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2007年5月21日 (月)

保護利用小委のヒアリングとアンケート

 著作権の保護期間延長問題をふくむ数々の課題を審議するために設けられた、文化審議会 著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(以下「保護利用小委」と略します)は今までに第3回会合まで開催されたところです。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/021/07040204.htm
「文化審議会 著作権分科会
 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第1回)
 議事録」
(文部科学省)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/021/07050102.htm
「文化審議会 著作権分科会
 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第2回)
 議事録・配付資料」
(文部科学省)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/021/07051627.htm
「文化審議会 著作権分科会
 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第3回)
 議事録」
(文部科学省)

 これらの会合の内容は、上記文科省サイトにおいて第1回・第2回会合の配付資料が公表されています(議事録については いずれも未掲載)。第3回会合についてはページが作成されたにとどまっています。
 したがって配付資料ないし INTERNET Watch などの報道を参考に内容を探るしかありません。

 第1回での配付資料6「関係者ヒアリングについて(案)」 (PDF) にもあるように、第2回・第3回で各関係者からのヒアリングが行われました。対象となるのは「創作者団体・個人」「利用者」「アーカイブ関係者」「学識経験者」でした。第2回で15人、第3回で17人からの意見を聴取したとのことです。

 何について意見を聞くかというと、保護利用小委としての検討課題とされた (PDF) 「過去の著作物等の利用の円滑化方策について」「アーカイブへの著作物等の収集・保存と利用の円滑化方策について」「保護期間の在り方について」「意思表示システムについて」。発言者がそれぞれ意見の言いたいものを選ぶという形です(全てでも良いし、一部でも良い)。
 このうち現在配付資料を読むことができる(公式議事録ページに掲載された)のは第2回のものです。レジュメとして提出された資料が14あります。これを読んでいくのは結構大変だったりしますが、今後の議論を考えていくには避けては通れないものではないかとも思われます。

 さて。第2回会合の配付資料が公表されたのに伴って、 『Copy & Copyright Diary』 さんが「はてな」でアンケートを実施なさっています。答えるためには、先の配付資料すべてに目を通すことと、「はてな」のユーザーアカウントを持っていることが条件になりますが、両方を満たせる方は是非参加してみてください。
 発言者の言い分について、それぞれ賛同できるか否かを答える形となっています。

http://q.hatena.ne.jp/1179316258 (人力検索はてな)


現在、文化審議会著作権分科会過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会において、関係者のヒアリングを行っています。4月27日に開催された第2回小委員会にて、1回目のヒアリングが行われました。

著作権の保護期間等を検討する小委員会、関係者ヒアリングを実施
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/04/27/15585.html
著作権保護期間の延長問題、関係各団体が文化審で意見表明:ITpro
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070427/269849/

文化審議会のサイトでヒアリングの際の資料が公開されています。

文化審議会 著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第2回)議事録・配付資料‐文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/021/07050102.htm

この資料に全て目を通してから回答してください。

 なお、いきなり配付資料に入るのは辛いという方は、まず INTERNET Watch の記事(上記引用部にリンクがあります)で概要を掴んでから読み始めるのも手です。




■第1回〜第3回にかかる報道から

 今期著作権分科会の各小委員会については、配付資料や会議録の公表が(いつもに増して)遅いという傾向が見られます。だから実際の開催から会議録の公表までの短くない期間、報道記事だけで追いかけねばならないというハンデがあります(どうしても小委員会の出席委員やその関係者、傍聴された方々の認識に追いつくことは難しい)。
 たとえば現時点では、前述しましたが、第1回から第3回のいずれについても会議録が掲載されていません。したがってその内容は報道記事と、第1回・第2回については配付資料から内容を推察するしかありません。

 第2回と第3回については(前述の通り)ヒアリングが実施されています。このヒアリングについては、報道記事で発言の概要を知り、配付資料で主旨を読み、議事録で全容を知るという流れになりましょう。
 現時点でも各発言内容について反応したいところはあるのですが、発言者としても いつもの主張をいつものように展開するのが主のようでして、それに対していちいち反応を繰り返すようなことは私もしません。皆さんがあれを読んで、どの発言に説得力があるのか冷静に判断していただければと思います。過度に情緒に流されず、一定の根拠を示し、論理的で説得力ある発言をしているのは誰なのか、と。

 ヒアリング内容以上に気になるのが、ヒアリング内容に対しての委員の対応です。しかしこれも議事録が公表されるまでの間は報道記事から拾うしかありません。第2回と第3回は開催時間の大部分をヒアリングに割いているそうで、委員意見が目立つのはむしろ第1回会合のようです(それだけに1日も早い議事録公表が望まれます)。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070330/267061/
「著作権の保護期間延長問題で初会合、早くも論戦」
(ITpro)



 今回の討論では、「もともと保護期間は50年で世界共通だった。それを乱してきたのは欧米諸国の方だ。日本として日本国民のために主体的な議論が必要だ」(金正勲委員)、「アイデアは著作権による保護の対象外で、現行法でも自由に利用できる。保護期間延長は文化の発展を阻害しない」(三田誠広委員)、「欧米が保護期間を延長したのは、政治的な背景など一定の理由がある。たとえば米国の保護期間延長時にどのような議論があり、延長の結果どうなったのかを分析すべき。『欧米に追随しないと恥ずかしい』では米国を利するだけ。日本は日本として、日本の経済的利益を考えるべき」(中山信弘委員)、「保護期間の延長問題を考える際に、第27条・第28条(に記載された翻案権など)を切り離すという考え方もある」(上野達弘委員)といった意見が出された。

 三田某委員の発言には触れる必要性を感じないとして、この議題について指摘されるべきところは指摘され尽くしている印象です。ただ報道記事だけでは、小委員会の全体としてのトーンは見えてきませんけれども。やはり議事録が公表されないとどうも。

 そうそう、上記で触れられている著作権法第27条と第28条については一応引用しておきましょうか。

(翻訳権、翻案権等)
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
第二十八条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。

 要は、第27条で翻訳権・翻案権を、第28条では二次的著作物へ及ぶ原著作者の権利(いわゆる重畳的に権利が及ぶ旨)を規定しているわけです。ここを制限しつつ保護期間を延長すれば、国や言語を越えた翻訳や、後発の創作者が先人に学ぶ翻案などの表現、二次的著作物にかかる流通については(今まで以上の)規制とはならずに済むことが期待されます。
 もっとも、私がことあるごとに指摘している絶版・廃盤問題の解消には全く繋がりませんし、またパロディ・コラージュ・サンプリング・マッシュアップ等の表現が「複製権」によって禁止されてしまう事態も引き続き発生します。つまり保護期間延長によって発生する弊害はまだまだ大きいということ。

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/03/30/15266.html
「著作物の保護期間延長などを審議、著作権分科会の小委員会が初会合」
(INTERNET Watch)



 ただし、著作権保護期間の延長問題については、早くも出席した委員から発言が相次いだ。保護期間の延長を求める作家の三田誠広氏は、著作権保護期間の延長とともに権利者データベースや裁定制度の整備を進め、利用の円滑化を図ることが重要と主張。一方、慶應義塾大学の金正勲助教授は、「著作権法は文化の発展に寄与することが目的とされている。著作者の権利保護や利用の円滑化は、あくまでもそのための手段。保護期間延長という手段が目的であるかのような議論は避けるべき」と意見を述べた。

 こうした保護期間延長の是非など、具体的な議論については第2回以降に実施する関係者ヒアリングなどを経た上で進めるとしたが、ヒアリングの対象者については権利者や事業者だけでなく、エンドユーザー側など幅広い意見を聞くべきとの意見が上がった。IT・音楽ジャーナリストの津田大介氏は、「この小委員会の参加者にはクリエイターや権利者側の人が多いが、そうした人も一方では著作物の利用者でもある。こうした議論には利用者側の意見があまり反映されないことが多いのが不満。インターネットの普及により、誰もが利用者であると同時にクリエイターにもなれる時代であることを意識して議論を進めてほしい」とした。

 なおエンドユーザー代表としては津田委員自身が第2回会合で発言なさいました。配付資料を見るかぎり、慎重に言葉を選びながらも かなり踏み込んだところまで触れた印象があります。「悪魔のように細心に、天使のように大胆に」とはこれのことだなと思った次第。




■あえて繰り言はしません

 著作権保護期間延長問題に関する私の意見は以下の記事に書いてあります。とりあえず「日本文化は、なぜブームで終わるのか(趣旨説明)」(下記リンクの下から2番目)を読んで戴くと概要は解ると思います。

http://himagine9.cocolog-nifty.com/watchdogs/2005/10/post_4e44.html
「著作権保護期間の安易な延長は文化の多様性を奪う」
(エンドユーザーの見た著作権)

http://himagine9.cocolog-nifty.com/watchdogs/2006/11/post_0690.html
「読売社説:著作権延長問題を全く理解できずに
 トンチンカンな高説をタれる大企業の痛い論理」
(エンドユーザーの見た著作権)

http://himagine9.cocolog-nifty.com/watchdogs/2006/11/post_b2c3.html
「著作権法についてしっかり考えていますか?」
(エンドユーザーの見た著作権)

http://himagine9.cocolog-nifty.com/watchdogs/2006/12/imagine__7e62.html
「Imagine: 『著作権マニア』さんの感覚的な話を聞いてみたい」
(エンドユーザーの見た著作権)

http://himagine9.cocolog-nifty.com/watchdogs/2006/12/post_329b.html
「国民会議シンポジウム後のチャットにて──」
(エンドユーザーの見た著作権)

http://himagine9.cocolog-nifty.com/watchdogs/2007/03/post_7db2.html
「日本文化は、なぜブームで終わるのか(趣旨説明)」
(エンドユーザーの見た著作権)

http://himagine9.cocolog-nifty.com/watchdogs/2007/04/post_50a9.html
「日本文化は、なぜブームで終わるのか。(ツッコミ編)」
(エンドユーザーの見た著作権)

Posted by 谷分 章優 図書館・読書, 知財戦略, 著作権保護期間延長問題, 著作権行政 |

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