いや著作権侵害されたら止めさせるのが当然の行動ですから!
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0606/15/news073.html
「YouTubeからアニメが消えた?」
(ITmedia News)
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20141507,00.htm
「EMI、著作権侵害の防止に積極攻勢--YouTubeなどに協力求める」
(CNET Japan)
http://www.asahi.com/national/update/0616/TKY200606150516.html
「映画海賊版を無料公開 在日中国人向けサイト」
(asahi.com - 社会)
──時間の問題ではありました。
YouTube には、明らかに著作権者の許諾を得ていないだろうという映像ばかりアップされていましたから(このことから即 YouTube を停止すべしとの論には与しませんのであしからず)。
時々こういう行為を「私的複製」だと勘違いする人がいるのですが、もちろんそうではありません。日本の著作権法では送信可能化権の侵害ということになります。アニメーションであれば製作会社や脚本家など、ミュージッククリップであれば作詞作曲者・映像制作者・レコード製作者・実演家などが権利者にあたりますか。
権利者が著作権侵害を発見したら、それを止めさせるというのが当然の行動と言えます。そうしないと彼らが権利を持っている意味が無いですし、下手すると得られる財産をも損ねてしまうかも知れない(“必ず損ねる”とは限らないことを敢えて指摘しておきます)。
YouTube 側とて、権利者からの指摘があれば当該映像を削除しなければならなくなるのは当然のことです。権利者を敵に回しても何の得もありませんから(今までの P2P などの流れで言えば、放置していて訴えられるのは YouTube 自身ですしねぇ)。
「宣伝になるから」なんてのは侵害者の方便に過ぎません。ネットで勝手に配信してしまうことについては、それを正当化する論理など存在しないのです。まぁ経済的な効果として実際に“宣伝になってしまう”ことは否定できないと思いますが、本当に「宣伝」を目的とするのなら、権利者から許諾を得るのが筋というものでしょう。
私個人で言えば、私的複製の範囲で友人とテープ(ないしCD・ DVD) 交換する程度ならまだしも「宣伝になるから」大目に見てもらいたいと考えるクチではあります(ここは私的複製の範囲かどうかでグレーゾーンとも言えます)。ただ法によって許されている私的複製と、法で明らかに禁じている送信可能化では話が違います。
さすがに今回の YouTube の件では著作権者を不当に非難するような声というのは無いようですが、もし明らかに違法な P2P での交換や YouTube での配信についてどうにか現状を変えたいと思うのなら、違法行為を助長させることで なし崩しに著作権制度を崩壊させるのではなく、これを可能とするような簡易許諾への道を模索するなり法改正を目指すなりして動くべきではないかと思われます(こう言っては何ですが、現行法の送信可能化権を弱める方策が必要かと思われます)。
※おっと、これはマズった。上の段、 YouTube に向けて書いたようにも読めてしまいますな。「簡易許諾への道を模索するなり法改正を目指すなりして動くべき」というのは、著作権侵害の主体であるユーザーに向けて書いたものです。(※の段のみ追記: 2006.6.17。)
ところで、海外でも YouTube に対する動きが出てきているようですね。 EMI が YouTube にアップされたミュージックビデオの監視体制を準備しているとのこと。
また、日本では YouTube に限らず、「在日中国人向けサイト」で「映画海賊版」が配信されてるという話もあるようで、まぁ後手後手にはなりますが権利者側も動き始めるといったところなのでしょう。
この件については、権利者に対してエールを送っておきましょうか(生暖かく。笑)。侵害されたら権利者が差止める。それが著作権制度のあるべき姿なのですから。
※もっとも、この権利者の負担を軽くするとかいう口実でもって、現在許されている行為を制限していくような(例えば違法配信へのアクセス禁止とか)法改定が提案されたとしたら、それには反対します。権利者は常に“もぐら叩き”をやる宿命なのですよ。それが嫌なら簡便な許諾システムを用意するなり、配信ビジネスをきちんとやるなり、あらかじめ無償配信を明示的に許諾してしまえば良いのです。努力すべきは権利者であると私は断言します。
※私が注目した記事を「はてなブックマーク」にクリップしています。
一部コメントつき。
http://b.hatena.ne.jp/himagine_no9
■はてなブックマークから──
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://himagine9.cocolog-nifty.com/watchdogs/2006/06/post_d093.html
「エンドユーザーの見た著作権:
いや著作権侵害されたら止めさせるのが当然の行動ですから!」
(はてなブックマーク)
この記事をブックマークしてくださった方がいらっしゃいまして、お礼申し上げるとともに、コメントに対して反応を少々返しておきたいと思います。
※J2kawa さん
Blogタイトルが”エンドユーザーの見た著作権”なのに。なんでそう権利者視点で語るのでしょうか。
私としてはさほど「権利者視点」で語っているつもりが無いのですが。むしろ“法で決まってることだから権利者も勝手にやってろや”てな具合ですよ(文章の端々にそういうニュアンスを入れてるつもりですが‥‥まぁ私の表現力不足ということもあるでしょう)。私の普段のスタンスは、トップページで記事を幾つか読んでいただければ明らかになるのではないかと思われます。
端的に言えば、現行の著作権制度は権利を弱めていくべきだと考えていますし、それまで“ゲリラ的”な戦い方もまた有効であろうかと思います。しかし「違法」ラインに踏み入れてしまうのは別の話であって、違法行為に対し権利者側が反撃してくるのは当然の成り行きかと。
※citron_908 さん
や、それが出来そうもないからそういう手段に出るしかないわけで。そこまで話が分かるとは思えない>簡易許諾への道を模索するなり法改正を目指すなりして
それは「そういう手段に出る」ことを正当化しないと思いますよ。結局、法に触れることは変わらないわけで、捕まりゃ終わりです。もっとも「話が分かるとは思えない」とのお考えには同感です。一度痛い目に合わないと解らない業界でしょう、あれは。
「権利」を楯に好き放題やってるような連中に対して、「権利」を持たないものが戦っていくというのが現状でして、これには“ゲリラ戦”と“兵糧攻め”に限るのではないかと思っています。
法改正についてはこれからの議論だと考えています。これは何年もかかるような話でしょうけどね(CD再販ですら撤廃できずにいるもんなぁ)。
※I11 さん
圧縮によって劣化したYouTubeの映像と販売されている映像が同一であるという自称エンドユーザー氏の前提にはまったく同意できない。「権利者の財産をも損ねてしまう」という前提も専断的すぎる。
まず、著作権法上では圧縮で劣化していようが(判別できないほどの劣化だったら別物扱いかも知れませんが)「複製」「送信可能化」として扱われます。少なくとも、 YouTube で見られる程度の劣化では複製権・送信可能化権が及ぶものとして間違いないでしょう。だからこそ YouTube も削除依頼に応じているわけで。
確かに議論としては圧縮・劣化の問題は興味深いものだと思うのです。例えば私的録音録画補償金がデジタルにしか課金されていない理由として複製時の「劣化」が挙げられていたりします(アナログでは劣化するとの前提)。しかしその一方で、デジタルでの圧縮技術による劣化は全く考慮されていません。もしこれが考慮されているのなら、真っ先にMDへの課金を止めるべきですものね。
残念ながら著作権制度をめぐる議論の現状としては、圧縮技術による劣化について全く省みられていません。私個人としては“劣化する複製については権利を制限すべきではないか”との考えもない訳ではありませんが、現行法を前提に YouTube の問題を論じる以上は その論法を使うことはできません。
※現行法を改正すべきだとの議論を提起する際には、この劣化の問題を含めて論じていかねばならないと考えます。
そして「権利者の財産をも損ねてしまう」という表現について。この部分について私は注意して記述しています。すなわち「下手すると得られる財産をも損ねてしまうかも知れない(“必ず損ねる”とは限らないことを敢えて指摘しておきます)」と。また個人的所感として「経済的な効果として実際に“宣伝になってしまう”ことは否定できない」とも示唆しておきました。
この種の問題は答えが出ていないのですよ。権利者の財産を損ねることについても、宣伝効果となることについても。私個人としては後者に与する立場ですがね(だからと言って法を破っても良いかは別)。それでも権利者の財産を損ねることを否定することはできません。
※私がよくやる論法だと、「自分で買った著作物を私的複製する分には権利者に損害を与えない、それは同じ著作物を何度も買うことは一般に考えられないからだ」というやつを使ったりしますが、これは YouTube にはあまり当てはまりません。 YouTube で敢えて論じるとすれば、“YouTube で流通する映像は市販されていないものばかりであり、市場に対する損害は与え得ない”くらいのものですか。これとて「著作権侵害」という事実の前には脆いもの。
現行の著作権法には議論の余地が存在します。それは間違いありません。
しかし、だからといって法を破っても良いことにはならない。 YouTube での著作権侵害について権利者が行動を起こすこと自体については我々は何も言えない立場なのです。
もっとも YouTube というサービス自体を潰すことを権利者にさせるべきなのか、という点については私も否定しますけれどね。ここは譲れない一線です。
Posted by 谷分 章優 著作権 | Permalink
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コメント
id:J2kawaです。
himagine_no9さんのご主張は理解しているつもりですし、今の常識から言えば「正論」だと思います。
しかし、今、著作権の概念を根本から変えていく必要が日々高まっているときに、ある程度著作権に詳しい方がこういうエントリーを書く事はある意味最悪だと思ってます。
”いや著作権侵害されたら止めさせるのが当然の行動ですから!”
このタイトルそのものが完全に「権利者」の代弁になってますよね。「されたら」というのは明確に権利者側の発言です。
そらあ、権利者がそういう主張をするのは今の常識では「当然」かもしれない。だったら「常識」を変えればいい。
>しかし、だからといって法を破っても良いことにはならない。
厳密には、親告罪なわけだから、権利者との「合意」が得られれば合法なわけでしょう。
そして、YouTubeは必ず権利者にもメリットをもたらす。
そこには、Win-Winの道が必ずあるはずだし、その道を明確に目指す方向での主張であれば賛同できるんですけど。
投稿: J2 | 2006/06/17 22:52:02
ルールが現状にそぐわないのだったら、ルールを変えるべきだ──
その考え自体は J2 さんも私も同じだと思いますよ。
また、「権利者との『合意』が得られれば合法」なのも間違いありません。「合意」があればそれは「著作権侵害」とはならないのですから(そうなれば「止めさせる」ことも無いでしょう)。
しかし「合意」が得られなかったからこそ YouTube への削除依頼が相次いでいるのではないですか。
残念ながら、我々は今ある法のもとで行動させられています。 YouTube ユーザーの件の行動が適法になるためには、権利者からの許諾を簡単に得られるシステムを作るか、法を変えるしかありません(前者については、どこまで実効性のある話か判りませんが芸団協・レコ協が放送番組二次利用に対する集中管理機構を立ち上げようとしています。まぁ当の放送局はどうする気なんだと指摘できますが。後者では国債条約の許す範囲で権利制限を行なうことが考えられます)。
主張も自由、議論も自由ではありますが、現行法を実際に破ってしまう人は「著作権侵害」で罰せせられる可能性がある(まぁ最終判断は裁判所によるものですが)ということだけは意識しておかなければなりません。
今まで我々が著作権制度を放置してきたツケとして認知すべきところでしょう(この後でどう変えていくのかは別論──というか変えなきゃならない)。
理想を語ることと、今この時の「著作権侵害」を語ることとは分けなければ。
※YouTube 自体のサービスは中立的なもので合法だと思いますし、また私がよく言及する私的録音録画補償金関連では「私的複製」という明確な権利制限のもとにあって複製行為が合法となっています。これらの範囲でなら、私も「無償で使用させるべきだ!」と叫ぶことができます。が、 YouTube に他人の著作物を無断でアップする行為に関しては、正当化の余地が無いと考えています(今後のあるべき姿としての仮想的な著作権制度でしか‥‥)。
個人的には“解釈”とか「常識」で運用を変えるという考え方は採りません。法を恣意的に扱うよりも、法そのものを変えた方が確実だからです。また、法を味方に付けた者の方(つまり権利者)が優位に立ってしまうから、ということもあります。このような現状で、“危険領域”に踏み込んでいく人たちに対して何を言うべきでしょうか? 未来を託して“焚き付け”ますか?
投稿: 暇人#9 | 2006/06/18 1:44:16