2007年11月26日 (月)

ダウンロード違法化・ iPod 税パブコメ:提出意見

 11月15日 〆切だった私的録音録画小委員会中間整理に関するパブリックコメント募集ですが、私も時間ギリギリまで かかりながら意見を提出しました。今回は募集期間が比較的長かったのと、 MIAU がパブコメ提出の呼びかけを行なったことから、〆切前から様々なブログさんで提出報告が相次ぎました。
 周辺状況については正直 追い切れていません。幾つか目に付いたブログさんについてはピックアップしてみたいとの欲はありますが、ここでは後回しにしておきます。何せ、私自身の意見も相当の分量だったりするわけでして。

 そんなわけで、ここでは私の提出意見をそのまま載せます。誤字・脱字もそのままです(苦笑)。そのうち別稿で解説というかフォローをしておきたいと思いますが、とにかくここでは“生”のまま並べておきます。

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2007年11月15日 (木)

著作権分科会パブコメ募集中 ──ホットトピックは非親告罪化と「ダウンロード違法化」

 採りあげるのが実に遅れまくっているわけですが。
 当初から予定されていた通り、 10月16日より 文化審議会著作権分科会の中間報告に対するパブリックコメント募集が実施されています。2つの募集が並行して行なわれており、ひとつは法制問題小委員会の「中間まとめ」を対象とするもの、もうひとつが私的録音録画小委員会の「中間整理」を対象とするものです。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000283&OBJCD=&GROUP=
「『文化審議会著作権分科会法制問題小委員会中間まとめ』に関する
 意見募集の実施について」
(e-Gov. :意見募集中案件詳細)

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000284&OBJCD=&GROUP=
「『文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会中間整理』に関する
 意見募集の実施について」
(e-Gov. :意見募集中案件詳細)

 それぞれに募集要領が用意されており、送付先も異なっていますので御注意あれ。意見募集の対象となる文書もそれぞれありますので上記リンク先より入手してくださいね。
 〆切はいずれも 11月15日、 「必着」とのことです。木曜日の〆切ですから、ひょっとすると日付が変わるギリギリでの提出も想定しているかも判りませんね(極端な話、翌日に担当者がメールチェックする時点までの余裕ありと見て送る裏技も‥‥すみません、私過去にやったことがあります)。もっともメールってやつは若干の遅れもあり得るので、早め早めに送っておいた方が安全であると思われますけれども。
 意見には「個人/団体の別」「氏名/団体名」「住所」「連絡先」「該当ページおよび項目名」を付すよう指定されています。詳しいことは募集要領を参照のこと。また、メールの件名を対象資料に応じて「法制問題小委員会中間まとめに関する意見」「私的録音録画小委員会中間整理に関する意見」とするようにとの指示もあります(前述の通り、送付先メールアドレスが異なっていますよ)。
 送付した意見は、ここのところの意見募集を見たかぎりでは「氏名、住所、連絡先を除いて公表され」るのが通例です。このあたりを想定して意見を書かれるのがよろしいでしょう。ヘタに過激さに走ったりすると、某パブリックコメントの結果発表で晒されてしまって後で撤回するハメになった某AJのようなオチになりかねません。御用心、御用心。

 この記事は、〆切日付けとして上げておきます。当分は当ブログのトップに表示される筈です。何か追記すべきことがあれば更新していこうかと考えています。
 私自身、意見をまとめる過程をここで公開しながらやれたらと思っています。最近はブログの更新も滞りがちではありますが、パブコメにできるだけ注力し、その成果をブログに反映するつもりです。

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2007年10月23日 (火)

「みゃう」っと、公式サイト探検。

http://miau.jp/
「MIAU : 公式サイト」

 話が前後してしまいますけど、 MIAU の公式サイトについて。
 開設以来、次々とコンテンツが増えていっています。中には内容がほぼ同じものが別形式で掲載されていたりするなど、正直 現場の慌ただしさを感じさせるところもあったりして(っていうか、読んでる私が混乱してるだけなんですが)。ともあれ、私自身のメモとしての意味合いもあり ここで現時点での内容をピックアップしておきます (2007年10月22日現在)。

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「ユーザー団体」設立 ──『CONTENT'S FUTURE』 ×ロージナ茶会=猫!?

 発起人の方々のブログやソーシャルブックマークや各種ネットメディアで採りあげられているので御存知の方も多かろうとは思いますが、 「Movements for the Internet Active Users」 通称 MIAU (ミャウ)というユーザー団体が発足したそうでして。発起人として 11人 が名前を連ねていて、そのうちの津田大介・小寺信良・白田秀彰の三氏が記者会見に臨まれたとのこと。
 このタイミングで、というのは文化審議会著作権分科会が行なっているパブリックコメント募集に合わせたというのが大きいようです。現に、当面の活動内容としてパブリックコメント対策も挙げられています。

 津田大介さんと小寺信良さんは、著書 『CONTENT'S FUTURE』 関連イベントを始めとして随所でユーザー団体の必要性を訴えてきました。それが、同じように「インターネットの法と慣習」を標榜しユーザーの政治参加を提言してきた白田秀彰さんの主催するロージナ茶会と合流することで、電撃的に団体設立へと至ったようです。
 公式サイトも既に稼働しており、設立に関したさまざまな情報が発信されています。まぁ各種報道を読む前に、こうした一時資料に当たることをまずはオススメします。そして、公式サイトでは参照できない部分を報道で補足するつもりでいるのが丁度いいのではないかと思います(まぁ既に設立発表会の模様は動画配信されていますので隙が少ないとも考えられますが)。

http://miau.jp/
「公式サイト」
(MIAU)

http://miau.jp/1192544100.phtml
「組織概要」
(MIAU)

http://miau.jp/1192633202.phtml
「設立趣意書」
(MIAU)

http://miau.jp/1192676340.phtml
「発起人一覧」
(MIAU)

http://miau.jp/1192708800.phtml
「MIAU 設立発表会講演録(1)」
(MIAU)

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2007年10月14日 (日)

パブリックコメント開始間際の準備として

 明後日 16日から、 文化審議会著作権分科会が出した中間整理(私的録音録画小委員会)および中間まとめ(法制問題小委員会)に対するパブリックコメント募集が行なわれる予定です。これへの準備として、私的録音録画小委での議論の方をまとめてくださった方がいらっしゃいましたので、とりあえず御紹介をば。

http://d.hatena.ne.jp/picas/20071013/1192266949
「私的録音録画小委員会での著作権法第30条の議論の流れを整理してみた」
(picasの日記)

 私自身が思うように動けない有様なので、こうした方が出てきてくださると非常に助かります。
 ぜひこの問題に興味のある方はご一読ください。

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2007年9月10日 (月)

津田大介さんは闘い続けている。

 文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会では「中間整理」に向けて議論が大詰めになっているところなんですが、 ITmedia での報道がきっかけでちょっと物議をかもしてしまった事柄があったりして。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0709/05/news073.html
「補償金はDRM強化よりまし?——私的録音録画小委員会で議論」
(ITmedia News)

http://xtc.bz/index.php?ID=472
「『ダウンロード違法化/iPodの補償金対象化』がほぼ決定した件と、
 ITmediaの記事で抜粋されている発言についての補足」
(音楽配信メモ)

 要は、 ITmedia の宮本記者が、「DRMが強化されるか、補償金を支払うかの2択なら、補償金を支払う方を選ぶ」と津田大介委員が小委員会で発言したと報じたことで起こった混乱なのですね。その前提となる考えをすっとばして報じてしまったがために。
 ちなみに今では当該部分は次のように訂正されています(その前の文章は私の前の記事で引用していますのでそこを参照のこと)。もし未読の方がいらっしゃいましたら御確認ください。

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2007年9月 6日 (木)

文化庁の審議会独裁モード加速 ──私的録音録画小委#11

 9月5日に文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会(第11回会合)が開催されました。ここのところ冗談抜きで2週間置きの開催だったわけですが、次回はなんと 9月13日。 一週間かよ!
 はっきり言って、もはや文化庁には審議会で話し合いをさせるという考えは無いわけですよ。会合の数だけ一応こなし、そのまとめを捏造、形だけの報告書でも上げておけば小委員会で承認されるだろうという腹。各種報道で聞こえてくる「議論の整理」についても、小委員会で結論が出ていないことばかりか話し合われていないことまで「承認が得られた」とかやってるんですから。

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/05/16806.html
「私的録音録画小委員会、9月13日に『中間整理(案)』提出へ」
(INTERNET Watch)

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2007年8月17日 (金)

砂上の楼閣たる私的録音録画小委の議論に正当性は見えるか ──第9回会合

 私的録音録画補償金の拡大が議論されている、文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会の第10回会合が 8月24日 に予定されています。傍聴の募集も始まっています(締め切りが 8月21日 午後6時)ので、都合の付く方はぜひ申し込んでください。はっきり言って、今が正念場です。
 さて第9回会合は8月8日に開催されました。相も変わらず2週間ほどのインターバルで開かれ続けているわけですが、それによって議論が深められている感じでは全くありません。議論の前提が積み上げられることなく、補償金拡大ありきで外観だけ整えようとしている砂上の楼閣といった風情なのですが──

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/08/08/16580.html
「『DRM普及でも補償金制度は必要』権利者側がメーカーに利益還元求める」
(INTERNET Watch)

 記事では、現行の補償金制度を変質させんと“奮闘”する権利者側委員の発言が伝えられております。もっとも、ネット上での反応を見ると これに理解を示す向きは殆ど見られませんわね。そりゃそうですよ、彼らの主張には論理的な根拠が伴っていないのですから。
 現行の補償金制度を正当なものとみなし、加えてメーカーを支払い義務者とすることで汎用機器・記録媒体(ひらたく言えばパソコンやハードディスクです)へと課金対象を広げようとしているのが彼ら(ついでに言えば文化庁も)の目論見。そしてその理由とされているのが「私的複製の問題は、メーカーが高度な複製技術を一般に普及させたことから生じている」との椎名委員の発言だったりします。
 しかし。これが本当に「私的複製の問題」なのか否か。確かに著作権法の研究者などからはこういう解釈が示されがちだったりはする訳ですが、私に言わせればそのような解釈に説得力など無い。メーカーが複製技術を普及させたところで、それは、一部の著作権者・著作隣接権者に対して「補償」せよとの責任を負うべきものではないのです。

 複製技術を一般に普及させるということは、表現手段を一般に普及させていくということと表裏一体です(特に音楽や映像というのは録音・録画と結びついて発展していく表現形態ですからね──音楽のライヴとかはともかくとしても)。社会から感謝されこそすれ、非難される筋合いはありません。
 また、〈業務用として既に存在する機器等が低廉化した結果 一般へ普及していく〉などということは工業化した社会では当然の流れです。複製技術がいつまでも一般に普及しないで済むなどという考え方自体がかなりファンタジーなのであって、こうした幻想を法律によって保障する必要など(まして幻想を維持するだけのコストを社会が負担する必要など)全くありません。
 録音・録画の機器等からメーカーが得ている「利益」を考えても、ユーザーが対価を払っている理由から、権利者団体に“利益還元”すべき性質のものではないことが判ります。我々は何に対して金を払うのか──メーカーの技術や設計思想ですよ。我々は、コンテンツへの対価は別問題として、CDや音楽配信に金を払い、その上で当該機器等を仕様しているでしょうが、いつも!
 メーカーからの“利益還元”を肯定することは、最終的な負担者である我々ユーザーにとって〈他人の著作物を私的録音・録画するかしないかにかかわらず、機器等を所有すれば自動的に課金徴収される〉仕組みを作ることに繋がります。

 私的複製の問題は、メーカーが高度な複製技術を一般に普及させたことが本質ではありません。あくまでもユーザーが他人の著作物を(30条の権利制限内とはいえ)複製しているという行為そのものにあります。だからこそ私的録音・録画に対して「補償金」を求めることに一応の論理性が認められるわけです。
 もっとも〈(デジタルであれば)いかなる私的録音・録画にも課金すべき〉との考えを正当化するだけの理論は未だに積み上げられていませんがね。少なくとも、この前提を疑う主張に対して反論が有効に行なわれている段階にはありません。かような現状で「補償金」拡大を強行しようとしているのですから、小委員会で一定の“結論”が捏造されたとしても どこまでの正当性があるのかは疑問です。
 著作権制度の本質へ立ち返ってみれば、どういった著作物の利用から著作権者等へどう利益を還元していくかということの積み重ねに尽きます(その手段として禁止権を付与するという構成を採っているわけですね)。それを踏まえて私的録音・録画問題を捉え直さないと、今のような歪んだ状況がいつまでも続くのでしょう──複製機器は一部の人間に独占させるべきという、時代遅れのファンタジーに立脚し硬直化した制度を無理に生きながらえさせようとする様が。
 著作権制度が未来へ向けアップグレードへの第一歩を踏み出すのか、旧来の価値観をごり押しして崩壊を早めるのか。時代遅れのファンタジーからくる矛盾点が一気に吹き出す私的録音・録画問題の議論に際し、こうした分かれ道に来ていることを自覚して臨んでいる人がどれだけいるのか、私には疑問に思えてなりません。

 入口の議論から詰めておかないとならなかったのですよ。やはりね。




■INTERNET Watch 記事からピックアップ

椎名氏は、現在の補償金額が「対象機器・記録媒体の価格の定率」となっていることを挙げ、「最近の対象機器・記録媒体はオープン価格が多い。これらの価格が安くなると、それに応じて補償金額も下落する」と指摘。改善策として、定率ではなく定額で補償金を徴収するプロセスを提案した。

 私的録音補償金管理協会(sarah)で権利者側の代表として補償金額を交渉した経験があるという日本レコード協会の生野秀年氏は、金額が決定するまでに時間がかかることを指摘。「(私的録音録画が可能な機器の)技術の発達に(補償金制度が)追いつかない状況はまずい」として、補償金額を迅速に決定できる仕組みが必要であると訴えた。この意見には椎名氏も同意し、「利害関係者や学識経験者で構成された評価機関で迅速に決めるべき」と続けた。

 前半の、椎名委員による定額制への要望は議論としてあり得るものだと思います。確かに、私的録音・録画という行為に対して一定額の補償金を課すという時、それに使われる機器や記録媒体の値下げによって目減りしていくのはどうかという観点はありますから。
 ただ、こうした補償金額を変更したいという要望を実現することに今まで権利者が成功しなかったという事実にも目を向けねばならないのです。そもそも権利者側がメーカー側とどう話し合ってきたのかという。権利者とメーカーとの間の妥協の末 創設された補償金制度だというのに、その金額について新たな合意に至ることができない体たらくの中で制度を存続させる意味があるのか否か。

 しかも後半の、生野委員による「迅速に決定できる仕組み」とやらは、先の定率か定額かという論点を加味して考えると、その要求が違うものに映ってきます。
 つまるところメーカー側との交渉が不調だから(別の言い方をすれば、メーカーを説得させられないから)、文化庁を味方につけ数の不均衡で押し切りたいということです。私的録音録画小委もそうですが、新たな「仕組み」でも権利者の数を多く設定するなどの不公正な運用がなされるのは明らかですからね。
「迅速」などというものは、私的録音録画小委での議事進行を見る限り「拙速」以外の何物でもないのですよ。言葉通りに受け取れるような話ではありません。

 課金対象や金額を決定する新たな組織を設けるよりも、むしろ著作権分科会下の小委員会を正常化し、補償金制度の内容を現実に合致させたものへと改善するのが先でしょう。課金対象や金額については改善議論の延長として扱えば良いだけの話。新組織で適切な検討がなされるなどとは(私的録音録画小委以上に)望めるべくもなく、ただ密室の中で権利者が好き勝手にふるまうようになるのは目に見えています。
 仮に新組織が正当性を得るには、権利者とユーザー(メーカーも含む)との人数を同じにし(有識者はオブザーバー扱い)、文化庁の影響から切り離し(あるいはメーカー側に経産省を付かせる)、現行の私的録音録画小委以上の透明性(会合の傍聴と議事録公開が必須)を保証することが最低条件です。そのうちのどれが欠けてもいけない。

 補償金額の決定方法に関する意見に対して、主婦連合会の河村真紀子氏は「(補償金制度の存続が)既定路線であるかのように話が進むことに抵抗感を抱いている」と反論。補償金制度の本質を議論せずに、対象機器・記録媒体に対する補償金額の決定方法を検討することは「一方的と言わざるを得ない」とし、これまでの小委員会で一貫して主張してきたように「補償金制度の妥当性の見直し」の必要性を訴えた。

 こうした反論が今でも繰り返し出てくることに違和感を持つ方も少なくはないでしょう。気持ちは分かりますが、こういう反論は当然出てくるものなのですよ。河村委員が指摘しているとおり、補償金制度の根本的な議論が未だ済んでいないのですから。
 今の議論は、私的録音・録画を行なうことから当然に補償金を徴収すべしとの前提で進められています。これに対する疑問がユーザー・メーカー側から挙がっているにもかかわらず、です。しかも今後、私的録音・録画できる機器等を所有すること自体に課金するような制度へと変質させることが強引に進められようとしているわけで、その根本を問う上記のような反論が(何度でも)出てくるのは必然なのです。
 例えば私たちが真っ先に考えるような疑問、〈自分で買ってきたCDをMDに録音して聴くことが、どうして「補償」の対象となるのか〉。「MD」は iPod でもパソコンでも何でも構わないのですが、こういう疑問を解消させるような(小委員会で議論の前提として合意できるような)論は出てきていません。むしろ委員の多くは、この場合には「不利益」が生じていないと考えている節も見られていたんですがね。
 そこを無視して、事務局主導で課金ありき・拡大ありきの議論が進められているのが現状です。

補償金管理協会では、徴収された補償金の一部(最大20%)は権利者団体に配分されずに、啓蒙活動などを目的とした「共通目的事業」へ支出される仕組みがある。この事業については、「存続すべき」との意見が続出。ただし、事業内容については「見直すべき」という声が多く、津田氏は「共通目的事業が継続するのであれば、その割合を20%から100%に限りなく近づけるべき」との考えを示した。

 「現在の補償金総額は5億円程度。それ(共通目的事業に割り当てられる金額)でどれくらいのことができるのか。それならば、クリエイターを守るセーフティネットのように共通目的事業を活用してみてはどうか。補償金を個々の権利者に厳密に分配できないのであれば、創作支援に使う方が良い」(津田氏)。

 個人が他人の著作物を私的録音・録画することによる「経済的不利益」の補償を建前とする制度について、その論理的正当性すらまともに議論されていないのが現状です。このまま補償金制度を存続させるばかりか課金対象を拡大するともなれば、その性質が「税」化していってしまうおそれは極めて高いものです。その一方で、そうした補償金の分配を受けられるのが、本当に補償されるべきなのか判然としない「権利者」たち。
 それならばいっそのこと完全に「税」化してしまって、共通目的基金という形で社会全体に還元してしまう方が社会的な納得を得られるのではないかとすら思います(無論、かような正当性なき制度は廃止できるに超したことはありませんが)。そういった文脈において、私は津田委員の上記発言に共感します。
 私的録音・録画問題の解決策は、一部の「権利者」だけに利するような形を採るべきではありません。より広く社会に還元され、社会的な合意のもとで存続できる制度である必要が本来はある筈なのです。私的録音・録画できる機器や記録媒体を所有することに何らかの賦課金を要するというのなら、その賦課金は「税」的な扱いを受けるべきです。私的録音・録画実態を考慮しなくなった時点で、そのような制度は もはや私権云々という概念からは離れてしまうのですから(ユーザが支払い義務者で、返還制度が維持されるのなら別ですがね)。


 記事によると、「次回の会合では、これまで寄せられた意見を踏まえた資料を事務局が提出し、これをもとにさらなる議論が進められる」とのことです。
 しかしどれだけまともな「資料」が上がってくるものなんだか。今年度と昨年度の私的録音録画小委だけを見ても、事務局の打ち出した拡大方針に対する反対意見については無視し続け、あげく強引に「叩き台」を出して、それに沿った議論をやらせたわけですから。
 また忘れてならないのが、事務局の「叩き台」はあくまで「もし補償の必要があるとしたら」との前提で制度変更を議論しているということ。ここから「もし」を外して制度変更を実現しようとするのなら、当然にその補償の必要性自体を再度議論しなければならないですし、「もし」のもとですら議論が対立しているという事実を踏まえて小委員会を運営しなければなりません。

 はっきり言って、拙速に報告書をまとめられる段階ですらないのですよ。




■ITmedia 記者のスリーアウト


 著作権分科会での議論を追いかけているメディアといえば、 INTERNET Watch と ITmedia ぐらいなものですかね。私もだいたいこの二つを引きながら動向を論じる形なのですが(私自身は物理的に傍聴不可能ですから)、今回は前者だけを引いてこれを書いています。
 最後にちょっとだけ ITmedia にも触れておこうかとは思いますが、ひょっとすると二度と引かなくなるかも判りません。

 ──あまりにも使えないのですよ、記事が。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0708/08/news074.html
「補償金額はどう決めるべきか 私的録音録画小委員会」
(ITmedia News)



 IT・音楽ジャーナリストの津田大介さんは、前回の会合で補償金の課金対象をiPodやPCにまで広げるべきとの意見が出たことを挙げ(関連記事参照)、対象範囲を広げた場合、「広く薄く」の通り、1つの機器やメディアに課す補償金額が低くなる可能性もあると指摘。このため「補償金額の決定方法と、対象機器の範囲の議論は一緒にすべき」と提案した。
※ リンク既掲 INTERNET Watch 記事より


 IT・音楽ジャーナリストの津田大介氏も、「議論を聞いていると、(対象機器・記録媒体の)範囲を迅速に拡大しようとするばかり」と河村氏の意見に同意。さらに、PCや携帯電話などが広範囲に補償金対象となるのであれば、「1つ1つの補償金額が安くなければ消費者的は納得できない」と述べた。補償金額の決定方法については、関係者が協議する際、パブリックコメントなどを通じて消費者の意見も反映すべきと主張した。

 これらは津田委員の同じ(一連の)発言を伝えているように思われます。ところが あまりにも印象が違いすぎるという。
 正確な発言内容は議事録の公表を待つしかないにしても、津田委員の過去の発言からいって「1つの機器やメディアに課す補償金が低くなる可能性もある」と肯定的に表現して終わりとは考えられません。むしろ文脈からして「1つ1つの補償金額が安くならなければ消費者的は(原文ママ)納得できない」の方が自然です。
 補償金の課金対象を拡大したときに「低くなる可能性」を示したとしても、それだけなら高く決まる可能性も加味した上で肯定しているとも読めます。現行の補償金額を前提に課金拡大される方が自然なのですから。しかしそれが津田委員の趣旨であったのか否か。
 ITmedia での伝え方では、発言の中へ留保されたものを不適切に切り捨てているのではないですか?

 字面は間違っていなくても、その伝える方向性に問題があって論旨を曲げてしまうということはよく起こります。 ITmedia の宮本真希記者は対立点をあぶり出すという書き方を基本的にしませんから、裏読みに耐えられる文章が上がってこない傾向があるようです。伝えている発言に反論がなかったのか、その発言は条件付きのものではなかったのか、という。
 それが意図的なものか実力不足によるものなのかは判りませんがね。三田誠広氏が池田信夫氏にやりこめられた一件を伝える記事にしても(池田氏による報告はこちら参照)、前回の私的録音録画小委を伝える記事にしても、事実を伝えながら論点を提示するという視点が決定的に欠けていました。
 私に関係ない記事だったらスルーしておけば良いだけなんですが、さすがに、私的録音録画小委の重要な局面でこういう記事を読まされてしまうのでは我慢の限界。私の中では「スリーアウト」ですよ。

 記者修行なら他の場所でやっていただきたい。
 報道関係者の傍聴席がもっと多く用意されてるのなら別ですがね。
 限られたリソースを無駄にするのだけは止めてくださいな。

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2007年8月15日 (水)

アップルジャパン名義の意見、撤回さる

http://himagine9.cocolog-nifty.com/watchdogs/2007/06/post_e82e.html
「知的財産推進計画2007
 ──“既成事実化”する『アップル』のパブコメ(追記あり)」
(エンドユーザーの見た著作権)

 どれくらいの方が覚えていらっしゃるでしょうか。知的財産推進計画 2007 の策定に先立って実施されたパブリックコメントで、その結果が公表された際「アップルジャパン」名義の意見が注目を集めました。私的録音録画補償金をめぐる議論が進んでいく中で文化庁と審議会を痛烈に批判する内容となっており、本当にアップルが出した意見なのか疑わせすらするようなものでしてね。当時は私を含めて何人かからの問い合わせがアップルや知的財産戦略推進事務局に寄せられましたが、結局 はっきりした事実の公表はありませんでした。
 その後 アップルが何らかの動きを見せるのではないかと期待されてもいましたが、そういう様子もないわけです。私的録音録画小委では課金対象拡大ありきの議論が強引に進められているというのに。このままでは iPod はおろか、 Mac やハードディスクへの課金も決まっちまいますがな。
 そうかと思えば、ここへ来てこんな展開があったりしてまして──

http://kk.rs2.on.tiki.ne.jp/cgi-bin/blosxom.cgi/NoCCCD/20070813b.htm
「アップル社のコメントはなしになったよ」
(abk1's scratched blog)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keikaku2007.html
「知的財産推進計画2007の策定」
(首相官邸:知的財産戦略本部)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/070531/iken1.pdf
「『知的財産推進計画2006』の見直しに関する意見募集の結果について -
 団体からの意見」
(首相官邸:知的財産戦略本部・ PDF)

『abk1's scratched blog』 さんの記事で知ったのですが、「アップルジャパン」名義の意見が撤回されちゃったんですよ。意見募集結果からも「削除」されています。
 あれがアップルのものだったのか、事の真偽は明らかにならないまま。

 穿った見方をすれば、「提出者から意見撤回の申出があったので」と書かれていることと わざわざ撤回したということとで、やはりアップルから提出されたものだったと考えることは出来ます。加えて、これに注目が集まる(そして当該意見が残る)ことで何かマズイことが出てきた、と。
 まぁ昨今のパブリックコメントは公表されるのが当たり前ですからね、意見書として送ったのなら公表され読まれ続けることくらい想定しておけと思ったりするのですが、アップルもどういうつもりなんだか。
 機会を作って、アップルと知財戦略推進本部に問い合わせてみたいなぁと思ったり(誰かやってみません?)。

 ちなみに問題の意見文は幾つかのブログに転載されていて、まぁうち(別ブログですが)でも内容を検討したものがあったりします。私としてはこれを削除する考えはありませんので、記録として参照していただければ幸いです。

http://himagine9.cocolog-nifty.com/kitaguni/2007/06/post_27a4.html
「Aのパブリックコメントを読む(一部追記あり)」
(試される。(ココログ mix))

http://himagine9.cocolog-nifty.com/kitaguni/2007/06/post_d955.html
「過去の意見募集において『アップル』名で提出されたパブリックコメント」
(試される。(ココログ mix))

 アップルが反撃に出ないと、何もかも権利者側と文化庁の思惑通りに決まってしまうところにまで来ているわけですが、いったい何をやってるんだか。
 こうした意見撤回が次の一手を生むための“戦術的撤退”ならばまだ理解できますが(いくら何でもあの意見書は挑発的に過ぎますからね)、次の一手を打たぬまま沈黙するようでは、アップルは只のヘタレだというイメージが定着しかねないように思いますよ。そこのあたりどうなんでしょう。
 補償金拡大が決まってから「私は反対だった」とやっても仕方ないってのに。

 若干の失望感に苛まれる今日このごろではあります。

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2007年7月27日 (金)

“私的録音・録画する可能性”は「補償金」という名の財産権侵害を正当化しない

 7月26日に 開催された、文化審議会著作権分科会の私的録音録画小委員会(第8回会合)については既に採りあげたとおりです。第7回が 7月11日、 第6回が 6月27日、 第5回が 6月15日、 第4回が 5月31日 でしたから、ここのところずっと2週間程度のインターバルで私的録音録画小委が開催されていることになります。
 毎回少なくない資料に目を通し(特に第5回では事務局の越権的「叩き台」が、第6回では各委員の意見書が出されています)、会合での発言(議事録──サイトでの公表は相変わらず遅れてますがね)を踏まえ、会合での議論に望まないといけないのですから、小委員会の委員らにとってこの2週間という期間がどれだけ短いことか。
 議論自体は時が止まったかのような空転ぶり。これを見越した事務局が思い通りに事を運びたいがために、こんな過密スケジュールで組んでいるとしか思えませんね。報告書のとりまとめ時期に合わせて会合の回数だけ稼いでいる印象です。議論はしたんだというアリバイ作り。

 ともあれ、第7回・第8回会合をベースに今回は考えていきましょうか。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0707/26/news114.html
「『iPodやPCからも補償金を』と権利者 私的録音録画小委員会」
(ITmedia News)

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/07/27/16469.html
補償金の支払い義務者はメーカーとすべき、権利者団体が主張
(INTERNET Watch)

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/07/11/16312.html
「『どこまでが補償金の対象?』私的録音録画小委員会で議論」
(INTERNET Watch)

 内容はと言えば、相変わらずの紛糾ぶり。毎回恒例と言ってしまえばそれまでなのですが。
 このままで無理にまとめようとしてもユーザー(加えてメーカーも)の理解など得られよう筈もありませんで、補償金制度自壊へのカウントダウンが始まっているのも確かではあります。拙速な“政治決着”の末「レコード輸入権」のような混乱が再び──なんてことにも。

 それはともかく、一連の報道でスポットが当てられているのがやはり重要トピックであろうかと思われます。 iPod のような「ハードディスク内蔵型録音機器等」だけでなく、パソコンを代表とする「汎用機器・記録媒体」についても課金の是非が議論されているという部分。
 しかしながら汎用機器・記録媒体を補償金の課金対象とするためには、現行補償金制度の根幹を変えないと不可能です。そもそも著作権法の規定ぶりから、専用機器・記録媒体にのみ課金されることとなっていますのでね(政令でパソコンを指定して済むというものではないのです)。
 もっとも小委員会事務局と権利者側委員(特に CPRA 椎名氏)はこの根幹を変えていくことを主張していたりはするのですが。




■補償金制度の根幹を変える“主張”

 まずは小委員会事務局による議事の誘導から。「叩き台」と称した「制度設計について」という配付資料において、本来は議論のありかたを中立的にまとめるべき事務局が議論のまとまる前から一定の方向性を示していることで問題になっている文書です。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/020/07061916/001.htm
「文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会(第5回)
 議事録・配付資料 [資料1]」
(文部科学省)



私的録音録画に関する制度設計について

 (中略)

2 仮に補償の必要性があるとした場合の私的録音録画補償金制度の基本的なあり方

(中略)

(2)録音録画機器・記録媒体の提供という行為に着目した制度設計について

(中略)

ウ 改善すべき課題と対応策

(ア)対象機機について
○ 現行制度は、私的録音録画に専ら使用され、かつ記録媒体を内蔵しない機器(分離方専用機器)を想定して制度設計を行っている。

○ 現在は、
 a 録音録画機能以外の機能(再生機能は除く)を併せ持つ機器(汎用機器)
 b 記録媒体を内蔵した一体型の機器
 が主流となりつつあり、この傾向は、ここ数年のうちにより顕著となっている。

○ このようにIT技術の急速な発達に伴い一体型機器や汎用機器を用いて行う録音録画が増加していることを考えれば、これを対象にしないことは、負担の公平性の観点から問題があるところから、対象機機の範囲を見直す必要があると考えるがどうか。

○ 専用機器については、記録媒体を内蔵した機器(一体型専用機器)であっても、私的録音録画に専ら使用される専用機器であることに違いはないこtから、対象にすることについて課題は少ないと考えられるがどうか。

○ 汎用機器については、
 a ポータブル・オーディオ・レコーダ (iPod、 ウォークマン等)に代表されるように、汎用機能を有するが消費者の主たる用途は私的録音録画であるもの と、
 b 通常のパソコンのように、消費者の主たる用途が私的録音録画であるとはいえないもの
 に分類されると考えられる。

○ aの場合、例えば専用機器であるポータブル・オーディオ・レコーダと汎用機器ではあるが主たる用途は録音録画であるものとの取り扱いを異なるものとすることは、負担の公平性から問題があることから、これを対象にすることが適切であると考えるがどうか。

○ bの場合、機器の購入者が私的録音録画に供する可能性がかなり低いものもあると考えられることから、補償金の対象とするかどうかは、この論点をどのように整理するかを改めて検討・整理する必要があると考えるがどうか。

(中略)

[3] 補償金の支払い義務者

ウ 改善すべき課題と対応策
○ 現行制度は、専用機器・専用記録媒体を前提にした制度であるところから、負担の公平性の点から、仮に汎用機器等を対象にする場合、イの問題点から現行制度のように利用者が支払い義務者では対応できないと考えられるがどうか。

○ 仮に見直すとした場合、選択可能な制度は、我が国以外の国で採用されている製造業者及び輸入業者が支払い義務者になることが適切と考えられるがどうか。

○ なお、製造業者等の支払い義務者とすることの考え方を整理すると次のようになるが、これについて問題はあるか。

 ・録音録画機器等の提供があることから私的録音録画が行なわれるとの因果関係がある。
 ・著作権法の原則では、利用者が補償金を支払うのが基本であるが、個々の利用者から補償金を徴収するのは事実上困難であり、現行制度においても実質的には製造業者が補償金を支払っている。
 ・今回の制度見直しにより、負担の公平性の点から汎用機器も対象にせざるを得ないとすれば、返還制度に関する問題点等が拡大するなど現行制度の考え方では対応できないところから、第30条の存在により利益を得ており、現行制度においても実質的に補償金を支払っている製造業者等に著作者保護のために協力を求めることが適切と考えられる。

 なお上記の汎用機器への課金拡大は権利者団体が従来から(法制問題小委員会で 「iPod 課金」が議論されていた当時から)要望してきたものですし、支払い義務者をメーカーに変更することも実演家団体を中心に(ここ数年)主張されてきたことでした。

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2007/03/16/15119.html
「実演家の視点で私的録音補償金制度を議論、メーカー負担を望む声」
(INTERNET Watch)



● 補償金制度見直しでは「デジタル録音の実態を見据えた議論を」

 日本芸能実演家団体協議会の藤原浩氏は、私的録音補償金制度の問題点として、1)専用機に限るとの運用、2)支払い義務者をユーザーとする点、3)定率制の矛盾——という3点を挙げる。

 1)は、補償金の課金対象が、録音を主目的とした「専用機」に限られるということだ。補償金の課金対象となるものは、政令指定を受けているデジタル方式の機器や記録媒体で、家庭内で一般に利用されるものに限られる。本来の機能に付属する機能として録音機能が搭載しているものは「汎用機」とされ、補償金の課金対象から除外されている。藤原氏は、「専用機以外によるデジタル方式の私的録音が野放しになっていると指摘する。

 「MD以降、政令指定として認められたデジタル録音機器・機材は、CD-RとCD-RWのみ。しかし、CDレコーダーなど私的録音の専用機はほとんど存在せず、CDを録音する場合にはPCなどの汎用機が使われることが大半。にもかかわらず、PCは補償金の対象外となっている」

 2)については、現在の制度では私的録音補償金の支払い義務者が「ユーザー」と定められていることから、「私的録音をしないユーザーには課金できないというドグマがある」という。そのため、実際には多くの人が私的録音に使用している機器・機材についても、課金対象にできない現状があるとしている。

 3)としては、補償金の金額は機器・機材の販売価格の一定割合とされているが、最近では販売価格がオープン化したことから補償金の単価が下落していると指摘。記録媒体1枚あたりの補償金単価は、1995年の23.6円から2005年には3.71円に下落、「記録媒体がたくさん売れても、補償金の額は減るというねじれ問題が生じている」。

 藤原氏は、「補償金制度は、2007年度中に抜本的な見直しが行なわれる予定で、今年が正念場。専用機でなければ課金できないということでいいのか、支払い義務者をユーザー負担というかたちで維持すべきか、補償金を廃止する代わりにDRMが強化され、私的録音が制限されてもいいのかなど、デジタル録音の実態を見据えた議論が必要」と呼びかけた。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/020/07062817/007.htm
「文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会(第6回)
 議事録・配付資料 [資料8]」
(文部科学省)
※ 椎名委員による意見書。


(2)録音録画機器・記録媒体の提供という行為に着目した制度設計について

[1] 対象機器・記録媒体の範囲について
 対象機器・記録媒体の範囲については負担の公平性の観点から、私的録音録画に供されている機器・記録媒体すべてを対象とするべきであると考えます。その場合、私的録音録画に関与する割合に応じて補償金の額を決定する必要が生じますが、その点については、補償金の額の決定方法のところで述べます。
 またパソコンについては改めて論点の整理検討が必要だとする場合も、私的録音への関与度が高く、すでに他の国々でも対象となっているデータ用CD−R/RWについては、最低限制度の対象に加える必要があると考えます。

(中略)

[3] 補償金の支払い義務者
 補償金の支払い義務者については、私的録音録画により利益を得るもの、すなわち利用者および製造業者等とすることが適当であると考えますが、返還制度の問題等、事務局が指摘した点を考慮した場合、製造事業者等とすることがもっとも現実的であると考えます。

 実際問題として、現時点において汎用機器・記録媒体への課金を決定することは(著作権法の改定を要するということ以外にも)問題点を幾つか挙げることができます。
 まず2年前に法制問題小委員会で指摘された問題点(当時の報告書参照)を何ら解決していないということ。すなわち分配の不透明性、返還制度の機能不全、制度の周知不徹底、共通目的基金のあり方等です。法制小委では、これらの問題を検討することなしに課金対象を拡大することは適切でないとされました。これを受けて開催されているのが私的録音録画小委員会(その議題は「私的録音録画補償金制度の根本見直し」)です。しかし先に指摘された問題点の殆どが私的録音録画小委で未だに検討されてはいません(一部の委員が意見書で触れているのみ)。
 次に、補償金制度というものがユーザーの理解とメーカーの協力とを必要とするものでありながら、補償金制度の変更を議論する時にユーザーとメーカーの納得を得られるような努力が一切為されていないということです。特に補償金制度そのものが権利者側とメーカー側とで妥協した末に創設されたという経緯があり、たとえば権利者が「メーカー悪者論」を棄てユーザーを支払い義務者としたこと、メーカーが補償金徴収に協力すること、補償金の対象をデジタルに限定すること──といった合意内容が覆されることは補償金制度の存続を危ぶませる要因になる(また最初から合意を探らないとならなくなる)のです。片方が合意内容を破棄しようとすれば、もう片方がその合意に基づく制度に従うことをやめるのは当然の成り行きでしょう(私に言わせれば、支払い義務者をメーカーにしろという主張は暴論でしかありません)。
 また、先の「納得」「妥協」「合意」と関係してくることですが、メーカー・ユーザー側が求める「そもそも論」に対して未だに一定の見解が出ていないのも問題です。私的複製機器が低廉化・普及化していくのは工業社会として当然の成り行きですが、こうした現在においてすら〈事業者にしか複製機器が存在しなかった〉頃の論理でもって法を説明しようとする奇妙さが省みられていません。どこまでの「そもそも論」に遡っていくのかには注意が必要ですが(30条の無かった世界──機械での私的複製が許されなかった時代を原則とするのか、著作権法が無かった時代を原則とするのかなんて話になりかねません)、当事者間で議論の前提を積み上げられないのなら やはり深いレベルでの「そもそも論」からやっていくべきだと言えるでしょう(きちんと「そもそも論」が積み上げられないのであれば、いっそのこと30条を廃止してしまって、社会の慣習というものを観察しては如何ですか。複製権絶対主義には平衡しないでしょうよ)。
 そして最大の問題点。汎用機器・記録媒体を買って、私的録音・録画を実際に行なっていないようなユーザーからも補償金を徴収してしまうという事態になります。一応は返還制度が用意されていますが、こんなものは現状 役に立ちません。だから かような不当な徴収が放置されたままになってしまう蓋然性が高い。そうなれば補償金制度自体が財産権侵害になってしまうおそれがあり、2年前の法制問題小委員会でも指摘・問題視されていたのでした(だからこの時は課金できないとする意見が大勢を占めていました──今だって状況は全く変わっていない)。
 ちなみに、法制問題小委員会で議論されていた当時の調査では4割強(2004年に 野村総研が調査し 2005年度 第3回会合で資料として公表された)、私的録音録画小委で使われた最新調査結果でも (2006年度 第6回会合で公表 ──PDF)ウェブ調査で2割5分、郵送調査では半分ほどのユーザーが、パソコンを私的録音・録画に使用していないと回答しています。これらの調査はパソコンで私的録音・録画したこと(経験)のある人を問うものですから、今時パソコンを複数台所有する人も少なくないこと、用途でパソコンを使い分けることが考えられ、私的録音・録画しないパソコンの数は先の調査よりも大きな割合で存在するのは間違いありません。

 現行制度の前提として、補償金の発生は〈他人の著作物を私的録音・録画する〉という行為に基づくものであり、負担すべきが私的録音・録画の行為者(すなわちエンドユーザー)であるのは明らかなのですね。上で指摘した問題点(特に「最大の問題点」とした、無関係のユーザーから「補償金」を徴収する事態)も こうした前提から論理的に導き出されるものです。
 ところが事務局や権利者側委員は、こうした前提を覆すことで汎用機器・記録媒体への補償金課金を強行しようとしています(おまけにメーカー側・ユーザー側委員が指摘する「そもそも論」の積み上げには全く応じようとしていません──なお制度創設前の十余年におよぶ議論を理由にこの要求を封じようとする向きも見られますが、当時の議論を丹念に調べていくと「そもそも論」を回避しているということが判ります。特に制度創設へゴーサインを出した著作権審議会第10小委員会では、「仮に」という留保付きの制度論をやるにとどまり報告書に書かれている以上の共通認識は積み上がっていなかったというのが厳然たる事実なのです)。
 上で引用したように、事務局・権利者側委員が以前からこの主張を繰り返してきていますし、加えてリンク既掲の報道記事から判断するに、第7回・第8回会合でもこの種の主張が展開されたのは確かです。

 この種の主張を、現行の補償金制度を前提とした議論で展開させる意義は全く見出せません。
 権利者側が前提を崩すのであれば、メーカーとの過去の合意も白紙に戻ったのと同じ、議論も過去の時点にまで戻して「そもそも論」を積み上げていくべきだと考えます。




■論理的な「補償金」制度が非論理的な「税」に変質する

 再度、私的録音録画補償金制度の趣旨を考えてみましょうか。
〈他人の著作物を私的録音・録画する〉という行為について補償金を要するというのは、当該私的録音・録画行為についてコピーされたコンテンツの権利者に経済的不利益が存在するとの考えに基づくものです。もっともユーザー側からすればこの前提自体に疑義のあるところではありますがね。
 この前提を踏襲するかぎりにおいては、現行の補償金制度は割と論理的に設計されています(運用が設計通りに行ってるのかは置いておきます──それは運用を改善すべき話であって、設計が悪い証拠とは限りませんから)。すなわち補償を必要とする著作物を私的録音・録画しなければ(たとえばパブリックドメインや自作の著作物、風景や行事などを記録する等)には補償金管理協会から支払い済み補償金を返還してもらえることとされています(運用上の問題としては、返還される補償金に比して手続き上のコストが異常にかかることが挙げられます。実質機能してないんですね)。
 で、これを事務局や権利者側委員の言うとおりに変更してしまうと どうなるでしょうか。

 まず前提として、私的録音・録画しないユーザーの買った機器・記録媒体にも課金されることになりますよね。支払い義務者をメーカーにすることで〈録音録画機器・記録媒体を売ること自体に賦課金がかかる〉制度になるということです。
 支払い義務者がメーカーなら、ユーザーには返還制度を利用する権利が与えられません。だから私的録音・録画しないユーザーであっても、賦課金が徴収されたら されっ放しです。用途に関係なく録音録画機器・記録媒体に課金されているのです。つまり価格に転嫁された賦課金を払わされるユーザーにとっては〈録音録画機器・記録媒体を所有すること自体に賦課金がかかる〉のと同じです。
 私的録音・録画に使われない機器・記録媒体にも賦課金が掛っているわけですから、分配先の決定について実態をより反映しないものになります。そりゃそうですよね、私的録音・録画されない場合に誰に分配するんだということですから。もともと現行補償金でも分配の仕方がラフに過ぎるというのに、分配する先を決定する手がかりのない賦課金(一部)ですから、実質的に権利管理団体が恣意的に分配してるのと同じことです(分配の仕方は団体が決めてるわけでね)。

 これは「補償金」制度の変質を意味します。
 今まではユーザーを支払い義務者とし〈他人の著作物を私的録音・録画する〉行為に課金していたものが、メーカーを支払い義務者とし〈他人の著作物を私的録音・録画しようがしまいが〉課金するという制度になってしまうわけです。
 もっとぶっちゃけて言えば、〈私的録音・録画が可能な機器・記録媒体を購入した者は、それを私的録音・録画に使用するか否かにかかわらず、著作権者・著作隣接権者の団体へ金銭を支払うことを強制される〉という制度ですね。私的録音・録画しないということは、権利者への支払いですらないのですから。権利管理団体がまんまと金をせしめて、あと“権利者”の間で“山分け”する構図。
 再度強調しておきます。この分配、私的録音・録画の実態とは全く関係なくなるんですよ。

※もし同時に、たとえば適法配信で入手したコンテンツを私的録音・録画することが30条の対象外とされた場合、こうした録音・録画をした場合でも本来は「補償」の必要が無いのに徴収されてしまいます(なおユーザーは返還制度を利用できない)。はっきり言って、この30条外しが「二重課金」の解消とならないばかりか、それを確実にするという意味でより悪質な制度改悪であると断言します。

 うちのブログでも先日、コピーワンス“緩和”と補償金制度とを関連づけた権利者側アピールを採り上げたところなのですが、上のような制度改悪の主張も同時に行なわれていることに注意が必要なのです。第8回会合を伝える報道を見ても判りますが、彼らはやる気ですよ。
 こうした補償金制度の改悪は、「私的録音録画補償金」の名を借りた 「iPod 税」「パソコン税」の創設に他なりません。しかもこの「税」が我々国民のために使われるというのならともかく、「権利者」を自称する中間搾取団体に配られるだけなのです(そこに私的録音・録画の実態など反映されよう筈もありません)。このような集金構造を著作権法で創設することにどんな正当性があるというのでしょうか。
 ──そして彼らは「そもそも論」に立ち返って説明しようとすらしない。

 誰のための制度を、誰の理解を得て、いかなる正当性で運用していくのか。
 補償すべき私的録音・録画をしない iPod ・パソコンから賦課金を徴収し「不透明な分配」を自称「権利者」団体が行なうことにどんな正当性があるというのか。

 そして思わずにはいられません。
 社会が著作権法で保障すべき“著作権者等の利益”とはそのようなものなのか。
 そもそも著作権制度とはどうあるべきなのか。
 今の制度自体、まともなものなのか。

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私的録音録画小委#8 ──「著作権」の名を借りた あさましい主張

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0707/26/news114.html
「『iPodやPCからも補償金を』と権利者 私的録音録画小委員会」
(ITmedia News)

 7月26日に、 文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会の第8回会合が開催されました。ここでは最初にウェブに載った ITmedia 報道をネタ元に論じていきます(その後 INTERNET Watch でも記事が出ているのですが、これについては後で)。

 というのも、今回の ITmedia の記事、久しぶりに審議会ネタを採りあげたのは良いのですけど、ちと拙劣に過ぎるのですよ。どうしてもそれに対しての苦言が以下 連なるということになります。あらかじめ御了承ください。
 私的録音録画小委員会の議論が(不当な議事運営によって)のっぴきならないところにまで来ているにもかかわらず、報じ方がノンビリしすぎているのですよ。今どういう状態に陥っているのかが伝わってこないばかりか、第8回会合において実際にどのような議論があったのか(逆にどのような論点には触れなかったのか)すら はっきり書かれていない有様。一部それらしい描写があっても、過去の経緯を伝えるつもりで書いているのか第8回会合での委員発言を伝えているのか判然としません(終盤の引用が第8回会合での委員発言だというのは判りますがね)。
 内容面から言えば、実のところ(野原委員発言以外は)今までの議論で出尽くしている論点ではあります。しかしこれは第8回会合の中身が空っぽだったせいなのか、取材した記者の眼が節穴だったのか、やはり判然としません。

 厳しいことを言い過ぎてるのかも判りません(ましてロハで読ませてもらってる一介のネットユーザーに過ぎませんからね、私は)。しかし過去の私的録音録画小委を追いかけてきた人間からすれば、事務局が一定方向への誘導を目的とした「叩き台」を提出したことで議論を更に紛糾させたという経緯、「そもそも論」を置き去りに課金ありきの議事進行をしたことへの委員の抗議、汎用機器への課金について当然に出るであろう反論、補償金の支払い義務者を変更することで生じる「補償金」から「税」への変質など、きちんと過去の議論を踏まえて記事を書こうと思えば あれほど薄い内容にはならないのですよ。どう考えてもね。
 とりわけ汎用機器への課金がどういった問題を引き起こすのかや、返還制度が機能していないという問題などについては、2年前の法制問題小委員会で既に指摘されているのですよ。そこまでを書き手が(あるいは内容に責任を持つ立場の人間が)踏まえておかないと、過去に論じられたことを(あえて)繰り返さざるを得なかったのか、それとも新しい角度からの視点も交えて指摘があったのか、そういった機微というものを伝えられないのではないですか?
「ユーザーやメーカーは反対の声をあげている」? それは今回の小委員会の中で反対意見が出たということですか? 出たのならなぜ発言自体を引用しないのか? それとも過去の経緯を説明しただけに過ぎないのか? いや 「iPod や PC からも補償金を」などという委員意見が出ているのに反論が出ない筈がないでしょう(現に亀井委員から反論があったようですね、 INTERNET Watch によると──ただここの記事でも反論の全貌を知ることはできませんが)。
 例の記事で判るのは、課金対象として iPod やパソコンを指定すべきとの意見が出たことと、支払い義務者をメーカーへ変更することについて津田委員が反対意見を出したということ(あと野原委員が時事ネタを入れたこと)ぐらい。本当にそれしか伝えるべきことが無かったのやら。

 今期の私的録音録画小委は、ただでさえ議事録等の情報公開が遅れています(私は事務局が意図的に遅らせていると考えていますがね)。 ITmedia のような Web 媒体での報道が我々にとって数少ない情報源と言ってもいいのです。
 報道関係者という恵まれたポジションで取材をしておきながら こういった薄い報道をやられたのでは、物理的理由で傍聴に行けない人間は議事録公開までの時間を無駄に過ごさねばなりません。
 メディアとして果たすべき役割といったものを再度 認識し直していただけたらと切に願います。特に 「iPod 税」の時に他メディアをリードしていった ITmedia には気張ってやっていただきたい。ホントですよ。




■第8回会合での議論はどこに?

 ──本題に入らせてもらいます。
 記事の中で最も重要な部分はここです。

 録音・録画が主な用途ではない汎用的な機器まで対象にすれば、その機器を録音や録画以外の用途に使っているユーザーからも補償金を徴収することになってしまう。権利者側は PC や HDD も課金対象とするよう主張を繰り返してきたが、ユーザーやメーカーは反対の声を上げている。

 汎用機器へ課金することが問題ありとする意見の本質はここにあります。そして第8回会合でもこの反論が為されていない筈がありません。
 この問題を“無視”できるようにすべく、事務局が持ち出してきてるのは補償金の支払い義務者をメーカーに変更するという提案(これも権利者側から要望があったものではあるのですがね)でした。無論これにも問題があるわけで、それは津田委員の意見として記事で引用されている通りです。

 現行の私的録音録画補償金は、他人の著作物を私的録音・録画することによる当該権利者の「経済的不利益」を補償するという設計になっています。そのため「不利益」を与えている(とされる)エンドユーザーに補償金支払いの義務を負わせ、代わりに私的録音・録画しない場合の機器・記録媒体については補償金返還を求められることとし、私的録音・録画する蓋然性が高い(とされる)専用機器・記録媒体を課金対象としているのです。
 これに対して権利者側が主張しているのは、補償金支払いの義務をメーカーに負わせること、それによって私的録音・録画しない機器・記録媒体に課金された分についてもユーザーへ返還しないこと、そして iPod やパソコン・携帯電話にも課金しろということでした。
 しかしこれは「補償金制度」の変質を意味します。もはや「補償金」ではない。

 そもそもですね、上記「経済的不利益」の存在自体が曖昧なものでしかなく(私などはその存在に懐疑的ですらあります)、しかも“社会はどこまで権利者の利益を保護すべきか”という観点に欠けた、複製機器がまだ社会に浸透していなかった時代の考え方を無批判に踏襲するだけの考え方でもって導入された制度なのですよ、この「補償金」というやつは(さらにぶっちゃけたことを言うと、権利者側とメーカー側とで“この辺くらいなら御の字だろう”という線で妥協したものでしかありません──だから今でも権利者側とメーカー側とで言ってることが違うのですよ)。
 しかもそうした現行制度の前提に対してメーカー側委員・ユーザー側委員から繰り返し疑問が呈されていたにもかかわらず議事進行上は完全無視、権利者の主張だけを受け入れる形で「叩き台」をまとめるという、おおよそ当事者の合意を目指しているとは言えない形で小委員会は進められてきました。
 このような状況下で「今年中に結論を出す」ことにどんな意味があるというのか。無理に結論を出したところで誰がそれを守りますか。全く容認し得ない状況下で無理にひり出された制度をエンドユーザーに強いる、それも「著作権制度」の名で。
 本来は社会的合意の中で運用されていくべき「著作権制度」が私的録音・録画問題から崩壊していくのを私は危惧しますよ、本気で。




■そしてこれから──

 ITmedia の記事では記者に危機感が無いため、ここから読者が想像力を働かせるのは難しいかも判りません。しかし現状はかなり切迫したところにあると言えます。
 権利者の要求自体は確かに以前からの 「iPod や PC からも補償金を」というものと変わりないのですが、それが小委員会事務局の後押し(「叩き台」と称し一方的に議事進行の方向性を決定したのもその一環)によって実現への方向性が強まっていることを重く見るべきです。さらに言えば、この事態へと至るまでに、メーカー側委員やユーザー側委員の意見は(議事進行上)全く無視されてきたということも。
 権利者側の言い分だけを聞いて実現させれば、 「iPod 税」「パソコン税」の創設という形へと私的録音録画補償金は変質していきます。つまり私的録音・録画できる機器を所有するものから自動的に金銭を徴収し、私的録音・録画の実態とは全く関係なしに JASRAC ・レコード協会・芸団協らの権利者団体で山分けする(そのおこぼれに与る「権利者」もまた私的録音・録画の実態とは全く関係ない)構図が出来上がるという。
 こうした、おおよそ「著作権」の理念とはかけ離れた制度を社会が許容するのか否かという観点からの批判が必要なのです。

 補償金制度はとりあえず現状維持とし、さらに(まともな)議論を続けていくことを求めます。今年中に結論を出すなどという無理なスケジュールでやってるから おかしな審議内容になっているのであって。
 私的録音・録画問題というものは、そうそう簡単に結論の出るものではないのですよ。そもそも現行制度が作られる前にだって十余年かけられていますが、我々の疑問に答えられるような論理など全く積み上げられていない! ましてここ3年ほどの議論についてなど言うまでもありません。
 もちろん「現状維持」とは、補償金制度の要の部分を変えないということです。これはどうあっても(権利者がいくら要求しても)変えてはならない。支払い義務者をユーザーとする制度設計の維持、他人の著作物を私的録音・録画しない場合には補償金を返還してもらえる制度の実効化(廃止など もってのほか)、2年前の法制問題小委員会で指摘された問題点が解消されるまで課金対象を拡大しない──という3点は決して譲れません。

 私的録音録画小委員会の今までの流れから言えば、メーカー側・ユーザー側委員の意見を無視したまま報告書のとりまとめをして「意見募集」へと突入する蓋然性が極めて高いと言えます。そうなれば“補償金”拡大を目論む団体の組織票が集まることでしょう。
 それに対してユーザーは何ができるか。ぜひ考えていただきたいと思います。
 パブリックコメントを送るもよし、ネットで仲間を集めるもよし。社会が、変質する補償金制度を素直に受け入れられるのか否か、行動で示さねばならない時が近づいているのです。

 ──再度強調しておきます。
 このままでは「補償金」制度は「税」制度に変質します。
 私的録音・録画できる機器を所有する者から自動的に金銭を徴収し、私的録音・録画の実態とは全く関係なしに JASRAC ・レコード協会・芸団協らの権利者団体で山分けする制度へと。

「権利者」に名を借りた連中が要求しているのは そういう制度なのです。




■追報

 本文中でも触れましたが、私がこの記事を準備している間に INTERNET Watch でも記事が上がりました。

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/07/27/16469.html
補償金の支払い義務者はメーカーとすべき、権利者団体が主張
(INTERNET Watch)

 ITmedia の宮本真希記者はこの記事を読んで勉強していただきたいと思います。
 第8回会合の委員意見を拾うだけでも、同じような内容の記事は作れるのですよ。この会合を報じるという目的においては、 INTERNET Watch の記事の方が的確であると言えるでしょう。

 私自身がまともな“記事”を書いているとは言いませんがね。

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2007年7月19日 (木)

「コピーワンス」問題と補償金 ──iPod 税・パソコン税への道に実は通じている話

http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0707/17/news065.html
「『コピー10回だからこそ、補償金制度が不可欠』——権利者団体が主張」
(ITmedia +D LifeStyle)

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/07/17/16361.html
「JEITAの主張する『補償金は不要』に遺憾、権利者会議が緊急声明」
(INTERNET Watch)

http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20070717/fca.htm
「権利者86団体がコピーワンス見直し問題でJEITAを批判」
(AV Watch)

※引用は INTERNET Watch 記事から



 映像制作事業者など私的録画補償金関係権利者団体で組織される「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」は13日、「コピーワンス問題と補償金制度に関する緊急声明」を発表した。

 今回の声明は、2007年6月の私的録音録画小委員会で、電子情報技術産業協会(JEITA)が「デジタル放送には私的録画補償金は不要」と主張したことを受けて発表されたもの。デジタル私的録画問題に関する権利者会議は、声明文で「デジタル放送のコピーワンスの制度緩和を支えているのは『私的録画補償金制度』」と主張。補償金制度の必要性をユーザーにも訴えていくとした。

「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」が 13日 (けっこう前ですね)に会見を開いたんだそうです。これは先日話題になった、情報通信審議会「デジタルコンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」での「コピーワンス」改訂案の合意を受けたもの。

http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20070712/soumu.htm
「『コピーワンス』見直しは、コピー9回+1回へ」
(AV Watch)

 まぁ平たく言ってしまうと、この「コピーワンス」“緩和”をダシに私的録音録画小委員会での議論を牽制したという話ですね。




■「コピーワンス」“緩和”と補償金

 「権利者会議」の言い分にも、いちおう一理はあるんですよ。
 現行の補償金制度が作られた時点で放送番組からの録画というのも想定されていたわけで(当時はまだデジタル録画機器が発売されていなかったのですが)、私的録画から「利益還元」すべきとの現行制度の前提では〈私的録画の自由を保証する代わりに、当該録画行為について補償金を支払わせる〉という運用が求められているわけですから。
 しかし。それはあくまでも、前提の内容と現実とで齟齬がない場合に妥当とされるものでありまして。

 上記会見での「権利者会議」の言い分をちょっと検討すれば、幾らでも反論すべき点が出てきます。
 そもそも彼らは「コピーワンス」が存在していた中で補償金を受け取っていました。しかも今回「緩和」すると言い出したのも彼らではない。総務省の肝いりで「コピーワンス」見直しの論議が出てきたから嫌々応じたに過ぎないわけです(彼らが不満たらたらなのは例の会見からも窺えますよね)。
 加えて、現に合意したという「コピーワンス」の“緩和”策が“ユーザーの私的録画の自由を確保する”のに充分なものなのかという問題があります。

●まず新しい運用指針に対応する機器へ買い換えないとならないばかりか、その新しい仕様がいつまで保つのか判らない(売る方も買う方もかなりリスキー)。
●HDD や DVD という壊れやすいメディアでの保存を(現状では)余儀なくされてしまい、別メディアへバックアップしようにも邪魔されてしまう(対応機種はどれだけ広がるのでしょうか?)。
●最初に録画した HDD でオリジナルをずっと保存しなければならない。
●iPod や Apple TV で動画を楽しみたいと思ったらPCへのコピーや変換が必要になるが、これが例の仕様下で実現できる可能性は極めて低い(何せアップルだから)。
●次世代メディアがこれに対応するのかも不透明、現在所有する録画物を次世代メディアへ変換するのもままならない(同じ番組が何度も放送されるとは限らないし)。

 私個人の感触を言わせてもらえば、この「コピーワンス」“緩和”後の仕様は買うに値する(つまり許容範囲の)内容とは言えません。私自身はコピー自由のものに最大限の価値を見出し、あとは価格・仕様との妥協で判断しますから。もし回数が増えるくらいでユーザー(の大半)が満足するのなら それはそれで社会的に成立するでしょうが、私はたぶん買いませんね。そもそも地上デジタル放送に移行しようという気が全くありませんし(新しい機器を買わにゃならないは、コピー制限はあるは、画質は悪いは、テレビ番組の質がもともと落ちてるはで良いトコなし)。
 もっとも、ユーザーに受け入れられなかった DRM の末路がどうなるかは「レーベルゲートCD2」が教えてくれます(今後は、パソコンへのコピーが出来なくなるってことですよねぇ。買った人は踏んだり蹴ったり)。
 新仕様の DRM が同じ末路を辿り、地上デジタル放送への移行が頓挫し、テレビも いわゆるコンテンツ業界も一緒に縮小していくことを私は大いに期待する次第です。

 コンテンツの価値はユーザーひとりひとりが決めます。
 その価格、その仕様も含めて。
 そして当該コンテンツが「尊敬」に値するのかどうかも、ね。

 そういった現実を冷徹に受け入れられない人は、最初から創作者・実演家などにはなれないのと違いますか。所詮、表現とは送り手と受け手とのエゴのぶつかり合いなのですよ。そうでなきゃ表現というものの存在価値などない。
 私らは、尊敬すべき“華麗なるエゴ”に対価を払ってるんですから。

「コピーワンス」や「私的録音録画補償金」からは少し離れてしまいましたが、これこそ我々が市場を通し文化に接する際の立脚点であろうかと思います。だから権利者団体からの「尊敬」の押しつけに反発するのであって。




■権利者の主張には裏がある

 ──今さら強調することでもないのですけど。
 今回のアピールは決して「コピーワンス」にとどまるものでも、現行補償金制度にとどまるものでもありません。上記までの範囲に限定する限りは、一定の(すべてとは言いません)妥当性を認めても良かったんですがね。

 現行の私的録音録画補償金制度は、「そもそも論」をすっ飛ばして創設したことと その運用に問題が発生している(分配の不透明さ、返還制度の機能不全など)のをとりあえず置いておけば、〈他人の著作物を私的録音・録画することで生じる「経済的不利益」の補償を当該権利者へ渡す〉というその“高邁な思想”の実現にかかる制度設計としては あながち悪いものでもありません。
 たとえば補償金の「支払い義務者」はユーザーであると規定されています(もっともメーカーが協力義務を負わされていることで、実際には発売前に補償金を立て替えている形になっています)。これは私的録音・録画をする者自身が本来負担すべきだと考えていられるからです。受益者負担は著作権処理のみならず一般に合理的とされる考え方ですね。
 また、ユーザーを「支払い義務者」としたことで当然に想定される〈他人の著作物を私的録音・録画しなかった人〉に対しては、補償金を課す理由がありませんから「返還」を補償金管理協会 (sarah や SARVH) に求めることができるとされています。これが無いと、私的録音・録画しない人の財産権を侵害しかねない(つまり憲法に反しかねない)のです。
 実は、現行の補償金が私的録音・録画の「専用機器・記録媒体」に限られ、携帯電話や留守番電話・パソコンなどの「汎用機器・記録媒体」に課金されていないのも上記の理由によります。私的録音・録画をしない人の割合が大きいから財産権侵害の発生が(無視できないほど)想定されてしまうということですね。そもそも課金したところで、返還のためのコストが本来の補償金を食いつぶしてしまうという事情もありますけど(それだけに返還制度が機能不全なままでパソコン等に補償金を課するのは言語道断です)。

 ここまでが現行の補償金制度の話。しかし問題なのは、この補償金の性質がいま変えられようとしていることです。しかも権利者側の人間はそうした変化の尻馬へ乗ろうとしている──「ユーザーの利便性と権利者の権利保護を両立させるためには、私的録音録画補償金制度の維持が不可欠」などという“綺麗事”を言ってる裏で、です。
 現行制度が〈他人の著作物を私的録音・録画することで生じる「経済的不利益」の補償を当該権利者へ渡す〉という建前である(不利益の発生という前提自体が事実なのかや、当該権利者へ補償金が分配されているのかは別論です──私はこういう前提には否定的ですから)のは先にも書きました。これが、今の私的録音録画小委員会を進行する文化庁によって〈国民が私的録音・録画できる機器を所有するという行為自体に課金し権利者団体(これ重要)に渡す〉というものへと変質させられようとしているのです。そこには〈ユーザーが他人の著作物を私的録音・録画するのか否か〉とか〈誰の著作物が私的録音・録画されているのか〉という繊細な視点など始めから棄てられています。
 たとえば文化庁の用意された「叩き台」で想定されているのは、「支払い義務者」をユーザーからメーカーへと変更すること、返還制度を実質廃止すること、そして iPod はおろかパソコンにまで補償金の対象を広げることです。私が上で説明した、現行補償金制度の合理的設計をことごとく破壊する案であると言わざるを得ません。
 これが実現してしまうとどうなるかをもう一度書くと、2年前に 「iPod 税」と言われ反対されていたものが よりその呼び方に近い形で実現することとなります。 iPod を買う人は、その人が他人の著作物を私的録音しようがしまいが「補償金」なるものを自動的に徴収されます。しかもそれは、他人の著作物を私的録音・録画しない(あるいは複製自由の曲やポッドキャストを聴くだけに利用するなど)という理由では返還してもらえない。そうして集められた補償金は、ユーザーの複製実態とは全く関係なく(そりゃ私的録音・録画されないんですから)権利者団体が恣意的に分配する。
 支払い義務者をメーカーに変更する理由を、文化庁は汎用機器・記録媒体への課金を可能にするからと明言しているわけですから、その課金対象拡大の先にパソコンがあるののは間違いありません。上記 「iPod 税」はパソコンにも及び、同様な「パソコン税」として私的録音・録画の実態と関係ない権利者団体へ集められるということになります。

 確かに、放送番組の私的録画にかかる補償金の是非と、今後変質していきかねない補償金制度の行方とは分けて考えるべきかも知れません。
 しかし、「コピーワンス」問題では「ユーザーの利便性と権利者の権利保護を両立させるためには、私的録音録画補償金制度の維持が不可欠」としたのと同じ口で、当の現行補償金制度の前提を崩し 「iPod 税」や「パソコン税」を実現しろなどと声高に叫ぶ人間のことをユーザーはどれだけ信用できるでしょうか(どれだけ「尊敬」できるでしょうか)。要するに、彼らは JEITA を批判できるような立場などでは全くない。
 JEITA と同じく、〈主張できる場面で最大限の主張をする〉という戦術を採っているのに過ぎないのです。それどころか、 JEITA の場合はかなり一貫した方針で主張を展開していますが、権利者側の主張は一貫していません。
 つまり“綺麗事”を額面通りに受け取ることなど全くできない。

 そう、「権利者会議」はメーカー側 (JEITA) の主張が槍玉に挙げていたりするんですが、 JEITA の方は「商売人」というかなり判りやすい立場から主張していることに注意が必要です。つまり〈ユーザーに支持される仕様〉を実現するインセンティブが働いていて、ユーザーの要望が強く反映されやすいということです(その方が金儲けになりますからね)。一度は「コピーワンス」を採ったものの、それが受け入れられないと見るや緩和させようとするのも彼ら自身が痛い目に遭っているからに他なりません。
 今までの「コピーワンス」からコピー回数を増やしたくらいでユーザーから支持されるのか否か。これについてはまぁ市場が審判を下すことですから、今後の成り行きを興味深く眺めていましょうか。しかしメーカーにとっては、今回のやつも支持されない可能性があるわけで(現に不満の声は既に挙がってきていますから)かなりのリスクを負うこととなります。仕様の実現、機器の発売し直し、ユーザーへの告知などなどコストも負担しなければならないですし。
 その意味では、コピー規制の“緩和”を繰り返すようなアホな事態はメーカー側として避けたいでしょうし、 EPN を用いた世代制限による DRM を提案するのも(ユーザー要求との兼ね合いとして)〈次でキメる!〉必要性からすれば実に合理的であると考えられます。

 どちらの主張が一貫しているでしょうかね?




■私的録音録画小委に望む

 じゃ、どうすれば良いのか。
 やはり「そもそも論」に立ち返って議論すべきなのです。
 ユーザーが私的録音・録画することで権利者にどのような「経済的不利益」が発生するのか。
 さらに根元的なことを言えば、権利者へ利益還元すべき著作物利用とは如何なるものなのか、私的複製はそうした利用の中に(本当に)含まれるのか、と。
 未来の著作権制度を見据えた上で新たな議論を積み上げていかねば、補償金制度創設後の“失われた10年”をまた繰り返すことになります。

 あの私的録音録画小委員会の場で、どれだけの委員が未来へ向いた発言をしているのか。資料に目を通し、議事録を読み、その流れを負っている私にとっては──楽観視できる要素は殆どありません。
 中山先生による議事進行ですら‥‥。

Posted by 暇人#9 踊る文化庁, 音楽と著作権 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年7月 9日 (月)

「結論ありき」の議論を続けるなら、私的録音録画補償金をめぐる「そもそも論」はこれからも頻出する ──私的録音録画小委#5

 文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会の第7回会合が 7月11日に 予定されております。去る 6月27日には 第6回会合が、 6月15日には 第5回会合が開かれていたことを考えれば、ここのところの超過密スケジュールは異常としか言いようがありません。まぁ私的録音録画補償金について今年度中に結論を出すという話ですから、それを実行せんとばかり議事運営をしているということなのでしょう。
 しかしながら第6回会合が終わった今であってもなお「そもそも論」で堂々巡りを繰り返しているというのが正直なところです。それどころか第5回会合で事務局が「叩き台」と称し、「補償の必要がある」ことを前提に議論する方向性を打ち出したため更に紛糾する事態となりました。開催に間を置かない第5回・第6回・第7回へと雪崩れ込む中で、どさくさ紛れに思い通りの方向へ持っていこうという魂胆かも知れません。
 なお、この間に配布された資料(上記「叩き台」も含む)も議事録も今のところ公表されておりません。密室で事が進められているのと同じ状態になっています(余談ですけど、非親告罪化について検討している法制問題小委員会も同様な非公開ぶりです)。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/020/07061916.htm
「文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会(第5回)議事録・配付資料」
(文部科学省)

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/06/18/16070.html
「私的録音録画小委員会、見直し議論は『補償の必要がある』ことが前提?」
(INTERNET Watch)

http://nirvana.blog1.fc2.com/blog-entry-82.html
「著作権分科会 私的録音録画小委員会(第5回)」
(zfyl)

 ここでは、私的録音録画小委の(悪い意味で)転機とならざるを得ない第5回に焦点を当てます。ただし現時点では、公表された資料と上記報道と 『zfyl』 さんの傍聴レポートとを頼りに論じなければならないことをあらかじめお断りしておきます(例年よりも議事録の公表まで時間をかけている文化庁の姿勢には疑問を禁じ得ません)。
 ここでの事件を端的に言うとしますと、これから検討しなければならない課題 (