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2009年2月25日 (水)

「Culture First」連合の主張が相変わらずなのは、JEITAの議論に乗せられたくないってことなのか

 権利者団体91団体からなる「Culture First」連合が、文化庁の募集するパブリックコメントへの意見を2月24日付で公表した。ブルーレイディスクへ私的録画補償金を課金する政令(著作権法施行令)の改定に対し、文化庁が示した条文案に賛成する内容だ。ただし「意見を発表しました」とアナウンスされているため、すでに文化庁へ提出されたのかは判らない。

 このパブコメには、メーカー団体のJEITA(電子情報技術産業協会)も既に意見を提出、2月13日付でその全文が公表されてもいるJEITAの意見は、ブルーレイへの課金が決まったのは文部科学省と経済産業省の「二省間合意」が根拠で、両省で合意した範囲にかぎって課金を定めるべきとの内容。具体的には、二省間合意の文面を引用しながら、地上デジタル放送の録画には補償金を課金すべきでないことと、ブルーレイへの課金がアナログ停波(2011年)までの期限付きの措置だと明記すべきことを主張している(加えて、ブルーレイを指定する条文に要件の追加を求めているが、ここでは特に触れない)。なお、文化庁の政令案にはそうした限定はなく、単純にブルーレイを課金対象へ加える趣旨のようだ。

 おそらくJEITAの意見が公表されたことを意識して、Culture First連合もパブコメの締切り前に意見を公表したのだろう。権利者側としては文化庁案がそのまま通れば望み通りなのを、そこに加えてJEITAを名指しし批判する意見をまとめているのだから。反論の内容は、ブルーレイへの補償金課金は当然、地上波放送がアナログでもデジタルでも同様に課金すべき、JEITAの主張は間違っている——というもの。

 このCulture First連合の主張で、「現行の補償金制度においては、ブルーレイディスクが、補償金の対象となることは明らかです」の一文が目立つ。彼らのこれまでの主張(公式サイトにも記者会見の模様として掲載されている)を踏まえれば当然出てくるものだ。彼らの考えは、「家庭内でテレビ番組を録画する行為自体が、権利者の得るべき利益を損ねている」とするところから始まっている。現行の補償金制度もそうした考えに基づく。
 ところがこの補償金制度の考え方に、「タイムシフト」目的の録画や、DRMのかかっている痴以上デジタル放送からの録画に「補償」が必要なのかという疑問がユーザーからぶつけられるようになった。今後の補償金制度ではそこまで含めて設計すべきだとの論は、補償金をめぐる2005年以後のメーカーの主張を後押しすることとなり、権利者側との対立の末に文化審議会著作権分科会での制度「見直し」をストップさせてしまっている。
 こうした論の対立がある中では、論者の立場によってはブルーレイが補償金の対象となるのが「明らか」とは言えないだろう。加えて、JEITAが公表した二省間合意によれば、「文部科学省は、著作権法30条2項が著作権保護技術の有無が支払い義務の発生要件になるかどうかについて明示的に規定していないと認識している」という。これまでの制度の考え方に立つ権利者側と、二省間合意を持ち出すJEITAとでは、前提が違う以上「この点で既にJEITAの意見は正しくありません」との権利者側の指摘は正しくない。

 JEITAが「二省間合意」にこだわる理由は、著作権分科会(私的録音録画小委員会)では補償金の議論が進まず、ブルーレイ課金が決まったのが二省間合意でそうまとまったためとの点にある。確かに、著作権分科会では課金対象にブルーレイを追加する旨を報告書にまとめておらず、わずかに二省間合意を紹介する箇所で追加が決まったものとしているのみだ。
 JEITAに対するCulture First連合の意見は、二省間合意そのものの解釈を示さずに、6月17日の経済産業大臣の会見内容を引いて「一旦延期した地上波デジタル放送の新たなコピールールである『ダビング10の早期実施に向けた関係整備の一助となることを期待』してなされたもの」と解説する。こう自らの解釈を示すだけで、「JEITAの意見はこの点でも、読む者に誤った認識を与え、混乱を招くものです」と結論することに説得力はあるだろうか。
 大臣の会見とJEITAの主張とで矛盾する点があれば面白いが、実のところJEITAが示した二省間合意は大臣会見と矛盾していない。それどころか、Culture First意見書が引用している会見録の別の箇所で、経産大臣は

暫定措置としてブルーレイに課金するということにしました。これは、既に確立されているはずですが、デジタル化しますとコンテンツの持ち主、つまり送るほうで、これは何回まで、それが幾らと全部設定ができるのです。アナログだとできないのですけれども、デジタルだとできるのですから、送り手の自由自在なのです。自由自在になる環境が整うまで、実際に行為としてダビングが行われ、それを利用する対象について、当面、いわば従来のDVD以外の部分を埋めたということでありまして、これはこれで適切な措置だと思います。

——とまで発言している。むしろJEITAの解釈を裏付けるようにも読める。権利者側からすれば、持ち出すには諸刃の剣とも言える会見内容ではないだろうか。

 権利者側が「私的録画=不利益だから補償金」との原則論で押すしかないのは理解できるし、私はやや同情もしている。二省間合意のような形で、文部科学省による半ば裏切りのような解釈が残されているのだから。文化庁のもとで制度「見直し」が全く動かなくなってしまった今、二省間合意をもとにしたブルーレイ課金との前提で議論せざるを得ず、 JEITAの“ゴネ得”が正当化される状況だ。
 とは言え、今回のCulture First連合の意見はJEITAへの反論として十分なものだったか。もしJEITAの主張を正面から覆すのなら、二省間合意を自分で取り寄せるなどして、自分に有利な解釈を作り上げるべきだったのではないか。
 たとえば、JEITAが公表した二省間合意には、「両省は、この政令の施行後3年を目途として、この政令の施行状況等について検討を加え、その結果に基づいて適切な対応を行う」の文がある。その一方で、この「見直し」はブルーレイ課金の廃止を決めたものではない。また、ブルーレイへ課金している間に“デジタルチューナーだけを搭載した録画機には課金しない”との扱いは合意に明記されていない。「3年後の見直し」を盛り込みさえすれば、デジタルチューナーのみの録画機へ課金しても合意内容に反しない——との解釈も可能だ。

 権利者が自分たちの主張を「明らか」だとして、それを“根拠”にJEITAの意見を「間違い」と強弁するより、真正面から反論をすることも可能だろうにとは思うのだが‥‥二省間合意が前提という“相手の土俵”に乗りたくないって話なのかしら。
 JEITAの主張にもほころびがあるだけに勿体ない。


※参考
 これまで『Culture First』サイトに掲載された記者会見の模様。

http://www.culturefirst.jp/news/2009/02/9.html
http://www.culturefirst.jp/news/2008/08/_8.html
http://www.culturefirst.jp/news/2008/07/culture_first_2.html
http://www.culturefirst.jp/news/2008/06/post.html
http://www.culturefirst.jp/news/2008/04/jeita_1.html

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2009年2月21日 (土)

「デジタル・コンテンツ利用促進協議会」のシンポジウムに存在価値はあるか?

 コンテンツのネット配信を促進できる法制度をまとめる「デジタル・コンテンツ利用促進協議会」(会長・中山信弘東京大学名誉教授)が、 3月12日の16時から如水会館でシンポジウムを開催する。同協議会の公式サイトで情報が掲載され、参加申込みの受付も始まっている。

 同協議会では、今年1月9日に制度案として「会長・副会長試案」を公表、1か月ほどパブリックコメントを募集していた。この結果を踏まえる形で、おそらくはシンポジウムの中で結果が示されながら、意見交換をおこなう趣旨なのだろう。

 「コンテンツ配信の促進を法制度で」という手法が議論される背景には、海外と比べ日本でネット配信が進まなかった原因として、コンテンツに複雑に絡む著作権・著作隣接権が挙げられがちだったことがある。現行の著作権法では、音楽や映像の著作者はもちろん出演者・レコード製作者・放送事業者など多数の権利者から許諾を得ないとネット配信ができない。同協議会の「会長・副会長試案」の主旨は、この多数の権利者と配信事業者との交渉コスト(そこには許諾を拒否されるリスクも含む)を下げる目的で、あるコンテンツにつき1名に権利を集約し許諾処理をさせるというところにある。
 しかしこの発想は、関係権利者の許諾権を制限するのと裏腹で、権利者団体から批判されている。実は「会長・副会長案」では、コンテンツの関係権利者の多数(割合はまだ決まっていない)が権利集約に反対すれば従来のままとされているが、かつて強制的な権利集約を主張していた「ネット法」構想(デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム——協議会副会長のひとり角川歴彦氏や、事務局長の岩倉正和弁護士もメンバー)に案の出自があるため、権利者側の警戒感が強いままだ。

 デジタル・コンテンツ利用促進協議会だけでなく他の団体でも、コンテンツ流通を促進するのに何らかの方策をとる案が考えられている。たとえばコンテンツ学会の「ネット利用調整制度に関する民間審議会」では、今後制作される番組でネット配信が決まっていないものに配信事業者を決めるオークションを義務付ける制度(ただし時限的な制度を想定)が模索されている。また、「ネットワーク流通と著作権制度協議会」では契約モデルと使用料分配モデルを放送番組のジャンルごとに設定することで、ネット配信の際の話し合いの手間を減らす方向性が議論されているらしい(今のところ協議会としてのまとまった案が公表されていないが、会長職務代行の松田政行弁護士によるいわゆる「松田私見」の形で発表された資料は存在する)。

 こうさまざまな組織で議論される“デジタル・コンテンツ流通促進策”が出始めた頃には、確かに日本国内のネット配信状況は海外に見劣りしていた。ところが、最近になってNHKTBSフジテレビなどで「見逃し視聴サービス」などが少しずつ開始される環境になってきた。ゆっくりした歩みではあるが、こうしてネット配信の試行錯誤が始まったことで、はたして法制度などに頼った「促進策」が必要なのか、との観点からの議論が今後出てくるのは間違いない。
 状況の変化を横目に、以前は強く「ネット配信を促進しろ!」と考えていた私にも実は変化が起きてきている。と言っても、コンテンツホルダーに任せておけば十分と考えているのではない。むしろ逆で、動画配信サイトを使って日本製コンテンツを知らしめる試みが始まっていても、日本のユーザーからは見えないようにしていることが多いのに呆れているのだ。米国でDRMフリーの配信が広がっていても、日本のユーザーは相変わらず不便を強いられ続ける実態もある(iTunes Storeが代表例ですな)。そうまでして日本人の視聴機会を制限したいのなら、日本のコンテンツ産業がジリ貧になっていくのを黙って見ててやろうかって気にすらなってしまう。
 かなり後ろ向きな態度だと自分でも思うが。

 いやいや。たとえば日本で作られているコンテンツが、より利便性の高い形でいつまでも享受できるようになっていてほしい——そこまでの強い愛着がある視聴者なら、おそらく現在の試行の延長だけでは満足できない筈だ。何らかの強制力を働かせるか、あるいはコンテンツの送り手側が目覚めてユーザーへ不便を強いるのを放棄しないかぎり、状況は改善しないだろう。“廃盤”“絶版”だったり、ユーザーが「欲しい」時・場所では入手困難な作品が存在して、海賊版のニーズを高め続ける。
 触れたい作品が海賊版でしか入手できないなんてことほど悲しい状況はない。しかしそんな事例はいくらでもあるわけで、そういう思いがある以上はこの「流通促進」の問題で黙っているわけにはいかないだろう。私も。

 心の持ち方ひとつではあるが、今の「流通」に不満があるのなら、やはり3月12日のシンポジウムに期待できるものはある。

Posted by 谷分 章優 映画・映像, 知財戦略, 著作権, 音楽と著作権 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月17日 (火)

文化庁の政令案パブコメ: おそらくはJEITAの立ち回り方が巧いのと、状況が彼らに有利だというのがあるのだろう

 文化庁が、私的録画補償金をブルーレイディスクへかけるための意見公募手続(パブリックコメント)を始めている。

 私的録音録画補償金というと、2005年からiPodへ課金する・しないで騒ぎになったアレである。ユーザーが家庭内で音楽・映像を録音したり録画したりするとその著作物の送り手に「不利益」を与えるとの(ユーザーからすれば一方的な)考えで、録音・録画機器や記録メディアへ課金して権利者への「補償」に充てられる。機器やメディアの価格に含まれるため実質の負担はユーザーがするのだが、補償金をまとめて権利者団体へ支払うのはメーカーという制度だ(そのため、この制度についてメーカーの発言力が大きくなる)。
 この補償金は主としてMD・CD-R/RW・DVDなどに課金されているが、2000年に指定されたDVD(-RW・+RW・-RAM)以降は、新しい機器への対応がされてこなかった。にわかにハードディスク内蔵の録音・録画機器への課金を権利者が叫びだした理由はそんなところにもある。

 そして、その課金対象にブルーレイディスクを追加しようというのが今回の文化庁の動きだ。なぜブルーレイに課金することになったのか、なぜ今回ブルーレイだけなのか――は後で説明するとして、課金対象を加えるときの手続について少し触れておきたい。
 著作権法の中では、補償金の課金対象は「政令」つまり内閣が出す命令(ここでは「著作権法施行令」)で指定するよう定められている。政令へは、指定機器の仕様を条文の形で書き込む。
 加えて、政令を改めるときには前もって30日間以上の意見公募手続が義務付けられている(行政手続法第39条)。ということで、今回の文化庁の政令案パブコメは2月3日から3月4日までに設定されている(これまで話題になってきた審議会報告に対する「任意の意見募集」よりも厳格な手続が決められている)。

 今回のパブコメの焦点は、政令案の文言の妥当性だ。規定ぶりに過不足が無いか、副作用が存在しないか、といった具合。政令案は『e-Gav』サイトに掲載され、「概要」と「新旧対照条文」が参照できる。


私的録音録画補償金の議論ってどうなってたっけ?

 ブルーレイ課金や政令案の話に入る前に、補償金見直しの話がどうなったのかをおさらいしておく。
 iPod課金の議論をきっかけに、2008年度まで文化審議会著作権分科会で制度の「根本見直し」が話し合われてきた。直近2年分の報告書が(PDF)この1月にまとめられたところだ。しかし周知のとおり、HDD内蔵型のiPodのようなオーディオプレーヤーや、ハードディスクレコーダーへの課金の是非には結論が出なかった。補償金を求める権利者側と、補償金廃止を主張するメーカー側とで対立が激化したのが直接の原因。この対立で、議論の場だった私的録音録画小委員会が運営できなくなるほどだった(もっとも個人的には、文化庁の議事運営がヘタを踏みまくっていたと考えている)。
 結果、補償金制度で変更される唯一の点が、いまパブコメにかけられているブルーレイへの課金となる。では、なぜブルーレイだけが例外となったのか。

 議論を複雑にしたのは、2011年に地上アナログ放送から地上デジタル放送へと完全移行する予定だったこと。アナログ放送ではコピー制限がかかっていない一方、デジタル放送では「コピーワンス」「ダビング10」といったコピー枚数制限がかけられているため、その録画に補償金をかけるのは如何かという議論になったのだ。文化庁でなく総務省の審議会で。
 従来から、機器メーカーの業界団体・JEITA(電子情報技術産業協会)はアナログ停波を機に私的録画補償金を廃止すべきと主張してきた。コピー制限がある以上、権利者のコントロールのもとで録画がされており、ユーザーの録画で「不利益」にはならないとの趣旨だ。一方、JASRAC(日本音楽著作権協会)を始めとする権利者側は録画される事実がある以上「補償」すべきだとする。
 2007年8月(総務省・情報通信審議会第4次中間答申)でダビング10の仕様が決められたが、「コンテンツを適切に保護し、その創造に関与したクリエーターが適正な対価を得られる環境を実現すること」とするダビング10開始の前提条件の解釈をめぐって権利者側とメーカー側とで対立、いったんは開始の見込みが立てられた2008年6月2日までに合意できず開始期日を延期するにまで至った。
 事態の打開のため、権利者団体を所管する文化庁と、メーカー団体を所管する経済産業省との間で「ダビング10の早期実現に向けた環境整備」を目的とした二省間合意がなされた。そして6月17日、経産大臣文科大臣のそれぞれの記者会見でブルーレイディスクへの「暫定的」な補償金課金が発表された。これを受けて、「適正な対価」イコール補償金だとする権利者側が、補償金の対象が追加される前に「ダビング10」を開始するという妥協を強いられた。

 こうして、本来は文化庁の審議会で決定される筈のブルーレイの課金が、二省間合意というイレギュラーな形で決定されてしまった。しかも、この合意の後も地上デジタル放送と「補償金」の関係は曖昧なまま。しかも当の総務省の審議会でも「適正な対価」の中身に結論が出されていない。


文化庁の政令案と、JEITAのパブコメ

 今回の政令改定で追加指定されるのがブルーレイだけなのは以上のような理由による。
 では、実際に文化庁がパブコメにかけた政令案はどんな内容か。これまでの政令で補償金の課金対象を第1条2項で指定してきたところ、その第4号としてブルーレイを特定する技術仕様を追加している。従来のCDやDVDを規定したのと同様、記録するディスクの大きさや、ピックアップから記録面までの距離が数値で書き込まれる(ただしJEITAはここの書きぶりに注文をつけている)。以下のとおりだ。

光学的方法により、特定の標本化周波数でアナログデジタル変換が行われた影像又はいずれの標本化周波数によるものであるかを問わずアナログデジタル変換が行われた影像を、直径が百二十ミリメートルの光ディスク(レーザー光が照射される面から記録層までの距離が〇・一ミリメートルのものに限る。)であつて前号ロに該当するものに連続して固定する機能を有する機器

※引用者註:「前号ロ」とは、著作権法施行令第1条2項3号の「記録層の渦巻状の溝がうねつており、かつ、連続しているもの」を指す。

 今回の政令案で変更されるのはこの部分だけ。単純に新しい規格が書き加えられただけということ。いったん指定された機器は、たとえ生産されなくなっても指定解除されないのがこれまでの運用だっただけに、政令案が妥当なものかは慎重に見る必要がある。条文がきちんとブルーレイを特定できているのか、今回の追加指定の根拠となる二省間合意の内容を正確に反映されているのか——の2点に注目。
 ところがブルーレイの技術仕様や、二省間合意の詳しい内容など、判断するための情報をエンドユーザーが一人ひとり持つのは難しいところではある(技術仕様については、こんなページがあったりもするが)。そこを考えたのか、JEITAがその両方の情報を含んだパブコメを公開した。提出期限を大幅に先行する2月13日のことだ。
 おそらく、私も含めてだが、JEITAのパブコメを参照したユーザーの意見が文化庁へ提出されることになるだろう。JEITAの立ち回り方の巧さを感じてしまう。

 政令案を見る上で問題となる二省間合意の内容だが、JEITAのパブコメによれば、経済産業省と文部科学省の両方から情報公開を受けた結果は次のようなものらしい(下は私が要約している。全文はJEITAのパブコメを参照されたい)。

(1)両省は無料デジタル放送に関する補償金問題について短期間で関係者が合意できる状況でないと認識
(2)文科省はDRMの有無が支払い義務の発生要件になるか明らかでないと認識
(3)経産省はメーカーが地上デジタル放送の録画について補償金の対象とすべきでないと考えていると認識
(4)両省はブルーレイがアナログ放送も録画できることを踏まえて「暫定的な措置として」補償金を課金、政令施行後3年を目途に施行状況等を検討して適切に対応
(5)無料デジタル放送の録画については早期に合意が形成されるよう引き続き努力

 昨年6月の二省間合意以降、上記の状況に変化はない。となれば、この二省間合意の範囲内で課金対象を決めないと、文化庁の筋は通るまい。すなわち、アナログ放送のブルーレイ録画には課金をするものの、無料デジタル放送については合意待ちということ。特に「政令施行後3年」(当時の合意の前提からすれば2011年6月、政令指定に要するパブコメ期間を見ても2011年7月と見るべきではないか?)の見直しが必要となる。
 もっともJEITAのパブコメには、政令指定されたブルーレイでも無料デジタル放送の録画には課金すべきでない(それが合意事項だ)としているが、さすがにそこまでは支持できない。二省間合意の中では、経産省もブルーレイに課金した結果デジタル放送も対象になってしまうことは「政令施行後3年」の間は容認しているように読めるからだ。まぁいわゆる官僚的な曖昧な作文なのだろうが。
 文化庁の著作権分科会では話がまとまらず、今回のブルーレイへの課金の根拠が二省間合意にしか無い以上、課金の範囲に合意内容を反映させろとのJEITAのパブコメの趣旨には肯けるところだ。

 JEITAは、上のような限定的な課金の明言を求めるとともに、ブルーレイの指定の仕方にも注文をつけている――「BDを特定する要素として、光ディスクの保護層の厚さ0.1ミリメートルに加え、レーザー波長405ナノメートル及びレンズ開口数0.85の要素を追加して規定することは必須要件である」。今の政令案に該当しながら、レーザー波長やレンズ開口数が異なる新規格が登場する可能性があるため、とJEITAはパブコメに書いている。
 課金対象となる規格をひとつひとつ文章で指定していくという制度運用を考えれば、ブルーレイの指定の文言をJEITAの言うとおりに規定しても不都合はないだろう。


そしてエンドユーザーはどうする?

 今も募集中のパブコメだが、我々エンドユーザーとしてはどう向き合うべきだろうか。

 まず、ブルーレイへの補償金課金の最終ステップに来ていることを意識すべきだろう。「ブルーレイへの課金反対」と断固たる意見を送るのもひとつの姿勢ではあると思うけれども、文科大臣と経産大臣まで担ぎ上げて「合意」した内容にもとづく課金だ、官僚の立場で今さら覆せるかという問題がある。だから意見する現実的な方向は、二省間合意を正確に反映した内容かどうかで押すことだろう。
 その意味では、JEITAが公表したパブコメの方向も妥当なものと感じる。主張自体はどうかなと思う部分もあるが、まぁ大臣の合意というのはそんなに軽い話なのか?」‥‥、いや、そんな筈はないのである。


一応、権利者の側の主張も

 リンクだけ示しておく。
 これまでの展開で同情すべき点があるにしても、やはりこの主張には乗れないのである。

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