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2009年5月13日 (水)

5/12 法制問題小委員会#1(議事概要メモ)

 5月12日に開催された、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第1回)会合の議事概要を以下に掲載します。例によって傍聴記録と記憶に頼って文章化してるので、正確性は保証できません(というか、話していることの大部分が理解できてなさそうな自分)。

 これやるのに時間がかかってしまったので余談的に触れるしか出来ませんが、この法制小委と同じ日、著作権法の改定法案が衆議院本会議を通過しました。次は参議院での審議ということになりますが、まぁ衆議院での民主党の取組み方を見ていると何とも。

文化審議会著作権分科会
法制問題小委員会(第1回)

日時 平成21年5月12日(火)
   10:00~12:00
場所 虎ノ門パストラルホテル
   新館5楷 「ミモザ」

議事次第
1 開会
2 委員及び文化庁出席者紹介
3 議事
(1)法制問題小委員会主査の選任等について
(2)法制問題小委員会審議予定について
(3)権利制限の一般規定について
(4)その他
4 閉会

配付資料一覧
資料1 第9期文化審議会著作権分科会法制問題小委員会委員名簿
資料2 小委員会の設置について(平成21年3月26日文化審議会著作権分科会決定)
資料3 「著作権法に関する今後の検討課題」(平成17年1月24日著作権分科会決定)の概要とそれ以降の審議状況
資料4 今期の法制問題小委員会の当面の検討課題について(案)
資料5 ワーキングチームの設置について(案)
資料6 「著作権制度における権利制限規定に関する調査研究 報告書」
    (平成21年3月 著作権制度における権利制限規定に関する調査研究会、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)

参考資料1 文化審議会関係法令等
参考資料2 第9期文化審議会著作権分科会委員名簿
参考資料3 著作権法の一部を改正する法律案
参考資料4 第27回及び第28回著作権分科会における意見の概要
参考資料5 デジタル・ネット時代における知財制度の在り方について(報告)
      (平成20年11月27日 知的財産戦略本部デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会)
参考資料6 第3期知的財産戦略の基本方針(2009年4月6日知的財産戦略本部)抜粋

 配付資料の多くは既出のもの(基本問題小委の配付資料などを参考にしてくださいな)。




※主査には、土肥委員が選出された。


【関審議官】
 法制小委員会の前期には、検討課題として重要な課題を議論していただいた。1月に報告書とりまとめ。文化庁としては報告書を踏まえて著作権法改正法案(参考資料3)を今年3月に国会へ提出した。現時点の状況を申し上げると、先週金曜日に衆議院の委員会で全会一致で採決された(※註:なお、この会合の直後に衆議院本会議で可決されている)。引き続き努力したい。またこの場を借りて、委員の皆さまの尽力にお礼申し上げる。
 今期は、前期からの継続課題に加え、新たな課題として知財本部の議論を踏まえ「日本版フェアユース」について検討をお願いする。この課題は我が国の著作権制度の在り方にかかわる大きな課題であり、十分に議論を尽くしていただきたい。

【土肥主査】
 今期の検討課題を確認、著作権法改正案についても。事務局から。

【事務局】
 (資料2~資料5、参考資料3に沿って説明。)
 資料4。当面の検討課題。権利制限について、一般規定・薬事・図書館・学校教育・私的使用。通信と放送の関係(IPマルチキャスト)は、総務省での議論に留意しながら。ネット上の複数者の創作について。間接侵害。

【資料4】
今期の法制問題小委員会の当面の検討課題について(案)

●権利制限規定の見直し
 ・権利制限の一般規定
 ・薬事関係(文献提供の実態を精査しつつ、引き続き検討)
 ・図書館関係、学校教育関係の権利制限
  (関係者からの具体の提案や関係者間の協議の進捗状況も踏まえ、適宜、検討)
 ・私的使用目的の複製の見直し
  (プログラムの著作物について、正規ビジネスへの影響の程度等について、なお検討が必要)

●通信・放送の在り方の変化への対応
 (総務省情報通信審議会での議論に留意しながら、時期を逃さずに検討)

●ネット上の複数者による創作に係る課題

●間接侵害
(望ましい制度設計のあり方について引き続き総合的に行っていくことが適当)

注:()内は、平成21年1月著作権分科会報告書のポイントを記したもの

 ワーキングチームの提案。契約利用WTでは「ネット上の複数者による創作」、司法救済WTでは「間接侵害」。主査が座長を氏名し、座長がWT員を指名する。会議だけでなくメーリングリストを活用し、原則非公開、後日議事要旨を公開する。
 参考資料3。著作権法改正案。来年1月1日施行で案を作っている。検索サービスについては政令指定を「権利者がネット上で情報収集を拒否する旨の意思表示を行っている場合は収集しない」「違法に公衆送信されたものだと知った場合は表示しない」の中身で予定している。障碍者関連では、公共図書館でも複製できるよう政令を定める。「障碍者の必要な手段による複製」と定めて、幅広い行為が可能となる。視覚障碍・聴覚障碍に限定せず、対象も拡大。

【土肥主査】
 事務局の説明、ワーキングチームの設置、検討課題などで意見があったら。
 ワーキングチームは、従来から、法制問題小委員会の委員の中から座長を指名することになっている。契約利用ワーキングは末吉委員に、司法救済は前期から引き続き大渕委員にお願いしたい。両座長にはワーキングチームの構成を固めていただき、固まったら小委員会で名簿を配布する。
 当面の検討課題案。1月の分科会報告書から継続して進めていくことになる。順番からすると、この継続課題から報告を始めることになるのだろうが‥‥。
 早速だが、権利制限の一般規定の議論へ移りたい。前期、知財推進戦略事務局から報告書を説明してもらって、(小委員会の)事務局で基礎調査をするとなっていた。それから時間がたっているので、事務局から説明し、調査結果を報告してもらう。委託調査では上野委員が研究会の座長を務めていたので、上野委員からもあわせて報告してもらえれば。


【事務局】
 (資料に沿って説明。)「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」の報告。権利制限の一般規定については8~12ページ。結論がまとめられているのは10ページの5以降。また(2)で必要に応じて個別規定を設けていくこと、(3)で規定ぶりについて予見可能性を担保し、具体的考慮要素を掲げるべきだとする。
 参考資料6、「知財戦略の基本方針」抜粋。日本版フェアユース規定について記載されており、これを受けて今後具体的な検討をしていく。
 文化庁としては、フェアユース規定は著作権法の体系に深く関連する重要な課題と認識している。基礎的資料をあらかじめ整備する必要があるだろうということで、基礎的研究の委託を行なった。それが配付資料6。あくまでこの研究は、審議を円滑に進めるための基礎的資料。特定の結論を提言するものではない。
 報告書では英米法・大陸法に触れてあるが、これ以外にも韓国・台湾・イスラエルでの一般規定の動向も調査を委託している。その結果も上がり次第委員会で配布したい。
 検討メンバーや、スケジュールなどは資料にあるので参照のこと。

【上野委員】
 この報告書は、著作権分科会を円滑に進めるために基礎的資料の整備を目的とする。可能な限り客観的な視点でこれに取り組んだ。各章は執筆者の責任でまとめているので論文集の性格もあり、その点は厳密には主観が混じっているかも知れない。しかし一般条項を設けるかについて方向性を示唆するものではないと、考慮して書かれた。(以下、資料に沿って説明。)
 第1章。現行著作権法上、権利制限規定にどんな問題があるか、その解決は可能か。第1章と第3章は私が執筆したが、事務局がまとめた研究会の議事録を収録しているところもある。構成員の見解と合致するとは限らないところは留意してほしい。一般条項に対する期待の内容が人によって変わってくる。比較的共有されている問題意識としては、個別規定が限定列挙されたもので、権利制限は「権利保護の例外」との考え方で厳格に解釈されてきたこと。厳格解釈を貫くと、形式的に権利侵害となるが現実的には不都合となるケースをもたらしているのではないか。たとえば家庭内ビデオライブラリーや写り込み。だからと言って(そうした例のすべてに)権利制限の一般条項が必要というわけではない。既存の権利制限の拡大的な運用などで対処できると考えられ、裁判例でもいくつか見受けられる。権利制限の類推適用を肯定することも考えられる。訴訟になれば権利侵害にならないのも少なくないかもしれない。権利制限規定を作る努力も続けられていて、立法論に限界があるのかが(フェアユースが必要かどうかの)問題となるのだろう。
 第2章、比較法。アメリカ合衆国著作権法第117条に一般規定。考慮すべき要素――著作物の目的と性質、利用された量および実質性、潜在的市場に対する影響。アメリカのフェアユースをどうとらえるかは、アメリカでも学説上さまざまな分析があるようだ。近時の事例紹介として、最近のフェアユース関連の裁判例から紹介・分析を行なっている。イギリスでは1988年著作権法「フェアディーリング」。研究・私的学習・批評・報道といった一定の目的のために利用する「公正な利用」を認める。一般条項の性質を有する個別規定。イギリス法に関してまとめられているほか、カナダ・オーストラリアのフェアディーリングについても紹介する。また大陸法の国(フランス・ドイツ)では一般条項がなく、権利制限規定が厳格だ。フランス・ドイツの近時の議論がどうなっているのか、EC指令との関連で、大陸法諸国でも一般規定が許されるのかとの観点もある。
 第3章。フェアユース導入を仮にしたとして、生じると考えられる課題と意義。今後の議論を活性化するために、あらゆる論点を抽出したもの。個別の論点について小委員会で議論することは必ずできないだろう。全て論点が網羅されているとも限らない。それはあらかじめお詫びする。期待される意義としては、裁判官による判断をゆるやかにコントロールしたり、判決の根拠をより可視化すること。他方、課題も、どのような規定かに依存はするが、米国型・英国型・スリーステップ型・受け皿型と分類した。具体的規定の内容も、どのような考慮要素を掲げるか、基準を「公正」とするのか「正当」あるいは「やむをえない」などさまざまな選択肢がある。但し書きとして「権利を不当に損なわない」とすることも考えられる。権利制限する代わりに報酬請求権を与える可能性もなくはない。
 「日本版フェアユース」の語が広く一般的に使われるようになっている。しかし(個々人で)想定される内容に開きが少なくない。(フェアユースかもしれないということで)訴えられなくなるという“消極的・防御的な規定”として捉える人もいれば、現行法では違法となってしまうが社会的に適法と考えられる行為を適法化する“積極的・攻撃的な規定”と捉える人もいる。企業のコンプライアンスからはフェアユースを導入しても効果が期待できないのではとの意見があるし、デメリットが生じるのではないかとの意見もある。このあたりも論点となるだろう。

【土肥主査】
 今回は第1回ということもあり、自由に議論いただければ。

【松田委員】
 質問を。
 この(報告書に挙げられた)意見の中で、大きくとらえると、厳格的に解して法的に違法だが社会通念上違法とすべきでない範疇があるというもの。もうひとつは、過剰な萎縮効果を軽減することにある程度繋がることが期待されるというもの。二つの視点が必要だと思うのだが、今の先生の指摘で、社会通念上違法とすべきでないものや、過剰な萎縮効果を軽減する必要のあるものとして、具体例は。

【上野委員】
 典型的には、家庭内のビデオライブラリーや写り込みの問題。写り込みは形式的に違法となってしまうが、起草者によれば権利侵害でないとする。それに(適法の)根拠を与えるのではないかというのが前者(社会通念上違法とすべきでないもの)。後者(萎縮効果を働かないようにする)は、論者の中(の意見)には、明示的により積極的観点から適法化しようと捉えているものもある。極になる強い見解としては、従来の裁判例ではカラオケ法理が広く適用されていて、新しいビジネスモデルが阻害されている――これを適法化することまで想定している方もいると見受けられる。
 企業内複製の例もある。複写権センターで処理されているものもあるが、すべての企業内複製が契約でカバーされているかと言えば、そうでもないだろう。真面目に考えれば考えるほど萎縮効果が働く。
 弁護士の方がよくご存知かと思うが、「これは違法なんでしょうか」と訊かれて適法だと言えない場合もあると聞く。

【村上委員】
 ひとつ質問。フェアユースはいつごろまでに結論を出すのか? 時間的な余裕はどれだけあるのか。

【事務局】
 これは著作権法・著作権制度にとって非常に大きな問題と考えている。十分に論点を尽くして議論をしていただきたい。

【村上委員】
 それを前提にして申し上げる。(今回配布された)この資料は非常に有意義で、興味深い。とくに比較法の部分が大きなテーマになっている。フェアユースの問題は日本独自のものというのでは多分ないだろう、先進国全体で共通の問題だ。比較法的な分析は十分にやってもらいたい。日本にとって参考になるのはアメリカ・イギリス・フランス・ドイツの4カ国。
 座長へお願い。この報告の内容について米国・フランスと分けて、現状がどうなっていて、どういう議論がされているのか。十分に説明してもらった上で、質問があれば質問させてもらえれば、その後参考になる議論ができるのかなと思う。

【土肥主査】
 事務局と相談して、機会を得てやりたいと思う。

【村上委員】
 著作権が専門の先生には当たり前の話かもしれないが、専門でない者にとっては現状を深く知ってから議論するのがいい。

【大渕委員】
 今のは非常に重要な点だ。
 フェアユースは権利制限だけでなく、著作権全体に影響を与えるテーマ。本題からずれるが、特許法が現行法(制定)から50年経過したということで全体の見直しをやっている。(一方、著作権法で)フェアユースは50年から100年に1ぺんの大きな議論だろう。その(議論の)前提としては比較法的な資料が不可欠。この資料はまだ一般的なところにとどまっている。
 上野委員に質問。アメリカ以外では、アメリカ型のフェアユースを採用していない。大陸法のフランス・ドイツはもともと法体系が違うので(導入の)ハードルは高いだろうが、イギリスでもフェアユースを入れようという話ではないとの認識でいいのか。英米法系の国でも踏み切れないことがあるのかな――といった、検討した感想をざくっと言ってもらえると。
 フェアユースという言葉については、アメリカ著作権法のフェアユースとイコール的なものを言ってるのか、判りやすいから「フェアユース」と言っているだけなのか。いろいろ拝見すると、フェアユースとは違ったものを目指している感じなのでそのあたりも。
 先ほど(フェアユース導入への期待で)カラオケ法理云々の話が出たが、(知財本部の調査会では)あれは間接侵害の話だろうと思っていた。それをフェアユースの問題として扱いべきという趣旨だったのか説明を。

【上野委員】
 アメリカ以外に、同様のフェアユース規定はイスラエルと台湾にある。
 (他の)諸国で同じような規定がなぜ無いのか。これは推測の域を出ないが、裁判例の蓄積があってアメリカのフェアユースがある、他の国はそれを共有していないためではないか。
 「日本版フェアユース」の語を、報告書では意識的に使っているところと使っていないところがある。審議会の議論では「一般規定」を広く包摂する概念として使っている。イギリスのフェアディーリングも含めて考えているのだろう。私は「日本版フェアユース」をアメリカのフェアユースではないものと考えていたが、むしろアメリカ以上のもの(広い権利制限)を作るという考えで「日本版フェアユース」と使う人もいるようだ。
 日本版フェアユースの対象とカラオケ法理(間接侵害)との関係も確かにひとつの論点。知財本部(の調査会)でも、なぜフェアユースが必要なのかとの文脈で「カラオケ法理の拡大」という意見が出ていたように認識している。新しいビジネスの萎縮効果が働かないように、カラオケ法理の責任を否定するようなものをとの意見がある。(逆に)いくらフェアユースを作ってもカラオケ法理を否定できないのではとの考え方も十分あるだろう。

【道垣内委員】
 非常に勉強になる報告書だ。
 日本法でも相当曖昧な法概念が使われている。民法、国際裁判管轄‥‥(たとえば)管轄原因を書き込もうというとき、予想しきれないので「特段の事情」という判例を条文化しようと。非常に曖昧な一般条項を置こうということ。日本法がドイツ法と同じだと思わない。
 ではどう書くか。ベルヌ条約は国内法の仕方について書かれている。EC/EUのディレクティブも同様。しかしそれを受けたところの(報告書の)説明がわからない。85ページのフランス法のところ、最後のセンテンス。フランスでは、スリーステップから「特別な場合」を除いた2ステップのテストを規定していると。
 スリーステップテストの「通常の使用をさまたげない」「不当な不利益を与えない」は一般条項にしやすいのだが、「特別な場合」を国内法で書けるのか。この問題があるにもかかわらず、スリーステップテストを書き込むことが(報告書に規定の一例として)書かれている。

【上野委員】
 国内法に一般条項を入れるとして、スリーステップテストを満たす必要があるのはよく指摘されること。そのうち「特別な場合」のステップをどう満たすのかが問題となる。個別条項では満たしやすいが、一般条項では「特別な場合」を満たせないのではとも言われているところ。
 (この論点は)アメリカのフェアユース規定は条約違反なのかということにも関連する。今後検討すべき点をおおいに含んでいる。

【清水委員】
 一般論として貴重な報告書だというのは各委員と同感。
 「裁判官へのゆるやかなコントロール」とある部分。「あらかじめ(一般条項で)考慮要素を明示しておけば裁判官が柔軟な判断ができるし、法的安定性と具体的妥当性を兼備した判断基準を獲得できるのではないか」(裁判官である自分は)俎上に上げられる身としては全くおっしゃる通りだと思う。
 考慮要素を明示するという点で、どういったものが良いのか(研究会で)議論になっていれば教えていただきたい。

【上野委員】
 考慮要素については、あまり明確に掲げるとそれだけ形式的になり、曖昧だと緩くなりすぎてしまう。
 アメリカのフェアユースの要素が参考になる。「潜在的市場への影響」を日本でも考慮すべきかは、日本でのフェアユース導入の趣旨が関係する。スリーステップテストの要素も参考になる。「著作物の性質」「利用の目的・態様」――どういう著作物なのかを考慮しないとならない、利用目的や態様を考慮しないとならない、となるとそれに従った判断が挙げられることになるだろう。
 こうした要素を掲げるだけでも判断の明確性に資する。ただ、それ以上の細かくは検討していない。

【大渕委員】
 (研究会の報告書では)ビデオライブラリーなど、非常に細かいものを挙げているが。こういうものが主なのか、それとも今後予測できない利用がたくさんあるから(一般条項を)書き込むという話なのか。どちらをメインに考えているのか若干わからない。
 個別規定を全廃して一般規定だけというのは現実的でないので、個別規定を残した上でと考えているのだろうが、全体としてどう権利制限を組んでいくのか合わせて考えないとならない。報告書では個別規定に焦点があまり当たっていないがどう考えるか。

【上野委員】
 一般条項をどういう目的で設けるのか、人によってとらえ方が違うのではないか。多様性に対応することと、変化に対応することの両方が必要だが、それぞれの考えの方もいる。私は前者(多様性への対応)だけでもそれなりに意味があると思うが、論者によって変わるだろう。
 個別規定を撤廃して一般規定だけにするとは考えず、個別規定を整備していくことが必要――との考えはおっしゃる通り。個別規定を今後も継続して整備することはなお重要だと考える。

【土肥主査】
 私からもひとつ。些末なもの(利用)と、新しいビジネスモデルの萎縮効果。アメリカのフェアユース規定があることによって(それぞれの論点で)どういう役割を果たしているのか、研究会でも出たかと思うのだがその辺は。

【上野委員】
 正直、研究会の日数が限られていたので、中身については(きちんと)議論できているとは限らないのだが、アメリカのフェアユースをめぐって「法と経済学」の論点をどれだけ言えるかの議論がある。(研究会の報告が)我が国にフェアユース規定を設ける際にどれだけ示唆が得られるかと言えば、必ずしも十分な検討とは言えない。

【村上委員】
 競争法との関係について。特許権では、欧米で強制的に実施権を命じる事件が山ほどある。ところが著作権で強制実施許諾に関する競争法の事件は、競争法の強いアメリカではほとんど出ていない。フェアユースが公共政策上の手当になっているのではないか。ヨーロッパはEUの競争法が積極的で、90年以来、数件出てきている。それぞれの国の制度との絡みになっているなと。

【土肥主査】
 意見交換はこれくらいにして、審議の進め方について事務局から。

【事務局】
 ヒアリングを実施してはどうか。そこで出た問題点・課題などを、委員で意見交換する。そして事務局で論点整理をするという流れ。ヒアリングについては現在検討中で、主査と相談しているところ。
 (資料7に沿って説明)有識者には、フォーラム等や、法社会学・比較法・経済学などの研究者が考えられるのではないか。また、「その他」として、1~3に限定せず幅広くヒアリングを実施してはどうか。

【資料7】
権利制限の一般規定に関する意見聴取について(案)

 権利制限の一般規定に関する意見聴取すべき分野として、次のような分野が考えられる。

1 権利者関係
  著作権・著作隣接権関係団体

2 利用者関係
  教育関係団体、図書館関係団体、障害者福祉関係団体、産業関係団体、消費者関係団体等

3 有識者
  一般規定について提言を行っている有識者団体、法曹関係団体、一般規定又はその関連問題に詳しい有識者等

4 その他

【森田委員】
 何をヒアリングするかが問題となる。「日本版フェアユース」とはどういうものか、イメージがさまざまある。確定的なイメージの人に聴くのなら良いが、イメージが不明確なまま漠として意見聴取してもすれ違うおそれがある。考慮要素などをある程度まとめてから進めないと、(ヒアリングの後で議論する段になっても)方向性が見えてこないのでは。ヒアリングとその整理を合わせて検討してほしい。

【事務局・川瀬】
 従来の審議会では、中間まとめを踏まえて意見募集を行ない、場合によってヒアリングする。その頃には具体的に焦点を絞った課題について意見が出る。
 今回の提案は、知財本部の提言や、関係有識者団体・フォーラムなどの考えがさまざま出ているので、とりあえず現在提言されている内容を聞いていくもの。委員会で焦点を絞った形でのヒアリングは別途考えたい。そういった段取りで提案している。

【土肥主査】
当面は、ある程度 意見の絞り込みを行なっている団体についてヒアリングする。具体な団体の選考は事務局と私で考える。(異議なし)

【事務局】
次回、日程が未確定なので後日調整する。

Posted by 谷分 章優 |

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