行政の「違法・有害」検討の一区切り
14日に、総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」第10回会合が開かれた。インターネット上にある「違法」あるいは「有害」な情報が、携帯電話やパソコンを通じて青少年に届いてしまう現状をいかにして変えるのか、「安心」「安全」なインターネットを事業者や学校・社会との関係の中で実現していくかを考える検討会だ。今回が最後の会合ということで、「最終取りまとめ」を承認して1年以上に渡る検討を終えた。
第1回の検討会は2007年11月に開かれ、「違法有害情報に対する総合的な対応について」(検討会設置の報道資料から)検討が始まった。当初、2008年4月の「中間とりまとめ」までは主に携帯電話でのフィルタリングサービスが取り上げられていたが、同年6月の「青少年ネット規制法」(公式には「青少年インターネット環境整備法」と呼ばれる)の成立を受けて、より広く「安心ネットづくり」促進プログラムの骨子づくりを集中的に検討してきた経緯がある。
検討会の議論と取りまとめにあたっては、ワーキンググループが設置された。「基本的枠組WG」「自主的取組WG」「親子のICTメディアリテラシーWG」「技術検討WG」の4つだ。これらのうち3つはそのまま「最終取りまとめ」の柱となっている。フィルタリングや産学連携・国際連携などの「基本的枠組」、レイティングや児童ポルノ対策などの「民間における自主的取組」、教育活動や調査活動などの「利用者を育てる取組」といった具合だ。4つ目のワーキングの「技術検討」は、それぞれの柱での技術的側面をフォローしている。
今回了承された「最終取りまとめ」の案自体は、前回(昨年11月26日)にすでに公表されていた。その後、国民からの意見募集(パブリックコメント)にかけられ、それを踏まえた修正がされて今回の検討会にかけられた。ちなみにパブリックコメントでは、個人から82件、法人・団体から8件の意見が寄せられたという。
第10回会合で配布された資料は、当日のうちに総務省のサイトに掲載されている。
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/internet_illegal/090114_2.html
インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会(第10回)
(総務省)
資料1 第9回検討会議事要旨(案)
資料2 欧州における民間の自主的取組やリテラシー向上等の取組について
資料3-1 最終取りまとめ(案)について提出された意見について
資料3-2 意見募集で寄せられたご意見に対する考え方(概要)
資料3-3 意見募集で寄せられたご意見に対する考え方
資料4-1 最終取りまとめ(案)
資料4-2 意見募集を行った案からの修正箇所
ここにあるうち、パブリックコメントの結果に関するものは資料3−1から3−3だ。資料3−1は意見数の集計、資料3−3が各意見をすべて掲載したもの。間の資料3−2は、説明のために事務局が主要な意見をピックアップした“概要版”となる。
意見に対しては、それぞれ総務省からの「考え方」が記されており、特に主要なものについては、「最終取りまとめ」にも修正が加えられ反映されたものもある。その修正箇所が一覧できるようになっているのが資料4−2だ。
本編の「最終取りまとめ」は資料4−1、前回の案から修正された部分には下線が引かれている。国が今回の「最終取りまとめ」のように大枠を検討しつつも、基本的には民間での自主的取組みを見守ることとし、国としてはそのバックアップに徹するとの方針自体は変更されていない。その結論に至るまでの検討部分で、細かい修正が入れられたという具合だ。
「違法・有害」検討の結果としてまとめられた「最終取りまとめ」には、検討課題となっている「フィルタリング」「児童ポルノ」などの他、キーワードとも言えるものがある。「産学連携の結節点となる組織」「eーネットづくり宣言」といった言葉が繰り返し登場し、実際の試みはそうした民間の組織が担うこととされているのである。「違法・有害」の中でも特に「有害」情報の問題で国が主体になって対策を進めることは、インターネット上で流れる情報を国がコントロールすることになりかねないため、難しい。そこで、民間の側でこうした対策の主体となる組織ができ、国がそのバックアップするという形で報告書をまとめているわけだ。
昨年10月8日に、ネット関連企業やPTA全国組織・大学教授などが発起人となって「安心ネットづくり」促進協議会の設立が発表された。検討会での「最終取りまとめ」の最後にもこの協議会に触れるところがあり、「同協議会が、青少年インターネット環境整備法の基本理念に則り、その活動を軌道に乗せることにより、『安心ネットづくり』促進プログラムに盛り込まれる諸施策の多くが着実に実施されることを期待したい」とまとめている。
今後は、総務省から「安心ネットづくり促進プログラム」の発表が予定されている。正式な「最終取りまとめ」もその時に一緒に公表されるそうだ。施策を引き受ける形となる「安心ネットづくり促進協議会」の実際の活動に焦点が移ることになるが、国の意向が強制力となって働いてしまわないか、あるいは「民間」ゆえに過剰に制限的な施策を始めてしまわないかなど、気になる点はある。
これからが始まり。関心を失わずにいたいところだ。
Posted by 谷分 章優 ネット規制 | Permalink | コメント (0) | トラックバック (0)


