http://www.riaj.or.jp/issue/record/2006/200606.html
「THE RECORD 2006年6月号」
(社団法人 日本レコード協会|発行物)
http://www.riaj.or.jp/report/mediauser/2005.html
「2005年度『音楽メディアユーザー実態調査』実施」
(社団法人 日本レコード協会|調査・レポート)
日本レコード協会で機関誌 『The Record』 6月号が発行されました。
「2005年度 音楽メディアユーザー実態調査」の結果概要が掲載されていまして、まぁこの調査自体は“さよけ”ってな感じのところが多いのですが、気になるところが若干あります。
「CDセル市場の最大シェアは 30〜40代」 なんだそうで。しかし今のレコ協が敵に回しているのもこの世代ではありますね(あと 20 代もかな?)。 「CCCD」 や「レコード輸入権」 「iPod 税」と、解消しなければならない確執は数多く、しかもレコ協はことごとく“説得”に失敗している。市場規模が縮小の一途を辿るのも当然と言いたいところですが、ホントに俺たちにそれだけの市場を左右できる力があるのかいな?(もしそうなら、もう少し業界には痛い目にあって貰わなきゃな。当然持つべき選択肢は行使していくよ、これからも。)
「音楽関連支出合計で携帯電話の支出を超える」ですって。ホントかよと思ったら、「関連支出合計」でした。つまりCD購入・コンサート・カラオケ・音楽ビデオ購入・レンタルもろもろを合計してようやく携帯電話に勝てたという話。当該ページ(ノンブルで2ページ)の図を見ると、“ロングテール”を積み重ねて“頭”に勝ったと喜ぶ虚しさが感じられます。レコ協の論法でいくなら携帯電話の方にも「関連支出」を足してやらないと不公平だろうに。
ちなみにこの「実態調査」の結果は、その詳細が既にレコ協サイトで公表されています(リンク既掲)。確かに 『The Record』 のものよりは詳しいデータが掲載されています。ただ見どころは、毎年のことではあるのですけど、レコ協によるまとめが恣意的で面白すぎるところですね。その恣意的なものから、更に大々的に発表したいところをピックアップして 『The Record』 に載せているといったところなのでしょう。
「50 代以上では自宅の近くという地理的利便性を重視するものの、いつでも買えるという時間的利便性に対しては反応が弱い」とか 「20 代社会人〜 40 代はテレビCM、中高年は家族をきっかけとする事が多い」(注:CD購入の「きっかけ」のこと)とか、再販制や宣伝費大量投入を正当化しているかのような まとめも見られてなかなか香ばしいところではあります。 『The Record』 には載ってませんでしたが。
私がここぞということで紹介したいのが一つあります。ノンブル 36 ページ。「デジタル携帯オーディオプレーヤーの録音ソースはCDからが大半」という箇所です。これだけでも内容はお判りかと思いますが、「『デジタル携帯オーディオプレーヤー』で聴く音楽を何から録音していますか」との質問に対し、「購入したアルバムCD」 63.1 %、「レンタルしたアルバムCD」 50.9 %、「友人から借りたCD」 29.1 %、「有料音楽配信」 11.8 % ──てな具合になっています(他の項目は当該ページを御覧ください。ただし購入・レンタル・友人から・配信で殆どが占められます)。
こういったところでデジタル携帯オーディオプレーヤーの特殊性というか、従来の私的録音録画補償金の前提からかけ離れていることが実証されているものと考えられます。ここも 『The Record』 には掲載されていませんでしたがね(笑)。
さて。 『The Record』 の話に戻ります。ここでも私がピックアップしたいところが一つありまして、それがノンブルの8ページ。
Topics & Information
音楽用CDの再販制度「除外を検討」から「検討し対応」へ
知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会は、6月8日に決定する「知的財産推進計画 2006」 に盛り込まれるコンテンツ分野に係る提言を、 5月18日 にまとめました。堂専門調査会では、当初「音楽用CDを再販売価格維持制度から除外することを検討する」という表現で答申がなされていました。
これを受け、当協会をはじめとする音楽関係 10 団体は、再販制度が日本の音楽文化の発展や国民による多様な音楽文化の享受のために果たしている役割の重要性を強く訴えてきました。
また、知的財産戦略本部が意見募集を行ったところ、「音楽用CDの再販制度維持」を支持する意見が多数寄せられるなど、最終答申として「必要に応じてより効果的な方途を検討し対応する」という表現となりました。
レコード業界は、今後も再販制度の下で、音楽文化の維持発展を図っていくとともに、国民の利益のために再販制度のさらなる弾力的運用を進め、再販制度について、広く国民の理解を得るためのPRに努めてまいります。
──勝利宣言のつもりか、こりゃ!?
まぁ私が補足するまでもないでしょうが、一応。
「レコード輸入権」(正確には「商業用レコードの還流防止措置」)と再販制度との二重保護は問題であって知財戦略本部も「音楽用CDを再販売価格維持制度から除外」という方針を出してはいたのですが、実際に出された『知的財産推進計画 2006』 ではその表現が後退してしまいました。酷い話だと言わざるを得ないのですが。
「当協会をはじめとする音楽関係 10 団体は、再販制度が日本の音楽文化の発展や国民による多様な音楽文化の享受のために果たしている役割の重要性を強く訴えてきました」とありますが、じゃあ実際にやったのは何かというと、広報活動ではなくパブリックコメントへの組織票だったという(笑)。この募集結果 (PDF) を見ると判るのですが、あきらかに文面が同じものを大量に送信しているばかりか、その文面案そのものまで送信されている始末(こちらはリークじゃないかという話もありますが)。しかも知財戦略本部事務局も心得たもので、「同趣旨のもの多数」とか言ってまとめてしまった(一々掲載しなかった)ものもあったりしました。
あ、「強く訴えてきました」と言えば、レコ協のサイトにも「音楽用CDの再販制度の弾力運用の状況について」とかいうページを作ってましたか。いきなり「貴委員会は」云々で始まる間抜けなやつ。いや、その後「公正取引委員会御中」として趣旨説明が文頭に付くようになったのですがね。何ともドタバタした感じの掲載ではありました。
結局のところ知財推進計画での表現を後退させることには成功したのですから、レコ協としては結果オーライだったのでしょうがね(この裏には文部科学大臣の肩入れや、ヨーダの痛い演説‥‥じゃない大演説があったことも付け加えておきましょう。あの世界、普通の感覚では動いてません)。
我々エンドユーザーとしては、再販制に関して これからもCD等の除外を主張していくべきでありましょう(個人的には再販制の完全撤廃を訴えたいところですが)。現実問題としてCDの価格高止まりは続いており、また「レコード輸入権」もそのままなのですから。
また、再販制に頼らずにすむ音楽流通を模索すること。これも大事です。すなわち音楽配信をさらに活性化させ(価格競争もきちんとさせる)、ついでに私的録音録画補償金を廃止できれば レコード業界はもはやCDに固執することができません。消費者の利便性に気を使えるレコード製作者はCDを出し続けるでしょうけど、コピーさせたくない連中は次世代メディア(ただし DRM 付き)に移行せざるを得なくなるでしょう。
最もレコード業界に効くのは、我々が「CDを買わない」という選択肢を行使することだと思いますがね(笑)。適正な品質のものを、適正な価格で、適正な流通のもとに入手できて初めて買うと。そうでないものは(例えば 「CCCD」) 断固として買わない。それだけでも連中には打撃です。再販制によって市場原理が働きづらいのですから、もはや不買で対抗するしかありますまい。
※洋楽好きなら輸入盤を中心に買うという“逃げ道”はあるんですけどね、大変なのは邦楽好きの人かな。そこはレンタルを使うということで。まぁ輸入盤でも正規品を買えさえすれば、少なくともアーティストには迷惑がかからないのですがね、邦楽輸入盤を止めやがってるのはホラ当のレコ協会員社ですから。
※私が注目した記事を「はてなブックマーク」にクリップしています。
一部コメントつき。
http://b.hatena.ne.jp/himagine_no9
■今年のレコード生産が上向きではないことが証明されつつある
http://www.riaj.or.jp/data/monthly/2006/200604.html
「2006年4月 レコード生産実績」
(社団法人 日本レコード協会|各種統計)
「レコード生産実績、 2006 年は1月から3月が前年より増えてるんだよ〜」とあちらこちらで触れ回っていた(らしい)レコード協会ですが、その表現が極めて恣意的であったことがデータで裏づけられ始めています。
先日、今年4月の生産実績が発表されたのですが、CD合計の金額において、同年同月比でほぼ 100 %(つまるところ前年と同じ)とのことです。しかも数量においては前年割れしている始末(邦楽の落ち込みが凄まじく、前年同月比 91%! ただしどういう訳か洋楽が 108 %)。
2006 年1月から3月の“回復”論調については、 2005 年1月から3月の生産が特に低かったので今年上昇したように見える──との説明がよく為されていました。これが事実であること、別の言い方をすれば例の数字が(僅かな可能性は残っていた)市場回復の兆しではなかったことが明らかになりつつあるということなのでしょう。今年5月分のデータは今集計中でしょうか、それからあと数ヶ月分の流れを見ていけば、いよいよ例の“回復”論調の妥当性がはっきり判ります。
もっとも前年同月比だけみて一喜一憂してもしようがないでしょう。1月から3月に蓄えた“貯金”を食い潰さずに済むのか、今年1年全体を通して見たときに前年比がどうなるのか。あと実際のCD売上げがどうなっているのか。
レコ協があまり広報に利用したがらないデータが追々出てくることが楽しみでなりません。
そうそう、レコ協さん。そろそろ還流防止措置のデータも出してくださいな。知財推進計画にあった数字だけでは足りませんよ(あれそもそも何を示してるのかすら判らないじゃないですか)。
過去5年ほどのデータで、どれだけ海外へのライセンス数が増えたのか見せてくれないと。還流防止措置が全くの無意味だったなんて いつまで言われたくないでしょう?