他にいらしたようで、『ふっかつ!れしのお探しモノげっき』で 「RIAJ に率直に問い合わせてみました。」との記事が掲載されていた。質問の詳しい内容は書かれていなかったのだが、「そもそも還流盤とまっても売り上げが上がったとか、韓国とか、ほかのアジア諸国で日本のアーティストがブレイクしてるとか、つー話聞かないし」との くだりが記事にあるところを見ると、おそらくこれをストレートに質問されていることと思う。
 私の方はというと、もっと低レベル(議論の前提として確認されるべきという意味)な質問である。還流防止措置制度の運用について その根幹を問うもの──レコード協会が権利行使を想定する「還流盤」の範囲についてだ。

 文化庁のガイドラインによれば、課された要件を満たした盤に「日本国内頒布禁止」等の表示をし、レコード協会サイトで「〜レコードリスト」を公表し、税関へ差止め請求をすることで権利行使することになっています。
 そこで疑問として出てくるのが、レコード協会の方針として、アジアで発売された邦楽盤のうちどの範囲までを権利行使するつもりでいるのかということです。

  A.アジアで発売される邦楽盤すべて
    (殆どは要件を満たすと思われます)。
    もちろん日本盤が廃盤になっておらず、
    その発売から4年以内のものです。
  B.レコードリストに掲載されているもの。
    掲載されていないものについては、
    輸入が行なわれても権利行使しない。
  C.税関への申立てが受理されたもの。
    税関を正当に通過した盤については
    権利行使をしない。

 上記A〜Cのうち どれなのでしょう? 現状、この権利行使を想定している範囲が明確にアナウンスされていないため、無用の混乱が生じていると私は見ています。



※ 私の質問メールより引用。

 この疑問自体は、本ブログ『試される。』でのコメント欄で議論となっていたネタである。しかし当のレコ協が意思表示していないのだから、始めから答えの出ない議論なのは明らかだった。ならば、ということで今回 質問メールを出した次第である。
 もしこの「範囲」がはっきりすれば、それに基づいて現在の運用状況を評価することが可能となる。文化庁のガイドラインが機能しているのか、税関への申立て制度が機能しているのか、そしてレコ協のレコードリストにどれほどの実効性が期待できるのか。「頒布禁止」表示問題や なかなか増えない申立て受理盤 (7月20日現在、 17タイトル)の問題なども、この質問に対する回答が得られれば、今後 何を要求し解消していくか考えることが可能となる。

 レコ協の問い合わせ窓口へ質問を送信したのが 7月11日。 その後、レコ協から数度に渡って経過報告があった。なかなかマメなもので、好感を持っている。
 まず 11日 当日のうちに、メール受取りの報告。この時点では、内容を検討した後 回答するとのことだった。
 15日。 回答を検討しているところで、 19日に 回答できるよう準備しているとのこと。ここで私は『ちょびっと試される。』のネタにした
 そして回答予定日の 19日。 私には残念な報せだったが、回答を延期させてほしいとのメールが入った。「関係各所との調整等が遅れて」いるとのことだった。
 まぁ、この回答延期自体をとやかく言う気はない。むしろ前述したように、ここまでマメに経過報告があることに私は好感を持っている。意地の悪い見方をすれば、ここまで丁寧な対応を余儀なくされるほど、文化庁に釘を刺されたという風にも見える。
 尤も一番大事なのは、実際の回答がどのような内容なのか、だが。

 レコード協会からの回答があれば(その詳細さはともかく)御報告したいと思う。
 ただし、レコ協の方から公表を望まない旨を意思表示されたばあいは、その希望に添うよう考えるつもりである。その場合でも それなりの対応法はあると思うし、公表を望まないという行為自体が大きな情報だと思うからだ。おそらくは、レコ協も自らを窮地に追い込むようなことは(わざわざ)しないと思うけれども。




 最後に、私が送った質問メールを掲載(個人情報に関わる部分は伏せている)。

日本レコード協会 御中


 私は一音楽ファンで、▲▲という者です。日頃から音楽に
親しみ、少なくない数のCDを購入しております。日本レコー
ド協会の動向に注目しつつ、著作権への理解を深めようと努
めているところです。
 ところで、音楽レコードの還流防止措置に関して質問があ
ります。基本的には「輸入差止申立に係る対象レコードリス
ト」に関することですが、還流防止措置の制度の根本に関わ
るものでもあります。問い合わせ受付窓口の設置を伝えた自
民党・河野太郎議員によれば「協会事務局と会員社の実務担
当者が調査し、回答することになる」とのことですので、明
確な回答を戴けるものと思います。

 文化庁のガイドラインによれば、課された要件を満たした
盤に「日本国内頒布禁止」等の表示をし、レコード協会サイ
トで「〜レコードリスト」を公表し、税関へ差止め請求をす
ることで権利行使することになっています。
 そこで疑問として出てくるのが、レコード協会の方針とし
て、アジアで発売された邦楽盤のうちどの範囲までを権利行
使するつもりでいるのかということです。
  A.アジアで発売される邦楽盤すべて
    (殆どは要件を満たすと思われます)。
    もちろん日本盤が廃盤になっておらず、
    その発売から4年以内のものです。
  B.レコードリストに掲載されているもの。
    掲載されていないものについては、
    輸入が行なわれても権利行使しない。
  C.税関への申立てが受理されたもの。
    税関を正当に通過した盤については
    権利行使をしない。

 上記A〜Cのうち どれなのでしょう? 現状、この権利行
使を想定している範囲が明確にアナウンスされていないため、
無用の混乱が生じていると私は見ています。
 例えば、レコードリストに含まれていないにもかかわらず、
「日本国内頒布禁止」「日本輸出禁止」等の表示があるもの。
新譜もそうですが、旧譜においても類似表示の印刷が見られ
ます。還流防止措置が決まる前から対策として付されていた
ようですね。しかし還流防止措置が実現した今、この表示が
却って混乱を招いています。レコードリストに掲載されてい
なくても、この表示のために権利行使を(レコード協会会員
社が)行なうことが危惧されているのです。
 また、レコードリストに掲載されていながら、一向に税関
で申立て受理とならないものもあります。ソニーから発売さ
れている盤は1枚も受理されていませんね、レコードリスト
には多数掲載されていますが。この場合、輸入を試みれば多
くの盤が 税関を正当に通過するとは考えられますが、それに
対して権利行使をする方針なのでしょうか。

 レコード協会(および会員社)が権利行使するつもりでい
る範囲がどの程度なのか──をここで はっきりさせる必要が
あります。還流防止措置での権利行使は私権ですから完全に
拘束することは難しいでしょうが、レコード協会(および会
員社)全体の方針として何らかのガイドラインを出すことは
可能な筈です。現状、レコード協会からのアナウンスが非常
に少ないと言わざるを得ません。
 還流防止措置はレコード協会の要望から創設された制度で
すから、文化庁のガイドラインを遵守する道義的義務がある
と思われます──税関差止めによって権利行使することまで
含めて(つまりレコードリストが適切な内容を維持する努力
が求められます)。この辺り、どうお考えなのか回答いただ
きたいのです。

 さて、現状の混乱を解消するための提案もしてみます。

1.レコード協会が権利行使の対象と想定する範囲を公表する。
  税関への申立てを実効化し、文化庁ガイドラインを遵守する。
2.レコードリストでの状況表示に、申立て「手続中」を追加する。
  これによって、リスト掲載しながら申立てないケースを
  防止します。
3.権利行使するつもりのない盤に「日本国内頒布禁止」
  「日本輸出禁止」等の表示が残っている場合に、
  輸出を許可する旨の表示
  (あるいは公式サイトでのアナウンス)を行なう。

 いずれも文化庁のガイドラインを確実に遵守するために望
まれる対策だと考えます。できれば3つとも実現して戴けれ
ばと思います。
 制度が始まってから半年あまりが経過してはいますが、ま
だスムーズな運用がなされているとは言えません。税関で
7月11日現在 申し立てが受理されたのは 13件 のみです
(タイトル数。対象国の違いはカウントしていない)。これ
では文化庁ガイドラインが死文化する可能性があります。ま
た、輸入業者や消費者から見て非常に判りづらい。

 一応、質問を整理し再掲します。

●日本レコード協会が想定している
 権利行使対象の範囲はどれくらいか。
 (すべての邦楽盤か、リスト掲載盤か、申立受理盤か。)
●私の提案に対する実現可能性についてどう考えるか。
 (権利行使対象の明示、申立手続中の状況表示、
  対象外盤の表示無効化。)

 ぜひとも、問い合わせ窓口を設置した この機会に、明確な
回答を戴けたらと思います。
 なお、私の この質問については公表する予定でいます(ブ
ログを運営しておりますので)。また、レコード協会からの
回答もできれば公表したいと思います。明確な拒否が回答の
中にあれば別ですが。その時は、レコード協会の意向になる
べく添うよう努力しましょう。
 本来ならレコード協会のサイト上で回答に当たるアナウン
スをして戴くのが一番かと思います。ただ、仮に同内容であっ
てもメールでも返答いただければ幸いです。


 では、失礼いたします。
 これからも音楽業界の動向を見守り続ける所存でいます。
業界がアーティストや消費者(そして未来のアーティスト)
と手をとりあって、文化的にも経済的にも発展していくこと
を祈っています。


                2005.7.11 ▲▲▲▲
                  【メールアドレス】

投稿:by 暇人#9 08:55 午前 [「輸入権」問題, 音楽業界の愚行] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005.05.14

【いままでの】“レコード輸入権”施行後の状況【まとめ】

(追記あり: 2005.5.17)

 小倉弁護士の記事が切っ掛けになってはいるのだけど、私自身にとっても(監視活動で)使える“リンク集”ということで まとめておきたい。
 還流防止措置の施行状況に関する情報は私自身も欲しくて仕方ないので、ぜひとも お寄せ戴けたらと思う。また、この記事にも(情報が出てくれば)追記していきたいと考えている。

■【まず基礎知識】

 まずは、還流防止措置ってどんなの? ──ってな人のためにメモ。
 還流防止措置については、日本レコード協会と文化庁のサイトで解説ページが用意されている。また、この措置に使われる「輸入差止申立て」制度については税関のページを参照されたい。これが いわば表向きの説明だ。

http://www.riaj.or.jp/all_info/return/index.html
「音楽レコードの還流防止措置」
(社団法人 日本レコード協会|各種情報)

http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/kanryuuboushi.html
「音楽レコードの還流防止措置について」
(文化庁)

http://www.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/index.htm
「知的財産権ホームページ」
(税関)

 音楽ファンの視点から解説した方が判りやすければ、 『Music Watchdogs』 サイトの「解説」ページを参照のこと。ここでは還流防止措置創設のゴタゴタも総括されている。

 さて、日々変わる(であろう)施行状況を監視していくのに多く参照されるのは以下のページである。順に、文化庁のガイドライン・レコ協の表示基準・レコ協のレコードリスト・税関の差止めリストだ。

http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/kanryuu_ryuuijikou.html
「還流防止措置を行使するに当たっての
 実務上の留意事項等について(通知)」
(文化庁)

http://www.riaj.or.jp/issue/ris/pdf/ris_kanryu.pdf
「還流防止措置に係る国外頒布目的
 商業用レコードの表示に関する運用基準」 (PDF)
(日本レコード協会)

http://www.riaj.or.jp/all_info/return/OpenReturnListAction.do
「輸入差止申立に係る対象レコードリスト」
(日本レコード協会)

http://www1.customs.go.jp/mizugiwa/chiteki/ipstsrc.htm
「知的財産権の輸入差止申立情報 キーワード検索」
(税関)
▲ 「著作権等(還流CD等関係詳細)」にチェックを入れて
  「検索」ボタンをクリック。




 さて ここからが本題。
 私が札幌市で歩いてみて感じた結果を記しておく (HMV 札幌ステラプレイス・ビックカメラ・ドンキホーテが主なところ。その他、心当たり幾つかに立ち寄ってみたが、輸入盤・還流盤を多く扱ってはいなかった)。もちろん実態把握としては正確さの保証などなく、また情報としても少ないものとならざるを得ないのだが、一つの証言として お読みいただきたい。できることなら、多方面からの証言が集まっていくことを願っている(それが私の実感と異なるものだったとしても)。

■【洋楽輸入盤について】

 還流防止措置施行後の洋楽輸入盤については、ほぼ従来どおりと思われる。今年発売の新譜輸入盤も扱われている。著作権法改悪案の成立以後、アマゾンや HMV サイト等で米盤が値上がりした実感を持っていたのだが、店頭価格を見ると さほど高騰した感じがしない(もともと店頭価格がネット通販より高かったのもあるか?)。
 個別に見た場合、入荷の遅れ等が指摘されることも考えられるし、また一部の輸入盤は予約を受け付けられないという事例も考えられる。ちなみに先のリンクは 2004年7月 から8月にかけての話。 2005年 に入ってから こうした指摘を見聞きした記憶は無い(もし情報があれば お寄せ下さい)。
 つまるところ、今年頭から還流防止措置が施行されたことで 洋楽輸入盤が一斉に消える事態は起こっていない。

 なお参考までに、私は 今年に入ってからアマゾンで以下の輸入盤を購入している。
  ●The Capitol Albums, Vol. 1 / The Beatles
  ●We Want Miles / Miles Davis
  ●Acoustic / John Lennon
 ──滞りなく入手できた。

■【邦楽還流盤について】

 東京在住中の私は還流盤に見向きもしなかったのだが、今回 札幌のドンキホーテに行くと 今でも売っていることが判った。ただし今年発売された新譜は置いていない(国内盤なら普通に売ってる)。店頭に並んだ還流盤が去年のうちに入荷したものかは定かでないが、値下げして売り切る気配もある(従来 2000円ほど してたのが、 1500円 程度にまで下がっていた)。新たに入荷するのでなければ、そのうち還流盤コーナーは縮小する運命なのだろうか? それとも冒険する輸入業者が出現するだろうか?

■【税関での扱いについて】

 ガイドラインでも、個人使用を目的に持ち込むのは差止めの対象外とされている。今のところは そのガイドラインに沿って適切に扱われている模様。私の友人がお土産として買ってきてくれた GLAY 『WHITE ROAD』 の例がある。




 ここからはネットで流れた情報をクリップする。

■【国会で確認された施行状況】

 今年4月6日の衆議院文部科学委員会で、川内博史議員が施行状況を確認している。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009616220050406008.htm
「第162回国会 文部科学委員会 第8号
 (平成17年4月6日(水曜日))」
(衆議院)



川内委員 (中略)あと十五分しか時間が残っておりませんけれども、著作権法について幾つかの質問をさせていただきたいと思います。
 まず、昨年もこの文部科学委員会で大議論になりました還流防止措置の著作権法の改正案について、一月一日から施行されておりますが、現在までの運用状況について御説明をいただきたいというふうに思います。
加茂川政府参考人(引用者注;文化庁次長) お答えを申し上げます。
 いわゆる還流防止措置に関し、これまで税関に、日本レコード協会会員あるいは準会員から申請が行われたケースが八件あると承知をいたしております。
 また、日本国外に所在するレコード会社からそういった申請があったことについては、そういった情報は得ていないところでございます。
川内委員 今文化庁次長から、外国人の権利者からの申請もないという御説明でありました。財務省にも来ていただいておりますのでちょっと御答弁をいただきたいんですが、この還流防止措置については、法律の条文とは全く別に、文化庁から通知が発出されて、この制度、この著作権法の改正案が法律改正の趣旨のとおりに運用されるような工夫というものがさまざまな場面で、文化庁さんの著作権課の御努力によってなされているわけであります。
 外国人の権利者から差しとめの申請が出された場合に、税関として、すぐそれに対応する体制がもうとられている、心配しないでくださいと。音楽ファンが見ておりますので、税関も、著作権法の改正案の趣旨を踏まえて仕事をしていきますということを、ちょっと確認の答弁をいただきたいと思います。
青山政府参考人(引用者注:財務省大臣官房審議官) お答え申し上げます。
 先ほど文化庁次長の方からお答えがございましたように、ことしの一月一日以降、昨日までで調べましたけれども、音楽用のCDの著作隣接権に係ります輸入差しとめ申し立て、これは八件受理してございます。このうち一件でございますが、音楽用のCDと音楽用のカセットということでございました。
 今先生御指摘の点でございますけれども、今確かに文化庁の方が申し上げたように、差しとめ申立者は国内ということになってございます。税関と申しますと、内外問わず、そういうことに対しましてはきちっと対応できるということになってございますし、知的財産、この著作権あるいは著作隣接権を含めました知的財産につきましてもこのところ私ども増員措置等を図っておりますし、言葉につきましては正直言いまして全く不自由はないということでございますので、きちっと今後とも文化庁と相談しながらやろうと思っております。
 以上でございます。

■【レコードリスト・輸入禁止表示に係る疑惑】

 還流防止措置を根拠に権利者が「還流盤」輸入を差止めようとするなら、申し立てが税関に受理されて初めて その扱いを受けることができる(ただし税関をスルーできても それが合法輸入を保証している訳ではない。依然として権利者から訴えられる可能性は残っているし、また著作権法では頒布および頒布目的所持も侵害行為とみなしている)。特にレコ協の場合は、文化庁のガイドラインによって、対象レコードリスト(リンク既掲)に当該盤を掲載し、更に税関への申立てをすることになっている。レコ協が「文化庁所管の公益法人」である以上、この手続をきちんと踏まえていくのが筋というものだ。
 しかしながら、ソウルのレコード店を調査したブロガーの証言で、レコ協のレコードリストにない盤にまで「日本国内頒布禁止」の表示が入れられていることが判った。このことは瞬く間に Watchdog 系ブロガーに伝わり、中にはレコ協に直接問い合わせたブロガーもいて、その報告を載せた
 ここで槍玉に挙がったのは中島美嘉「桜舞うころ」だが、これは後にレコードリストに追加されている(リスト追加項目の分析は 『Where is a limit?』 に詳しい)。局地的にとは言え Watchdog 系ブロガーに一斉に採り上げられたことが影響しているのか。その因果関係は判らないが、それでも このリスト外「輸入禁止」盤の話題が出た後に レコードリストの分量が一気に増えた事実は特筆に値する。特に、 4月20日から 21日までの間に、 少なくとも4回 リストが更新された事実が確認されている
 実は、還流防止措置導入以前から、海外で発売された邦楽盤の多くに「日本国内頒布禁止」類似の表示があった。国内で既に出回っている還流盤にも この表示はあるようで、『ふっかつ!れしのお探しモノげっき』で列挙されている(おそらくこれが全てであると考えるよりも、ざっと見渡しただけで これだけあるのだと解釈するのが正しいだろう)。

http://blog.drecom.jp/ecolin_profile/archive/372
「某ディスカウントショップで見たのは。」
(ふっかつ!れしのお探しモノげっき)

http://blog.drecom.jp/ecolin_profile/archive/375
「続・某ディスカウントで見たものは・・・その1」
(ふっかつ!れしのお探しモノげっき)

 なお上の記事を読んだ後に、私自身も還流盤を数枚入手する機会に恵まれた。ここでメモとして記しておくが、『安全地帯X』韓国盤と 元ちとせ『冬のハイヌミカゼ』台湾盤で同様の記述を確認している(宇多田ヒカル 『SINGLE COLLECTION VOL.1』 マレーシア生産盤では この表記が無かったのは意外と言えば意外)。

 かように表示面を含めた還流防止措置の運用にはツッコミどころが多い訳だが、レコード協会が公表しているレコードリストについてもそれは言える。これへの監視を積極的に行なっているブログ 『Where is a limit?』 は、本来 発行者であれば把握してる筈の発売日等情報がリストの中で曖昧に掲載されている杜撰さを指摘している。
 そうしたところ、指摘から あまり時を待たずに当該部が変更されるという不可解な動きがあった。こうしたレコ協の動きは、まさに後手後手の対応で「行きあたりばったり」だとしか言いようがない。彼らには、音楽(それはアーティストとファンとが手を取りあって築いていくものだ)に対する誠意というものが無いのか?
 誠意という観点からすれば、高橋健太郎氏が指摘し危惧を表明していたような、レコ協のレコードリストでは「申立て予定」としていながら実際に申立てているのか判然としない盤の存在も気になるところである。その疑惑は、税関への申立てが受理された盤が 2005年4月12日付の受理を最後に 10枚 (相手国別はカウントしていない)のまま一向に増える様子が無いということと、レコードリストの公表当初から掲載していながらソニーから発売されている盤が1枚も「受理済み」とならない上に 既に「取下げ済み」となっているものが2タイトルも生じている点から生じている。誠意のカケラも感じられない。
 せめて「申立て手続中」の表示を用意すべきなのではないか。

■【日本レコード協会の本音】

 『Copy & Copyright』 で、『コピライト』 2005年3月号掲載の記事が紹介される。日本レコード協会 現会長・佐藤修氏の発言で、還流防止措置と再販制度の関わりについて述べたもの。
 著作権法改定時の、衆議院・参議院いずれの附帯決議においても「還流防止措置の導入により、再販制度とあいまって商業用レコードの価格が二重に保護されることになるとの指摘等を踏まえ」るよう釘を刺されているにも関わらず、こうした発言を堂々とする態度には怒りを禁じ得ないところである。

■【洋楽還流盤】

 還流防止措置創設の際には邦楽還流盤と洋楽輸入盤のことが主に論じられたのだが、実際には、音楽ジャンルとしては洋楽でありながら 原盤が日本のレコード会社にあるために邦楽盤扱いされるものもある。これは還流防止措置の対象となる。こうした作品は決して少なくないだろうから、今後もレコードリストに追加されていくことが予想される。
 現に、レコードリスト初公表時から掲載されていた盤にクレモンティーヌ 『30℃』 があり、『万来堂日記』旅烏氏がソニーに問い合わせて この事実が判明した。




 現状、何人かのブロガーが個別に情報を出しているため、(「ゆるやかな連携」ゆえ致し方ないとは言え)洋楽輸入盤の取扱状況については実例に乏しく全体の傾向がなかなか見えません。ぜひとも複数の証言のもとに「レコード輸入権」施行の全貌が見えてきたら──と思います。
 充分な証言のもとで小倉弁護士が原稿執筆できれば、著作権法改悪反対運動時の高橋健太郎氏の行動のような、現状をより多くの人々に知らしめることが可能になると思われます。手の空いている方は(できる範囲で構わないんです)御協力ください。




■【追記 2005.5.17 :還流防止措置について】

 還流防止措置と、税関への申立てについて書いたくだりで、私はこんな表現を使っていた(現在は訂正済みの文章を掲載している)。

■【レコードリスト・輸入禁止表示に係る疑惑】

 還流防止措置によって輸入が禁止される盤は、レコ協のレコードリスト(リンク既掲)に掲載され、税関への輸入差止申立てが受理されて始(ママ)めて その扱いを受けることになる。しかしながら、ソウルのレコード店を調査したブロガーの証言で、レコ協のレコードリストにない盤にまで「日本国内頒布禁止」の表示が入れられることが判った。

 これに対して、コメント覧(ココログの方)で shiranui 氏から こんな指摘があった。

暇人#9さんが書かれた、「還流防止措置によって輸入が禁止される盤は、レコ協のレコードリスト(リンク既掲)に掲載され、税関への輸入差止申立てが受理されて始めてその扱いを受けることになる。」という文章について、著作権の侵害となる行為と、著作権が侵害されたときの著作権者の措置とを、混ぜてお考えになっているように思いました。

還流防止措置によって輸入が禁止される盤というのは、税関に輸入差し止めの申し立てがあったものに限られないと思います。具体的には、引用された文化庁の「還流防止措置を行使するに当たっての実務上の留意事項等について(通知)」に書いてある5つの要件を満たすものが、輸入が禁止される盤でしょう。これらの要件には、税関への輸入差止めの申立てというのは含まれていません。

 ──確かに。
 件の文は曖昧で正確さに欠ける表現だった。
 還流防止措置について述べる時には、ただでさえ法律と(表向きの)趣旨・ガイドラインとに齟齬がある上に、私自身の「こうすべきだ」的な感情論も混じらざるを得ず、なかなか考えを整理して書けてはいないものである(もちろん努力はしてるが)。
 ここで少し整理しておく。

 還流防止措置が禁じている(侵害とみなしている)のは禁止盤(「情を知って」いることと権利者の「見込まれる利益が不当に害される」こと、当該盤の日本オリジナル盤発売から4年経っていないことが要件──詳しいことは省略)の 1.輸入 2.頒布 3.頒布目的の所持 だ。
 私が件の文で重視していたのは1の「輸入」である。現実問題として、ここで申し立てが受理されていなければ税関をスルーしてしまう(筈だ)。
 しかし、税関通過イコール“合法のお墨付き”ではない。そこで輸入が止められなくても、権利者が(その輸入を)侵害と考えれば訴訟になる可能性は残されている。そして2・3の規程も重ねて効いてくる。ここで本当に訴訟になれば、「情を知っ」たことになる要件や「見込まれる利益が不当に害される」ラインなどが争われて(当事者ではない人間からすれば)非常に面白い展開になるだろうが、おそらくは こうならない。訴えられる可能性があるのに敢えて輸入する業者が出てくることなど考えられないからだ。

 ここまでが論理レベルでの認識。 shiranui 氏の「レコード協会が公表しているリストというは、還流防止措置によって輸入が禁止される盤ではなく、還流防止措置によって著作権者が著作権を行使する盤だと私は理解しています」は この意味で正しい。
 しかしだ。私は感情レベルで この認識を拒否してしまう(もちろん事実関係としての認識はしている)。そのような事態を現実のものにしてはならない、と。

 今まで継続して 「Watchdog」 なるものをやってきている人たちは、私も含め、レコ協に何としてでも文化庁ガイドラインを守らせるべきだと考えている(筈だ)。このガイドラインから外れた権利行使は道義に反すると考えている。すなわち、自身の手続不備で税関を通過させた盤について“輸入権”を主張することは許されるものではない。
 こうした感情が強すぎて、あのような文になってしまったものと考えられる。当然、論理的な部分を踏まえた上で感情を示すべきであった。あれでは「希望的観測」とか、そういう類の不正確な表現である。

 よって、次のように訂正することとした。

■【レコードリスト・輸入禁止表示に係る疑惑】

 還流防止措置を根拠に権利者が「還流盤」輸入を差止めようとするなら、申し立てが税関に受理されて初めて その扱いを受けることができる(ただし税関をスルーできても それが合法輸入を保証している訳ではない。依然として権利者から訴えられる可能性は残っているし、また著作権法では頒布および頒布目的所持も侵害行為とみなしている)。特にレコ協の場合は、文化庁のガイドラインによって、対象レコードリスト(リンク既掲)に当該盤を掲載し、更に税関への申立てをすることになっている。レコ協が「文化庁所管の公益法人」である以上、この手続をきちんと踏まえていくのが筋というものだ。
 しかしながら、ソウルのレコード店を調査したブロガーの証言で、レコ協のレコードリストにない盤にまで「日本国内頒布禁止」の表示が入れられることが判った。

 ──それにしても、この制度が続く限り、この論理と感情の乖離は続いてしまうのだな。
 論理的解釈のみになってしまえば、「監視活動」事態が無意味と言えるのかも知れない。しかしそれは政治や行政に対する監視と同じで、連中自身で作ったルールを遵守しているかチェックしなければ やりたい放題になってしまう。その歯止めになりたくて わずかながらでも時間を割いているわけだ。
 ともあれ、この感情面からの(それは「道義面」と呼んでもいい)カウンターパンチをレコ協に打ち続けたいものである。

投稿:by 暇人#9 10:22 午後 [「輸入権」問題, 音楽業界の愚行] | 固定リンク | コメント (11) | トラックバック

2005.05.13

【ちょっとした】「レコード輸入権のその後」 (benli) ──ブロガーたちで(わずかでも)協力しませんか?【呼びかけ】

 小倉弁護士の 『benli』 で こんな記事。

http://benli.cocolog-nifty.com/benli/2005/05/post_4d0f.html
「レコード輸入権のその後」
(benli)



レコード輸入権導入後の運用状況等について原稿依頼が来てはいるのですが、実際のところどうなっているでしょうか。

洋盤はいよいよAmazonでしか買わなくなったので、私自身は実感がわからなくなってしまったのですが。

 Watchdog の皆様方。「レコード輸入権導入後の運用状況等」について、情報を小倉弁護士のところへ寄せてみませんか? 我々ブロガーが普段やってることの範囲ぐらいでも。
 例えば自ブログの関連記事 URL をリストにした記事を上げて、 『benli』 へトラックバックするとか。

 私のところでも何か考えます。

(今のところ考えられるネタ:
 衆議院での川内議員の質問──運用状況について。
 『where's a limit?』 レコードリスト状況。
   特に、 4月20日から 21日にかけての爆発的増加、
   そして「受理済み」となる前に「取下げ」られた盤。
 『趣味の問題2』 レコードリスト外の「日本国内頒布禁止」盤。
 『Copy & Copyright』 レコ協 現会長の暴言。
 あとは輸入盤(米盤)の値上がり、
 量販店やCD小売店での輸入盤の扱い──あたりかな。
 適当に挙げただけなので
 これで全てである訳では勿論ありません。)

 なお この提案は私の“お節介”でしかないので、小倉弁護士にとって御迷惑でしたら取り消します。
(あと この記事からのトラックバックは小倉弁護士へのお知らせだけですので、後で削除して戴いても構いません。)

投稿:by 暇人#9 06:12 午後 [「輸入権」問題] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005.05.09

【とりあえず】『Copy & Copyright』 から最近の動向 ──輸入権・貸与権・再販制度【クリップ】

 今月頭に、 『Copy & Copyright』 にて興味深い記事が立て続けに上がった。

http://d.hatena.ne.jp/copyright/20050502/p1
「国会での議論は何だったのか?」
(Copy & Copyright Diary)

http://d.hatena.ne.jp/copyright/20050503/p2
「国会での論議は何だったのか? その2」
(Copy & Copyright Diary)

http://d.hatena.ne.jp/copyright/20050503/p3
「再販制度維持で『活字文化』は振興されるのか」
(Copy & Copyright Diary)

 一番上がレコ協 現会長の暴言、その次が小学館社長(貸与権管理センター理事)の本音、最後が活字文化振興法案の話。いずれも私の“アンテナ”に掛かる話題で、気になっていた最近の動向を知ることのできる記事である。
 私が今まで書いてきたことを踏まえつつ、クリップしておく。




【レコード“輸入権”】

 ──リンク再掲。

http://d.hatena.ne.jp/copyright/20050502/p1
「国会での議論は何だったのか?」
(Copy & Copyright Diary)

 『コピライト』 2005年3月号に、 「還流防止措置の導入を受けて」と題したエッセイが掲載されていたとのこと。日本レコード協会の会長・佐藤修 氏によるものである。
 この内容が何というか、 『Copy & Copyright』 管理人・末廣氏が書いたように「国会での議論は何だったのか」と言いたくなるものである。氏が参議院・衆議院での附帯決議を引き合いに出しているのも当然だ。レコ協の態度には私も怒りを覚える。
 ただでさえ問題が出てきている還流防止措置制度の実際である。リストに無いCDに「日本国内頒布禁止」とやってみたり、「申立て予定」としたままで放置したり‥‥こうした“舐めた”ことをやってるのは いつもレコ協側だ。

 レコ協の方は甘く見てるかも知れんが、俺たちは忘れちゃいない。前会長の依田氏が何を言ったのか。そして日本レコード協会の名で何を約束したのか。明確な記録として残っているのだ(万一レコ協が消したくても、国会での発言はずっと残るし、他の発言だって Watchdog サイトから消えることはない。常に Google で検索可能だ)。それは事あるごとに蒸し返されるのだ。
 レコ協は監視され続ける。一度 音楽ファンを敵に回してしまったが為に。会長が替わろうが何だろうが、その一貫性が要求されるのだ。




【書籍・雑誌貸与権】

 ──リンク再掲。

http://d.hatena.ne.jp/copyright/20050503/p2
「国会での論議は何だったのか? その2」
(Copy & Copyright Diary)

 『文化通信』 5月1日号で、 小学館・相賀昌宏 社長のインタビュー記事が載っていたという。この人は出版物貸与権管理センターの理事でもある(「著作権等管理事業者検索」参照のこと)。
 貸与権に関する発言が上の記事で引用されているのだが、これが噴飯もの。貸与権管理センターの使用料交渉が難航しているのを棚に上げて、仮に最初妥協しても後々使用料を吊り上げていくことを匂わせている。何が原因で決裂してるか理解しとるのか。益々難航させる気か。
 ちなみに現状として、貸与権管理センターは管理委託契約約款を文化庁に提出済み (2005年3月28日付け)、 使用料規程が未提出である。レンタルコミックについては、交渉難航の中 暫定措置のみ合意されている (CDV-JAPAN の PDF 「コミックレンタル事業者の皆様へ」参照のこと。管理センターに登録した業者には貸与権(禁止権)は ひとまず行使されず、 CDVJ が提案した「暫定許諾使用料」を支払うことでレンタル事業を続けられることになっている。
 その後 展開があったのかは寡聞にして知らない。

 そうそう、管理センターのウェブサイトは出来てたな。

http://www.taiyoken.jp/
「RAC 有限責任中間法人 出版物貸与権管理センター」

 ──トップページ以外は「準備中」で読めないのが痛い。こいつが開設されてから結構 経ってる筈なんだがなぁ。しかも文化庁での情報を見れば、管理委託契約約款・使用料規程はウェブサイトで公開されることになっている。いつ準備が出来るんだか。




【活字振興法案と再販制度】

 ──リンク再掲。

http://d.hatena.ne.jp/copyright/20050503/p3
「再販制度維持で『活字文化』は振興されるのか」
(Copy & Copyright Diary)

 活字振興法案については うちでも(後追いで)採り上げたりしてたが、問題とされるのはやはり「再販制度の維持」だろう(版面権は問題外?)。それについての文献が上の記事で紹介されている。
 再販制度が“表向き”の目的を果たしているのか──という点に尽きるようだ。目的に矛盾した状態が進行していくという末廣氏の論点、再販制が その目的を果たす唯一の方法ではないという謎工氏(コメント覧で登場)の論点、いずれにおいても「文字・活字文化振興」にとって「再販制度の維持」を持ち出す必然性は全くないことが良く解る。
 そんな嘲笑必至の主張を続ける活字議連とは、存在理由が「再販制度の維持」にしか無いという団体なのだな、今でも。

 そうそう、ずっと採り上げ忘れていた「文字・活字振興法」シンポジウム (4月11日開催 ──って、1ヶ月も前じゃん!) のこともクリップしておこう。 『Library & Copyright』 での報告が非常にありがたい。

http://gomame.cocolog-nifty.com/library_copyright/2005/04/1_39ae.html
「公貸権の新たな動き?(1)
 『文字・活字文化振興法』シンポジウム(1)」
(Library & Copyright)

http://gomame.cocolog-nifty.com/library_copyright/2005/04/2_518c.html
(Library & Copyright)
「公貸権の新たな動き?(2)
 『文字・活字文化振興法』シンポジウム(2)」

http://gomame.cocolog-nifty.com/library_copyright/2005/04/3_5563.html
「図書館関係者が不在なのは?
 『文字・活字文化振興法』シンポジウム(3)」
(Library & Copyright)

http://gomame.cocolog-nifty.com/library_copyright/2005/04/4_1890.html
「趣旨説明・来賓あいさつ:
 『文字・活字文化振興法』シンポジウム(4)」
(Library & Copyright)

http://gomame.cocolog-nifty.com/library_copyright/2005/04/5_a48e.html
「基調講演(1):『文字・活字文化振興法』シンポジウム(5)」
(Library & Copyright)

http://gomame.cocolog-nifty.com/library_copyright/2005/04/6_2f99.html
「基調講演(2):『文字・活字文化振興法』シンポジウム(6)」
(Library & Copyright)

http://gomame.cocolog-nifty.com/library_copyright/2005/04/7_31dd.html
「パネルディスカッション(1):
 『文字・活字文化振興法』シンポジウム(7)」
(Library & Copyright)

http://gomame.cocolog-nifty.com/library_copyright/2005/04/28_376a.html
「パネルディスカッション(2):
 『文字・活字文化振興法』シンポジウム(8)」
(Library & Copyright)

http://gomame.cocolog-nifty.com/library_copyright/2005/04/39_c0b1.html
「パネルディスカッション(3):
 『文字・活字文化振興法』シンポジウム(9・完)」
(Library & Copyright)

投稿:by 暇人#9 12:53 午前 [「輸入権」問題, 音楽業界の愚行] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005.05.08

輸入差止「還流盤」の実際 ──GLAY 『WHITE ROAD』 TKPD-0039

 連休中に韓国へ旅行していた友人が お土産を手に帰ってきた。
 その土産は、私があらかじめ頼んでおいたもので、日本レコード協会の「輸入差止申立てに係る対象レコードリスト」で輸入差止めの申し立てが受理されたとされるCDである。

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 ──あ、上のデータは日本盤ね。

 GLAY の 『WHITE ROAD』 韓国盤。品番が TKPD-0039、 価格は日本円で 1700円程度だ。やはり日本のCDってのは高すぎるな。日本に輸入される洋楽米盤と同程度の水準(最近は米盤が値上がりしてる感もあるが)だから、韓国盤が特別安い訳ではない。ただ韓国盤について強調しておきたいのは、日本のレコード会社自身がこの値段を「戦略的に」付けたものであり、奴らはこの程度まで下げないとCDが売れないと判っているということである。

 さて。私が友人に「還流盤」を頼んでいたのは、税関で妥当な扱いがされているのか、そして実際の「還流盤」がどのようなものかを知るためだった。しかしながら結果から述べてしまうと、特筆すべき事はない。今のところ決められたことを決められた通りに処理されている様子である。
 例えば税関。友人はわざわざCDが見えるように通ってきたというが、全く声も掛けられなかったという。まぁCDを持ってる人全員に声を掛けるともなれば税関の人も大変だろうし、そもそも還流防止措置は個人で持ち込む分を対象としていない。これが大量(袋いっぱいとか箱詰めとか)となれば定かではないが、せいぜい数枚程度であれば全くのフリーパスということなのだろう。今のところ正常に扱われていると思われる(さまざまな報告例が集まってくれば、その取扱実態が明らかになってくるだろう)。
 また、表示についてもレコ協の「表示に関する運用基準」をクリアしている。もっとも、表示に関する問題は輸入差止めが受理されていないものにも「日本国内頒布禁止」と記すことにあるのだが(今回は、これについて調べることは出来なかった)。
 ともあれ、現在 輸入が差止められている「還流盤」の一例を報告することにする。




 外観で、日本盤と韓国盤とで すぐに判る違いと言えば文字表記である(なお私は日本盤を持っていないので目に付いた特徴のみ挙げていく)。例えばパッケージ表に貼られたシールはハングル表記である。当たり前だが。

 裏の曲目においても、日本語タイトルにハングルが併記されている。 GLAY には英語タイトルの曲もあるから、そちらは そのまま読めということなのだろう。日本のように“邦題”を付けるわけではないのだね。
 そしてバーコードは 「8 809144 340575」。 国番号が 880 で、まぎれもなく韓国の製品。パッケージには 「MADE IN KOREA」 の表記もある。

 さて、我々 Watchdog が最も気になる「日本国内頒布禁止」表記の方。パッケージ裏の下の方にきちんと印字されていた。

[日本国内頒布禁止 (09・1・18まで)]
NOT For Distribution In Japan (Expires 18 January 2009)
このCDは、日本で頒布されているCDと同一で、専ら日本国外で頒布すること
を条件に権利者から許諾を受けています。
This CD is identical to a CD distributed earlier in Japan and has been
authorized by the licensor to be distributed outside Japan only.

 帯にも同様の表記がある(簡略化されているが)。

[日本国内頒布禁止]
[(09・1・18まで)]
NOT For Distribution In Japan
(Expires 18 January 2009)

 そしてパッケージを開けてみると、盤にも。

[日本国内頒布禁止]
NOT For Distribution In Japan

 ──レコ協の基準をクリアしている。




 以下、余談。

 ブックレットは、曲目の一部にハングルが追記されているのを除けば、日本盤と同じもののようだ。歌詞が日本語のまま掲載されている。何だか不思議な感じ。