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2009年5月12日 (火)

衆議院・文部科学委員会で著作権法改定案が可決

 「違法配信からの録音・録画を禁止する」との名目で私的複製(著作権法第30条)の範囲を縮小する、いわゆる「ダウンロード違法化」の条項を含んだ著作権法の改訂案が8日、衆議院の文部科学委員会を通過した(審議経過参照のこと)。4月24日に法案の説明が行なわれ、今月8日が初めての審議だったわけだが、その日のうちに採決された。後日、おそらく無風で衆議院本会議を通過し、参議院での審議へと移ることになるだろう。
 この日の委員会で質問をした議員は、民主党から高井美穂・松野頼久・川内博史・和田隆志の4委員、共産党が石井郁子委員、社民党が日盛文尋委員。この日の委員会の流れが、事務局作成の「衆議院文部科学委員会ニュース」で速報として公表されている。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_rchome.nsf/html/rchome/News/monka17120090508009_f.htm
「文部科学委員会ニュース(5月9日)」
(衆議院)



1 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第 54 号)
・塩谷文部科学大臣、宮﨑内閣法制局長官、竹島公正取引委員会委員長、政府参考人及び長尾国立国会図書館長に対し質疑を行い、質疑を終局しました。
・採決を行った結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
(賛成-自民、民主、公明、共産、社民)
・馳浩君外4名(自民、民主、公明、共産、社民)から提出された附帯決議案について、和田隆志君(民主)から趣旨説明を聴取しました。
・採決を行った結果、全会一致をもってこれを付することに決しました。
(賛成-自民、民主、公明、共産、社民)

 このニュース(本体はPDF)では、上記の審議概要のほか、各議員の質問内容の要旨が書かれている。それに対する参考人らの発言は、今のところ『衆議院TV』のビデオライブラリーで参照可能。議事録が公表されるまでしばらくかかりそうだが、『無名の一知財政策ウォッチャーの独言』さんが書き起こしをされているのでご参考まで(書き起こしおつかれさまです)。

http://www.shugiintv.go.jp/jp/video_lib2.php?u_day=20090508
「開会日:2009年5月8日」
(衆議院TV)
※ここから「文部科学委員会」をクリック

http://fr-toen.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-11c0.html
「第171回:衆議院文部科学委員会での著作権法改正法案の馴れ合い出来レース審議」
(無名の一知財政策ウォッチャーの独言)

 いわゆる「ダウンロード違法化」は、配信されているコンテンツが違法に提供されたものだとの「事実を知りながら」ダウンロードする行為を禁じるものとは言え、ユーザーがダウンロードしたものを事後的に「適法」か「違法」か判断することが困難という問題があった。いざ訴訟になったとして、権利者側が「事実を知りながら」のダウンロードだと証明しづらい一方、疑いをかけられたユーザーの側でも潔白を証明できない(コピー元のCDを持っていたり、支払いなどの記録が残っていないかぎりは)。この規定を根拠にどれだけの訴訟が起こされるか——によってはユーザーの脅威となる(見せしめの訴訟が数件起こるにとどまる可能性もあるが)。
 「ダウンロード違法化」条項にはもう一つ問題となる部分がある。海外で配信されているものでも、日本の著作権法で判断して「違法」なものならダウンロードが「違法」とされてしまう点だ。たとえば米国のフェアユースのような権利制限など、日本法とは異なる事情で適法に配信されているものが、日本でダウンロードすると「違法」呼ばわりされるようになる。そうしたダウンロードでもする人はするのだろうが、気持ちのいいものではない。
 海外での適法配信と日本法との関係をどう考えるのか、本来は慎重に審議すべきところだった。しかし衆議院の文部科学委員会ではこの観点からの質問は無かった。インターネットの世界でも日本人には日本法だけ当てはめておけばOK——と考える議員ばかりだということか。

 委員会での法案可決のあと、付帯決議も提案されて可決されている。これは、可決された法律が運用される際に“国会の意向も汲んでくれ”と要望する程度のものでしかない。過去の例を見ても、政府へ速効性のプレッシャーを与えるようなものではない(法改定の根拠に使われることはままあるが)。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Futai/monka7C67B3E98A3FA93B492575B00030142E.htm
「著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」
(衆議院)



著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一 違法なインターネット配信等による音楽・映像を違法と知りながら録音又は録画することを私的使用目的でも権利侵害とする第三十条第一項第三号の運用に当たっては、違法なインターネット配信等による音楽・映像と知らずに録音又は録画した著作物の利用者に不利益が生じないよう留意すること。
  また、本改正に便乗した不正な料金請求等による被害を防止するため、改正内容の趣旨の周知徹底に努めるとともに、レコード会社等との契約により配信される場合に表示される「識別マーク」の普及を促進すること。

二 インターネット配信等による音楽・映像については、今後見込まれる違法配信からの私的録音録画の減少の状況を踏まえ、適正な価格形成に反映させるよう努めること。

三 障害者のための著作物利用の円滑化に当たっては、教科用拡大図書や授業で使われる副教材の拡大写本等の作成を行うボランティア活動がこれまでに果たしてきた役割にかんがみ、その活動が支障なく一層促進されるよう努めること。

四 著作権者不明等の場合の裁定制度及び著作権等の登録制度については、著作物等の適切な保護と円滑な流通を促進する観点から、手続の簡素化等制度の改善について検討すること。

五 近年のデジタル化・ネットワーク化の進展に伴う著作物等の利用形態の多様化及び著作権制度に係る動向等にかんがみ、著作権の保護を適切に行うため、著作権法の適切な見直しを進めること。
特に、私的録音録画補償金制度及び著作権保護期間の見直しなど、著作権に係る重要課題については、国際的動向や関係団体等の意見も十分に考慮し、早期に適切な結論を得ること。

六 国立国会図書館において電子化された資料については、図書館の果たす役割にかんがみ、その有効な活用を図ること。

七 文化の発展に寄与する著作権保護の重要性にかんがみ、学校等における著作権教育の充実や国民に対する普及啓発活動に努めること。

 国会議員が結局はどういった方向を向いているのかを知る参考になるかもしれない。この附帯決議案、民主党だけでなく自民党を含む全会派で出されていることに注意が必要だが。

Posted by 谷分 章優 著作権, 著作権行政, 音楽と著作権 |

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