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2006年3月 1日 (水)

文化審議会著作権分科会 (第18回) ──私的録音録画小委員会が設置されるも、権利者側が一番ほしいのは著作権保護期間延長?

http://tontonsblog.seesaa.net/article/13968064.html
「TVのネット放映など検討 文化審議会著作権分科会(第18回)」
(Where is a limit?)

http://nirvana.blog1.fc2.com/blog-entry-55.html
「文化審議会著作権分科会(第18回)」
(zfyl)

 本日、文化審議会著作権分科会が開催されました。通算で 第18回、 期を改めて最初の著作権分科会ということになります。
 今期の小委員会構成を決定し、何を話し合うのか大まかに提示されるという流れだったようです。

 マスコミ報道の動向については 『Where is a limit?』 さんで追いかけていらっしゃるので そちらを御覧ください。私は分科会の中身を読む方に集中したいと思います。
 内容を知るためのテキストとしては、いつもながら傍聴レポートでお世話になっている 『zfyl』 さんの記事を使わせていただきます。今回も、配付資料の一部「分科会委員・専門委員名簿」「小委員会の設置について」「部会・小委員会委員名簿」を上げてくださっていて、また「議事概要(メモ)」も掲載していらっしゃいます。

 設置される小委員会は、法制問題小委員会・私的録音録画小委員会・国際小委員会の3つだそうです。流通・契約小委員会は外されました。前期では「著作権管理事業法の見直し」「著作権契約の在り方」(報告書 PDF) を審議していて、以後やるべきことも示唆しておきながら今期 審議をしなくてもOKというものではない気がするのですがね。
 ともあれ、気になるのは新しい私的録音録画小委員会の中身です。津田大介さんが委員として入っているのが頼もしいところですね。エンドユーザーとしての御自身の考えをビシバシと発言していただきたいな、と。
 ただ他がどうも‥‥ざっと見てみると権利者団体から6人、メーカーから3人、エンドユーザー側から2人、法学者から8人。正直、バランスが悪すぎます。特に、前期の法制問題小委員会では iPod 課金問題で思いのほか反対意見(中身もエンドユーザー寄りな意見)が出ていたのが、その委員らは皆 私的録音録画小委員会から外されてしまいました。この顔ぶれでは、私的録音録画補償金制度自体の見直しがどこまで進むのか心配になります。
 こちらの知りたいことを議論で採り上げてもらうような手段を考える必要が今まで以上にあるかと思われます。前期、図らずも山地委員が代弁してくれたような形で。私的録音録画補償金制度の議論に関して、私が明らかにしてほしい論点を(とりあえず思いつくまま)上げてみたのですが、必ずしもエンドユーザーに都合の良いことだけを話し合えば良いわけではない。どこまで根本的な論理構築をやれるかということを重視しなければなりません。
 その意味で、中山委員(たぶん法制小委で引き続いて主査に就任しますよね? まだ判りませんけど→(追記) 『Library & Copyright』 さんによると、中山委員は副分科会長に就任されたそうです。で、「この段階で中山先生の法制小委主査の芽がなくなった」とのこと。キッツー。委員としてバシッと釘を刺す中山先生というのも見てみたい気はしますが、しかしこの大事な局面で法制小委の主査に就かれないとなると、心配の方が先に立ちます‥‥)が一委員としてズバズバ発言されるのではないかと楽しみにしています。エンドユーザーにとっては厳しい内容になる可能性の方が高いのですが、そのバランス感覚はきっと有益なものとなるかと思います。

 津田大介さんがどこまで切り込んで行けるのか、せめてもう一人頼りになる人がいれば‥‥。

 (この段落だけ追加:2006.3.2)名簿の中で大事な人を見落としてました。小泉直樹委員(慶大教授)です。前期の法制小委で iPod 課金など補償金関連項目のすべてで異議を出された方です。毎日新聞に寄稿するなど、 iPod 課金見送りの多大な貢献をなさいました。よかった。ひとり味方がいたんですね。(追加ここまで。)




■委員発言を読みつつ‥‥

『zfyl』 さんで上げてくださっている「議事概要(メモ)」を読んで、感想でも書き留めておきたいと思います (『Where is a limit?』 さんからもリクエストを戴いてますし。笑)。
 ただ、今日の委員発言は それぞれがいつもと同じことばかり言ってるだけですので、ツッコミにも気合いが入らないというか、私自身のツッコミもマンネリ化しているかと思われます。
 ──たとえ今まで書いたのと同じ文章になるとしても敢えてやるのが私なのですが。

 いつものように、「議事概要(メモ)」では「内容の正確性は一切保証しません」とあります。ご注意下さい。私についても、あくまで この文章を読んで(これが事実であった場合の)感想を述べるという、事実関係の留保を伴ったものです。
 正確な委員発言については、1ヶ月ほどした後の公式議事録によって判明します。読者各位が自ブログでツッコミを入れる際はここに御注意ください。もし私が間違ったツッコミをしてた場合は素直に謝って訂正します。

○佐藤委員(レコ協):IPマルチキャストの著作権法上の取扱いについて。レコ協としても実現に協力したい。現在、レコ協は番組ネット流通に必要な権利許諾の一元化、簡素化のための集中管理の準備をしている。これにより放送番組のネット流通促進を支援し、同時再送信について円滑な導入に協力できると思う。
 民間の取り組みで解決可能であるにもかかわらず、権利縮小のような法改正をするのなら、知財の創造、保護に逆行すると考える。ご理解をよろしくお願いしたい。

 IPマルチキャストの実現に向けて、ぜひレコ協にも一層の努力をお願いしたい。それは確かです。
 しかし、IPマルチキャストの実現に著作権絡みの問題が生じているということは以前から指摘されていたところですし、経団連主導で二次使用の暫定合意が出来ていたにもかかわらず一向にそれが利用される気配がありません(まぁ関連する権利が異なりますからIPマルチキャストにすぐ繋がるものでもないでしょうが、これ突破口にはなりませんか そうですか)。
 地上デジタル放送への完全移行(予定。私個人は不可能と信じて疑いませんが)が 2011年、 それまでの間にIPマルチキャスト開始にメドが立たなければ知財戦略として政府が介入してくることも充分考えられるでしょう。IPマルチキャストは地上デジタル移行に間に合わせなければ難視聴対策になりませんから、アナログ停波まで相当程度の期間を残して権利制限を始める必要があるのではないでしょうか。

 別の言い方をすれば、当事者(権利者)がどこまで私見にこの「取組み」を進めていくかによって政府介入の有無が決まる、と。
 あるいは、ダメ元で〈IPマルチキャストが実現しなくても誰も困らない〉と主張してみますか?

○大林委員(芸団協):著作権等の権利がコンテンツの流通を阻害しているというようなことが外野でどんどん行われていることは、困ったものと思っている。そういうことには慣らされることなく、専門家に十分検討していただきたい。(中略)
 私的録音見直しの中でも取り上げられていたが、現行制度自体が、大岡裁きというか、絶妙のバランスを取った制度と思っている。それを見直すということなので、精神としては先人の知恵の出し方を十分考えて進めていただきたい。文化振興という視野と洞察力を持ってやればいい議論が出るだろうし、いい結論も出るだろう。
 IPマルチキャスト、同時再送信について。実演家、CPRAでもワーキンググループを発足、密度の濃い検討を続けている。いろいろご協力できると思う。
 最後に。毎度言うが、実演家の権利保護期間の問題がある。実演家の存命中に期限が切れるという非常にバランスの悪い状況である。ぜひこれを法制小委でも取り上げて検討いただきたいと思う。我々としては喫緊の課題と認識しているのでよろしくお願いしたい。

 まずですね、「著作権等の権利がコンテンツの流通を阻害している」のは事実ですよ。芸団協が自分の団体の構成員の窮状を把握しないでどうするんですか。
 いや、その「阻害」の原因の一端を芸団協が担っているとすればどうでしょうか。

 なぜCDに廃盤が存在するのか想像してみてください。
 なぜ iTMS で入手できない曲があれほど多く生じるのか。
 なぜ海外の iTMS で配信されてる曲まで日本で入手できないのか。
 日本のアーティストが配信を望んでも、なぜ全く配信される気配がないのか。
 廃盤になっているから せめて配信だけでもしてほしいと求めたアーティストの作品が何故 Mora のラインナップからも削除されてしまったのか。

 実演家の権利を守る団体というのは、こういう実態を改善するためにあるのではないですか。
 はっきり言います、これは著作権・著作隣接権が原因として発生したコンテンツ流通の阻害です。しかも、アーティストは流通を望んでいるのもかかわらず、彼らが本来得るべき利益(の機会)をこうして奪われているのです。加えて彼らが伝えようとしている音楽文化すら囲われてしまう。
 芸団協が他の権利者団体と足並みそろえて、「保護期間を延ばせ」だの 「30条 を廃止しろ」だのズブズブとやってる間にこのような事態がどんどん深刻化しているのです。

「外野」とはどこを指しているのでしょうね。
 いまここで発言している私たちはエンドユーザーであり、実際に著作物を購入する自然人です。アーティストは実際の表現を行なう自然人です。著作物の流通というものは この二人の自然人を繋ぐものであり、ここには「外野」なんてものは存在しません。
 再度問います。コンテンツ流通の問題を意識したときに「外野」とはどこにあるのでしょうか?

 エンドユーザーは、私的録音録画補償金の現行制度が「絶妙のバランスを取った制度」とは考えていません。あの創設の議論の中で全く意見を出す機会を与えられなかった(そしてあの制度創設後に本格的に音楽を買い始めた)エンドユーザーたちは あの制度自体に疑問を抱いています。面白くもないのに著作権法の法文を読み、参考書を買い求める人たちであってもです。
 もし現行制度が「絶妙のバランスを取っ」ているのなら、この制度を拡張しようとするのを おやめになっては如何ですか。レンタルCDから CD-R へ私的録音することを「違法コピー」などと喧伝するのを おやめになっては如何ですか。エンドユーザーがパソコンでCDを聴くことを妨害するのを おやめになっては如何ですか。
 現行制度下でエンドユーザーに重 DRM を強いているのは誰なのか。こうした行為で現行制度のバランスを失わせているのは誰か。エンドユーザーとはこのような矛盾を敏感に察知するものなのです。
 実態の伴わない「絶妙のバランス」とは、それによって利権を得ている者がそれを持続させるために制度を評価した言い回しとしか理解できません。

 さらに厳しい言い方を敢えてすれば、私的録音録画補償金制度に関して「先人の知恵」はさほど残されていません。ただなんとなく「不利益」があるらしいから、権利者とメーカーが課金ありきで談合を行なったに過ぎません。しかも妥協の末 決められた「談合」ですら権利者側から一方的に破棄されようとしている(それとも JEITA と和解しますか? あれだけ“メーカー悪者説”で罵っておきながら)。
 もっと「先人の知恵」が文書として残されていたなら、我々としても私的録音録画補償金制度について もう少しでも深く理解することができたのでしょう。が、残念ながらそこまで論理的な検討を尽くした文書が(少なくとも権利者の側からは)現われることはありませんでした。
 この話、廃盤の嵐で「先人の知恵」を葬り続けてきた業界が当事者なのですから、皮肉と言えば皮肉です。存在さえしていれば自分の権利を守るための「知恵」だったというのに‥‥。

「文化振興」は言うまでもなく著作権法の目的です。しかし忘れてならないのが、権利者の利益と利用者の「公正な使用」とのバランスです。権利者の「利益」を極大化するあまり「文化振興」が阻害されるようでは本法の趣旨に反するということです。
「文化振興」はどこにあるのか。それは未来ですよ。そして未来の文化は誰が創るのか。
 次世代のクリエイターはエンドユーザーの中から輩出されることを忘れてはならない。

 最後に。
「実演家の存命中に期限が切れる」とのことですが、活動を地道に積み重ねてきた実演家であれば、亡くなる時点に期限が切れているのは活動初期の極めて限られた期間だけではないでしょうか。この方が得られるインセンティブは既に充分 生じています。だって 50年以上も 続けてこれたのですから!
 逆に、 50年前に 少しの間だけ実演家として活動されていた方はどうでしょう。これから 20年 権利を延長したとして、この方は実演家として活動するインセンティブを得られるのでしょうか。何十年も実演家として活動していなかったのに?
 他の著作権・著作隣接権と同様、その延長によって更なるインセンティブが生じるかは疑問です。その前に、実演家については解決すべき問題が山積しています。 ただでさえ、実演家は他の権利者に食い物にされている存在です。

 ──効果があるか怪しい保護期間延長の前に、まずやることがあるんじゃないですか?

○岡田委員(JASRAC):佐藤委員、大林委員からの話と重複するかもしれないが、規制緩和の様子を見ていると、ユーザーの利益にウェイトがいっているような気がしてならない。知財立国を標榜するならクリエーターの利益をも重く見ていただかないと文化の再生産がなっていかない。ユーザーの喜ぶ顔だけでなく、クリエーターの喜ぶ顔も見て欲しい。インセンティブを高め、高い文化、世界に比する文化を創るエネルギーになればと思うので、IPマルチキャスト放送にしても、私的録音録画制度にしても、クリエーターの顔もよく見ながら議論していただきたい。

「規制緩和の様子を見ていると、ユーザーの利益にウェイトがいっているような気がしてならない」とのことですが、還流防止措置・雑誌書籍貸与権・映画著作権延長・送信可能化権といった権利強化一辺倒の著作権法改定を見れば その揺り返しが「ユーザーの利益にウェイトがい」くのは当然に思えます。また、著作権とは権利の付与によって情報流通を規制するという制度なのですから、「規制緩和」が「ユーザーの利益」になるのは当然です。
「1たす1は2になると言ってるような気がしてならない」と言われている気がしてなりません。

 我が国が知財立国を標榜する以上、現在のクリエイターを保護するあまりに次世代のクリエイターの出現を抑制することは許されません。 JASRAC の方々は良いですよね、すでに「クリエイター」として身を立てた方ばかりですから(あ、文化庁出身の方もいらっしゃいましったけ?)。
 どのように次世代のクリエイターを育てていくのか、その辺りを小一時間(中略)。
 次世代のクリエイターはエンドユーザーの中から生まれてくる──との真理は知財戦略本部がすでに意識し始めているところです。それにもかかわらず、当の「クリエイター」本人がこれでは‥‥。
 頼みますよ、ホント。

 あ、もしこれをお読みの方で JASRAC の中の人にお知り合いがいらっしゃる方、 JASRAC の中の人にはくれぐれもよろしくお伝えください。私たちも「クリエイター」に対価を支払うのは やぶさかでないのですよ。ただ、ロックンロールやジャズ・プログレを聴いているのに演歌の「クリエイター」にお金が行ってしまうことに納得できないだけですから。
「投げ銭」的に相手を指定して支払うことができれば、エンドユーザーの気分的には解決同然なんですがね(これは芸団協についても言えます)。

○佐藤委員:大林委員から、隣接権の話があったので。
 著作権延長については、平成19年度までに結論を出すテーマと位置づけられている。欧米諸国の多くが70年とされている。我が国でも速やかに実現すべきと考える。一方、隣接権の保護期間延長は、現時点での検討は時期尚早とされているのは理解しているが、アメリカは発行後95年であり、50年以上の国は少なくない。隣接権にかかる延長も速やかに検討を開始していただきたい。お願いします。

 この発言の中でも補足的に仰ってますが、確かに著作隣接権の保護期間延長(レコ協が特に強く主張しています)は「検討課題」の検討において「時期尚早」と一蹴されています。それを一番御存知の筈なのに また主張するなんて‥‥涙ぐましいにも程があります。
 レコード会社が権利を主張するたびにコンテンツ流通が止まっている現実をどのように理解されておいでなのでしょう →レコード協会会長様。まぁ還流防止措置については全くアジア進出に繋がっていなくて、しかも「受理済み」の盤が「申立て予定」を大きく下回り、当初予想されたほどにはコンテンツ流通阻害にはなっていないようですが(笑。もちろん皮肉。このままこの制度に機能不全が起こったらすぐさま廃止運動が始まるので そのつもりで)。
 それよりも、米国の 「95年」 に合わせないと困るような事態というのは、日本の音楽がきちんと米国に進出できてからの話なのですけど。アジアですらまともに進出できない、ましてや米国できちんと商売できてる日本の音楽ってどれくらいあるんですか? 殆ど日本市場に依存(アジア盤のダンピング分ですら日本市場頼み)しているような業界体質なので、何が困るのですか。
 もし今の状態が続けば、日本では欧米のレコードが早く著作権切れして 本国より先に自由利用できるんですよ。レコード会社にしても商売のチャンスなのに、どうして自らそんな機会を潰そうとするのでしょう。

 ──それはそうと、日本の 95年前の 「レコード」、入手可能なんでしょうか。



○角川委員(映像ソフト協会):先ほど、従来の著作権についてはクリエーター、ビジネス、ユーザーとの微妙な整合性がはかられているという話があったが、私もそう思う。通信と放送の融合ということで、デジタル化される中で著作権がどうありうるのかということの問題意識をきちんと持たないと、最終的には問題の解決にならないのではないか。デジタル化される中で、インターネット関連技術開発会社が、コンテンツがあらゆるデジタル機器で流れるようにと希望している。そうは簡単にいかないのだが、どうしたらそういう人の考え方にも沿って、コンテンツを持っているクリエーターの権利を保障できるかという視点を置かないと、小委員会も著作権保護の新しい答えを出し切れないことになるのではないか。私は必ず答えがどこかにあると信じている。委員会が形式に流れないで意見を戦わせて活性化していただきたい。

「クリエーター、ビジネス、ユーザーとの微妙な整合性がはかられているという話があったが、私もそう思う」ですか。権利者の方々は皆さんそう仰います。でも、「本来ならアナログコピーにも補償金をかけるべきだ」とか「CDから CD-R に焼くのは違法コピーだ」とか何とか仰る方も多いんですよね。どちらが本当なんだか、私にはサッパリ判らなくなってきちゃいました。
 現行制度でバランスが取れているのなら、黙ってていただきたいんですけど。

 まぁ「デジタル化される中で著作権がどうありうるのかということの問題意識」が大切なのは確かです。そして「インターネット関連技術開発会社が、コンテンツがあらゆるデジタル機器で流れるようにと希望している」ということも確か。ただ間違わないで戴きたいのは、全てのコンテンツが入手可能になることを望んでいるのはインターネット関連の会社だけではないということです。
 まずコンテンツというのは入手できてナンボです。アーティストの収入も、エンドユーザーも満足も、それが無いと発生しないのですから。どうしてコンテンツをもっと売るということをレコード会社の皆さんが考えないのか不思議でなりません(ゼロはいつまで続けてもゼロですよ)。
 ──てか、現状、アーティストにとっては不利益以外の何物でもないと思うんですけど。

「コンテンツを持っているクリエーターの権利を保障できるかという視点を置かないと、小委員会も著作権保護の新しい答えを出し切れないことになるのではないか」。
 ‥‥う〜ん、残念ながら今のクリエイターって殆どが「コンテンツを持ってい」ないんですけど。コンテンツを持ってるのは角川書店とかポニーキャニオンとか JASRAC (ここは信託譲渡)なんですけど。
 クリエイターの権利が保障される世界が実現したらどれだけ素晴らしいかと思います。でもそれはおそらく現行の著作権制度が大きく様変わりした時でしょうね。

 クリエイターが自分のコンテンツを所有し、自らの手でエンドユーザーに届け、日々の糧を得る。新たな出逢いが新たな作品を生む。実現したいものですね。

○三田委員(文芸家協会):保護期間延長について私見を。
 (中略)星の王子様の本自体が、岩波以外に10種類くらい、著作権フリーで出ている状況である。
 ご承知のように、フランスの場合、著作権期間が70年である。しかし日本は50年で、すると、日本で外国の作家の本を出す場合も、50年で切れてしまう。フランスその他の諸外国で著作権が生きている作家の本が、50年で日本ではフリーになってしまう。この状況というのは、世界的に見ると非常に恥ずかしい事態ではないか。政府や文化庁は日本で作られた各種著作物がアジアではかなりフリーで使われているということを問題視しているが、実際に日本だけ50年とやっていると、世界から取り残されてしまうという気がする。早急に検討していただきたい。
 しかしながら、文芸著作物の場合、死後50年以上たって需要がある、文豪のような人は比較的限られている。インターネットの世界では青空文庫に代表される、切れた作品をネットに載せることがやられていて、読む側からすれば大変便利な状況である。また、出版界から忘れ去られた作品を復刻するということも行われており、存続期間が切れているとフリーでできる。善意でそうしている人にとって、保護期間延長は大変な抵抗があると思うので、この問題を何とか解決していかないと、善意を無にすることになると思う。
 一番問題なのは、著作者の遺族の所在がわからないような場合である。復刻したい、ネットに載せたいが、許諾を得たいという場合に、遺族の著作権継承者の居場所がわからないというケースが非常に多いだろうと思う。いま、法律がどんどん厳しくなり、作家の住所録のようなものを人に勝手に渡すことができなくなっている。ますます著作権者の場所を突き止めることが大変困難になり、許諾を求めることが困難になっている。裁定制度が設けられているが、登録に1件1万円以上のお金が必要。儲かるものについては利用できるが、善意の人が、フリーのものを伝達したいというときに、現在の制度はかなり使いづらいと考えられる。裁定制度をもう少し簡略化し、善意を持って文芸作品等を後世に残したいと考える人がもっと使いやすい制度を構築しない限り、存続期間延長が困難になってくる。ネットでは著作権フリーで使うことが非常に広まっているので、70年にすると権利者が主張すると、ネット全体で大反対ということになると思う。文化庁は、法律を変えるときは、ネットでユーザーの意見を伺うということをしているので、そんなことをすると大反対の嵐ということになる。その為に、ユーザーにこれだけのことはするということをしないと難しいと思う。その点について、この場、文化庁の人から、将来に向けてアイデアを出していただければと思う。

前略
 三田誠広様。
 驚きました。
 いつも三田様の発言をとらえて批判していることを恥ずかしく思いました。
 本日の著作権分科会においての三田様の仰ることが、他の委員の発言と比べても とてもまともに聞こえたのです。

 でも、ひとつだけ言わせてください。
 話そうとすることは あらかじめ整理されるとよろしいかと思いますよ。
 だって、最初に著作権保護期間を延長するように主張されて、その次に青空文庫の話を持ってきては、保護期間延長がもたらす弊害の方が強調されてしまうではありませんか。しかも結びが文化庁へアイディアを求める言葉だなんて。お手上げって感じ?
 いい話を聞かせていただいたと思っていますよ、私は。
 でもそれって三田様の本意だったのでしょうか。
 わかりません。確かに三田様は障碍者の読書機会の確保については実現を強く訴えていらっしゃいます。でもその一方でいつも著作権強化のことばかり仰る。
 どちらが本当の三田様なのでしょうか。

 私は、より多くの人に本を読む機会を与えようとする三田様の方をお慕い申し上げます。

早々

追伸
 ──日本の方がフランスより先に著作権切れして、『星の王子さま』が何種類も出版されることが「非常に恥ずかしい事態」なのかについては敢えて感想を申し上げません。「より多くの人に本を読む機会を与えようとする三田様の方をお慕い申し上げます」とだけ申せば私も気持ちはお解りいただけるかと。

Posted by 暇人#9 著作権保護期間延長反対, 踊る文化庁, 音楽と著作権 |

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