これで充実した議論が望めるのか ──法制小委#1
採り上げるのがちと遅れてしまいましたが、 3月30日 に文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の今期第1回が開催されました。
『zfyl』 さんが傍聴の報告をされていまして(今回は資料の掲載のみで「議事概要は省略」とのことです)、加えて 『Where is a limit?』 さんが報道の様子を追いかけていらっしゃいます。
http://nirvana.blog1.fc2.com/blog-entry-56.html
「著作権分科会 法制問題小委員会(第1回)」
(zfyl)
http://tontonsblog.seesaa.net/article/15772219.html
「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会【第1回】」
(Where is a limit?)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/03/30/11448.html
「IPマルチキャスト放送の著作権処理、文化審議会の法制小委が検討開始」
(INTERNET Watch)
まず気になるのが法制問題小委員会の主査が誰になったのかですが、一般紙の報道では触れてなかったりします。単にIPマルチキャスト関連の審議が始まったとかいう話だけで。中山先生が著作権分科会の副分科会長に就いたことで法制小委の主査はどうなるかという懸念をする声もあったので心配していたところ‥‥ 『INTERNET Watch』 の記事でさりげなく書かれていました。
これによれば「中山信弘氏(東京大学教授)が主査を務め」とのことで、続投の運びになったようです。なお議事の内容なども当該記事でまとめられています。
さて。私としては 『zfyl』 さんが上げてくださった資料の方を見ていきましょう。
『zfyl』 さんによれば、当日配布された資料は以下の通り──
配付資料
1.文化審議会著作権分科会法制問題小委員会委員名簿
2.文化審議会著作権分科会の議事の公開について
(平成18年3月1日 文化審議会著作権分科会決定)
3.小委員会の設置について
(平成18年3月1日 文化審議会著作権分科会決定)
4.ワーキングチームについて(案)
5.文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議予定(案)
6.著作権分科会 (平成18年3月1日) において出された意見の概要
7.IPマルチキャスト放送の著作権法上の取扱い等について
8.罰則の強化について
9.税関における水際取締りに係る著作権法の在り方について
実際の文書は 『zfyl』 さんの記事を参照してください。
上の資料のうち、資料1から資料3は3月1日の著作権分科会で配布されたものと重複するので掲載を省略されています(たぶんそういうことだと思います)。この資料が未読で興味がある方は、文部科学省サイトの議事録ページで掲載されていますので そちらを参照ください。
私も資料4から資料9をざっと見ていきます。
資料4「ワーキングチームについて(案)」。
今期もワーキングチームを作り、法制小委と並行して検討作業をするようです。しかし「原則として、会議は非公開とするが、議事要旨を作成し、これを公開するものとする」ととのこと。
このワーキングチームがきちんとした検討を行なっているのは報告書を読むと判るのですけど(法制小委本体とは大きな違い!)、この「議事要旨」については正直いただけない感じでした。出してる意味が無いほどペラペラな中身で、検討段階ではただの“密室作業”にしか見えないという。ワーキングチーム会合を公開するか、議事要旨をもう少し詳しく出さないと信頼性が担保されないかと思われるのですけど →文化庁。
なおワーキングチームの「検討事項」が第3回法制小委で、「検討結果」については第7回法制小委で報告される予定とのことです。今年のスケジュールも異常なほどタイトです。去年なんて結局 検討らしい検討はできなかったんですけどね、同じ様なスケジュールで。「検討事項」を決めて、議論の基礎固めをしただけで終わったようなものです。
資料5「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会審議予定(案)」。
今年も「大丈夫か!?」ってほどの議題 目白押しです。とりあえず6月までは「IPマルチキャスト放送の著作権法上の取扱い等について」「罰則の強化について」「税関における水際取締りに係る著作権法上の在り方について」を議論するそうです。「罰則の強化〜」と「税関〜」はさほど議論が必要なものでもなさそう(どう転ぶにしても あっさり決まりそう)なので、中心は「IPマルチキャスト〜」ということになるのでしょう。
で、6月以降は「権利制限の見直し」「私的使用目的の複製の見直し」「共有著作権に係る制度の整備」「各ワーキンググループにおける検討課題」が議題となります。これが8月に「報告書(案)」としてまとめられる、と。
‥‥こんなのやってられるのか!? 権利制限の件は去年の続きでしょう。これだってかなり難題だというのに、今度は「私的使用目的の複製」の件が入ってきています。これは私的録音録画問題の根本とも言える部分であり、そんな何回かの話し合いで決着できるような話ではない。しかも残りの議題も決して時間をかけずに結論を出せるものでない。
──不安がありますよ。私が興味を持っているのは「私的使用目的の複製の見直し」ですが、ここまで議論に割ける時間が少ないと“複製権ありき”の議論で流れてしまって、エンドユーザーのフェアユース的な観点から(著作権的には「公正な利用」とのバランスを保つという観点)確保されるべき私的複製が意識されずに終わってしまうのではないかと危惧します。それこそ「そもそもデジタルの私的複製に本当に補償金が必要なのか(自分で買ったものの私的複製には補償金はいらないのではないか)」という肝心要の問題提起がスルーされてしまうという。ただでさえ無視されがちな視点なのに!
ともあれ、6月と8月に「意見募集」が予定されているとのことです。相変わらず「報告書」に対する意見ということになりそうなのですが、まぁ今年も忙しくなりそうな感じではあります(個人的には、私的録音録画小委員会も意見募集をすべきだと思いますけどね)。
資料6「著作権分科会 (平成18年3月1日) において出された意見の概要」。
これについてはツッコみたいところが山のようにあります(後回しします)。
「事務局においてとりまとめた」との説明書きがあるのですけど、どういうわけか抜き出された「意見」に下線が付されています。今期の議題に関係しているものかと思いきや、あながちそうとも言い切れなかったりします‥‥。詳しくは後で。
資料7「IPマルチキャスト放送の著作権法上の取扱い等について」。
これが今期法制小委のヤマのひとつかと思われますが、今回配布された資料はさほどの内容でもありません。もちろん議論の前提となるべき事実関係は資料で押さえられてはいます。しかしそれ以上の内容ではない。
総務省の懇談会での資料を参考程度に載せるとかすれば もう少し充実したものになったところなんでしょうけどねぇ。
資料8「罰則の強化について」。
またかよ──と言いたくなる議題ではあります(あの「輸入権」騒動を引き起こした著作権法改定でも罰則強化が含まれていたんですね)。ただ資料を読んだ限りでは あっさりと審議が終わるような感じです(法改正になるか、継続審議になるか、どちらに転ぶのかは別としても)。
本来、罰則を強化したことで侵害行為の抑止ができてるのかという評価もしなければならないところなのでしょうがね、この手の審議はいつも“印象批評”で終わってしまうものです(何とかならんのか!)。
資料9「税関における水際取締りに係る著作権法の在り方について」。
これ、私が期待していた内容ではありませんでした。単に知的財産権侵害物品の「輸出」と「通過」について著作権法にも規定を設けるかどうかという。私が(素人目に)見たところでは現行法で充分対処できてるように見えますがね(要は取締りの実効性が問題になるだけの話)。
私としては、そもそも税関での「水際取締り」が適切に行なわれているのか否かを調査すべきだと思うのですが。著作権法もこれに大いに関わっていることですし、去年からは悪名高き「還流防止措置」が輸入差止申立制度のみで実行されているという一面があります。言ってみれば密室で輸入盤差止めが決められているわけで、これが適切に行なわれているのか否か誰が確認する責任を負っているのかと。
端的に言えば、法制小委が責任を取れってことですけど。
■「著作権分科会において出された意見の概要」にツッコミ
──と言っても、似たことは既にやってるんですけどね。
http://himagine9.cocolog-nifty.com/watchdogs/2006/03/_18__65bf.html
「文化審議会著作権分科会 (第18回)
──私的録音録画小委員会が設置されるも、
権利者側が一番ほしいのは著作権保護期間延長?」
(エンドユーザーの見た著作権)
http://nirvana.blog1.fc2.com/blog-entry-55.html
「文化審議会著作権分科会(第18回)」
(zfyl)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/010/06030106.htm
「文化審議会 著作権分科会(第18回)議事録」
(文部科学省)
先の記事では、傍聴された 『zfyl』 さんの報告「議事概要(メモ)」を元に突っ込んだのですが、文化庁が今回まとめた「意見の概要」にもそのまま適用できる内容かと思われます。──っていうか、正しい発言内容を確認しようにも未だ公式議事録が上がってないし(こらー! 議事録作成するのにどんだけ時間かけてんだァ)。
思いのままツッコむのでは先の記事と重複しますので、ダイジェスト版でお送りします。
ちなみに当該文書「資料6」には発言者の名前が付されておりません。まぁ良い方に解釈すれば、発言者を意識しないで議論に使ってくれという意図なのでしょう。しかしですね、ここに選択された意見の性質を考えれば、そこに既に文化庁のホンネというものがチラチラ見えてる気がするのですがね。しかもわざわざ強調の下線を入れてたりするし。
○ IPマルチキャスト放送の著作権法上の取扱いについて、現在、レコード協会はネット流通に必要な権利許諾の一元化、簡素化のための集中管理の準備をしており、放送番組のネット流通促進を支援し、同時再送信について円滑な導入に協力する。
民間の取り組みで解決可能であるにもかかわらず、隣接権者の権利縮小のような法改正をするのであれば、文化の発展に反するのではないか。
「ネット流通に必要な権利許諾の一元化」「簡素化のための集中管理の準備」はいつ終わるのでしょうか? この見通しが立たない限り、「権利制限」を阻む理由にはなりますまい。
そもそもIPマルチキャスト放送の実現にはタイムリミットがあります(地上波デジタル放送への完全移行を補完するものとして構想されているのですから)。権利者団体が「集中管理の準備をしてますよ〜」てな感じで対応する“フリ”をしたとしても、そのリミットまでに実現しなければ意味がない訳です。なおタイムリミットと言っても 2011年 では遅すぎますので念のため(この時期に集中的に審議するということは、来年の通常国会には法改正することが見込まれてるってことです。すなわち、今期の審議の間には権利者団体の集中管理にメドが立たないと対抗できませんね。それでもやる気ありますか? ──現実的な対応としては、「有線放送」とみなす範囲を同時再送信に限定するよう主張した方が“賢い選択”かと思われます。なし崩しに権利制限されたくないのなら、ね)。
なお著作隣接権を縮小しても「文化の発展に反する」ことはありません。世の中がそんな単純なものでないことくらい判るでしょうに(そもそも著作隣接権が「文化の発展に反する」作用をもたらしている一面だってあるわけで)。
○ 私的録音録画補償金の見直しの議論の中でも取り上げられていたが、現行制度自体が、クリエーター、メーカー、ユーザー絶妙のバランスを取った制度であると思っている。それを見直すということなので、精神としては先人の知恵の出し方を参考にしつつ、デジタル化ネットワーク化の中で、文化振興という視野をしっかりもって、議論していただきたい。
IPマルチキャストの同時再送信については、実演家、CPRAでもワーキンググループで検討を続けており、いろいろご協力できると思う。
実演家の権利保護期間の問題について、実演家の存命中に期限が切れるという非常にバランスの悪い状況であり、法制問題小委員会でも取り上げて検討いただきたいと思う。
まず、「現行制度自体が‥‥絶妙のバランスを取った制度である」のなら、これ以上 著作権法を改定していく必要は無いということですよね。保護期間を延長する必要が無いわけですし、私的録音録画補償金も現状のままでOK (iPod 使い放題だ いぇい)。
私は現行制度が「絶妙のバランスを取っ」ているとは考えません。権利強化されすぎです。しかもエンドユーザーにとってのフェアユースが多くの面で省みられていない。「デジタル化ネットワーク化の中で、文化振興という視野をしっかりも」つのなら、コンテンツ流通を促進する方向で権利制限を広げていくべきだと考えます。文化はユーザー(未来のクリエイター)の側から生まれてくるものなのですから。
IPマルチキャストの同時再送信については、CPRAのワーキングチームが今年の1月に設置されていますね。うわッ、遅すぎ! 今まで何やってたの? しかもここの報告書が上がるのは6月。法制小委のと同じじゃん!
実演家の権利保護期間については、コンテンツ流通を阻害しないように設定されているのですからやむを得ないというところでしょう(死後起算にすれば阻害要因が増えるだけです)。保護延長に見合った権利制限でバランスを取っていくのなら話は別でしょうけど。
「実演家の存命中に期限が切れる」ことが本当に「バランスの悪い状況」であるのかは詳しい説明をお願いしたいところですね。実演家を続けていくインセンティブというものを考えるなら、私は「バランスの悪い状況」とは思いませんから。
○ 現在の規制緩和の動向を見ていると、ユーザーの利益に過度に比重がおかれているような気がしてならない。知財立国を標榜するならクリエーターの利益をも重く見ていただかないと文化の再生産につながらない。高い文化、世界に比する文化を創るためには、IPマルチキャスト放送にしても、私的録音録画補償金制度にしても、クリエーターの顔もよく見ながら議論していただきたい。
権利強化が過ぎていたのですから、今度はユーザーの利益に比重を置くのは当然です。それがバランスというものです。今までの権利強化を無いものと考えるのは大人げないですね。
なお権利制限の対象となるコンテンツホルダーは必ずしもクリエイターではありませんので御注意を。きちんとクリエイターの利益を確保しようとするなら、既得権益を削っていく努力が必要となります。あんたたちのことだよ!
○ 著作権の保護期間については、欧米諸国の多くが(著作者の死後) 70年 とされており、我が国でも速やかに実現すべきと考える。
一方、隣接権の保護期間延長は、現時点での検討は時期尚早とされているのは理解しているが、アメリカは発行後 95年 であり、 50年 以上の国は多くなってきているので、隣接権にかかる延長も速やかに検討を開始していただきたい。
保護期間の話は議題に上がってないのに下線引くんじゃないよ →文化庁!
なお「欧米諸国」が著作権保護を延長しても、日本がそれに合わせる理由はありません。むしろ今のままの方が文化的に有利になります。それが戦略というものです。
隣接権の話は門前払いされてるのに、また強調するのが涙ぐましいというか(ここでも下線引くんじゃないよ →文化庁!)。むしろ隣接権は制限すべき局面に来てると言えます、今。
○ 通信と放送の融合ということで、デジタル化される中で著作権がどうあるべきかという問題意識をきちんともっていただきたい。デジタル化される中で、コンテンツがあらゆるデジタル機器で流れるように希望しているが、コンテンツを持っているクリエーターの権利を考慮して、小委員会でしっかりと議論していただきたい。
「デジタル化される中で著作権がどうあるべきか」という問題意識があれば、当然いまの制度の欠陥というものが見えてくるわけですよ(送信可能化権なぞという重たい権利を創設しやがって!)。
また、クリエイターの多くは「コンテンツを持ってい」ないことに注意。だいたいは企業・権利団体に吸い上げられています。文化振興というのは、持っているコンテンツで得られる収入を極大化することではありませんよ。
○ フランスその他諸外国については、著作権期間が著作者の死後 70年 である。しかし日本は著作者死後 50年 であり、フランスその他の諸外国で著作権が生きている作家の本が、 50年で 日本ではフリーになってしまう。この状況は、世界的に見ると非常に恥ずかしい状況ではないか。政府や文化庁は日本で作られた著作物がアジアではかなりフリーで使われているということを問題視しているが、実際に日本だけ保護期間 50年 とやっていると、世界から取り残されてしまうという気がするので、早急に検討していただきたい。
ただし、文芸著作物の場合、死後 50年 以上たって需要がある文豪のような人はほとんどおらず、インターネットの世界では、青空文庫に代表される、保護期間が切れた作品をネットに載せる試みが行われており、読者からすれば大変便利である。また、出版界から忘れ去られた作品を復刻するということも行われており、存続期間が切れているとフリーで行うことができる。善意でそうしている人にとって、保護期間延長は大変な抵抗があると思うので、この問題を何とか解決していかないと、善意を無にすることになると思う。
また、一番問題なのは、許諾を得たいという場合に、著作権継承者の居場所がわからないというケースが非常に多いが、個人情報保護法との関係で、著作権者の住所録などを外部に出すことができなくなっている現在、著作者の許諾を求めることが困難になっている。この点、現行法では裁定制度が設けられているが、登録するためには高額な登録料が必要で、現在の制度はかなり使いづらいと考えられる。裁定制度をもう少し簡略化し、善意で文芸作品を活用したい人がもっと使いやすい制度を構築しない限り、存続期間延長は難しいのではないか。
はい、もう誰が仰ったのかは お判りですね。
まず「フランスその他の諸外国で著作権が生きている作家の本が、 50年で 日本ではフリーになってしまう」ことが「世界的に見ると非常に恥ずかしい状況」とする理由がありません。何故なら、国際条約による要請では死後 50年 の保護で充分とされているのですから(それ以上の保護は各国の判断に委ねるものとしかされていません)。
そもそも「恥ずかしい」ということで言うなら、死後 50年 までフランスの某作品が1社からしか発売されていなかった──独占されていたことの方がよほど「恥ずかしい」です。独占されていた文化が、フランス本国よりも早く「フリー」になる。解放されたのですよ。そして並んだ新訳本たち。たった1社に独占されていたものが、さまざまな訳で読めるようになる。さまざまな角度で作品に触れることができ、ひょっとしたら これがきっかけで原著にまで当たる人が出てくるかも知れない。こういうのを〈文化的に豊かである〉と言うのですよ。
逆に保護期間が延長されていたとしたらどうか。我々は、いま書店に並んでいる新訳本を得ようにも その機会を失ってしまう。読めなくなってしまう。これを文化的な損失と呼ばずして何とするのですか。さらには、こうして目に見える例に限らず、他の作品についても(本来なら登場してきてもおかしくなかった)新訳本の出現を阻むことになるのです(別角度で言えば翻案された新たな著作物すら登場できなくなります)。文化を独占するという行為自体「恥ずかしい」のに、ここまで文化の創出を制度で阻害することはもっと「恥ずかしい」。
「日本で作られた著作物がアジアではかなりフリーで使われているということ」に触れるに至っては、論理を武器とする作家先生の言葉とも思えません。アジアのケースでは著作権が存続しているものが制度に反して「フリーで使われている」のでしょう。これは単なる著作権侵害の話であって、著作権切れした作品が「フリー」で使われるのとは全く異なります。著作権切れ作品の自由利用はむしろ著作権制度最大のルールなのですよ! これを否定することの方がよほど「恥ずかしい」!
「実際に日本だけ保護期間 50年 とやっていると、世界から取り残されてしまう」という主張にも理由がありませんね。いや、まず「保護期間 50年」 というのが「日本だけ」じゃありませんから。それに日本が欧米諸国より早く著作権が切れるのは、輸入超過の日本においてはメリットです。文化振興の絶好の機会なのですよ。
日本の著作権保護期間延長など、日本のコンテンツが輸出超過になりそうになってから考えても間に合います。日本のコンテンツは今の保護期間でも不都合がありませんし(一番の稼ぎ頭・映画著作物は既に延長されてますしね。笑)、むしろ海外のコンテンツを利用していく方が(できなくなるよりも)メリットが圧倒的に大きい。
欧米の著作権保護期間延長など勝手にやらせておけば良いのですよ。我々はきちんと(国際条約の範囲内で)著作物利用を促進させていただく、と。
しかしですね、このお方、発言の後半では腰が砕けるんですよね。青空文庫の話を持ち出した辺りから‥‥。しかも「文芸著作物の場合、死後 50年 以上たって需要がある文豪のような人はほとんどおらず」なんてのは、他の著作物についても言えるのです。死後 50年 あるいは公表後 50年 で需要があるような著作物というのはそうそう有るものではない。それが発表されたのと同じ頃の作品の中でごく僅かを占めるに過ぎないでしょう。
著作権継承者が判らない著作物についても同様です。文芸著作物に限った話ではない。まぁ文芸の場合は個人が著作権を管理していて、他のは企業が管理するという違いはあるかも知れませんが。それでも企業が離合集散すればどこがどういう権利を持っているのかは判らなくなります(それこそ「需要がある」一部の著作物は流通すれば判るでしょうけど)。
つまり。このお方が仰っている著作権保護期間延長の懸念材料は、「存続期間延長は難しい」ということの決定的な証拠なのです。このお方の指摘は鋭いと言わざるを得ないでしょう。
──ただ、それが「文芸著作物の場合」に限ってると思い込んでいるあたりが甘いのですけど。
Posted by 谷分 章優 著作権行政 | Permalink
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» クリエイティブ・コモンズの偉い人来日なのに著作権分科会はノンキ トラックバック 趣味の問題2
同じ中山教授が出席してるとはとても思えん、クリエイティブ・コモンズは太陽の向こう側にもうひとつの地球があるんだ、そっちでやってるんだ、と言われたらそうだよな、と思ってしまうくらいの落差っぷり。
... 続きを読む
受信: 2006/04/03 20:44:49



コメント
>世界的に見ると非常に恥ずかしい
いつも不思議に思うんですが、
「保護期間が長い=誇らしい」
という意味ならば
権利の期間を100年にしたり、
1000年にしたり、
150億年にしたりすれば
もっと
「世界に誇れる知的財産立国」
になると思うんですが
なぜ20年しか延ばそうとしないんだろう?
投稿: TOR | 2006/04/04 21:56:41
同感です。
結局は、「欧米が延長したからボクもボクも」と駄々をこねているだけなのではないかと思われます。
投稿: 暇人#9 | 2006/04/04 23:58:44