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2006年3月16日 (木)

知財戦略本部・コンテンツ専門調査会(第7回)──「業界の代弁」とボディブロー

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents/dai7/7gijiroku.html
「コンテンツ専門調査会(第7回)議事録」
(首相官邸:知的財産戦略本部)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents/dai7/7gijisidai.html
「知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会(第7回)議事次第」
(首相官邸)

 知財戦略本部下のコンテンツ専門調査会、その第7回の議事録が公表されていますね。先行して公表されていた議事次第ページでの掲載配付資料 (PDF) の中で依田巽委員(そう、「レコード輸入権」でお馴染みのヨーダです)が一人 怪気炎を吐いていたのが記憶に新しいところですが、議事録の中でもやっぱりそんな感じでした。
Where is a limit?』 さんでも引用されていたので それを参照していただこうかと思いましたが、いや私にも言いたいことがあるので、ダブりますが当該発言をあえて引用します。

○依田委員 (中略)「(提言3)ユーザーが豊かなコンテンツを楽しめるようにする」ための「解決策」の「(2)音楽用CDにおける再販売価格維持制度の見直し」についてですが、音楽ソフトの持つ特性、または我が国の再販制度の歴史的背景、存在意義等をいろいろ考えてみますと、今回まだまだ関係業界、諸団体等との十分な検討がなされたとは思えませんし、もっと細かく問題点の整理がなされ、デジタルコンテンツ分科会において、再販価格維持制度の廃止を示唆する提言を盛り込む段階で、もう少し細部にわたった検討が必要ではなかろうかと思っております。
 それは資料を御一読いただければと思いますが、今すぐに廃止を論議するというのは、ちょっと時期尚早ではなかろうかと思います。当コンテンツ専門調査会でも論議をする環境下にあるのかどうか、それも含めて、できればこの問題については、もう少し様子を見てからにしていただきたいということが、業界としても声が上がってきております。これは決して業界の援護ではなくて、専門調査員としての私の意見として御報告申し上げたいと思います。

 レコ協の会長を退いてもなお、レコード業界の代弁を忘れてはいませんね。

「我が国の再販制度の歴史的背景」──CD(いわゆる音楽レコード)が再販製品でなければならない必然性はどこにもありません。何せ著作物の再販制度が認められたのは「定価販売の慣行を追認」したに過ぎないのですから(この種の話題で懐かしい記事にリンクしておきましょうか。川内議員のアレです)。一律の価格で全国に行き渡らせる──などと一応もっともらしい理屈は付けられていますが、そんな“存在意義”も今では崩れ去ってますしね。第一、次世代レコードや音楽配信では再販制は認められていません。
「存在意義」──前述の通り、今となってはありませんね。CDは通販で買える時代、そもそも近所にはCD屋が無い(潰れる一方)、あったとしても品揃えは一緒(売れ筋ばかり)。いや、意義ってやつはレコード業界にしてみれば残ってるのでしょうが。いわゆる既得権としては。しかし価格競争が全くない中でCD売上げが激減しているのに、再販制に原因があると考えないのが何とも‥‥病根の深さが窺えます。
 再販制は弊害の方が深刻であり、問題点として幾らでも何度でも指摘されています。価格が高止まりしてるは、流通が硬直化してるは。ぬるま湯に長いこと浸かってるレコード会社は顧客獲得の努力をしないは、売れないCDは簡単に廃盤にするは、せっかく売っても 「CCCD」 だは(そりゃ売れないのも当然)。挙句の果てに、CDの価格をもとに配信価格を決めるは(しかも価格の決定権を握ろうとするは)。

 そして。ヨーダと言えば輸入権、輸入権と言えばヨーダです。
 この話と無縁なところで再販制が語られる筈がない。この二重保護の問題は当然 指摘されるところであり、充分に配慮しろとは当該法改定の際の附帯決議にもある通りです。還流防止措置創設の片棒を担いだ知財戦略本部だからこそ、そのバランスをとるためにCD再販撤廃を提言する責任があるのです。「時期尚早」でも何でもないのですよ。

 ──なんてね、私ごときが反論するまでもなく、中山先生がドスンと重たいボディブローを打ち込んでいらっしゃいました。

○中山本部員 11ページのレコード再販の問題について、一言私の意見を申し上げたいと思います。
 私はこの文章は、是非このまま残していただきたいと思っております。
 レコードの再販につきましては、恐らくそういう制度をとっているのは、世界で日本だけだと思いますし、また、一昨年の著作権法改正で、いわゆるレコードの管理防止措置、つまり安いレコードが日本国内に入ってこないような措置を取りました。国内的には再販で価格を維持し、国際的な競争もしないという、世界でもまれに見る状態に置かれているわけであります。こういう状態が、果たして日本の文化を守るために必要なのかと、そんなに素晴らしい制度なら、なぜ世界がまねをしないのか。現在、本当に日本のレコード産業は、世界に冠たる産業になっているのか。世界一高いCDを買わされている日本のユーザーは、本当に世界一ハッピーなのか。そういうところから、私は考え直さなければいけないと思います。
 アメリカよりも産業規模が小さいわが国の音楽産業、それに対してレコード会社はアメリカの何倍もあるという、言わば過当競争の状態にあるわけです。この護送船団方式を維持していくためには、やはり再販制度は必要だろうと思うわけでありますけれども、しかし、再販制度を維持してやっているうちに、実はもう大きく流れが変わってきている。
 例えば、インターネットを通じた音楽の配信などのように、再販などには全く関係ない世界が出現しつつありますしたがって、再販制度で利益を得て、企業は現在はいいかもしれませんけれども、これに溺れて合理化をしないと、そのうち大きな崩壊が始まるのではないかと私は考えています。
 そして、この問題は、決して唐突に起きたのではないわけでして、もう何年も前から公取でさんざん議論しておりますし、独禁法学者あるいは産業構造論の経済学者の間でも、さんざん議論をし尽くしているわけであります。
 知的財産戦略会議の時代から、再販については直接書いてありませんけれども、競争政策が大事であるということは述べられておりますし、また知財基本法にも、競争法のことは書いてあるわけです。したがって、私は日本の音楽産業の合理化のために、むしろこの議論を始めるのは、遅過ぎるという感じすらするわけです。したがって、私は11ページのこの条項は、残していただきたいと考えております。

 ──当該発言を全て引かせていただきました。その指摘ひとつひとつが重いものです。
 中山先生は公取委の懇談会にも出席されてますからね、そのあたりのデータについても把握されてます。論理的には“外堀を埋めた”状態になっています。もっともヨーダが理解できているのかは微妙ですけどね。
 しかし、中山先生のこの発言に共感する人間が増えてきているのは確かです。あの時、還流防止措置が創設されたのを境に、レコード業界に対する態度を変えた人が数多くいるのですから。我々 Watchdog ブロガーしかり、知財戦略本部しかり、公取委しかり。

 もはやレコード業界を甘やかす人間だけが ものを言う時代ではなくなったということです。

Posted by 谷分 章優 再販制, 知財戦略, 音楽と著作権 |

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